西 村 眞 悟 時事通信 ・ 日本の進路■ 国際派日本人の情報
彼等は何をしているか分らない
No.349 平成20年 6月12日(木)
西 村 眞 悟
腐敗と公金横流しが常態化した中国共産党の幹部連中に関して、次のように評論した友人がいる。「彼等を『善い中国人』と『悪い中国人』に分類するのは間違いである。彼等は、『悪い中国人』と『非常に悪い中国人』に分類されるべきである」中国共産党の、チベット人虐殺と弾圧、そして、国際的非難に対する傲慢な居直りを観ればこの分類は実に適切である。
そして、昨日と本日の国会の状況を衆議院本会議場で観ていて、与野党の二つの大きな集団を率いる日本人も次のように分類できるのではないかと思った。即ち、「アホな日本人」と「非常にアホな日本人」この理由は、以下の通り。
そもそも、福田康夫氏は、如何にして国会で総理大臣に指名されたのか。昨年九月二十五日、つい最近のことだから、思い返すまでもない。
福田氏は、衆議院で指名され、参議院で指名されなかった。
そこで、憲法の規定により、両院協議会を開き、衆議院の議決を国会の議決として総理大臣になった(憲法六十七条)。
つまり、もともと参議院は福田氏を指名していないのだ。指名していないということは、信任していないということだ。
ところが、昨日参議院では「福田君を信任せず」との決議が為されたとマスコミが騒いでいる。そしてこの議案を提出した党の幹部は鬼の首を取ったように昨夜呑んでいたと報道されている。
しかし、そもそも別に新しい事態が生じた訳ではない。昨年の総理の指名の時と同じ結果になったにすぎない。つまり、同じことを繰り返しただけだ。しかし、本日から野党は新たな事態が生じたように、全ての審議を拒否して衆議院の本会議にも欠席している。
昨年の九月二十五日以来、参議院は福田君を信任していないのであるから、昨年の九月二十五日から審議を拒否していたのなら分る。
しかし、野党の会議欠席は今日からである。ということは、昨日まで野党は福田君を総理として信任していたのであろうか。そうであれば、野党は自ら昨年九月二十五日の参議院の議決と矛盾したことをしていたことになる。つまり、野党は自分で自分の行動を説明できないではないか。さらに言うならば数にまかせて参議院を政争の具に使うことで衆議院の優位性を如実に際だたせてしまい、かえって参議院の存在意義を否定する事になってきた。勝ったと有頂天になって、勝っているはずの参議院の存在意義を自らおとしめているのだから滑稽である。
次に、与党であるが、もともと衆議院の議決だけで憲法の規定により総理大臣になったのが福田氏である。そうであれば、今日になってまた衆議院に「福田君を信任する」との議案を提出する必要もない。
ということで、誇りあるインディペンデントつまり無所属の立場である当職は、この同じことを繰り返して国政を停滞させる無益で馬鹿馬鹿しい二種類の日本人の演出による猿回しには参加しなかった。つまり、衆議院の議場にはいたが採決には参加しなかった。これが私の本日の態度決定である。つくづく、無所属とはただ国家(ネーション)に所属していて国家以外の一定の党派の親分の言いなりにならない貴重な立場だと思う。
もっとも、党派に所属しながら、国家意識がない議員が多いが、彼等も、意味の全く違う、「無所属」であろう。国会には、同じ無所属でも「党派に属しているが国家に属していない無所属」と「党派に属していないが国家に属している無所属」という意味の正反対の二種類の無所属の議員がいるということである。ところで、冒頭に紹介した二種類の日本人のことであるが、どちらの党の幹部がどちらの種類の日本人に分類されるか、どうか、諸兄姉、ご判断いただきたい。(了)
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日本の進路★0420★080612★首相問責・内閣信任は幼稚園並みだ。
★ 表題: 参院の首相問責・衆院の内閣信任、まるで幼稚園の遊技
林 凛明 kxnb@104.net
◇ 2008年6月11日午後、野党三党が提出した福田康夫首相に対する「問責決議」案が、参議院において野党の賛成多数で可決されました。首相に対する問責決議が可決した例は、現行憲法上初めてのことであります。
◇ 「問責決議」自体は法的な拘束力がなく、PR(ジェスチャー・パフォーマンス)効果はともかく、無視しても差し支えない(問題ない)ものであります。
◇ 与党側は上記に対抗する意思表明として、2008年6月12日午後、衆議院において「内閣信任決議」案を、自民・公明等の賛成多数で可決しました。
◇ 「内閣信任決議」は、憲法上(憲法第69条=衆院のみ)に規定があり、一見無価値では無いように思われますが、現状では、かかる採決の実質的な意義は、皆無(無用)と言わざるを得ません。
◇ 日本は、石油「エネルギー」価格の著しい高騰・「食糧」品の価格上昇と枯渇化問題・社会保障費膨張に伴う「財政」窮乏等、日本の将来を破壊する重要懸案が差し迫っています。
◇ にもかかわらず、国会議員連中は、目先の党利党略に明け暮れて、日本の進路・重要課題が何であるかが分かっておらず、「幼稚園の遊技」類似の意義のない決議のため右往左往しています。読者である「あなた」は、本当に「情けない」と思われませんか?。
■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■
四川省災害復興でますます増える手抜き工事
国際派時事コラム「商社マンに技あり!」 泉幸男
四川省大地震で、鉄筋ぬきの手抜き建築の悲劇が世界中に知れ渡り、数多くの家族を涙の河に突き落としたからには、今後はこれを教訓に手抜き工事の取り締まりが強化されて、次なる災害に備えることだろう……
……と、日本人なら考えるのだが、それが通用しない異文明の地こそ中国であることを、ある新聞記事が改めて思い知らせてくれたので、ご紹介したい。
■ もういちど大地震が起きるまで ■
いわく、被災地復興で手抜き工事は激増するだろう。
今回手抜き工事が明らかになっても、誰も罰せられていないから。大地震がいちど起きれば、そのあと相当の期間は同じ大地震は起きまいと、業者は達観している。手抜き工事は、もういちど大地震が起きない限り発覚しないのだから、被災地復興は手抜きをしても大丈夫。
復興建設こそ、質より量が優先されてしまうのだ ――
そんな、驚きのインタビュー記事を、中国・広東省の『珠江晩報』紙が5月26日に配信していた。長い記事ではないので、全文を訳してご紹介する。(中見出しはコラム子がつけた。原文にはありません。)記者名は「潘多拉(はん・たらつ)」とある。おそらくペンネームだ。
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≪すすむ災害復興 工務店社長が警告
地震救済作業が急がれるなか、復興建設も計画実施の段階となった。わたしの知り合いの工務店社長もおかげで仕事にありついている。さっそく質問してみた。「今回の地震で倒壊した建物の多くは学校で、たくさんの生徒たちが悔しい思いを残して死んでいった。あれはやはり、世に言われる <豆腐渣工程(おから工事 =手抜き工事)> だったのでしょうか」
■「正直、無理だね」■
工務店の社長の答えはあっさりしたものだった。「倒壊した建物のプレハブ建材には鉄筋が1本も入ってなかったろう。訊くまでもないことだろうよ。べつに工務店のおやじでなきゃ分からぬものでもあるまい。バカでも一目見りゃすぐ分かることさ」そこでわたしは言葉を継いだ。「それなら今後の復興建設では、業者さんたちはこれを教訓にして <おから工事> の根絶に努力することでしょうね」工務店社長は苦々しそうな笑いをうかべた。「正直、無理だね」わたしは仰天した。「よりによって災害復興というのに、また <おから工事> をやるだなんて!報いが怖くないんですか?」
■ 賄賂の連鎖でうまれた「裏ルール」■
「報いだって? 地震そのものだろ、報いって。地震以外に、何の報いがあるってんだよ」工務店社長いわく、耐震基準を下回る工事をするのが土建業界の「裏ルール」になっているという。建設業者、デベロッパー、オーナー会社から、計画・開発・入札・建設・監督に何らかのかたちで関わる人たちまで、それぞれ気がついては いても あえて口には出さず、それぞれの段階で賄賂を貰い受けさえすれば、誰も追及などしない。
工務店社長が心配しているのは、災害復興にあたって手抜き工事がさらに増えるだろうということ。広い面積にわたり大規模の工事を、限られた時間内に集中して仕上げなければならない。計画・入札・管理監督のそれぞれの局面が繁忙化し、仕事量もふえて、いきおい管理監督も行き届かなくなる。そうなれば、建設業者・デベロッパーが手抜き工事をしても見つかるリスクは低い。
■ 建設業者の確率論 ■
そして、建設業者・デベロッパーからすると、そもそも或る場所で大地震が起こる確率というのは低いのだから、ましてや同じ場所で短期間の間に再び大地震が起きる可能性はもっと低い。そう判断して 一部の建設業者・デベロッパーは なにはばかることなく安心しきって「手抜き」のやりたい放題なのだ。工務店社長の分析は、たしかに論理が一貫していて、まさに建設業界の実情を反映したものだった。そらおそろしいばかりだ。わたしは絶望の思いでたずねた。「もう、どうしようもないのでしょうか」
■ 目の前にある手抜き工事の厳正処罰が先だ ■
工務店社長は表情をやや和らげて言った。「なんとかならんわけでもない。取り締まりが本気で行われるかどうかだな」工務店社長いわく、1998年の洪水のとき、江西省の九江で長江(揚子江)の堤防が決壊し、朱鎔基総理が激怒して堤防工事の「手抜き」ぶりを非難したことがあった。ところがそのときも、誰かが責任を追及されたなどという話は聞こえて来なかった。今年はじめの中国南部の雪害でも、電線関連の「手抜き」が見つかったが、責任追及の話は聞こえてこない。
過去の失敗に懲りないかぎり、それを教訓にして慎重になるわけもない。もし今回の復興工事でさらに手抜きを増やしたくなければ、先ず初めに地震によってさらけ出された手抜き工事の数々を厳正に処罰するしかないな。それ以外に方法はないな……。
■ 目覚めよ! ■
復興工事で手抜きがさらに増えるだろう、とは!これは、良心がまだ残っている工務店社長の警告だ。施策策定部門・管理監督部門の官僚・事務官諸氏には、この声が聞こえているか? 目が覚めてくれたろうか?≫
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以上が『珠江晩報』紙の記事である。
地方レベルの目をおおうべきモラルの低さを、高い理想を掲げて取り締まってくれる存在としての都の皇帝。これが、中国の代々の王朝の存立を支えた中国人民の幻想だった。だから、地方役人の悪辣に苦しむ民が、皇帝に訴え出るために上京するという伝統は、中国で脈々として今日まで受け継がれている。今日の北京の中央政府は、苦しみの日常からの突破口を求める地方の人民から救い主に見立てられ、幻想を抱いてもらうことで成り立っているところがある。
■ 幻想が崩れるとき ■
しかし悲しいことに共産党の北京政府もまた、賄賂の連鎖にからめとられ、地方の隅々にまで張り巡らされた親分・子分関係の頂点に位置しているに過ぎない。毒入り餃子の件にせよ、数多くの手抜き工事にせよ、処罰らしい処罰が一向に行われない。それは、数え切れないほどの人々が賄賂に絡めとられているからだし、犯人らが親分のまた親分のまた親分の共産党幹部の庇護をしっかり受けているからだ。
子分を救ってやるのが親分の甲斐性(かいしょう)。子分をいかに救ってやれるかということもまた、中国では権力闘争の一形式なのである。(そしてたまに捨て石になる子分もいる。)親分・子分関係の頂点、賄賂の連鎖の頂点に中国共産党の中央組織が君臨していることが人民の目に明らかになったとき、中華人民共和国を支える幻想ががらがらと音をたてて崩れる。(それがこわいから中国ではメディアへの規制が激しい。) 崩れるのは、学校の建物だけではないのだ。
『珠江晩報』の潘多拉(はん・たらつ)さんの声を聞け。工務店のおやじの声を聞け。さいきんのコラム子のブログ記事から ――
中国・深センの「スイス」テーマパークの破綻の構造
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スイスのインターラーケンの景観をコピーしたテーマパー
クが中国・深センにある。その投資額と採算について、TIME誌の平成19年12月24日号に書いてあるのを今ごろ読んだ。890 ヘクタールの敷地に人工湖をつくり「湖畔」の建物群を整えた。部屋数300室の5つ星クラスのホテルもつくった。従業員は 3,000名という。たぶん融資を得るための条件となった地元雇用貢献ですね。投資額は4億5千万ドル(470億円)。ところが入場客は1日わずか 2,000名で、のっけから破綻へまっしぐらなのだ。
バイオ燃料用の代替作物がかかえる怖さ。暖竹、南洋油桐…
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人間や家畜の口に入るべき玉蜀黍(とうもろこし)や砂糖黍(さとうきび)を、車輌のエンジンで燃やす材料に使う今日の「バイオ燃料」のありかたは、偽善的で嫌いだ。ところが、その代替作物(?)としてもてはやされている植物も、そらおそろしい問題を抱えているという。
ダンチク、ナンヨウアブラギリ、って知ってましたか?
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