米国の北朝鮮に対するテロ支援国指定解除は、日本と中国両軍の戦略的提携を加速する。(じじ放談)
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▼米国の北朝鮮に対するテロ支援国指定解除は、日本と中国両軍の戦略的提携を加速する。(じじ放談)
米朝協議で合意された「米国による北朝鮮テロ支援国の指定解除」は8月11日頃に発効する。ようやく合意にこぎつけた北朝鮮側が、米国のテロ支援国の指定解除を白紙に戻す冒険をするとは思えないから、米朝は国交正常化に向けて大きく舵を切ったというべきである。現在北朝鮮には、我が国を初め韓国・タイ・フランス等から拉致された数百名の拉致被害者が拘禁されている。よど号をハイジャックした犯人も匿っている。北朝鮮はテロ支援だけでなく、自らテロを実行しているテロ国家である。その上、核兵器を開発・保有している。今回は第2段階の措置とはいうものの、核兵器の廃棄につながる保証は全くない。「米国は北朝鮮の核保有を認めたのではないか?米国にとって、北朝鮮から国際テロ組織に核関連物質が移転されることを阻止するのが第1で、北朝鮮の核保有は米国の脅威ではないから手を抜いているのでは?北朝鮮が核保有国となることで米国は、韓国や日本に高価な武器を売却できるし中国を牽制できるとニンマリしているのではないか?」との疑念がくすぶっている。筆者はこれまで、「国家の財を傾けて開発した核兵器を北朝鮮が廃棄することはありえない」と何度も指摘してきた。核兵器をネタにした北朝鮮の「ゆすりとたかり」が功を奏し、米国を初めとする5か国から莫大な経済支援を引き出すことができることに道筋をつけることができたから、金正日もさぞご満悦であろう。対米交渉を行った金桂寛外務次官に対する信頼を一層高めたはずだ。
第1(「最も強力な同盟国日本を見捨てない」という米国の言い訳は通用するか?)
ブッシュ米大統領は26日の記者会見で、日本人拉致問題に時間を割いて言及した。大統領は北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母、早紀江さんに面会したことを「心が痛む瞬間だった」と振り返り、「米国は最も強力な同盟国を見捨てない。問題解決を支援していく」と繰り返した。(以上、27日付け日本経済新聞より抜粋)言葉とは便利なものである。何とでも言いくるめることができる。白を黒と、黒を白ということができる。何よりも言葉にはカネがかからない。だが「ウソも方便」を繰り返していると信頼関係を失う。誰も米国の発言を信用しなくなる。言葉はタダでフトコロは痛まないが、最も大事な信用を失う。カネでは買えない信用を失うのは国家にとって致命傷となる。
言葉が信用できなくなった時我々人間は、その真偽を行動で判断する。「目は口ほどにモノをいい」ではなく「一つの行動は数百万言よりも重い。」のである。人間ばかりでなく国家も「何を発言したか」ではなく「いかなる行動をとったのか」で判断される。米国の「北朝鮮に対するテロ支援国の指定解除」の行動は、米国の国家意思を表明したものであって、百万言の弁解よりも重い。それゆえ、拉致被害者家族会だけでなく我が国唯一の「親米派」である保守勢力が激怒したのだ。
拉致被害者家族会飯塚繁雄代表・・・一番大きな力だった米国のテロ支援国家指定が解除されれば、日本の小さな制裁では北朝鮮は驚かない。拉致問題解決に向けて大きな後退と、不満をあらわにした。
鳩山由紀生民主党幹事長・・・日本政府の処置は正しいとは思わない。結局、米主導だ。
平沼赳夫議員・・・大切な日米同盟にひびが入りかねない。議連(拉致)はずっと反対し続ける。
町村信孝官房長官・・・「日本国民はショックを受けている」とハンドリー米大統領補佐官に日本側の心情を伝えた。
日本経済新聞社説(27日)・・・「米政府は北のテロ国家解除を再考せよ」(以上、27日付け日本経済新聞)
安倍晋三前首相・・・拉致問題が全く前進していない中で解除されたのは残念だ。北朝鮮が提出した核計画の申告書では「核兵器が申告に入っていない。日本は核の脅威をうける国だから不十分だ」と批判した。(以上、28日付け日本経済新聞から抜粋)
米国の北朝鮮のテロ支援国家指定解除に賛成なのは、北朝鮮労働党日本支部である朝鮮総連と北朝鮮の代理人を自認する山崎拓一派並びに福田康夫である。
山崎拓・・・朝鮮半島の非核化を実現する一つのプロセス。肯定的に受け止めるべき
福田康夫首相・・・パイロットも実際に入ってみないとどの位の乱気流かわからないらしい。行く手に乱気流があることがわかるが、どういうものかはわからない。
(以上、27日付け日本経済新聞から抜粋)つまり、今回の米国の決定に対し、北朝鮮べったりの山崎拓一派だけが評価し、従来「親米保守」であった自民、民主、無所属の保守勢力が不満を感じている。日米同盟の基盤が損なわれると危惧している。日本側から日米軍事同盟を支えてきた保守勢力が「米国離れ」を起こす時、日米安保条約は砂上の楼閣となる。
第2、自衛隊と中国軍の交流が加速する。
米国と北朝鮮の戦略的提携が進み始めた。中国人民解放軍(以下「中国軍」という)にとって、北朝鮮の核実験、核保有に続いてのショックである。戦後60余年、常に中国軍と血盟関係にあった北朝鮮が心変わりした。北朝鮮はパトロンを中国から米国に乗り換えた。中国の立場に立つと「妾(北朝鮮)が色白の男(米国)に鞍替えして、旦那(中国)を捨てた」ということになる。中国外務省は「6か国協議が前進する」と喧伝しているが、中国共産党指導部や中国軍首脳では異論も多く相当な激論が交わされているはずだ。なぜ外務省は北朝鮮が米国に鞍替えするのを阻止できなかったのか?という批判が公然と巻き起こっているのではないか。
中国共産党機関紙人民日報ウエブサイト「人民網日本語版」は、北朝鮮に対する米国のテロ支援国からの指定解除問題を論評抜きで、中国国営新
華社からの引用文を掲載しただけである。中国共産党指導部内でも甲論乙駁があって統一見解が出せないのではないか。我が国の保守勢力にとっても「親とも兄貴とも感じて信頼してきた米国に裏切られたのである」から、憤懣やるかたない気持であろう。米国の口約束を信じて追従してきたのに、2階に上がって梯子を外されたと怒っているに相違ない。比較的抑えた発言ではあるが米国を堂々と批判している。
米国は終戦直後、「日本軍国主義を支えた」という理由で、我が国の保守勢力を公職追放した。イラクのフセイン政権を支えたバース党党員を公職追放したのと同じである。だが、数年後米国は、世界の共産主義化が朝鮮半島や日本に押し寄せる気配に危機感を抱き、公職追放した保守勢力を復帰させ、民主主義日本をつくるために保護し利用してきた。逆に、戦後民主主義の旗手として利用していた共産主義者を弾圧した。レッド・パージである。イラクの治安悪化に手を焼いた米国が、旧フセイン軍を治安維持軍に復帰させたのと同じ構造である。我が国の保守勢力は「我が国を反共の防波堤とすべく、米国と二人三脚で戦後の日本政治を主導してきた。日米同盟の実態は、米国と我が国の保守勢力の同盟によって保持されてきたといっても過言ではない。保守勢力以外の公明党、民主党左派、社民党、共産党はいずれも「反米又は非米」の親中・親北勢力である。保守勢力の米国離れは、我が国における米国の影響力が大きく減退することを意味する。中国は北朝鮮から見捨てられた。我が国は米国から軽視された。いずれも「心の傷」を背負っている。「同病相哀れむ」ともいう。傷心の男女が出会えば「恋が芽生えやすい」という傾向がある。双方とも「癒し」を求めているから、人物評価も甘くなる。「思想信条や容貌に難点があってもかまわない」という気分になる。かくして新しいカップルが誕生する。
28日付け日本経済新聞は「日中防衛当局が災害協力」と題する以下の記事を掲載した。
「中国に初寄港した海上自衛隊護衛艦さざなみの指揮官を務める徳丸伸一・第4護衛隊群司令は27日、北京で中国軍馬暁天副参謀長と会談した。日中防衛当局で災害救援を巡り協力していくことで一致。国連平和維持活動(PKO)での協力も確認した」艦艇の相互訪問という儀礼的なものかと思いきや、北京まで出向き中国軍最高幹部と会談し、日中両軍の協力促進を取り決めたからびっくりした。両国の外務省を蚊帳の外において、日中両軍の制服組が協議し「防衛協力」を取り決めた。
29日付け日本経済新聞は「海自・中国海軍。初の共同訓練」と題する以下の記事を掲載した。
1.日中防衛交流の一環として中国に初寄港していた海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」は28日、広東省湛江港での5日間の滞在を終え、日本に向けて出港した。出港後、湛江沖で中国海軍ミサイル駆逐艦「深せん」と無線や発光信号などで連絡をとる通信訓練を実施した。自衛隊と中国軍による二国間の共同訓練は初めて。
2.「さざなみ」と「深せん」が縦列や横列に並んで航行する戦術運動訓練も実施した。通信訓練や戦術運動訓練は初歩的な共同訓練に位置づけられ、今後はより本格的な訓練である捜索・救難訓練の実現が課題となる。
3.中国南海艦隊の蘇士亮司令員は歓送式で、「今回の訪問は中日防衛交流で重要な成果を上げた。中国人と中国海軍の日本人への友好の気持ちを持ちかえってほしい」とあいさつした。
日中両国海軍の急速接近は目を見張るばかりである。急速旋回中といってもよい。日中両軍は先般、四川大地震の救援物資を自衛隊機で輸送する件で合意した(後刻、中国側の都合で撤回)が、舌のねが乾かない内に、再び日中両軍が「具体的協力」を取り決め、合同軍事演習の初期段階を挙行した。中国軍の「中日両軍の戦略的同盟への格上げをにらんだ意欲」が並々ならぬものであることを示している。中国軍は「中朝軍事同盟」から「中日軍事同盟」に路線を切り替えたと考えることができるのではないか。
第3.東アジアの遠交近攻戦略について
古代中国唐王朝の時代、唐王朝は満州から北朝鮮を勢力圏としていた渤海と対峙していた。唐王朝は渤海を牽制するため朝鮮半島を支配していた新羅と手を結んだ。渤海は、我が国との友好親善に努め、新羅を逆牽制した。つまり遠交近攻の策である。北朝鮮が米国と戦略的同盟関係を結んだと仮定する。これに対抗すべく中国が日本との戦略的同盟を構築して米朝同盟に対峙する構想は理屈にかなっている。中国の背後に位置するロシアとインド両国軍は、かって中国軍が戦争を交えた相手である。米朝戦略同盟が形成され、さらにロシア・インド両軍と中国軍が対決せざるをえない事態となれば中国軍は袋の鼠となる。
大紀元日本の報道によれば、中国共産党からの離脱表明者数は本年7月中に4000万人を超える。わずか3年8か月で大量の離脱表明者である。最近は1日で7万人を超える時もあるなど急増中である。共産党独裁国家の崩壊も近い。「共産党独裁以後」をにらんだ中国軍が「開発途上国型軍事独裁国家」を視野に入れていることは間違いない。中国軍が共産党中央の思惑を超えて、独自の判断で「自衛隊との協力関係構築を急ぐ」のも理解できなくはない。中国軍は「外交を党官僚に任せておけない」とあせっている。党官僚とりわけ外務官僚に任せておけば「碌なことはない」と考え独断先行している感じだ。中国軍は「北朝鮮を米国に奪われ、酷い目にあった」と感じ、外務官僚批判の急先鋒に立っているとしても不思議ではない。
我が政府は、四川大地震の大規模な復興支援に乗り出すべく29日から各省庁合同の調査団を中国に派遣する。具体的な支援は(1)道路や農地などのインフラ復旧、(2)防災体制整備、(3)被災者のケアーなどの分野を想定。既存の円借款や自治体・非政府組織向けの「草の根運動」などの枠組みを活用し、学校の補修、耐震化や文化遺産の修復なども検討する。(28日付け日本経済新聞・夕刊)
「血の底まで日本人を憎んでいる中国人」に対して、誰しも「思い入れが強すぎるのではないか?」と感じるのではあるまいか。「そんな金があれば、1000万人を超えるワーキングプアーが元気を出せる政策を行ったらどうか?」と感じるのではあるまいか。日本国民には冷淡な福田内閣ではあるが、「やけに中国に優しいではないか」とひがむのも無理はない。2008年、中国へのODAが終了した。福田康夫が「何か中国支援の名目はないか」と探していたところ「間合いよろしく四川大地震が発生した」と考えているのではあるまいか。
我が政府は中国に対して「莫大な資金援助をしたがる」性癖がある。中国への資金提供にはよほどのウマミがあるのか?と疑いたくなる。四川大地震を支援するのに、カネを使わないで、より効果的な支援を工夫すべきではないか。中国はインフラ整備を日本に任せ、国家資金を軍備増強に充当している。我が政府は中国軍の軍備増強政策に協力しているといっても過言ではない。
今回の現地調査には「国際協力銀行」や国際交流基金など財務相(大蔵省)OBが総裁になっている国営金融機関が参加する。彼らは何兆円もの資金を国民に無断で自由に動かしている。今回も、彼らの裁量で国民の共有財産を浪費するのではないかという疑念がある。民主党は「日銀総裁人事」という些細な問題で人気取りを行うだけでなく、国有財産を私物化している国際協力銀行の運営についても、国会で厳しく追及し明らかにしてはどうか。特に、今回の四川大地震の復興支援事業には「国際協力銀行」という国営銀行から莫大な公的資金が投入される危険がある。利権に群がる政治家が日中双方から湧いて出る危険が高い。中国に対する3兆円を超えるこれまでの財政支援事業で、旧田中派(経世会)所属の国会議員を初め、中国共産党並びに中国政府指導部各位も莫大なカネを懐に入れたといわれている。我が国民の税金等で蓄えた資金を湯水の如く浪費し、懐を潤す利権政治家や官僚がゴマンといるといわれる。
(まとめ)
米国が北朝鮮をテロ支援国から指定解除してくれたから、日中両軍の戦略的連携が加速し始めた。
我が国で唯一の「親米派」であった保守勢力が、「親米→非米・反米」に転じる気配が濃厚になった。もとより、我が国では共産党・社民党・民主党左派の左翼勢力を初め、中道を主張する創価学会(公明党)も親中派である。自民党内にも、新たに日中友好協会会長に就任した加藤紘一や山崎拓、衆議院議長河野洋平、参議院議長江田五月、自民党総裁・総理閥の清和会中川秀直ほか多数の親中派がいる。民主党では小沢一郎、管直人ほかである。
親米保守であった安倍晋三、中川昭一、平沼赳夫ら保守勢力が「親米→非米」に転じるならば、力のバランスが崩れる。「親中派」が「親米派」を圧倒する。
日中両軍の戦略的提携が加速しても、誰も異論を唱えない。四川大地震の災害復興支援事業に莫大な国費をつぎ込んでも誰も異論を唱えない。
我が国は明治以来の「脱亜入欧路線」から「脱欧入亜路線」に舵を切る可能性が高くなった。表面上「日中両国の友好を図るべきだ」と唱えてきた米国務省の思惑を超えて、我が国は官・民・軍一体となって「日中同盟」に動き出した。米国太平洋艦隊は「艦船の相互交流」を黙認していたであろうが、日中両国海軍の合同軍事演習やその他の軍事協力がとんとん拍子で進むとは想定していなかったのではないか。
「東シナ海を平和な海にする」と銘打って締結された日中共同ガス田開発事業も、遠大な構想の一環と見るべきではないか。単なるエネルギー政策とは思われない。「小異を残して大同につく」という諺がある。大同とは「日中軍事同盟構築」である。東アジアの軍事的同盟関係は大きく揺らぎ始めた。我が民族の弱点は「のめり込み易い」資質にある。これまでは「日米同盟一辺倒」であった。今後は「日中同盟一辺倒」に傾斜する危険がある。我が自衛隊が中国軍と一定の距離を保ちながら接近するのに異存はない。一方、ロシアやインドとの合同軍事演習を企画・立案・実行するなど多角的安全保障を心がけるべきである。
国家の命運を米国や中国という特定の国家に賭ける愚を犯すべきではない。