最新軍事情報の続き
■次期米国務省日本部長は駐大阪総領事
米のラッセル駐大阪総領事は三日、次期国務省日本部長への就任に伴い、大阪で記者会見を行ないました。九月から、ヒル国務次官補の下で日米関係の窓口となります。
⇒記者会見でラッセル総領事は北鮮へのテロ支援国家指定解除につき、概略以下のようなことを言っています。
・北鮮を良い方向に向かわせる仕事ができたのは評価すべき。前進を積み重ねるなかで拉致問題など全体の問題解決につながってゆくだろう。
ラッセル氏は二〇〇五年八月から大阪総領事を務めており、定期の人事異動のようです。
■パキスタン政府の事前許可は不要
二日の米紙ワシントンタイムズによれば、米とパキスタンはビンラディンの潜伏先を米が発見した場合、パキスタン政府の事前許可を得ることなくCIAが運用する無人機プレデターで攻撃してもよい、とする合意を結んでいたそうです。
⇒米は現在アフガンパキスタン国境地帯で、高高度を飛行偵察する無人機グローバルホークにより地上画像を収集し、標的の確認を行った上でより低い高度を飛ぶプレデターに対地攻撃をさせています。
■米大統領、八月に訪韓
前号で洞爺湖サミット時の訪韓がないと発表した米ホワイトハウスですが、一日、国家安全保障会議のワイルダー上級議長が八月五日から六日にかけてブッシュ大統領が訪韓すると発表しました。しかし翌二日、韓国大統領府の関係者は「聞いてない」「日程は確定していない」と発表した後、午後になって訪韓日程を明らかにしました。
⇒ワイルダー氏のうっかりミスのようですが、韓国メディアは「外交上の欠礼」などと報道しています。わが国マスコミよりは姿勢が立派です。本当のところは、訪韓日程自体は既に決定しており、後は発表のタイミングを米韓が調整していたなか、ワイルダー氏がうっかりしゃべってしまったようです。この種の話は、先方政府との信頼関係に考慮することが先決なので、韓国大統領府の対応は常識的なものですね。ここまで書き、元外相のT女史が9・11テロ当時に外相として重大な失態を犯したことを思い出しました。国家間の信頼関係に鈍感なメンタリティを持つ政治家は多いです。
■イラク公式戦史の第二集が公開
米陸軍にはさまざまなシンクタンクがあり、いろいろな論文や情報を無料で公開しています。戦闘研究所(Combat Studies Institute[CSI])もそのひとつです。カンサス州レブンワース駐屯地に在する同研究所は、陸軍指揮幕僚大学(US Army Command and General Staff College[CGSC])の研究機関の一つで、戦争理論、将来戦闘に関する研究、教導、出版を任務としています。そこが現在イラク戦史を発表しています。第一集はすでに出ていましたが、先月三十日に第二集が公開されています。五百ページ以上の分量でしかも英語ですから、専門家以外は読むこともないと思いますが、いちおう入手先をご紹介します。
http://tinyurl.com/iraq2
(第一集はこちらです⇒ http://tinyurl.com/5t4rxy
)
二〇〇三年五月から二〇〇五年一月までを収録しており、出征した将校など関係者二百名の証言が盛り込まれています。なかには、当時の参謀次長キーン中将の証言もあります。キーン中将はこのなかで、十分な統治計画もないまま早期の主権委譲を決定した中央集団幹部の判断に驚いて反対したことなど、軍内部に意見の不一致があった経緯を紹介しています。ひとことでいえば、イラク占領政策に批判的な内容となっており、軍・国防総省高官が軍事的勝利を重視するあまりその後の見通しに注意を払わなかった結果、現地治安の不安定化を招いたと結論付けています。この記録は公式戦史にあたるもので、そのなかで軍がイラク占領政策の失敗を認めているのは、非常に注目されます。
■中共の動き
・四日、台灣とのあいだで「週末直行チャーター便」が就航。中共政府の国家観光局長、台灣事務弁公室幹部、その他当局者約三十名が民間人の肩書きで訪台。北京・上海で記念式典実施。
・二日、四川省副省長、四川大地震の経済的損失(四川省)は十五兆円を超えるとの見通しを明らかに。
・一日、国連事務総長の潘氏が中共訪問。「北鮮核廃棄に向けたプロセスを前進させるべき」「地球温暖化対策は極めて重要」との認識で一致。
・一日、北京でダライラマの特使(ギャリ氏とギャルツェン氏)と中共統一戦線工作部部長(杜青林)が会談。次回協議10月開催で合意。中共側は「五輪妨害中止」を要求。チベット側は「進展なく失望」と論評。
・二十九日、米のライス国務長官が訪シ。四川省入り。
・先月二十八日から二十九日にかけ、貴州省で数万人規模の暴動が発生。
■半島の動き
・北鮮・韓国は九月で建国六十周年。北鮮では建築物改築・道路舗装などが本格化。九二年に建設中断の百五階建て高層ホテルの工事も再開。
・六日現在、韓国では「米からの牛肉輸入抗議運動」が継続中。神父や各種運動家も参加中。
・三日、国連事務総長の潘氏が韓国訪問
・二日、米政府高官「二〇〇六年十月の国連安保理北鮮制裁決議については、決議に盛られた義務を北鮮が果たすまで効力を保ちつづける」と発言。あわせて、完全かつ検証可能な核兵器・核計画の完全廃棄を実行するよう要求。
・先月三十日、韓国からの食糧支援(トウモロコシ五万トン)を受け取らないと北鮮が拒否してきたことが明らかに。
・先月三十日までに、米の北鮮への食糧支援第一便が現地に到着。約二年半ぶりの再開。
・二十九日、六者協議首席代表会合を今週末に開催(十日頃)の方向との情報がリーク。
■北朝鮮、中国の産業廃棄物を処理=RFA
1997年に台湾の放射性廃棄物を受け入れ埋立処分しようとした北朝鮮が、今度は外貨稼ぎのため、中国の産業廃棄物を搬入し処理している、と米国の「自由アジア放送(RFA)」が3日報じた。
RFAによると、北朝鮮は中国語のウェブサイトで、プラスチックや電子製品などの産業廃棄物を北朝鮮へ搬出する業者を求めている、という広告を掲載している。北朝鮮はまた、廃棄された自動車用バッテリーや船舶、古紙などを北朝鮮へ持ち込む業者も求めているという。その量は200トン以上を希望し、搬入する港は南浦港になる見通しだ、としている。また、広告では中国遼寧省丹東市のある業者を代理店とすることも明らかにしている。この広告は今年2月13 日、初めてウェブサイトに掲載されたことになっている。
一方、これについてRFAは、国際環境保護団体グリーンピースの関係者の話を引用し、電子製品の大部分には毒劇物や環境汚染の原因となる化学物質などが含まれているため、処理に当たって十分な対策を講じなければ、環境汚染に致命的な影響を与える、と懸念している。
北京=朴勝俊(パク・スンジュン)特派員朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/article/20080705000012
■韓国政府、潜水艦のインドネシア輸出を推進
代わりに海上哨戒機購入へ
韓国政府は、209級潜水艦(1200トン)をインドネシアに輸出する代わりに、インドネシアから海上哨戒機を購入する方針であることが明らかになった。政府消息筋は1日、「来週、インドネシアで両国防衛産業軍需共同委員会が開催される予定だ。今回の会議では、潜水艦の輸出と、インドネシアの海上哨戒機 CN‐235‐220購入が話し合われると聞いている」と語った。インドネシアへの潜水艦輸出が実現すれば、韓国が海外に潜水艦を輸出する初のケースとなる。同消息筋は「交渉を続け、年内契約を目標に計画を推進している」としている。
政府は、技術移転という形で、潜水艦2隻を現地で建造する一方、インドネシアが発注した潜水艦修理施設の建設事業を受注する方向で検討している。また、インドネシアは海上哨戒機CN‐235‐220(1600億ウォン=160億円相当)8機を韓国に供給する方向で交渉を進める計画だ。2006 年、当時の尹光雄(ユン・グァンウン)国防長官がインドネシアを訪問し、潜水艦輸出を正式に提案して以来、両国政府は交渉を続けてきた。 209級潜水艦はもともとドイツ製で、韓国海軍は計9隻を保有している。海上哨戒機CN‐235‐220は輸送機CN‐235を改造したもので、導入後は海洋警察が使用するのではといわれている。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/article/20080702000024
■韓国軍:新兵募集、海・空軍も兵務庁で
1日から、陸・海・空軍の新兵募集業務が兵務庁に一元化される。これにより、今後海・空軍に志願しようとする人は、兵務庁のホームページからオンラインで志願書類を入手する必要がある。
兵務庁の関係者は30日、「過去6カ月にわたる一部試験運用を経て、最近海・空軍と業務引継ぎで最終合意に達した。これで、全軍の新兵募集業務を兵務庁が専門に担当することになった」と語った。陸軍は2003年から兵務庁で新兵募集を行っていたが、海軍(海兵隊を含む)と空軍はそれぞれの軍によって募集がなされ、非効率的だという指摘を受けていた。
張一鉉(チャン・イルヒョン)記者:朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/article/20080701000017
(おき軍事情報部)