福田訪朝のウルトラCに警戒…万景峰号追放に終止符(東アジア黙示録)
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▼福田訪朝のウルトラCに警戒…万景峰号追放に終止符(東アジア黙示録)
北朝鮮の“軟化戦術”を受け、政府は万景峰号の入港制限を解除。膠着状態から一転、福田訪朝のギャンブルも…そして、この機に乗じて親北派が息を吹き返す恐れも出てきた。これまで「拉致は解決済み」との強硬姿勢を崩さなかった北朝鮮が、一転して我が国に秋波を送ってきた。無気味なシグナルだ…北朝鮮がついに揺さぶりに出たのである。6月11日から北京で開かれていた6ヵ国協議の日朝国交正常化作業部会。その席で北朝鮮側が拉致事件の再調査を約束したことが13日午後の町村官房長官の会見で明らかになった。「拉致は解決済みとの立場を変更した。生存者を発見し帰国させるため、調査の必要があると認めた」また北朝鮮側は「よど」号関係者の引き渡しでも協力する姿勢を見せたという。日本側が引き渡しを求めているのは有本恵子さん拉致に関わった安倍公博ら3人と指摘した上で、町村官房長官は、こう語っている。「今後、引き渡しを早期に実現するよう北朝鮮側と調整することになった」過去にも北朝鮮は拉致事件に関して度々「よど号」カードを切る構えを見せて来たが、ここまで具体的になったのは初めてである。そして朝鮮中央通信も13日午後、異例の早さで日朝交渉の内容を報じた。「拉致問題の再調査を実施するとともに、よど号の関係者の問題解決のために協力する用意がある」危険な兆候だ。北朝鮮は今回、ボールを打ち返してきた…我が国が妥協点を探り出せば、そのまま北朝鮮の交渉ペースに巻き込まれる恐れも高い。相手に軟化の気配が見えた時こそ、慎重な対処が問われるのだ。
今回の日朝作業部会で膠着状態から脱するとの観測が出たのは、2日目の協議が終わった時点だった。【4人だけの極秘交渉が開かれていた】「非常に真剣な突っ込んだやりとりをした。単に会合をしたとは思っていない」6月12日午後、協議を終えた外務省アジア大洋州局の斎木昭隆局長は記者団に対して、「突っ込んだやり取り」という表現を数回使って交渉の雰囲気を説明。北側が「解決済み」という主張を引っ込めたことも明かした。その一方で「福田首相らの判断・評価・指示を仰ぎたい」と述べ、何らかの具体的な交渉テーマが浮上した事実も判明。協議後、北側代表団がにこやかに見送るシーンをカメラが捕らえていた事などと併せてメディアが色めき立った。
昨年3月のハノイ、9月のウランバートルで何も進展が見られなかった日朝作業部会だが、今回は様子が違っていたのだ。約9ヵ月ぶりの日朝公式実務者協議は、11日に北京の北朝鮮大使館で行われた。協議時間は、僅か2時間余り。ところが2日目の協議では5時間以上も続けられ、具体的な交渉に入った気配が濃厚だった。そして、この交渉は、北朝鮮側代表の宋日昊(ソン・イルホ)と斎木局長が、それぞれ担当課長1人を連れ、4人だけで個別に行われたのである。秘密を厳しく保つ必要に為の措置だ。かつて日朝交渉で武勇伝を残した斎木昭隆氏にとっては、日本代表としてのデビュー戦である。北朝鮮側も身構えて本気で臨んできたことが窺える…斎木局長は参事官時代、金正日が拉致を自供した直後の2002年10月、クアラルンプール交渉で一歩も引かず、終始強い口調で北側を責め立てた人物。被害者家族会なども信頼を寄せる外務省のエースだ。安易な妥協で、拉致被害者家族を裏切るようなことはない。それでも、官邸の意向には逆らえない部分もある。特に、福田政権下での交渉本格化には危険が伴う。既に、懸念は現実のものとなった。
【軟化気配だけで一気に制裁解除の愚】
北朝鮮側の態度変化を受け、日本側は独自に行っている対北制裁の一部解除を発表した。
①チャーター便の乗り入れ規制解除
②北朝鮮籍保有者の往来原則禁止解除
③人道物資を運ぶ北朝鮮籍船舶の入港規制解除
これらは、帰国した斎木局長から報告を受けた福田首相が高村外相らと協議した結果「一定の前進」と認めて決定した措置だ。船舶の中には工作船の万景峰号も含まれる。対北制裁のシンボルが突然、復活してしまったのだ。「日本からの人道支援物資を積み込みたいということで北朝鮮の貨客船・万景峰号が来た場合は入港は認めるが、人を乗り降りさせることは認めない」(町村官房長官発言)朝鮮総連や反日メディアは「祖国訪問の必要性」を前面出して訴えていたが、重要なのは我が国から北に運ぶ大量の物資だ。何が人道支援物資に該当するのか線引きは難しく、なし崩し的に万景峰号の往来は許可されることになる。朝鮮中央通信は、この制裁解除をクローズアップして報道。福田政権は早くも妥協して自ら制裁に風穴を開けてしまったのだ。さっそく罠にかかった格好で、当然、非難の声もあがった。
【息を吹き返す親北派議員たち】
拉致被害者家族会は13日夜、政府から説明を受けた後、記者会見を開催。飯塚繁雄代表や増元照明事務局長は、こう批判した。「必ずしも満足してない。北朝鮮の口約束の『再調査する』は今まで3、4回も聞いた」「拉致問題の進展というハードルを下げた。政府は方針転換したのではないかと感じている」また13日夕方、斎木局長から直接説明を受けた「拉致議連」の平沼赳夫会長も、福田政権の前のめり姿勢を牽制した。「安易な解除には疑問がある。北朝鮮の思い通りに甘いことをすべきではない」安倍前首相も「約束したことをちゃんとやるか見ながら制裁解除を進めていく(べきだ)」と警戒感を露にし、福田首相にクギを刺している。一方で親北派連中は、 山拓が「一歩前進」 と語るなど揃って高く評価。加藤紘一に至っては絶賛モードで、嬉々として、こう発言した。「いい展開だ。互いに譲り合うバランスのとれた妥協になった」5時間を超した2日目の個別交渉の全容は、未だ不透明な部分が多いが、北朝鮮を利する面が強かったのは間違いない。この交渉を機に、親北議員が発言力を高める恐れも出てきた。そして米国務省当局者も日朝交渉の結果を高く評価するコメントを発表。米国務省サイドは、我が国のブレを最大限に利用するだろう。【巨額支援解禁の流れが強まった】5月27日、北京で開かれた米朝協議後にヒル次官補は、こう述べた。
「米国は日朝関係の改善が6ヵ国協議を進展させる上で非常に重要と認識している」
クリストファー・ヒルと金桂冠…2人の米朝代表が共通の目標とするのが、北朝鮮のテロ支援国家指定解除。そこで“足枷”となっているのが、テロ年次報告書白書にある「よど号を乗っ取った赤軍派をかくまっている」との記述だ。これまでにも、何度か「よど号」犯に関する胡乱な情報が浮かんでは消えてきた。だが、今年4月の米朝シンガポール協議を契機に、北朝鮮側が日朝交渉に向けて“柔軟姿勢”を見せたという。そこで北朝鮮側が米国に対し、引き渡し問題で具体的な約束をした可能性もあるだろう。かつて金日成がよど号メンバーを「金の卵」と絶賛した歴史的経緯を理由に、北朝鮮は実行犯や家族を厚く保護してきた。ーしかし、10年ぶりに巡ってきた対米融和を逸しない為に、いよいよ首を差し出す覚悟を決めたのかも知れない。見返りとして得られるものは、余りにも大きい。テロ支援国家指定解除の先にあるのは、6ヵ国協議での支援問題だ。北京で日朝作業部会が始まる前日、ソウルでは北朝鮮を除く5ヵ国が経済・エネルギー協力の作業部会を開催。石炭からガス燃料を作る設備の建設で一致した。この無煙炭ガス化設備の建設費用4,000万ドル(約43億円)を北朝鮮が日本に拠出するよう求めていたことが判った。日朝関係の進展を折り込んでの要求である。これに留まらず、6ヵ国協議の北朝鮮支援プランには日本マネーが、どうしても不可欠なのだ。米朝交渉が進む過程で、北朝鮮は6ヵ国協議からの日本排除を狙っていた。だが、日本の協力なしでは支援が立ち行かなくなる現状を米国に説得されたようである。それが今回の“軟化”の真意であって、拉致犯罪への誠意ある態度とはかけ離れている。
【福田訪朝の離れ業にも警戒必要】
金正日が狙う対米融和と巨額支援の獲得。果たして、それを放棄してまで、今や穀潰しの「よど号」犯らを守る理由があるのか…しかも数多の拉致事件の中でも「よど号」妻らが実行したマドリード作戦は異質だ。田宮高麿の妻で在日朝鮮人2世の森順子らの立案・実行で、35号室など労働党機関や金正日直属組織と深くリンクしない。ポーズだけに終わる可能性も高いが、北朝鮮にとって「よど号」カードは、比較的切り易いしかし拉致問題の解決とは、あくまでも被害者の帰国で、容疑者差し出しは関連要素のひとつに過ぎない。「よど号」メンバーを追放したとしても我が国が巨額支援を拠出する前提条件にはならない。
その点は、北朝鮮側も充分に理解しているはずだ。今回の日朝交渉には、未だ明かされていない“隠し球”があるようにも思える。12日夜の時点で、拉致被害者家族会の関係者は、こう疑問を呈していた。
「北朝鮮は追い込まれてカードを切ってきたのではないか。政府認定の拉致被害者のうち、未帰国の12人に擦っている可能性がある」
「よど号」犯の引き渡しは、これまで我が国が交渉のテーブルで再三求めてきた事柄で、わざわざ福田首相の判断を仰ぐレベルではない。まだサプライズが残されている可能性もあり得るのだ。仮に北側が1人でも生存を認め、帰国情報が飛び交うことになれば“大進展”の印象が植え付けられることになる。その際には、福田首相本人が奇怪な動きに出る恐れもある。福田訪朝という曲芸だ。かつて小泉元首相も支持率回復の奇策として2回目の訪朝実現に腐心した。政権低迷の突破口として福田が、賭けに出る可能性は排除できない。拉致対応で安倍前首相と比較されてきた福田にとって、訪朝は数少ない“逆転のチャンス”である。焦る金正日が何を仕掛け、福田政権がどう応えるか…北朝鮮が強硬姿勢に徹している間は、我が国も一貫した対応を取れるが、軟化した時は政府・メディアも足並みを乱し、世論も誘導される。特に、対話路線を全面に掲げた親北派議員の動きには充分な警戒が必要だ。北朝鮮の一転した“柔軟姿勢”で、再び日朝関係は危険水域に突入したのである。〆
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▼【福田政権考】封印解かれた2法案の「危険性」 阿比留瑠比(iza)
今国会は、憲政史上初となった福田康夫首相(71)への問責決議可決をクライマックスに、21日にひとまず閉会する。だが、国会論戦の表舞台にはまだ出てきていないものの、水面下では、自民、民主両党の推進派と反対派が次期国会提出の可否をめぐってしのぎを削っている2つの重要法案がある。保守派の安倍前政権下では封印されていた人権擁護法案と永住外国人地方参政権付与法案がそれで、ともに予断を許さない状況にある。
■一般永住者にも参政権
民主党の外国人参政権推進派による「永住外国人住民法的地位向上推進議員連盟」=岡田克也(かつや)会長(54)=は5月、法案の素案となる提言をまとめたが、その内容は驚くべきものだった。
戦後、サンフランシスコ講話条約の発効で日本国籍を離脱した者とその子孫である「特別永住者」だけでなく、出入国管理法の規定により法相が永住を許可する「一般永住者」に対しても、等しく地方参政権を付与するというのだ。これは、2006年末時点で国内に約11万7000人いた中国人永住者にも地方参政権を付与するということだ。長野での北京五輪聖火リレー時における中国人による警官殴打などの振る舞いを見ても、中国の弾道ミサイルが多数、日本に向けられていることを考えても、これは行き過ぎではないか。
また、提言は「当分の間、わが国と外交関係のある国の国籍を有する者」を対象としており、当面は朝鮮籍の永住者は除外される。だが、これは少なくとも日朝国交正常化後には、朝鮮籍の永住者も参政権を行使できるということを意味する。そして、民主党内で外国人参政権を推進する議員と、早期の国交正常化に賛成する議員はかなりの部分、重なっているのだ。今のところ民主党内では「この問題で党を二分し、ヒビが入ってはいけない」と指摘する渡部恒三(わたなべ・こうぞう)最高顧問(76)のような意見も強く、提言が即座に党の方針として採用されるわけではなさそうだが、小沢一郎代表(66)の判断次第ではどう転ぶか分からない。
■堂々巡りの議論
やはり5月の自民党の人権問題等調査会=太田誠一会長(62)=の会合では、推進派と反対派の接点が見つからない人権擁護法案に代えて、いわゆる「太田試案」が示された。旧法案では、強大な権限を持つ人権委員会が、令状もなしに人権侵害を疑われた相手を特別調査(家宅捜索)できる半面、肝心の人権侵害の定義があいまいでいくらでも恣意(しい)的な運用ができると指摘されていた。
そのため、太田試案は人権救済の対象をいくつかの類型に限定し、権力の乱用を防ぐとともに「対等な人の間のもめ事は対象にしないとはっきりさせた」(太田氏)。ところがこれも、百地章(ももち・あきら)日本大学教授(61)が「危険性は旧法案と全く変わらない」と指摘するように反対派から反論され、議論は堂々巡りで延々と続いている。
特に、法案成立後には全国に2万人が配置されることになる人権擁護委員に関して、反対派から国籍条項がないことへの批判が強かったが、この点について太田氏はこう説明した。「今の(人権擁護委員法が定める)人権擁護委員は地方参政権を持っていないといけない。その制度をそのまま継続することで外国人は排除される」だが、これも民主党の外国人参政権推進派の提言が実現し、さらに日朝国交正常化が実現したらどうだろう。中国籍や朝鮮籍の永住者が人権擁護委員に就き、本国に有利なように権限を行使する可能性はだれにも否定できないのではないか。太田氏は、国会閉会中も調査会で法案の検討を続ける意向だ。国民が議論の行方を監視し、ときに応じて自ら声を上げていく必要がある。(政治部)
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