米ドルの独歩安と世界の株式市場の連鎖的暴落が暗示するもの。株式市場は「世界的大不況(恐慌)」を織 | 日本のお姉さん

米ドルの独歩安と世界の株式市場の連鎖的暴落が暗示するもの。株式市場は「世界的大不況(恐慌)」を織

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▼米ドルの独歩安と世界の株式市場の連鎖的暴落が暗示するもの。株式市場は「世界的大不況(恐慌)」を織り込み始めたのか? (じじ放談)

米ドルはユーロを初め主要国通貨に対して急落した。一時円は1ドル100円台後半まで戻していたが、ここ数日間で急騰しついに1ドル104円台となった。100円割れも遠くはあるまい。同時に、世界の株式市場は例外なく急落している。15日のNYダウは終値で10962ドルとついに大台を割り込んだ。東京株式市場(東証1部)の日経平均も15日、12000円台に急落した。中国の上海市場は高値から半値以下、インド市場も急落。韓国・台湾・シンガポール市場も底値が見えない。比較的安定していたドイツ・フランス・イギリス・スペインの株価下落も止まらない。米証券取引委員会(SEC)は米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株価急落に対応、株価操縦の監視も強化する。住宅公社2社についても空売りが最近の株価急落に拍車をかけたとの見方から、再び規制を強化する。(16日付け日本経済新聞・夕刊)
NYダウの急落に脅えた米国政府が「なりふり構わず、株価急落への対策を総動員し始めた」ということであろう。我が国でも日経平均株価が8000円割れを起こした2003年当時「空売り規制」を強化したことがあった。

第1の問題(米ドルの独歩安の背景要因)
米国は年間7000億ドル前後の貿易赤字と年間数千億ドルの財政赤字を続けてきたから、数年前に米ドルの暴落が始まっても不思議ではなかった。だが、我が国や中国が米国債を買い支えた(させられた)結果、かろうじて米ドルの独歩安を回避することができた。米国も金利を引き上げ、魅力的な投資環境の整備を図ることで外国資金を呼び込む努力を行った。かくして米国は外国資金の導入に成功し、未曾有の好景気を満喫できた。世界は米国の貪欲かつ借金漬けの消費に支えられ、好景気を持続することができた。米国の過大な消費は永遠に続くと期待された。だが、何人も無理な姿勢を長く保つことはできない。米国の住宅バブルの崩壊に起因するサブプライムローンの焦げ付き、住宅ローン関連証券の暴落、プライムローンの焦げ付きの増加、各種ローンの不良債権化の拡大などが米国を襲った。長年の不摂生がたたった米国は「天文学的不良債権を抱え込んだ金融機関の救済」に没頭せざるをえなくなった。短期間に金利を3%以上も引き下げた。しかし金融不安と信用収縮は治まる気配を見せない。ついに米住宅金融公社ファニーメイとフレディマックが経営危機に陥った。

7月15日付け日本経済新聞は「米住宅金融公社2社の現状」を以下1,2,3,4のとおり紹介している。(抜粋)
1.米住宅金融公社とは
米国内の住宅金融に特化した会社で、政府の影響力が強い半官半民的組織。民間から買い取った住宅ローン債権を住宅ローン担保証券(RMBS)に仕立て直して市場で売却する。両社が保証したり保有するRMBSの合計は米住宅ローン総額の半分近い5兆2千億ドル(約550兆円)。社債も1兆6千億ドル(約168兆円)強発行している。

2.両社の経営危機は
2007年10月ー12月以降の半年だけで、最終損失が合計83億ドル超。米政府は住宅市場の下支えを狙って両社の住宅ローン買取り枠を拡大、両社は活動を活発にしたものの、市況は下げ止まらず業績・財務が悪化した。

3.公的資金注入の背景
両社は株式を上場する企業だが、役割の重要性から発行する社債には暗黙の政府保証がついていて、経営が悪化すれば政府が元利払いを肩代わりすると見られている。これが海外投資家の保有が多い原因となっており、債務不履行の恐れが強まればドル相場の急落につながるとされる。

4.日本の米住宅公社関連証券の保有残高
三菱UFJフィナンシャル・グループ・・・3兆3千億円
みずほフィナンシャル・グループ・・・・・1兆2千億円
三井住友フィナンシャル・グループ・・・・  2千億円
日本生命・・・・・・・・・・・・・・・・2兆5千億円超
第一生命・・・・・・・・・・・・・・・・ 約9千億円
大和証券グループ本社・・・・・・・・・・ 約1千4百億円
以下略。

我が国でも旧国鉄や道路公団などの「国策会社」があった。この国策会社は政治のおもちゃにされ、莫大な借金を残した。米住宅金融公社も国策会社である。住宅バブルを創造し、米国の好景気を持続させることに偉大な貢献を果たした。米国政府が「元利を保証する」という保証人になって国策会社を支援した。「ローリスク・好条件」の投資環境を作り、外国資本を米国におびき寄せることに成功した。「住宅ローン債権を証券化して販売する」というアクドイ商売を、「ローリスク・ハイリターンの商品」に偽装して、海外の投資家(金融機関)に売りまくった。官民が共謀して仕組んだ「詐欺的商法」というほかはない。
「米住宅金融公社2社は信用力の高い借り手によるプライムと呼ばれるローンを裏付けにしているから心配ない」とされる。だが、住宅価格の一層の下落が続けば、プライムローンの焦げ付きも急拡大する。折からの住宅価格の急落で、健全な借り手が住宅ローンの返済ができなくなり破産者が急増中である。差し押さえ物件や競売物件が急増しているというから、米国の住宅価格はこれからも下落すると見るべきであろう。プライムローンの返済焦げ付きが拡大したから、米住宅金融公社2社の財務が急速に悪化したのではなかろうか。米国の住宅ローン市場の50%を占める両社の経営が破綻すれば、どのような事態が発生するか想像することもできない。「大きすぎて潰せない」から、米国政府はなりふりかまわず「公的資金投入を決断した」のであろう。米国は世界最大の債務国である。貿易赤字も年間7000億ドルを超える。財政赤字も数千億ドル規模である。事実上「破産国家」である米国が、住宅金融公社に数十兆円規模の公的資金を投入するためには「ドル紙幣を増刷して頒布する」以外に手段はない。米国の実体経済は縮小しつつあるのにドル紙幣を増刷すれば、ドルの価値は急落する。素人でも分かる。「米ドルが急落」すれば、米国債や各種証券に投資している海外の投資家は「莫大な含み損」を抱える。儲けるつもりで行った米国への投資で莫大な損失を計上せざるをえなくなる。世界の投資家(金融機関)や政府系ファンドは「早めに損切りして被害をなるべく小さくしたい」と考えるのではないか。かくして、米国債や米国の各種証券が一斉に売られる。「米ドルの独歩安」がさらに進む。

第2の問題(株式市場の世界的連鎖安について)
ケンミレ株式情報によると、7月16日現在の東証1部企業の時価総額は約400兆円である。昨年の高値時は約550兆円であったから1年間で150兆円も消えた。我が国企業の経済的価値が暴落した。今回は世界同時株安であるから、世界中の企業が評価額を下げている。15日のWTI原油(現物)は1バーレル142.73ドル、金は1オンス978.7ドルである。株式市場から逃避した資金のごく一部は国債や商品市場に流出したのかもしれぬが、大半はどこに消えたのであろうか?世界中の株式市場で株を売却して得た膨大な資金はどこに消えたのであろうか?

(バブル崩壊時は「カネは天下を回らない」ということか?)
原油が高騰すれば、消費国から産油国にカネが移転する。途中で消えることはない。産油国は獲得したカネを投資や消費に回す。ごく自然だ。これを称して「カネは天下の回りもの」という。だが、世界中の株式市場から逃避した資金はどこに消えたのか?世界中の株式市場に投資してきた欧米の金融機関やファンドがバブル崩壊で莫大な損失を計上し金策に窮している。彼らは資金繰りの必要から海外に投資した資産を売って損失穴埋め資金を工面している。株を売ったカネは損失の穴埋めに充当されるから他所に向かうことができない。米国金融機関の莫大な不良債権こそ「カネを吸いこむブラックホール」なのだ。「貸しはがし」「貸し渋り」が蔓延する。「カネが天下に回らない」から不景気になる。米国の住宅バブル崩壊で始まった金融危機が克服されるまで、世界の株式市場は「売り優勢」が続くと考えてよい。米国政府は「住宅金融公社2社」には公的資金を投入するというが、その他大勢の中小金融機関の面倒を見る余力はあるまい。今後、中小金融機関の破綻が続出する危険がある。銀行倒産を危惧した大衆が「取りつけ騒ぎ」を惹起するのも想定の範囲内だ。1990年代。我が国はバブル崩壊の後遺症に見舞われ「失われた10年」といわれる失意のどん底にあった。この間、米国、中国、インド、英・独・仏などは住宅バブルで我が世の春を謳歌した。株式市場も右肩上がりであった。現在、米国の住宅バブルの崩壊を初め、前述した国々の住宅バブルが崩壊の兆しを見せている。
現在は「大地震前の余震」と見るべきであろう。米国や我が政府の「粉飾された」大本営発表を鵜呑みにすべきではない。世界中の株式市場が崩落し始めたのは、欧米金融機関の「売り」を吸収できる「買い手」が登場しないから、値段を下げなければ売買が成立しないということだろう。さらに賢明な投資家が「世界的大不況(恐慌)」を予感し「手仕舞い」に出たと見るべきだろう。

(株式市場の先見性について)
株式市場は「時代を先取りする」といわれる。なぜか?株式売買は「企業の将来(プラス・マイナス)に賭ける」という投資ゲームである。世界中の投資家が、政治・経済・大衆心理などあらゆる条件を勘案して「企業活動の近未来を予測」して投資又は投資先からの撤退行為を取捨選択する。個別企業、業界、投資環境などが投資行為を左右する。昨今の株式市場を見るに、超優良企業や将来性ある企業も暴落している。ぼろ株はもちろん見るも無残である。つまりあらゆる業種の、ほとんどの株が売り優勢で暴落している。ファンダメンタルやテクニカル分析も出番がない。世界中の株式市場が暴落しているから、外国株投資も「含み損」を抱えているのではないか。中国・上海株などは、昨年の高値6000ポイントから、7月16日終値が2705ポイントに暴落した。半値以下になった。底が見えない。世界の投資家が「世界経済の失速→世界的規模での大不況(恐慌)」を織り込み始めたのではあるまいか。それが、世界の株式市場の連鎖的暴落を惹起している真の要因ではなかろうか。
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(まとめ)
昨日の衛星テレビニュースで、米FRBのバーナンキ議長が「米国は重大な危機に直面している」といっていた。米国経済が容易ならざる事態に直面していることを正直に語ったものであろう。米国の住宅価格の暴落が続けば、おそらく「打つ手なし」になるのではないか。「大きすぎてつぶせない公社・銀行・証券会社」だけは救済するであろうが、その他大勢の中小金融機関の倒産が続出するのではないか。

1929年に始まる世界大恐慌では、米国の銀行だけでも約1万社が倒産したといわれる。今回はどの程度の規模になるのか?警戒心をもって見守りたい。できれば最悪の事態が発生するかもしれぬとの覚悟をもって対策を講じておきたいものだ。もっとも貯えも乏しい我々大衆は「台風一過」を念じる以外特別な手段を持ち合わせていない。「なるようにしかならない」と開き直るしか方法がない。大不況の到来→失業者の急増と治安の悪化→大規模な公共事業による景気回復→公的債務の激増→ハイパーインフレ→庶民生活の破綻・・・というシナリオが想定される。円の価値が暴落するか、食料品の輸入が不可能となれば、食糧危機も合わせて考えておくべきだろう。健康で病院通いの心配がなければ、田舎の廃屋を購入して「基地」をもうけておくのもよい。残念ながら、筆者はたびたび病院通いをする必要があるため田園生活者向きではない。やむを得ず、都市で如何に生き延びるか?の策を巡らしているのである。