洞爺湖サミット無事終了。大過なくサミットを乗り越えたことで自信を深めるか?福田康夫。(じじ放談) | 日本のお姉さん

洞爺湖サミット無事終了。大過なくサミットを乗り越えたことで自信を深めるか?福田康夫。(じじ放談)

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▼洞爺湖サミット無事終了。大過なくサミットを乗り越えたことで自信を深めるか?福田康夫。(じじ放談) 洞爺湖サミットを称して「遊園地」と名付けたジャーナリストがいたが、これは極端な見方であろう。主要先進国8か国の首脳と中国、インド、ブラジル、南アフリカ、メキシコほか主要国の首脳が一堂に会した会議であるから、遊興娯楽であるはずはない。先進国首脳会議の場外で、それぞれの首脳同士が会談し、国益を増進すべく駆け引きを演じた。「倒れてもタダでは起きない貪欲な面々」が首脳に上り詰めている訳であるから当然な事態ではある。(洞爺湖サミットの成果は以下のとおり)

第1.事故もなく無事に終了することができた。
全国の警察、入管だけでなく、航空自衛隊のF15戦闘機、海上自衛隊のイージス護衛艦2隻など、最高度の警備体制を敷いた。警備を担当した各位の御苦労があってサミットが大過なく終了できた。我が国の安全性を世界に認識してもらったのではないか。

(以下は9日付け日本経済新聞より抜粋。括弧内は筆者が補足)
第2.サミット首脳宣言の骨子
1.「拉致問題等の未解決事項」との表現を明記

2.北朝鮮の核計画申告を歓迎、申告内容の包括的検証が重要。北朝鮮に検証への完全な協力を要求。すべての核兵器と既存の核計画の放棄が重要。

3.イランにウラン濃縮活動の停止を要求

4.すべての核兵器(保有)国に透明な形での核兵器削減をよびかけ

第3.テロ対策の首脳声明の骨子

5.拉致や人質をとることは強く非難されるべき許し難い行為。

6.紛争、抑圧、貧困はテロを正当化せず

第4、ジンバブエ(に関する)首脳声明の骨子

7.ジンバブエの状況に深刻な懸念を表明


先進国首脳会議の首脳声明文がどれだけ実効力があるか疑問ではあるが、それでも世界の雰囲気を形成する程度の意味はあろう。雰囲気だからといって軽視すべきではない。雰囲気が世界の政治を動かすことも少なくない。なお、拉致被害者家族会は「もっと頑張って欲しかった」という声明を出した。現在もなお、子供や兄弟姉妹が拉致されている家族会にとって「1日も早い解決」を願っているから、政府の弱腰を批判するのはやむをえない。サミットの首脳声明で「拉致問題」を明記した意義は大きい。北朝鮮に対する大きな圧力になったというべきである。拉致問題は、我が国が中心となって北朝鮮と協議して解決すべき課題である。先進国の精神的支援を得ることは大いなる力にはなるがそれ以上を期待することはできない。

我が政府が「北朝鮮の拉致問題」を各国に働きかけて「首脳声明」で明記させることができたのは「頑張った」と評価してよいのではないか。国連や6か国協議でも、中国や北朝鮮の反対に遭遇しまともな議論もできない状況下において、先進国首脳会議で拉致問題を正面から取り上げ「非難声明を出した」意味は大きい。国益がぶつかりあう世界政治の舞台において、何事も理想的には運ばない。拉致問題の解決に資する国際環境の整備が整った点は評価されてよい。サミットに前後して福田首相は、来日した世界の首脳と会談した。ブッシュ米大統領との会談結果は共同記者会見を開きテレビで放映された。「拉致問題の解決を重視する」とのブッシュ米大統領の見解を引き出した。

6月9日付け日本経済新聞は「プーチン首相:今年後半来日で調整。日露首脳、領土問題前進へ決意」と題する以下の記事を掲載した。(抜粋)
福田首相はロシアのメドベージェフ大統領と1時間余会談した。
(1)大統領は北方領土問題について「棚上げすることなくできるだけ早期に解決することを望む」と表明。両首脳は平和条約締結に関し首脳級を含め誠実に交渉し、前進させる決意を確認した。

(2)福田首相が求めていたプーチン首相の来日は今年後半の実現に向けて調整することになった。

(3)大統領は「平和条約が存在しないことは支障となっている」と表明。「領土問題が解決されれば両国関係は最高水準に引き上げられ、抜本的に改善する」と指摘すると同時に「両国の利益に合う双方の受け入れ可能な案でなければならない」とも主張した。

(4)首相は「政治対話を一層緊密にしたい」と呼びかけた。プーチン首相に加え、イワノフ副首相、ラブロフ外相らの今年後半の来日に向けても調整する。

(5)大統領は北朝鮮による拉致問題でも日本の立場を支持し、協力する考えを伝えた。

(6)両首脳は2国間の人的往来急増に伴う犯罪に対処するため、刑事共助条約の締結で合意、鳥インフルエンザなどへの共同対処を念頭に、オホーツク海の「生態系保全協力プログラム」を策定することでも一致した。

筆者は「福田首相はサミットが終わると、やれやれ1件落着と感じて後任に道を譲る」と想定してきた。だが、ロシア大統領との会談の内容から判断すると福田首相は「老いてますます盛ん」というべきか、日露平和条約締結に並々ならぬ意欲を持っていることが明らかになった。サミットの議長をやった程度では、我が国の政治史に名前を刻むことはできないが、日露平和条約締結を行ったならば「歴史に名前が残る」ことは疑いない。総理になれば誰でも「手がけてみたいテーマ」かもしれぬ。ロシアにおいて「外交は大統領の職務とされている」ことを我が政府が知らないはずはない。先般、訪仏したプーチン首相をサルコジ大統領が国賓待遇で歓迎した。フランスも「ロシアの事実上の支配者はプーチン首相」とみなしている証拠だ。
我が国はメドベージェフ大統領に「プーチン来日を要請した」訳であるが、これもフランスと同様の見方をしていると考えてよい。メドベージェフ個人は「面白くない」と感じるかもしれぬが、これに反発する元気はないであろう。プーチンの権力は「皇帝」をしのぐものがあるから、誰も反抗できない。反抗すれば「身に危険が及ぶ」程度の知識は誰でも分かっている。

メドベージェフが「日露平和条約締結」の障害となっている北方領土返還問題について「両国の利益にかなう双方の受け入れ可能な案でなければならない」と主張したのは精一杯のリップサービスといってよい。北方領土を日本に返還する件については、とりわけロシア軍部と地元サハリン州の反対が強い。一方的に日本に妥協すれば政権がもたない。我が国も同じだ。長年、街宣車で「北方4島一括返還」を唱えてきた右翼の諸君がいる。日露平和条約の締結を阻止したいと欲する「親米派」や「親中派」も、いろいろ理屈を考えだして日露交渉の進展を阻む工作を仕掛ける。北方4島の現状はロシアの統治下にある。ロシアの本音は「1島たりとも返還したくない」ということであろう。ロシア国民や軍部の批判を受けないで済むからだ。「火中の栗を拾う必要はない」と考えるのが自然だ。

だが、ロシアは西部戦線でNATOの東方拡大に危機を感じている。現在は資源高騰で国家財政も潤っているが、資源を売って食う国家の未来を懸念しているはずだ。そこで、我が国の先進的企業を誘致して、工業立国を目指す戦略を立てているのではないか。日露平和条約締結は、ロシアにとって「西部戦線に兵力を集中させるために東部戦線を安泰にしておきたい」という戦略でもある。ロシアがEU諸国やNATO軍との関係を改善した場合、「北方領土はロシアの固有の領土」と主張するのではないか。ロシアにとって日露平和条約を締結する意義が低下するから軍部やサハリン州の反対を押し切ってまで日本と交渉する理由がなくなるからだ。我が国にとって、当面「日露の戦略的提携を促進する」ことは、対米並びに対中外交を展開する上で、有効な環境整備となる。「妾から自立した女に」変身することができる。さらに、我が国の安全保障にとっても、世界最大の核保有国ロシアと友好関係を結ぶことは有意義である。経済的にも相互補完関係を築ける。

(ロシアとの外交は我が国が多角的外交に踏み出す一歩となる)
「対米依存」「日中蜜月」という言葉はそろそろ博物館に納める時期である。米国や中国ともそれなりの友好関係を保持することは必要だろう。それ以上の濃密な関係を求めるべきではない。「一定の心理的距離を保った」大人の関係でありたいものだ。ロシア、インド、ブラジル、南アフリカそして中東イスラム諸国との友好親善を深めるべきである。もちろん、東南アジアや中南米、EU諸国、豪州などとの友好関係を保持するのは当然だ。これまでの友人を捨てる必要はない。世界中の国々との友好親善、相互利得関係を築くことは、我が国企業の発展を保障する土台となる。我が国企業が開発した最先端技術を世界中に流布させることで、世界もまた豊かになれる。「情けは人のためならず」という諺がある。世界各国の経済発展を手助けすることは我が国企業の発展の礎となる。もっとも、隣国である中国や韓国は、我が国が莫大な経済支援を行っても「日本バッシング」に狂奔し、反日国定教科書で児童を洗脳している。「何事にも例外はある」との見本が中国と韓国である。欲をかいてはならない。歩留りが一定程度あれば「それで良し」とみなすべきだ。イチローだって、4割や5割のヒットを打てる訳ではない。

(まとめ)
人間というのは不思議な生き物である。時として、思いがけない行動をとってしまうことがある。安倍晋三が主義・主張を投げ捨て突如「村山談話を継承し、非核三原則を遵守する」と宣言し、初めての訪問先に中国を選んだこともビックリであった。秋葉原の大量無差別殺人を行った被告人は、社会への恨みを飼い、太らせ、怨念を育ててしまった。巨大化した怨念が彼の精神を支配し、彼を凶悪な犯罪行為に掻き立てた。怨念という破壊的衝動が凶悪な悪魔を創造した。福田康夫は総理就任までは「媚中派筆頭」とみなされてきた。だが、就任後、安倍晋三とは逆に、まず米国を訪問し日米同盟基軸を印象づけた。中国との関係でも、四川大地震への対応や両国軍の交流促進等、安倍晋三が地ならしした道を着実に歩んでいる。

福田康夫が「ロシアとの急速接近」に舵を切っているのは、日露関係が不正常な国家関係であるからこれを正常化すべきだという状況性の問題もあろう。「思いついたが吉」ということであるかもしれぬ。ロシアが対日友好に積極的になっている現状を好機と考えているのかもしれぬ。いずれにせよ、福田康夫がロシアとの平和条約締結に並々ならぬ意欲を持って臨んでいることは間違いない。福田康夫は洞爺湖サミットをやり遂げたことに自信を深め「長期政権」を視野に置き始めたのかもしれぬ。福田康夫がロシアをはじめとする多角的外交に踏み出すのであれば、「経過観察期間」を置いても良いのではないか。売国的政治を行わないよう「監視態勢」を厳しくするのは従前どおりでよい。媚中派筆頭の福田康夫であるが、「君子豹変す」ということもある。オオバケするかもしれず様子を見るのも面白いかもしれぬ。民族派筆頭の安倍晋三が「氷を割る訪中に踏み出した先例もある」から、福田康夫も豹変しないとはいえない。

「生々流転」は仏教が教える真理である。何事も一定ということはない。自然も人間も常に変化する。我々の認識も時々刻々変化している。この世界に「固定したモノ」はあり得ない。「売国奴」という表現も仮説的なものだ。売国奴も明日は「愛国者」に生れ変わるかもしれぬ。「逆もまた真なり」で、今日の愛国者が明日は売国奴になるかもしれぬ。「変幻自在・融通無碍」という精神は「真実一路」や「信義誠実」の対極にある言葉のように思えるが、「生々流転する世の中」を生きるためには、両方の性格を具有する必要があるのかもしれぬ。「頑固一徹」は本人の自尊心を満足させるのに都合の良い資質ではあろうが、世間は迷惑することもある。

明治の御世だったか、「人生は曰く不可解」と叫んで華厳の滝に飛び込み自殺した旧制高校生がいた。思春期特有の観念的かつ自己陶酔的な色彩を帯びている感がする。「生々流転する万物」に向かって「真理とは何ぞや」等と挑戦する無謀な行為というべきかもしれぬ。人生が「不可解」なのではない。万物が「不可知」なのだ。人間の認識は「とりあえず、そのように規定しておく」程度の限定的かつ仮説的なものである。2000年以上も前、仏陀が教えてくれた真理である。我々仏教徒は「初めに言葉ありき」という一神教の観念論に親近感をおぼえない。「生々流転こそ真理」という仏教用語に共感する。しかも「生々流転という真理さえも仮説的なもの」とみなすのである。