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[第1回政策アンケート 読者編]独自調査が示す国会議員と読者の意識のズレ「今の政策は国民のためというより、政局のため、つまり選挙で勝つためのものになっている」 首相官邸の関係者だった人物は、こう漏らす。  洞爺湖サミットも終わり、内閣改造、民主党の代表選、そして解散・総選挙へと政局が大きく動く季節が始まる。真に有権者のことを考えた政策を打ち出す時期とも言える。 しかし、冒頭の人物の危惧は杞憂に終わりそうにない。日経ビジネスがこのほど行った「第1回経済政策アンケート~日本再浮上への挑戦~」の結果から、そんな現実が浮かび上がる。


・格差問題に対する考えに溝

前回の「ビジネス・政策道場」では、自民党と民主党の衆院議員を対象に行った経済政策アンケートの結果を元に、それぞれの議員の基本的スタンスを明らかにした。小さな政府を志向するか大きな政府か、規制緩和を志向するか格差是正か、などの視点で分類したものだ。 そこに今回、日経ビジネスオンラインの読者アンケートのデータを重ねてみたのが下のグラフだ。白丸が読者の回答で、円が大きいほど多くの読者がそう答えたことを表している。有効回答数は3902人で、うち7割強を会社員(役員を含む)が占めた。この会社員に支持政党を聞いたところ民主党が自民党の2倍ほどの26.9%を得た。ところが、民主党議員が考える政策と、読者が望む政策には乖離があることがグラフでよく分かる。民主党議員は、小さな政府で格差是正という1つの集団を作っている。しかしアンケートに答えてくれた会社員は、小さな政府で規制緩和となるような政策を求めている。つまり格差に対する考え方が異なっているわけだ。


小泉政権時代、それを象徴するキーワードとして規制改革や市場主義などがよく使われた。政権末期、それらへの批判が出てきたため、後継の安倍政権時代には再チャレンジが経済政策の標語となった。より分かりやすい言葉で国民に訴えかけたのが、民主党の格差是正という戦略といえる。昨夏の参院選での勝利の一因ともなった。  行き過ぎた規制改革は多くの傷跡を残し、それを癒すために格差是正という揺り戻しが起こっている。一般にはそう理解されがち。しかし今日本で起こっていることは、そう単純なことでもなさそうだ。アンケート結果からそれが分かる。  例えば所得格差という問題。ワーキングプアの温床とも言われる「日雇い派遣」を原則禁止する動きが、与野党を問わず進んでいる。これまで労働分野では、雇用形態の多様化を促す規制緩和が進んできた。これに待ったをかけ、所得格差の広がりを抑える。それが政治の世界の考え方だ。

では、働く側も格差是正のための規制強化を望んでいるのだろうか。アンケートでは派遣労働や請負労働など雇用形態の多様化をどう思うかを聞いた。「そう思う」を5点、「思わない」を1点として集計すると、アンケートに答えてくれた全有効回答の平均点が2.9点、当事者であるパート・アルバイトの人たちのそれは2.8点だった。つまり、会社員もパート・アルバイトも雇用形態の多様化を求める考えにあまり差がないことが分かる。 議員の答えは違った。自民党の2.7点は読者の答えと比較的近いが、民主党は2.1と大きくズレている。民主党は、労働組合という支援団体を抱えるためだろうか。働き方について、労組の考えとは一致しても、実際の働き手の考えとは必ずしも一致していないのではなかろうか。


・道路の必要性、都市と地方に差なし

次に都市と地方の格差問題。1つの象徴が道路や空港といった社会資本整備の是非だろう。地方が発展するためには、こうした整備がまだまだ必要と考えられることが多い。アンケートでは、道路や空港などの社会資本整備のペースを減速すべきか聞いた。点数のつけ方は、先の雇用の設問と同じ。点数が高いほど不要派ということになる。 東京都や大阪府など5都市に住む会社員と、それ以外の地方に住む会社員のそれぞれの平均点はともに4.1点という結果だった。地方は、都市に比べてまだ道路建設を望んでいるという見方は、もはや幻想なのかもしれない。


第4問 道路や空港などの社会資本整備は、既に国民生活や経済活動を支えるのに十分なレベルにあり、今後はそのペースを減速すべきだと思いますか。

第7問 地方経済を活性化させるには、国から地方へ権限と財源を大幅に移譲し、道州制などの導入も含め現在の都道府県の枠組みを見直すべきだと思いますか。

第9問 経済の活性化のためには、更なる規制緩和を進めるべきであり、その結果として所得格差や地域格差が広がるのはある程度しかたがないと思いますか。

第12問 都市に人・モノ・カネが集中するのは自然な流れであり、それが日本全体の競争力に繋がる側面もあるので、都市と地方の格差是正は必ずしも重要ではないと思いますか。

第16問 外国との自由貿易を今以上に推進するためには、国内農家の保護をさらに強化するよりも、再編・淘汰を促しながら農業の競争力を高める政策を実施したほうが良いと思いますか。

政治家はどう考えているのか。民主党は4.0点と、読者の考えとほぼ同じ。しかし自民党は2.7点と、建設のペースを落とすべきとする読者との差は甚だしい。地方のゼネコンなどを支援団体としてきた自民党もまた、有権者の意識の変化を捉え切れていないのかもしれない。 支援団体による集票で次の総選挙で勝ち、混迷する政局を乗り切ろうとする2大政党。そこに国民の存在感は薄い。


【調査概要】

「第1回 日経ビジネス 経済政策アンケート」は、国会議員、会社員、経営者を対象に同じアンケート票を使って実施した。設問は「最近の政治・経済情勢について」「政府のあり方について」「市場経済のあり方について」「国際化のあり方について」の4分野で合計17問。各設問について、「思う」=5点から「思わない」=1点まで5段階で考えを聞いた。集計の際、問5については「思う」=1点、「思わない」=5点とした。無回答は3点として換算。無回答が3問以上ある場合は無効とした。

●読者調査

日経ビジネスオンラインの読者、及びメルマガ登録者を対象にウェブアンケートを実施。有効回答数は3902人。平均年齢は47.5歳。男性は92.5%。調査期間は2008年5月21日~6月10日。実査は日経BPコンサルティングが担当した。

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