頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

ようちゃん、おすすめ記事。↓

先行き不安だらけの日本経済

━━━━━━━━━━━━━前田 正晶


私は、政府も、エコノミストも、マスコミも全てを承知しながら国民を

不安に陥れないために本当のことを言わないのだと思って、その配慮を

疑問視している。先週、つい先頃まで世界中を駆けめぐっていた中近東事情に明るい商社マンと懇談して、なおさらその思いが深くなった。


彼は米国のプルデンシャル・ファイナンシャルがニューヨーク・マンハ

ッタンの摩天楼を象徴するクライスラービルの持ち分75%をアブダビの

SWF、アブダビ投資評議会(ADIC)に8億ドルで売却した例を挙げて、オ

イル景気の凄まじさをあらためて語った。


彼が「日本からドバイに行く飛行機は満席で取れない」と言ったことは

すでに取り上げたが、今回はその続きを語り合った。彼は日本の大方の企業は原油価格が145!)に達すると予想せずに、08年の予算を精々100ドル前後で立てていることの危険性を指摘した。最早その予算は破滅状態に近いのだと言う。


アラブ首長国連邦の7首長国では「石油資源が何時かは枯渇する」との

前提で原油価格を維持するためにも石油を増産しないと言われているが、実際にはそれほど甘くはないと言った。彼は彼らが枯渇に備えているだけではなく、現在のオイル景気が永久に続くものではないとして、今や孫子の代まで彼らの国家が維持できるほどの資金を貯えることに専念しているのであると指摘した。すでに貯え終えたと豪語している国もあるそうだ。


この点に着目すれば、200ドルに達するかも知れないと予測する識者もい

る原油価格が下がると期待すること事態が、異常ではないかとの懸念を

表明していた。問題は日本のガソリン・スタンドでの小売価格が180円を突破したからどうのという問題ではないのである。私でさえ今や200ドル時代の到来に備えておくべき時期だと思っている。


確かに、我が国の三大石油元売りでは7月の売上高が5~8%落ち込んだと

報じられている。だが、ユーザーが本当にこのまま上がり続けると思っ

ているだろうか?何時かは戻ると思っていないだろうか?彼と話し合ったのはガソリンの小売価格の問題ではなかった。我が国の製造業の石油依存度から考えれば、このエネルギー・コスト、すなわち簡単に言えば輸送費だけの上昇をとっても、その負担に耐えていけるのだろうかという深刻な問題である。我が紙パルプ業界でも印刷用紙の値上げが表明されており、需要者との折衝を重ねているやに聞く。だが、その値上げが、仮令満額で受け入れられても、次のエネルギー・コスト上昇が最早すぐそこに迫っているのが世界の実情である。


私はつい先頃「値上げを受け入れないとユーザーは原材料供給源を自ら

絶つことに等しい」と言った。現に漁業者は燃料の値上がりを根拠に出

漁しないと宣言したではないか。マグロはどうでも良いが魚を食べられ

ないとなれば、ことは重大であるし、漁業を根絶やしにはできないでは

ないか!原材料費とエネルギー・コストの上昇分をメーカーが必死の思いで自社内の合理化で切り抜ける時代は終わらせられた、産油国に。


需要家も消費者も最終製品の値上がりを受けていかないと、供給業者が

なくなるかも知れない時代が、すぐそこに足音高く迫ってきていると考

えた方が無難である。私は常に「駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」論を唱えてきた。今や産油国は黄金の駕籠に乗って尚かつ孫子の代の草鞋を作る資金まで貯えようとしているのだ。間もなく、草鞋を作る人はいなくなるかも知れないのだ。先進国の下請けに甘んじる国がなくなりはしないかというのである。この値上がりと値上げの波をどうやって抑えるかと、防波堤を造っていては間に合わないかも知れないのだ。


だが、現実にはその値上がりに対応できるほど昇給している会社は少な

いようだ。今は自分の自動車を走らせることを我慢し、家計費を節約す

る程度では、この悪循環をどうやっても絶つことはできないだろう。多

くの企業が正規雇用を増やすほど我が国の経済は好況ではないくらいは

誰でも承知している。では、国としてどうするかを夜も寝ないで考えるのが政府であり、官僚であり、政党であろう。マスコミも本当のことを言うべきではないか!彼らは内閣改造だの、消費税率の引き上げは妥当かなどと戯言を言っている時ではないと心得ていると信じたい。


毎度のことで悲観論だが、産油国で孫子の代の資金まで貯えていると知ったので、敢えて悲観論を展開した次第である。なお、これと似たような警告をテレビで発していた評論家がいたが、貯金までには触れていなかった。071308

━━━━━━━━━━━━━━

飛び火する「居酒屋タクシー」

━━━━━━━━━━━━━━毛馬 一三


東京霞ヶ関で缶ビールや金品などの提供を受けて問題化した「居酒屋タ

クシー」不祥事が、なんと大阪市にまで飛び火した。「裏金」で批判を

浴びたばかりの大阪市職員が、なんと「居酒屋タクシー」にもまでも染

まっていたのだ。大阪市が、中央省庁の同上不祥事を受けて、07年4月から08年5月末までの間、職員が利用したタクシー券約7万5千枚の使用状況を、このほど調べた結果、分かったものだ。


「居酒屋タクシー」に関与していたのは、市健康福祉局の50代と40代の2

職員で、このうち50代の職員は調査期間外を含めて個人タクシーの運転

手から計38回、40代の職員は計10回、それぞれ「居酒屋タクシー」で缶

ビールを満喫していたという。ところがその前に、この大阪版の「居酒屋タクシー」を誘発させた市のタクシー券を、市職員がどうして自在に使用できたのか、その方が先に疑問が湧く。霞ヶ関ではあまり取り上げられなかった肝腎な話だ。


大阪市によると、それは大阪市の内部規則で、終電後に帰宅する時や緊

急時に限りタクシー券を使用することができるとされているという。

つまり予算編成作業や議会開催時の答弁書作成、災害時の緊急就労等で、終電に間に合わなかった場合にかぎり、市のタクシー券の使用を認めているというのである。


確かに就労が深夜に及ぶことが多々あることは否定しない。しかし市役

所から主要鉄道網に直結する近くの市営地下鉄駅に向かうには、7~8分

もあれば十分間に合う距離にある。だとすれば緊急災害就労を除く一般事務については、終電に間に合うよう早々に切り上げ、タクシー券を気楽に使うことは避けるべきだ。


早い話、公務で遅くなれば税金で賄うタクシーを利用する位は当たり前

という、市役所組織特有の「驕り」の長い慣習が、今尚息づいている所

為であることに間違いはない。まず民間では考えられない過剰厚遇だ。タクシー券を使って帰宅させると費用が嵩んで経営に響くため、終電車前に必ず帰宅を義務付け、勝手にタクシー帰宅をすれば自己負担させるというのが、民間の規則である。


この市タクシー券利用総額だが、なんと07年度だけで2億7千万円(約

6万4千枚)を使っている。上記50代の職員は、終電時刻前にも1度、

タクシー券を利用して京都府宇治市の自宅まで帰宅していたという。云

うに事を欠く。そこで今回発覚したのが、この「傲慢」タクシー券使用の上に更に泥を塗る、東京霞ヶ関「居酒屋タクシー」の飛び火だった訳だ。<缶ビールを提供していたのは大阪市内の個人タクシー運転手3人。運転手は市職員から電話で呼び出しがあると、まずコンビニで350ml入り缶ビール1本を購入し、市役所に迎えに行く>と言っているらしい。 (アサヒコム)


ある市幹部職員は、「恥ずかしい。タクシー券は仕事で日付が変わった

時に使わせてもらうことはあるが、缶ビールの供与を受けるなんて、と

ても常識では考えられない」という。「個人タクシーを呼ぶ職員がいるということを聞いたことがあったが、このことに繋がっていたとは思いも因らなかった。この際過去からの悪弊は洗い晒しツブそう」と別の幹部職員もいう。


大阪市では、30局や区役所で計6億円を超える裏金や不明朗な金銭が発

覚し、課長代理級以上の全管理職、約3000人に対する厳しい対応処分を

決めたばかりだった。大阪市の悪の温床は止まるところを知らない恰好

だ。大阪市役所に飛び火したこの「居酒屋タクシー」不祥事に、大阪府の橋下徹知事も、「府庁に同様の不祥事がないかどうか、調査するよう総務部に指示する」と、メディアに話している。いずれにしても真似しなくてもいい霞ヶ関の「居酒屋タクシー」不祥事は、今後全国の自治体に更に飛び火するのは間違いないのではなかろうか。(了)08.07.12

━━━━━━━━━━━━━━