今の労働組合こそ、組織を持たない弱者の国民の敵である(株式日記と経済展望) | 日本のお姉さん

今の労働組合こそ、組織を持たない弱者の国民の敵である(株式日記と経済展望)

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▼今の労働組合こそ、組織を持たない弱者の国民の敵である(株式日記と経済展望)
◆橋下府知事、国政“進出”!正論展開に大先生タジタジ 6月26日 スポーツ報知
橋下徹・大阪府知事(38)が「福田自民党」に物申した。25日、東京・永田町の自民党本部を訪れ、国の歳出削減をテーマにした会合で居並ぶ国会議員を前に「国家公務員の給与を下げるぐらいしなきゃ国民はついてこない」と持論を展開した。最近は府職員の人件費削減案をめぐり、組合側と徹夜バトルを繰り広げるなど意気揚々。就任わずか4か月の新米知事の“上から目線”の正論展開に、大先生たちもたじたじ。歯にきぬ着せぬ「橋下節」は永田町でも新人離れしていた。

会合後、報道陣に囲まれた橋下知事は「国が国民に負担を求めるならば、まず公務員自身が身を削らないと。国家公務員の給料を10、20%ドーンと下げたら国民はついてくる。『ここまでやるか』ということをして初めて世間は評価してくれる」と息巻いた。
1年生知事が国の歳出削減に関し、自民党に指南した。人件費や事業費カットなど歳出削減への取り組みが話題の知事は、自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」の会合に招かれた。冒頭のあいさつでは「行政に携わってまだ4か月の僕が、先輩方に行政や政治の話をするのは恐縮な限りです」と謙虚に講演をスタートさせた。自民党・谷垣禎一政調会長を始め多数の国会議員が詰め掛けた会合では、具体例を交えながら府の財政再建策を披露。熱っぽく話す一方で「僕はB型なので重箱の隅をつつくのは得意」と軽口も飛ぶなど30分以上にわたって冗舌に語った。

世論の支持をバックに、最近では府職員組合側との徹夜団交で一歩も引かないなど、ますます自信を深めた様子の橋下知事。「職員も府民も覚悟を持って取り組んでいるのに(政府は)身を削る覚悟がないんじゃないでしょうか。公務員はタクシー利用とか天下りとかやりたい放題。これでは国民は負担しないだろう」と“暴走”!?は止まらなかった。橋下知事を招いて党として歳出削減姿勢をアピールする狙いがあったとみられるが、タジタジの状態。知事とテレビ番組「行列のできる法律相談所」で共演した丸山和也参院議員は「橋下氏は弁護士時代から金にシビアだった。国も組織が膨大だから同じようにはいかないがああいう感覚は必要」と語った。他議員は「ひるまず改革を進めてほしい」と橋下節にうなずくしかなかった。これだけ言っておきながら知事は「『国に申す』って、そんな偉そうな立場じゃない。勉強会に参加させてもらったという感じ」と振り返った。だが「いくら府知事が口角泡を飛ばしても国は動きません。国を簡単に動かせるのは国民の皆さんの1票。国の仕組みが変わりますよ」とサラリ。福田内閣にとって、そのひと言が一番身に染みたかもしれない。
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◆橋下徹大阪府知事は自民党の救世主になるかもしれない 6月26日 天木直人

橋下徹大阪府知事は自民党の救世主になるかもしれない。これから書くことは、橋下徹の大阪府知事選当選以来、橋下徹を目の敵にしてきた人たちにとってはとんでもない、と思って読まれるに違いない。私も橋下徹知事とは考えが違うところがある。なによりも政権交代を望む一人として、明らかに自公政権寄りの言動を繰り返す橋下知事に組することは出来ない。しかし同時に、私は橋下知事を侮ってはいけないと思っている。 その理由はもちろん彼の圧倒的な支持率の高さである。しかし、より重要な事は、彼の高支持率の高さが、小泉元首相と根本的に異なり、単なるタレント人気だけから来るのではなく、彼の大阪府政改革、府財政改革のひたむきな姿勢が、正しく、いかさまではないということだ。だからこそ府民の心を捉えているからだ。府民はよく見抜いているのだ。そのような私の思いは、25日に橋下知事が自民党本部の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」に呼ばれ、自民党に注文をつけ、それでも自民党議員から喝采を受けた、という記事を読んで、ますます強固なものになった。「国の仕組みを変えてほしい。地方の実情に合わせ、権限と責任を一致させるべきだ」、「府の予算は3兆円規模だが、府に裁量があるのは2300億円程度。地方にやる気を与えてほしい」、「国家公務員も給料を削減すれば国民はついてくるのでは」などと語ったという。これは民主党が言っている事と同じである。

しかも民主党との大きな違いは、橋下知事は労働組合こそ意識改革しなければならない、今の労働組合こそ、組織を持たない弱者の国民の敵である、という姿勢を明確に打ち出している点である。これはその存在(選挙)を自治労に大きく依存せざるをえない民主党との決定的違いであり、強みである。すなわち今国民が求めている事は、特権や組織力に胡坐をかいて、自分たちの苦痛を分かち合おうとしない権力者をたたきのめすことだ。その特権を剥奪することなのだ。 自治労幹部が特権階級であり、自治労もまたあまたある政府関係機関と同じように、利権を手放そうとしない保身的な特権組織である事に変わりはない。もしそうであれば、自民党は橋下府知事を新しい自民党の看板にして、政権維持を狙おうとしてもおかしくない。私だったらそうする。橋下は小泉元首相と同様国民へのアピール性を持っている。 しかも橋下は小泉と違って、頭がいい。自ら政策を学び、政策を論じ、問題を本気で解決しようとする覚悟があるように見える。何よりも小泉のようなごまかしのパフォーマンスがない。パフォーマンスがあるにしても、その目線は府民のため、国民のための改革を模索するためのパフォーマンスである。いい歳をしてライオンヘヤーを振りかざし、政局や芸能ネタや下ネタばかりしか話さない小泉元首相とは、根本的に異なるのだ。 民主党は橋下に変わる人材をはやく見つけないと取り返しのつかないことになるかもしれない。
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(私のコメント)
6月22日に大阪の財政再建について書きましたが、公務員と思われる人からのコメントが沢山寄せられました。小泉首相があれほどの高支持率が得られたのも戦う姿勢を見せたからであり、大阪の橋下知事も戦う姿勢を見せている。だから大阪府民の支持率も高い。安倍首相が支持率が低下したのは村山談話や河野談話を継承すると言った妥協を見せたからであり、靖国神社も8月15日に参拝はしなかった。福田首相の支持率も安倍首相以上に低下しましたが、福田首相に戦う姿勢を見せろといってもキャラ的に無理だろう。

現在の日本に求められているのは戦う政治家であり、妥協してしまう政治家ではない。大阪府の橋下知事がどれだけ戦えるかはこれからを見ないと分かりませんが、戦う限りは支持率は高いだろう。それくらい公務員は特権階級化してしまって、議会も公務員の給与の賃金カットは抵抗が強くて難しいようだ。民間の平均的給与水準は年々下がり続けて430万円あまりだ。それに対して地方公務員は730万円ももらっており、300万円もの開きが出来てしまった。それに対して財務省は消費税の増税で賄おうとしていますが、消費税で公務員の人件費を賄おうとしている。消費税は逆累進性があり年収430万の民間人よりも730万円の公務員のほうが税負担は軽い計算になる。日本の消費税は食費などの生活必需品にもかかる事が問題であり、年収が120万円しかない人も1000万円近くある人も食費にかかる費用は同じなのだ。だから公務員は消費税を上げたがる。

天木直人氏は言うように自治労幹部は特権階級化してしまっている。民間の非正規雇用の労働者は労働組合の対象ではなく放置されてしまっている。だからこそ若い人の鬱積は溜まっているのであり、秋葉原の無差別殺人犯も非正規雇用労働者であった。橋下大阪府知事の財政改革が成功したら、その流れは全国に広がるだろう。公務員の人たちは賃下げすればデフレが広がると言うが、地方債を発行して給与を支払う事のほうが景気を悪くする事に気がつかないのだろうか? 5兆円の借金は年々増え続けている。だから公務員の賃金カットして財政を均衡させなければならない。

公務員は民間の給与を上げればいいではないかという人がいるが、トヨタやキヤノンのような超優良企業ですら正規社員を減らして非正規雇用に切り替えている現実を知らないのだろうか? 小泉構造改革で2004年に製造業まで派遣を認めたしまったからこのようになったのだ。ならば公務員も派遣社員に切り替えて行けばいいのではないだろうか?国会議員や地方議会議員は選挙に落ちれば失職するから非正規雇用みたいなものですが、公務員は首の心配がない。しかも民間よりも300万円も所得が高いのだから、日本は公務員天国だ。日本がなかなか不況から脱出できないのも公務員に所得が偏ってしまっているからであり、だから減税政策が取れない。

本来ならば減税して可処分所得を増やす事が景気回復につながるのですが、公務員の給与が高い為に赤字財政で減税政策が取れない。公務員の年収を300万円カットすればそれだけ減税の為の財源が出来るから景気は回復するだろう。
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▼中国経済は8月の北京五輪の開催を待たずに、すでに調整局面に入りつつある。(株式日記と経済展望)

◆【千変上海】前田徹 中国発の世界インフレ? 6月24日
上海は今夏、電力不足に陥る可能性がでている。上海商報によると、発電、送電ともフル稼働なのだが、冷房など消費拡大で供給量が需要を下回るとみられ、一部で工場の操業停止さえ考えられるそうだ。 だが、この電力不足、実はもっと根が深い。背後に電力エネルギーのもとである石炭の国際価格の高騰があるからだ。  今年1月、米紙ウォールストリート・ジャーナルは「電力不足回避に中国奔走」という記事を掲載した。経済発展で爆発的に増加した中国の電力消費が石油や石炭といったエネルギー資源の国際価格高騰を招き、ひいては中国での電力不足の原因になっているといった内容だった。
中国の発電は8割以上を石炭に頼っている。中国の石炭埋蔵量は世界でも有数、しかも生産量は年々、飛躍的に増加している。それでも爆発的な需要に追いつかず、中国は石炭輸入国になっている。その結果、国内価格は国際価格と連動、石炭は高くなる一方なのに電気料金は価格統制され、各地の電力会社は発電すればするほど赤字という異常事態に陥っていた。 例えば中国電力監督管理委員会の調べでは、今年1月から3月までの第1四半期、中国電力大手5社はすべて赤字に転落していた。 同じことはガソリンやディーゼル油といったエネルギー資源についても起きていた。 最近、上海で停車中のトラックからディーゼル油を抜き取る窃盗団が一網打尽にされたニュースが評判になった。こちらも電気料金同様、国際価格より3割以上安く統制された結果、石油会社は売れば売るほど赤字になるというジレンマから売り惜しみし、品薄のディーゼル油を狙う窃盗団が登場したわけだ。

ではこうまでして価格統制する理由は何なのかというと、結局はインフレへの恐怖につきる。中国国家発展改革委員会は19日深夜、ガソリンとディーゼル油を17、18%値上げし、電気料金についても5%引き上げると発表したが、中身は実に慎重なものだった。例えば電気料金値上げは一般家庭や農業関連を免除、ガソリンについてもタクシーやトラックは相応の補助金を受けることができる。  これほど気を使うのは食料品など生活物資の高騰が収まりそうにないからだ。四川大地震に続いて中国南部を襲った大雨で豚肉や野菜の値上がりはむしろひどくなっている。1989年の天安門事件のさい、インフレへの民衆の怒りがあったことを考えれば、当局がインフレに敏感になるのは十分に理解できる。 最近、30%以上の人民元切り上げによって石油の購入価格を一気に引き下げ、インフレ問題を解決するシナリオがささやかれ始めている。これまで人民元切り上げには中国は慎重だったが、世界分業システムにおける中国の地位はもう揺るがず、むしろメリットの方が大きいという見方が出てきたからだ。 問題は世界にあふれる「メード・イン・チャイナ」が30%も値上がりすれば、今度は世界インフレになる心配がでてくる。


◆原油急騰で高まるスタグフレーションのリスク 6月25日 中国経済新論
原油価格が2002年頃の1バレル20ドル台から急騰し始め、現在、前年同期の約倍に当たる130ドル台という史上最高値圏で推移している。エネルギーの消費大国になった中国での需要の拡大が原油価格上昇の一因とされる一方で、原油高は逆に中国経済に景気減速とインフレの同時進行というスタグフレーションの圧力をもたらしている。
「石油市場のメジャー・プレーヤーとなった中国」急速な工業化とモータリゼーションの進展を背景に、中国におけるエネルギー需要が急速に伸びている。中国は、すでに米国に次ぐ世界第二位のエネルギー消費国になっている。英石油大手BPの統計によると、中国における一次エネルギーの消費量は、1997年の9.61億(石油換算)トンから2007年には18.63億トンとほぼ倍増しており、世界全体に占めるシェアも10.8%から16.8%に高まっている(表1a、1b)。同じ時期に米国のシェアは24.8%から21.3%に低下しており、中国が米国を抜いて世界一のエネルギー消費国になるのはもはや時間の問題である。実際、1997年から2007年にかけて、世界全体の一次エネルギーの総消費量の増分のうち、約4割は中国によるものである。
一次エネルギーの構造を見ると、日米欧といった先進国の場合、石油が中心になっているのに対して、中国の場合、石炭が依然として全体の70%を占めており、石油のシェアは20%程度にとどまっている(表1c)。それでも、2007年に、中国の石油消費量は、3.68億トン(世界の9.3%)と日本の2.29億トン(同5.8%)を大きく上回っている。1997年から2007年にかけて世界の石油総消費量の増分の約三分の一は、中国における需要の拡大によるものである。中国は、元々石油の純輸出国であったが、国内需要が拡大したことで、1993年には純輸入国に転じ、その後も年々純輸入幅が拡大し続けている。中国の商務部が発表する通関統計によると、2007年には原油と石油製品の輸入は計1.97億トン、輸出を引いた純輸入も1.78億トンに達している(図1)。原油価格の高騰も加わり、2007年の石油貿易の赤字はGDPの2.6%に当たる850億ドルに上っている。世界の石油市場において、中国は日本を抜いて、米国に次ぐ第二位の輸入大国になろうとしている。

景気の減速に追い打ち
原油価格の上昇は、石油消費の約半分を輸入に頼らざるを得ない中国経済に多くの弊害をもたらす。まず、原油価格の上昇は中国の交易条件(輸出の輸入に対する相対価格)の悪化、ひいては所得の購買力の低下を意味する。昨年の平均で1バレル70ドルだった原油価格が、その倍に当たる140ドルに上昇すれば、前述の中国の石油貿易赤字も倍になり、純輸入金額がさらに850億ドル(GDPの2.6%)増える計算となる。これは中国から石油輸出国への所得移転に当たり、いずれ企業収益の減少と消費者物価の上昇という形で、国民の負担となる。その上、それによる投資と消費への悪影響も懸念される。
また、原油価格の上昇は、中国(で生産を行っている)企業にとって、生産コストの上昇を意味する。それは、インフレを押し上げる一方で、逆に生産を抑える。特に、運輸や、鉄鋼、化学など、エネルギー多消費型産業の受ける打撃が大きい。さらに、主要輸出先である先進国も同じような影響を受けるため、原油価格の上昇に伴う世界経済の減速により、中国において輸出が減り、生産がいっそう落ち込むことになる。中国経済は、インフレの高騰、株式バブルの崩壊、世界経済の減速などを背景に、8月の北京オリンピックの開催を待たずに、すでに調整局面に入りつつある。最近の原油価格の急騰を受けて、インフレの沈静化は見込めず、景気の見通しがますます厳しくなってきている。
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(私のコメント)
中国やインドなどの株の暴落が止まらないようですが、欧米のファンドが中国やインドなどの新興国の株を売っているためだ。中国は毎年二桁成長を続けてきましたが石油などの資源高が国内インフレとなって経済成長にブレーキを掛け始めたのだ。食品等の生活物資の値上がりも激しくて、それが労働賃金の値上がりにも波及している。中国は世界の工場とも言われるほどの経済成長ぶりで、実質のGDPでもすでに日本を抜いたとも言われています。13億人の勤勉な人口と欧米や日本などからの資本や技術移転などで空前の高度成長が90年代から続きましたが、中国は無理に無理を重ねて経済拡大第一主義でやってきた。しかし、「株式日記」でも何年も前から中国は慢性的な水不足と停電に悩まされている事を指摘してきた。その事は実際に中国を何度も訪問している宮崎正弘氏の記事を見れば一目瞭然です。無尽蔵といわれた労働人口も少子高齢化の影響が出てきて若年労働者の低賃金での確保が難しくなっている。

インフレによる物価高と賃金の上昇というイタチゴッコは高度成長に必然的に伴うもので、日本や東南アジア各地でも起きたことだ。そのために為替レートを上げて調整するのですが、中国は人為的な為替操作で元をドルにリンクしている。しかしそれではアメリカのインフレが中国に輸入されてしまうので徐々に為替を元高に調整している。石油や石炭や鉄鋼などの価格の上昇は中国における生産コストの上昇になり、いつまでも超低価格での輸出攻勢が難しくなってきている。さらにインドやベトナムなどのほうが低賃金になってきたので国際企業もインドやベトナムなどに工場を移している。さらに中国などではチベット問題など政治問題が表面化してきて、フランスのカルフールなどが抗議デモを受けるなど、政治リスクもでてきた。
経済のグローバル化によって、中国や東ヨーロッパも資本主義市場に新たに参入してきた事によって、低賃金労働者が供給過剰になり、欧米や日本などでは産業の空洞化が起きて低賃金労働者は中国や東欧などに引っ張られる形で、単純労働の賃金が低下していった。

「株式日記」では中国の元高は必ずしもマイナスではないと書いて来ましたが、中国は輸出大国であると同時に輸入大国でもあるので、石油などの物価が上がってきたら元高にして交易条件を上げるべきだと思う。しかし中国は一党独裁国家であるので経済も統制して問題を抑え込もうとしてしまう。石油や石炭や鉄鉱が1年足らずに倍に値上がりしたのだから、輸出製品価格も倍近くに値上げしないと採算に合わないだろう。あるいは人民元を大幅に切り上げて海外からのインフレを防ぐしかない。あるいは日本のように高付加価値の製品に切り替えていく必要がありますが、中国は高付加価値のあるものを作り出していけるのだろうか?

中国経済新論にでている表を見てみると一次エネルギー消費状況は、米国が23億万トンで中国が18億万トンでEUが17億万トンで日本は5億トンしかない。昔は日米欧の三大経済圏といいましたが、今は完全に中国が日本にとって代わったと言える。どれだけエネルギーを消費しているかが国力のバロメーターでもあるのですが、日本は中国の3分の1以下しかエネルギーを消費していない。それにもかかわらずGDPは日本以下なのだから中国がいかにエネルギーを無駄に消費しているかが表から分かるのですが、これではいくら中国の労働者が超低賃金で働いても国際競争力は無いといえる。特に目立つのは中国の石炭消費量ですが、中国が断然トップの13億トンで米国が5億トンでEUが3億トンで日本が1億トンだ。

つまり中国はほとんど石炭をたいて発電しており非常に熱効率が悪い。冬の大雪で交通が遮断されて大規模な停電が起きましたが、石炭を輸送する汽車が止まってしまったからだ。そして石炭火力が主力でもあるので公害を撒き散らして、北京オリンピックで大気汚染が問題になるほどだ。
それでも中国は電気やガソリンなどを価格統制しているから電力会社や石油会社は売れば売るほど赤字が増えている。中国政府がインフレを恐れて値上げを抑えているからですが、これでは経済が上手く回るはずがない。日本では為替からガソリンに至るまで毎日のように価格が変動して経済が回っていますが、中国ではシステム的に近代化されていないから価格変動に耐えられないのだ。エネルギーからみても中国は人力による石炭の手掘りで生産していますが、飛躍的に伸びる電力消費に追いつくはずがない。だから石油や天然ガスを主力にしていく必要がありますが、両方とも輸入に頼らなければならない。にもかかわらずドルに元を固定しているのは利口な政策ではない。当面でも30%程度の元の切り上げが必要だろう。