宮崎正弘の国際ニュース・早読み | 日本のお姉さん

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)7月6日(日曜日)
通巻第2244号 

ダライラマ法王側は、中国の態度を「五輪前の混乱を避けるジェスチャー」
   二回目の「対話」も空振り、北京には一片の誠意もなかった
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結論は最初からみえていた。北京が猫なで声で立場をころっと変えるときは、内情に困った要素があるため、時間稼ぎと対外的欺瞞の演出をする。そういう方面にかけての演技力は天才的である。

七月一日、二日の両日に亘って北京では「対話」が行われた。
これは案の定、時間稼ぎのポーズだった。チベット仏教の活仏、ダライ・ラマ法王の特使として北京入りし、中国側と対話をしてきたロディ・ギャリ、ケルサン・ギャルツェンの二人はインドの亡命政府に帰国し、ダライ・ラマ法王に報告の後、7月5日にダラムサラで記者会見に臨んだ。
 
今回の公式対話でも中国側は従来の主張を繰り返しただけで、まるで前向きの姿勢はなかった、とチベット側。北京五輪後の10月に次の対話を持つという事だけが合意され、「中国に前向きな動きがなく、難しい協議だった」と失望の色を見せた。

これで北京の当面の目的は達成された。北京五輪をチベット論争の場にしてほしくないため、話し合うホーズをして無理につくり笑いをしてみせただけなのだ。チベットが期待した議題は「チベット人の居住地域における自治」だったが、ギャリ特使は、「五輪が中国側の動機であり、ジェスチャーとしてチベット問題に取り組んでいるかの印象を対外的に見せる」ことを目的とした宣伝の場でしかなかった。

ただし、七月の対話で中国側が亡命チベット人組織「チベット青年会議」を名指しして区別したところに特徴がある。示唆するところはダライ一味が暴動を煽ったという口上を、ダライ・ラマ政府は非暴力で、過激派がいるという区分けを北京が認識していることである。

もっともダライ・ラマ政府はチベット青年会議は「チベット独立を主張しているが、暴力、テロ集団ではない。民主主義のもとで見解の相違があるのは当然」と語り、青年会議の活動の独自性を尊重する立場には変わりはない、とした。北京の区別は、むしろ分断作戦と捉えているからである。

なおダライ・ラマ法王は十日から十七日間の米国訪問を開始する。各地で講演と対話集会を開催し米国市民の理解を求めるほか、リチャード・ギア、シャロン・ストーンとの会見も予定されているという。

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♪(読者の声1)割り箸製造ですが、案の定、カナダの環境保護団体の格好のターゲットになっています。一般的に彼らには日本人のように森を育てるという発想はありません。内装材にも構造材にもならない木種を選択利用する割り箸製造。彼らに森と共生することが可能だと説いても理解不能です。エジソンの竹は清和天皇ゆかりの石清水八幡宮境内のものでした。さて先のダボス会議でのHERBERT MEYER氏の講演記録が下記サイトで閲覧できます。出生率の減少に悩むEU各国と失敗した移民政策が簡潔に纏められています。中国についてもデモグラフィック要因に視点をあてた分析が秀逸です。なぜか唐突に話題にされ始めた日本政府の移民大量受け入れの動き。このレポートを(悪意を持って?)読み違えた財界人がいるのではと勘ぐっています。
http://www.superfactory.com/articles/meyer_what_in_the_world.htm
   (バンクーバー SW生)

(宮崎正弘のコメント)え、エジソンのフィラメント原料となったのは、石清水八幡様の境内の竹でしたか! 先々週、この神社の会館で行われた、さる団体の研修会で講演をしてきたばかりなので驚きました。
玉露をいただいて、竹のこと忘れていました。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)7月7日(月曜日)
通巻第2245号 (7月6日発行)
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 中台直行便のチャーター開始で、誰が何を得するのか?
  台湾の一方通行だった大陸投資が双方向になる? 観光増がメリット?
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胡志強(国民党幹部)が厦門を訪問している。
かつてパワフルな政治家だったが、大陸の宣伝係をつとめるようんでは、この男の政治的力量もここで終わりか?
国民党名誉主席の連戦は、中国からやってきた観光団体を宴席に招待し、歓迎の辞。「チャーター便による直結は“中国人の誇り”と述べた。

実際に台湾の馬英九政権は、フィージビリティスタディ(商業化可能性の研究)を始めた。対象となる研究課題は金門と厦門に橋を架けると、どういう経済的効果があるか、探ろうというのだ。

従来は台湾からの一方的な大陸投資で、製造業を中心に五万社、100万人が中国大陸へ進出。台北から香港かマカオで乗り換え、或いはソウル、東京でのりかえて中国の目的地へ向かった。それが直行便となるのだから時間的短縮のメリットは確かに大きい。

大陸からの台湾投資は不動産と株式である。製造業はやってこない。人件費の高い台湾では、コストがあわないからである。となれば、ほかの分野で台湾が得するのは観光客ということになるが、マナーを知らず、そこら中にゴミ捨て、痰、唾を吐き散らす人々でホテルや観光地はさぞ汚れることだろう、と懸念する向きが多い。

それよりも、治安の悪化である。台湾の有識者らはこのポイントを最も心配し日本での“実績”の数字を挙げて強く警告している。
たとえば、次の数字。

日本への不法入国
        2002年   04年     06年
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不法滞在者合計  29676  32683   27698人
送還された外国人  8290  13408   10251人

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中国人の日本における犯罪件数
        2003年   2005    2006    2007年
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訪日中国人  527796  741659  780924  980411人
中国人の犯罪  11535   11366   10095    9664件

外国人犯罪のなかで中国人の 43・3%    34.4   36・8%    37・6%
占める割合
         (出典 「自由時報」、08年7月2日より抄録)

 とくにチャーター便のために『開放』された台湾国内の八つの飛行場のなかでも、国際線乗り入れが三十年近く中断していた台北松山空港などでは、入国審査、検疫、税務の人員のローテーションのやりくりばかりか、入管審査をくぐりぬける中国人をいかに防御するのか、或いは、チャーター便の殆どの客が軍人であったりして、トロイの木馬と突如変貌することも考えられ、その割には警戒が緩いのはおおいに気になる所である。

通貨人民元の交換も自由化されたが、人民元は20%が偽札、その防御態勢は整っているのだろうか?
 
馬英九政権の発足から僅か45日で、いきなり週34便ものチャーター便乗り入りとは、台湾ビジネスマンのメンタリティは、ここまでリアルなものかと感心するのである。

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♪(読者の声1)1.環境問題ヒステリーを冷ますべき。
環境運動が「環境狩り」の様相を呈し、ヒステリックで気違い染みてきました。頭を冷やすべきです。こうした不合理な運動には必ず影に仕掛け人の詐欺師がいて金儲けをたくらんでいます。それが姿を現した炭酸ガスの取引制度です。要注意です。地球の歴史を見ると温暖化や寒冷化は過去にも繰り返されており、生物は、生まれていない人間を含めて関係していません。地球物理学の世界なのです。炭酸ガス説を主張するなら人口減政策に行き着きますが言い出す人はいないでしょう。偽善です。

2.割り箸論議について:
(1)慣習:箸は日本では古来土俗的な意味があり、使い終わると必ず折って使い捨てることに決まっていたようです。複数使用の塗り箸は邪道です。(2)衛生管理:中共や東南アジアでは経口感染のA型肝炎があるので、店箸使用は危険です。 レストランの裏で汚水でガチャガチャ箸を洗っている光景を見たら日本人なら食事する気がしなくなるでしょう。割り箸かマイ箸の持参をお勧めします。
(3)広報:慣習の違いを反日宣伝に利用されないように政府は世界に広報することが大切です。(MC生)


(宮崎正弘のコメント)洞爺湖サミットは偽善の祭典?

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