*西村信吾の時事通信 ・持田直武 国際ニュース分析
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*西村信吾の時事通信
拉致された被害者の解放・・・やはり福田は行方不明
No.355 平成20年 7月 7日(月)
西 村 眞 悟
6日に、ブッシュ大統領と福田首相の会談があった。やはり、読めることは、北朝鮮とアメリカ国務省のライス・ヒルは、サミットにおける首脳会談前の北朝鮮テロ支援国家指定解除を仕組んだということだ。
本日の産経新聞の一面見出しは、「日米首脳会談、拉致解決へ緊密連携、ブッシュ大統領『置き去りにしない』」である。
この見出は、米朝交渉に進展がないときとアメリカが既にテロ支援国家指定解除の手続きに入った後では、同じ見出しでも、天地の開きがある。前者の時は北朝鮮に強烈な圧力がある。日米で何をされるか分からないからである。ところが後者では、何の圧力にもならない。北朝鮮は、ほくそ笑んでいるであろう。その上で、ブッシュ大統領は、共同記者会見で「日本国民が拉致問題が無視されないことを切望していると理解している。アメリカは日本を見捨てない。置き去りにすることはない」と述べたのである。
実に、何とも中身のない首脳会談になってしまっている。つまり、両首脳は、北朝鮮とライス・ヒルに先手を打たれているからだ。しかし、福田総理には、先手は北朝鮮とアメリカの小役人が取った、よってこれから日米首脳会談で挽回するぞ、俺は総理なんだから、との意気込みがあったのであろうか。それがあったならば、共同記者会見で、このような情けない説明(言い訳)がブッシュ大統領から出てこない。「日本を見捨てない、置き去りにすることはない」。これは、男が女を捨てるときの台詞ではないか(もしくは、女が男を捨てるとき)。いずれにしても、どっちかがどっちかを捨てるときに使う台詞だ。ブッシュはメロドラマの見過ぎか。いったい、このメロドラマの台詞。これが、世界第一位と第二位の経済大国の首脳会談の説明に使われる言葉であろうか。
実に情けない日本の姿ではないか。
福田総理は、北朝鮮による日本人拉致は国家主権の侵害というテロであり、被害者が解放されないその一日一日がテロの継続であるという拉致監禁の本質は理解しているであろう。そして、横田めぐみさんが拉致されてからでも既に三十一年が経過していることも知っているのである。そうであれば、この日米首脳会談で、解決への「緊密連携」を謳った以上、一体「何を」緊密に連携してするのか、具体的に提示したのであろうか。提示したのなら、メロドラマの解説のような記者会見の台詞はでなかったはずだ。福田総理には、地球温暖化防止の風船に乗せられて舞い上がり、足下の具体的な国家的課題が見えない。いや、目をつぶって見ていない。
ところで、サミットの主題に福田内閣が気球のように上げている地球温暖化問題であるが。ブッシュは、「私は現実主義者」と言い、中国やインドを抜きにしてアメリカだけが削減を義務付けられることに難色を示した。なるほど、中国は有毒ガスを「排出」していると言うより「生産」している。中国人自身が逃げ出しているほどだ。この「現実」を福田総理は理解しているのであろうか。
まず現実の一つ。
対馬や壱岐をはじめ日本海側には既に他国のはき出した煤煙がくる。さらに有明海には中国のスモッグが押し寄せてどんより曇っている。我が国内に煙突のないところに度々光化学スモッグ警報が出る。対馬や壱岐にも光化学スモッグが現れるのだ。さらに、その地域の我が国沿岸には、中国のゴミとハングルが印刷されたゴミが押し寄せてきて漂着している。この中国のガスとゴミの排出をどうにかしなければ、我が国の空気と海が危ないということは、我が国が日々の体験で分かっていることではないか。ブッシュならずとも、福田さんこそ、中国をどうにかしなければ我が国の空気が危ない、地球の空気が危ないとサミットで実体験に基づいて提示すべき立場にいる。この中国の問題に触れずに、G8だけが排出削減をしても無駄であるということに一番切実な利害をもっているのは我が国ではないか。
現実のもう一つ。
我が国は、エネルギー効率の良さでも、ガス排出削減技術でも、既にダントツの世界一である。エネルギー効率は、おおざっぱに言って、一位が日本、八位までがなく、九・十位がドイツ・イギリス、十一位がアメリカ、六十位が中国、百二十位がロシアというところであろうか。
従ってこの上に、我が国がさらに排出削減義務を負うことは馬鹿げた自傷行為となる。
二酸化炭素排出が多いのは「ものづくり」つまり製造業である。ここにさらに排出削減を強制すれば、我が国の国力を支える製造業の国際競争力を奪い、国家を衰退させる。特に、基幹産業、製鉄などの産業を、「現実」を無視して、衰退させてはならない。このこと、福田さんをはじめ環境派は理解しているのであろうか。国を維持し国民が生活するのに、鉄はいらないというのならば勝手にすればいいが。
温暖化ガス排出抑制問題には我が国の「現実」を見つめるだけでも以上のような課題がある。この現実無視の空論は通用しない。現にアメリカブッシュ大統領は、いやがっている。そして、そのいやがっている理屈は、日本の中国からの大気汚染と漂着ゴミの現実に即して極めて妥当である。よって、やはり今回のサミットで我が国が具体的に獲得すべき課題は、拉致被害者のG8による具体的救出策でなければならないのだ。
その時、救出の具体策を決断するのは我が国であり、これを各国首脳に提示したうえで、その場で具体的な「緊密連携」を求めなければならない。これが、サミット(頂上)である。その際、相手はG8首脳であり、我が国政治家が慣れ親しんだ「国内の特殊議論」(例えば大好きな国連中心)は通用しないのであるから、我が国の福田総理は、まず我が国が最終的な軍事的救出策の実行主体となる腹を固めながら、G8諸国に、他のあらゆる対北朝鮮制裁の実施を求めなければならない。
その上で、日米二国間首脳会談が位置づけられるべきである。即ち、福田総理には、我が国の国民救出の為の最終的軍事手段実施に対するアメリカの「緊密連携」をブッシュ大統領と確約することが求められるのである。では、その「緊密連携」を確約した両首脳の法的立場は何か。それは、自衛隊の最高指揮権者とアメリカ軍の最高指揮権者という立場である。嗚呼、こういう福田君であれば、ブッシュから「見捨てない」とか「置き去りにしない」とか言われなかったであろう。フィナンシャル・タイムズは、「日本の行方不明」と言う。やはり「福田君も行方不明」つまり「総理大臣も行方不明」、「自衛隊最高指揮権者も行方不明」である。
しかし、日本国民は「行方不明」ではない。必ず、拉致被害者を救出する、国家を守る、この一億の思いの圧縮熱が高まってきている。この国民の思いから、近いうちに、「自衛隊最高指揮官としての内閣総理大臣」が誕生する。本日、東京で、救出集会がある。七月二十一日、大阪である。 (了)
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持田直武 国際ニュース分析 2008年7月7日
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6カ国協議 北朝鮮核申告の評価
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*6カ国協議 北朝鮮核申告の評価 (持田直武 国際ニュース分析)
http://www.mochida.net/report08/76kkh.html
米のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストが北朝鮮との核交渉を評価する社説を掲載した。核施設の無能力化で核兵器用プルトニウムがこれ以上増えなくなることを重くみたのだ。タイム誌はブッシュ政権の楽勝とまで言い切った。テロ支援国指定という実質的意味がない代物をエサに、大魚を釣ったというのである。
・核兵器用プルトニウムの生産停止を評価
北朝鮮は6月26日、核計画の申告書を6カ国協議議長国の中国に提出した。そして翌27日、寧辺核施設のシンボルだった原子炉冷却塔を爆破した。申告した核計画はプルトニウム核計画に限定した内容。爆破した冷却塔はその生産施設のシンボル。北朝鮮はこのシンボルの爆破によって、廃棄はプルトニウム核計画に限定することを明確にした。6カ国協議が昨年10月の合意で要求したウラン核計画と核技術の海外移転疑惑はうやむやになった。この北朝鮮の動きについて、ワシントン・ポストは28日の社説で「寧辺の核施設を破壊した結果、北朝鮮は核兵器用プルトニウムを生産できなくなった。これだけでも議論の余地のない進展である」と評価した。また、ニューヨーク・タイムズも27日の社説で「ブッシュ大統領が就任以来6年間北朝鮮との交渉を拒んだ結果、北朝鮮は核兵器を開発した。今回、米外交陣の努力によって北朝鮮に核放棄を説得するチャンスが生まれた。交渉が成功すれば、世界はより安全になる」と評価した。
だが、北朝鮮が核放棄の決断をしたかどうかについては、両紙とも疑っている。ニューヨーク・タイムズは「ウラン核開発やシリアとの核開発協力を除外するなど、北朝鮮の行動には多くの疑問があり信用できない。核兵器放棄の決断をしたのか、それとも時間稼ぎに交渉しているのか、わからない」と不信感を表明。一方、ワシントン・ポストも「北朝鮮が約束を守らず、言い逃れや、嘘を繰り返していることから見て、核兵器を放棄する意思はないと思わざるをえない」と判断している。
・大統領の功績か外交陣の功績か
核計画の申告には不満があるものの、核施設の無能力化を評価する論調は多い。28日付けのタイム誌(電子版)は「外交交渉の勝敗はどちらが多く得点したかで決まる。今回はブッシュ政権の楽勝だった」と評価した。今回実現する「核施設の無能力化」はクリントン政権が94年に合意した「核施設の凍結」よりも効果的に核分裂物質の製造を阻止できる。しかも、北朝鮮が見返りに得たのはテロ支援国の指定解除で、これは米政権が過去10年間、交渉材料として持っていたものだという。タイム誌は「テロ支援国の指定という措置は極めて政治的な代物」と主張する専門家の意見を紹介。例え指定を解除しても、米政府が制裁を必要と判断すれば別の方法で制裁することが可能だと説明している。そして同誌は「ヒル国務次官補は北朝鮮にテロ支援国指定解除という実質的には意味がない代物を与え、引き換えに核施設の破壊を勝ち取った」と評価した。こうした双方の得点内容から見て、ブッシュ大統領は今回の交渉では明らかに勝者だという。
これに対し、ニューヨーク・タイムズの見解はやや違っている。同紙は「ブッシュ大統領が交渉を拒否している間に、北朝鮮はプルトニウムを蓄積し核実験をした」と同大統領の責任を厳しく指摘。「その後、米外交陣が自由に交渉できるようになり、北朝鮮に対して核放棄を説得チャンスが生まれた」と述べて、今回の功績はヒル国務次官補をはじめとする米外交陣にあるという主張を展開している。北朝鮮核問題の進展を外交実績としたい同大統領には手痛い逆風である。
・日本が拉致問題で独自の道を探るべき時
米は北朝鮮の核申告と並行して、北朝鮮のテロ支援国指定解除の措置を取った。この結果、日本人拉致事件に関連して、日本が期待していた北朝鮮に対する圧力が取り除かれるのは間違いない。ワシントン・ポストは上記社説の中で「米政府関係者はテロ支援国指定解除には実質的な意味はないと言うが、日本の世論は苦々しい思いを噛み締めることになった」と伝えた。しかし、他の主要メディアで、テロ支援国指定解除と拉致問題を関連させて伝えたものは見当たらない。ライス国務長官は26日付けのウオール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿、今回の一連の事態について「外交の成果」と自賛した。しかし、拉致問題には一言も言及しなかった。代わって発言したのは、ブッシュ大統領だった。同大統領は洞爺湖サミットに出発する前の7月2日、日本人記者団をホワイトハウスに招き、「拉致問題に関心がなかったら、横田めぐみさんの母早紀江さんをホワイトハウスに招かなかった」と述べ、拉致問題解決を重視する立場は今も変わらないと語った。だが、ブッシュ政権は同大統領の発言とは裏腹な方向に進んでいる。大統領が抱く関心は政権の関心ではなくなった。マスメディアはその結果を評価し、ブッシュ政権の楽勝と書きたてた。ブッシュ大統領の任期は残す所半年、北朝鮮の核問題の多くは次期大統領の課題となって残る。次期大統領がオバマ、マケインのどちらになっても、拉致問題でブッシュ大統領と同じ関心を持つとも思えない。日本は米に頼らぬ独自の交渉の道を探ることが必要だ。
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No.355 平成20年 7月 7日(月)
西 村 眞 悟
6日に、ブッシュ大統領と福田首相の会談があった。やはり、読めることは、北朝鮮とアメリカ国務省のライス・ヒルは、サミットにおける首脳会談前の北朝鮮テロ支援国家指定解除を仕組んだということだ。
本日の産経新聞の一面見出しは、「日米首脳会談、拉致解決へ緊密連携、ブッシュ大統領『置き去りにしない』」である。
この見出は、米朝交渉に進展がないときとアメリカが既にテロ支援国家指定解除の手続きに入った後では、同じ見出しでも、天地の開きがある。前者の時は北朝鮮に強烈な圧力がある。日米で何をされるか分からないからである。ところが後者では、何の圧力にもならない。北朝鮮は、ほくそ笑んでいるであろう。その上で、ブッシュ大統領は、共同記者会見で「日本国民が拉致問題が無視されないことを切望していると理解している。アメリカは日本を見捨てない。置き去りにすることはない」と述べたのである。
実に、何とも中身のない首脳会談になってしまっている。つまり、両首脳は、北朝鮮とライス・ヒルに先手を打たれているからだ。しかし、福田総理には、先手は北朝鮮とアメリカの小役人が取った、よってこれから日米首脳会談で挽回するぞ、俺は総理なんだから、との意気込みがあったのであろうか。それがあったならば、共同記者会見で、このような情けない説明(言い訳)がブッシュ大統領から出てこない。「日本を見捨てない、置き去りにすることはない」。これは、男が女を捨てるときの台詞ではないか(もしくは、女が男を捨てるとき)。いずれにしても、どっちかがどっちかを捨てるときに使う台詞だ。ブッシュはメロドラマの見過ぎか。いったい、このメロドラマの台詞。これが、世界第一位と第二位の経済大国の首脳会談の説明に使われる言葉であろうか。
実に情けない日本の姿ではないか。
福田総理は、北朝鮮による日本人拉致は国家主権の侵害というテロであり、被害者が解放されないその一日一日がテロの継続であるという拉致監禁の本質は理解しているであろう。そして、横田めぐみさんが拉致されてからでも既に三十一年が経過していることも知っているのである。そうであれば、この日米首脳会談で、解決への「緊密連携」を謳った以上、一体「何を」緊密に連携してするのか、具体的に提示したのであろうか。提示したのなら、メロドラマの解説のような記者会見の台詞はでなかったはずだ。福田総理には、地球温暖化防止の風船に乗せられて舞い上がり、足下の具体的な国家的課題が見えない。いや、目をつぶって見ていない。
ところで、サミットの主題に福田内閣が気球のように上げている地球温暖化問題であるが。ブッシュは、「私は現実主義者」と言い、中国やインドを抜きにしてアメリカだけが削減を義務付けられることに難色を示した。なるほど、中国は有毒ガスを「排出」していると言うより「生産」している。中国人自身が逃げ出しているほどだ。この「現実」を福田総理は理解しているのであろうか。
まず現実の一つ。
対馬や壱岐をはじめ日本海側には既に他国のはき出した煤煙がくる。さらに有明海には中国のスモッグが押し寄せてどんより曇っている。我が国内に煙突のないところに度々光化学スモッグ警報が出る。対馬や壱岐にも光化学スモッグが現れるのだ。さらに、その地域の我が国沿岸には、中国のゴミとハングルが印刷されたゴミが押し寄せてきて漂着している。この中国のガスとゴミの排出をどうにかしなければ、我が国の空気と海が危ないということは、我が国が日々の体験で分かっていることではないか。ブッシュならずとも、福田さんこそ、中国をどうにかしなければ我が国の空気が危ない、地球の空気が危ないとサミットで実体験に基づいて提示すべき立場にいる。この中国の問題に触れずに、G8だけが排出削減をしても無駄であるということに一番切実な利害をもっているのは我が国ではないか。
現実のもう一つ。
我が国は、エネルギー効率の良さでも、ガス排出削減技術でも、既にダントツの世界一である。エネルギー効率は、おおざっぱに言って、一位が日本、八位までがなく、九・十位がドイツ・イギリス、十一位がアメリカ、六十位が中国、百二十位がロシアというところであろうか。
従ってこの上に、我が国がさらに排出削減義務を負うことは馬鹿げた自傷行為となる。
二酸化炭素排出が多いのは「ものづくり」つまり製造業である。ここにさらに排出削減を強制すれば、我が国の国力を支える製造業の国際競争力を奪い、国家を衰退させる。特に、基幹産業、製鉄などの産業を、「現実」を無視して、衰退させてはならない。このこと、福田さんをはじめ環境派は理解しているのであろうか。国を維持し国民が生活するのに、鉄はいらないというのならば勝手にすればいいが。
温暖化ガス排出抑制問題には我が国の「現実」を見つめるだけでも以上のような課題がある。この現実無視の空論は通用しない。現にアメリカブッシュ大統領は、いやがっている。そして、そのいやがっている理屈は、日本の中国からの大気汚染と漂着ゴミの現実に即して極めて妥当である。よって、やはり今回のサミットで我が国が具体的に獲得すべき課題は、拉致被害者のG8による具体的救出策でなければならないのだ。
その時、救出の具体策を決断するのは我が国であり、これを各国首脳に提示したうえで、その場で具体的な「緊密連携」を求めなければならない。これが、サミット(頂上)である。その際、相手はG8首脳であり、我が国政治家が慣れ親しんだ「国内の特殊議論」(例えば大好きな国連中心)は通用しないのであるから、我が国の福田総理は、まず我が国が最終的な軍事的救出策の実行主体となる腹を固めながら、G8諸国に、他のあらゆる対北朝鮮制裁の実施を求めなければならない。
その上で、日米二国間首脳会談が位置づけられるべきである。即ち、福田総理には、我が国の国民救出の為の最終的軍事手段実施に対するアメリカの「緊密連携」をブッシュ大統領と確約することが求められるのである。では、その「緊密連携」を確約した両首脳の法的立場は何か。それは、自衛隊の最高指揮権者とアメリカ軍の最高指揮権者という立場である。嗚呼、こういう福田君であれば、ブッシュから「見捨てない」とか「置き去りにしない」とか言われなかったであろう。フィナンシャル・タイムズは、「日本の行方不明」と言う。やはり「福田君も行方不明」つまり「総理大臣も行方不明」、「自衛隊最高指揮権者も行方不明」である。
しかし、日本国民は「行方不明」ではない。必ず、拉致被害者を救出する、国家を守る、この一億の思いの圧縮熱が高まってきている。この国民の思いから、近いうちに、「自衛隊最高指揮官としての内閣総理大臣」が誕生する。本日、東京で、救出集会がある。七月二十一日、大阪である。 (了)
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持田直武 国際ニュース分析 2008年7月7日
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6カ国協議 北朝鮮核申告の評価
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*6カ国協議 北朝鮮核申告の評価 (持田直武 国際ニュース分析)
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米のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストが北朝鮮との核交渉を評価する社説を掲載した。核施設の無能力化で核兵器用プルトニウムがこれ以上増えなくなることを重くみたのだ。タイム誌はブッシュ政権の楽勝とまで言い切った。テロ支援国指定という実質的意味がない代物をエサに、大魚を釣ったというのである。
・核兵器用プルトニウムの生産停止を評価
北朝鮮は6月26日、核計画の申告書を6カ国協議議長国の中国に提出した。そして翌27日、寧辺核施設のシンボルだった原子炉冷却塔を爆破した。申告した核計画はプルトニウム核計画に限定した内容。爆破した冷却塔はその生産施設のシンボル。北朝鮮はこのシンボルの爆破によって、廃棄はプルトニウム核計画に限定することを明確にした。6カ国協議が昨年10月の合意で要求したウラン核計画と核技術の海外移転疑惑はうやむやになった。この北朝鮮の動きについて、ワシントン・ポストは28日の社説で「寧辺の核施設を破壊した結果、北朝鮮は核兵器用プルトニウムを生産できなくなった。これだけでも議論の余地のない進展である」と評価した。また、ニューヨーク・タイムズも27日の社説で「ブッシュ大統領が就任以来6年間北朝鮮との交渉を拒んだ結果、北朝鮮は核兵器を開発した。今回、米外交陣の努力によって北朝鮮に核放棄を説得するチャンスが生まれた。交渉が成功すれば、世界はより安全になる」と評価した。
だが、北朝鮮が核放棄の決断をしたかどうかについては、両紙とも疑っている。ニューヨーク・タイムズは「ウラン核開発やシリアとの核開発協力を除外するなど、北朝鮮の行動には多くの疑問があり信用できない。核兵器放棄の決断をしたのか、それとも時間稼ぎに交渉しているのか、わからない」と不信感を表明。一方、ワシントン・ポストも「北朝鮮が約束を守らず、言い逃れや、嘘を繰り返していることから見て、核兵器を放棄する意思はないと思わざるをえない」と判断している。
・大統領の功績か外交陣の功績か
核計画の申告には不満があるものの、核施設の無能力化を評価する論調は多い。28日付けのタイム誌(電子版)は「外交交渉の勝敗はどちらが多く得点したかで決まる。今回はブッシュ政権の楽勝だった」と評価した。今回実現する「核施設の無能力化」はクリントン政権が94年に合意した「核施設の凍結」よりも効果的に核分裂物質の製造を阻止できる。しかも、北朝鮮が見返りに得たのはテロ支援国の指定解除で、これは米政権が過去10年間、交渉材料として持っていたものだという。タイム誌は「テロ支援国の指定という措置は極めて政治的な代物」と主張する専門家の意見を紹介。例え指定を解除しても、米政府が制裁を必要と判断すれば別の方法で制裁することが可能だと説明している。そして同誌は「ヒル国務次官補は北朝鮮にテロ支援国指定解除という実質的には意味がない代物を与え、引き換えに核施設の破壊を勝ち取った」と評価した。こうした双方の得点内容から見て、ブッシュ大統領は今回の交渉では明らかに勝者だという。
これに対し、ニューヨーク・タイムズの見解はやや違っている。同紙は「ブッシュ大統領が交渉を拒否している間に、北朝鮮はプルトニウムを蓄積し核実験をした」と同大統領の責任を厳しく指摘。「その後、米外交陣が自由に交渉できるようになり、北朝鮮に対して核放棄を説得チャンスが生まれた」と述べて、今回の功績はヒル国務次官補をはじめとする米外交陣にあるという主張を展開している。北朝鮮核問題の進展を外交実績としたい同大統領には手痛い逆風である。
・日本が拉致問題で独自の道を探るべき時
米は北朝鮮の核申告と並行して、北朝鮮のテロ支援国指定解除の措置を取った。この結果、日本人拉致事件に関連して、日本が期待していた北朝鮮に対する圧力が取り除かれるのは間違いない。ワシントン・ポストは上記社説の中で「米政府関係者はテロ支援国指定解除には実質的な意味はないと言うが、日本の世論は苦々しい思いを噛み締めることになった」と伝えた。しかし、他の主要メディアで、テロ支援国指定解除と拉致問題を関連させて伝えたものは見当たらない。ライス国務長官は26日付けのウオール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿、今回の一連の事態について「外交の成果」と自賛した。しかし、拉致問題には一言も言及しなかった。代わって発言したのは、ブッシュ大統領だった。同大統領は洞爺湖サミットに出発する前の7月2日、日本人記者団をホワイトハウスに招き、「拉致問題に関心がなかったら、横田めぐみさんの母早紀江さんをホワイトハウスに招かなかった」と述べ、拉致問題解決を重視する立場は今も変わらないと語った。だが、ブッシュ政権は同大統領の発言とは裏腹な方向に進んでいる。大統領が抱く関心は政権の関心ではなくなった。マスメディアはその結果を評価し、ブッシュ政権の楽勝と書きたてた。ブッシュ大統領の任期は残す所半年、北朝鮮の核問題の多くは次期大統領の課題となって残る。次期大統領がオバマ、マケインのどちらになっても、拉致問題でブッシュ大統領と同じ関心を持つとも思えない。日本は米に頼らぬ独自の交渉の道を探ることが必要だ。
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