メイル・マガジン「頂門の一針」 1213号
メイル・マガジン「頂門の一針」 1213号
日本を永久に武装解除せよ(1)
━━━━━━━━━━━━━━━平井 修一
近年の若者の会話は、ほとんどが「さえずり」のようである。「え! ウソ! マジ!?」が連発、繰り返される。言語の貧困で、高等教育も最高学府もほとんどディズニーランドと化した。
「大学の4年間で読んだ本がハリーポッターだけ、なんていう学生は珍しくないですよ、入社試験のための受験勉強はしても学問と言えるものはゼロ。むしろ学問以外はすべて体験するのが今の大学でしょう」
と言っても、学生諸君は「え! ウソ! マジ!?」。
「4年間の学生生活で、2年間はバイト、1年間はサークルと飲み会と遊び、残りの1年は受験勉強ですから学問なんてする暇がありませんよ」
学生諸君は再び「え! ウソ! マジ!?」。「ところで諸君はなんのために大学へ進学したのですか?」しーん。これってありか、小生も「え! ウソ! マジ!?」。ま、小生も1年生のときはそんなだったか。
ところで、「真面目な話は暗くなる」と言ったのは誰だったろう。しばらく真面目な話をしたいが、当然暗い話になる。言いたくないことを言わねばならないから、書くほうも読むほうもともに楽しくはない。辛う
じて知的好奇心がある読者から「おもしろい」と思われることを信じながら以下文字を紡ぐ。
「国家とは国語である」
山本夏彦翁が語っていたが、つまり「国家なくして国語なし」「国家ありて国語あり」ということになる。小生が子どもの頃、「みっともないことはおよし」などとよく母に言われた。マナー違反、公衆道徳違反、人倫(人間として守るべき道)や世間の良識にもとることは「恥ずかしいことだ」と教えられた。
「みっともない」は「もったいない」とともに日本から消え去りそうな言葉である。「操を守る」「貞淑」「親孝行」「忠君愛国」なんていう言葉はすっかり消えた。国語がどんどん消えているということは国家も
また日々溶けているということだろう。北極海の氷のように。
「日本の統治体制の改革」と題する昭和21(1946)年1月7日付けのGHQ(連合国総司令部)の最高機密ファイルがある。敗戦後の日本をどう改造するか、その大本である憲法をどう作るかという米国国務省・陸軍省・海軍省調整委員会(SWNCC、スワンク)が承認した米国政府の指針を示す文書で、一般的に「SWNCC228」と呼ばれているそうだ。
浅学非才の小生は57歳の今日まで知らなかった。
<日本における軍部支配の復活を防止するために行なう政治改革の効果は、この計画を日本国民が受け容れるか否かによって、大きく左右される。・・・日本国民がこの変革を受け容れ易いようにする方法を考慮するとともに、変革の順序と時期の問題をも考慮しなければならない。・
・・本文書は、公表されてはならない>
GHQが戦後の日本の骨格、憲法を作ったことがばれたら問題になる、と言っている。それはそうで、大層「みっともない」ことである。
<日本人が、天皇制を廃止するか、あるいはより民主主義的な方向にそれを改革することを奨励支持しなければならない。しかし、日本人が天皇制を維持すると決定したときは、最高司令官は、日本政府当局に対し、・・・安全装置が必要なことについても注意喚起しなければならない>
「安全装置」とは、天皇陛下万歳、大日本帝国万歳と言って国民が火の玉になって外国の悪逆と戦わないための仕組みで、「友だちの嫌がることはしない」というスキームである。
<「降伏後における合衆国の初期対日政策」において、日本に対する合衆国の究極の目的の1つは、次のようなものであると述べられている。
「他の諸国家の権利を尊重し、国際連合憲章の理想と原則に示されている合衆国の目的を支持する、平和的かつ責任ある政府を最終的に樹立すること」>
ここにアメリカの属国として、軍事権、外交権の無い戦後日本が誕生したのである。そう言えば「知識人、インテリゲンチャー」という言葉もほとんど死語だ。その知識人、インテリの最後の一人である福田恆存氏が「滅びゆく日本」で嘆くまいことか。以下次号。
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親の意見とナスビの花は
━━━━━━━━━━━ 渡部亮次郎
ナス科の1年草(熱帯では多年草)で,ナスビともいう。果実を食用とする重要野菜である。インドの原産で熱帯から温帯地方に広く栽培される。中国での栽培はきわめて古く、千数百年の歴史を有する。
日本への渡来年代は不明であるが,最古の記録として,正倉院文書に〈天平勝宝2年(750)6月21日藍園茄子を進上したり〉とあり,古くから栽培され重要な野菜であったと推定される。木質化する茎は枝分れして高さ60~120cm。花は普通単生であるが,品種により房状に2~3花つける。花色は紫。果形は卵形から長楕円形まで,なかには球形のものもある。すべての花が実を結ぶ。
このことから日本では古来、諺として「親の意見(教え)と茄子(なすび)の花は千に一つの仇(あだ=無駄)は無い、と子を納得させてきたが、最近は親が諺を知らない。
茄子は古くから主要野菜として発達しただけに各地で栽培され,交雑採種も容易なことから,日本の各地域ごとに多くの地方品種ができあがった。これら地方品種で,はっきり区別できるものだけでも150以上ある。
(1)丸ナス群 巾着(きんちやく),芹川(せりかわ)に代表される品種で,北陸地方,東山地方,京阪で栽培。
(2)小丸ナス群 橋ぎ(もぎ),民田(みんでん)などの品種で,生育日数の短い東北,北海道で栽培。
(3)卵形ナス群 千成(せんなり),真黒(しんくろ)などの品種で,関東で栽培。
(4)中長ナス群 橘田(きつた),大市(おおいち)などで,関西,山陰,東海地方で栽培。
(5)長ナス群 南部長(なんぶなが),大阪長(おおさかなが)などで,東北と関西以西で栽培。
(6)大長ナス群 博多長,久留米長などで,九州で栽培。その他へたが緑色の米国大丸ナス,観賞用に作られるタマゴナスなどがある。日本では大正末期から数多くの品種が育成されており,現在栽培されている品種の大部分は一代雑種である。おもな品種は千両,新早真,千両2号,黒陽などである。主産地は埼玉,群馬の各県で,促成栽培の盛んな地方は高知,福岡,熊本の各県である。
露地栽培は普通3月にまき,5月に定植し,収穫は6月から10月にかけて長期間行われる。開花後20~25日のものを収穫する。温暖な気候を好み,気温が低いと落花や不良果が発生するが,近年はホルモン剤の利用によって低温期の着果も容易となっている。
果実100g中の成分は水分94.1g,糖質3.4g,タンパク質1.1g,脂質0.1g,灰分0.6g,ビタミン A23IU(国際単位),ビタミン B10.04mg,ビタミンB20.04mg,ビタミン C5mgである。糖質をすこし含むだけで栄養的価値はほとんどない。
果皮の色素の本体はデルフィニジン delphinidin で、この色素は鉄塩と青色の複塩を作りやすい。漬物に鉄釘やミョウバンを加えると鮮やかな青になるのはこのためである。
果実は各種の漬物や煮食用に利用され,葉は粉末にして,沢庵(たくあん)漬にぬかに混ぜて利用される。また,果汁やへた,茎,葉の匙汁などはいぼ,凍傷,にきびなどに外用として効きめがある。
奈良時代すでに蔬菜(そさい)として栽培、売買されてもいた。《延喜式》には,おもに〈捺漬(ひしおづけ)〉〈糟漬(かすづけ)〉〈荏裹(えづつみ)〉などの漬物にされていたこと,ならびに,その耕作についての記述が見られる。
漬物,汁の実,煮物,揚物,あえ物,焼物と,きわめて利用範囲の広い野菜であるが,しぎ焼といえば,いまではナスを油で焼いて練りみそをつけて仕上げるのが普通であるが,もともとは当然ながら野鳥のシギを用いたものであった
鴫壺は漬けナスの中をくりぬき,そこにシギの肉をつめて煮るものであったが,鴫壺焼になると焼きナスの上に木の枝でシギの頭を作ってのせて出す料理になり,油とみそを使う現在のものはその後の変化である。
しもやけの治療には,根や茎,葉を枯らして匙じ,これに患部を漬ける
処方などもあった。2008・06・05
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心の病の心もとなさ
━━━━━━━━━平井 修一
身長185センチ、体重120キロもあるラグビー選手のような大男が入院してきて終日病院は大騒ぎだった、と精神病院の看護婦であるカミサンが過日帰宅するや元精神病(ウツ病)の小生に報告する。
カミサンは思い切り話さないと「腹ふくるるわざ」(徒然草)になり欲求不満が昂じるのだ。ガス抜きである。小生は必死で聞き役になる。
この病院は基本的に包丁を持って人を殺すような重症患者は受け入れていないが、時々自損、他損行為をする患者はいる。
ところがこの大男は入院が厭で大暴れ。なにしろ力があるから男性看護師が5人で押さえても振り回されてしまう。どうにか保護室のベッドに拘束し、注射して眠らせたが、2人の看護師は眼鏡を壊されてしまったと言う。
精神病患者は急性期と慢性期に分けられる。急性期は病気になりたてのため症状が緩和することもあるが悪化することもあるという微妙な時期で、自損、自殺も多いから眼が離せない。一方、慢性期は「心が壊れて回復が期待できない状態」で、食事やトイレもできない人もいる。
心の病気には誰がかかってもおかしくない。現役の女医さんが担ぎ込まれたり、看護婦さんが入院したり、普通の人が入院してくる。(ここまでの原稿はカミサンにチェックしてもらったから大筋間違いはない。以下は小生の元患者の経験からの類推)
心は結構ヤワで、筋肉を鍛えるようにはいかない。心の健康状況はレントゲンでもCRT、MRI、血液検査でもまったく補足できない。ある日、突然、あるいは徐々に症状が悪化してダムが決壊するように病気が発覚する。
自殺は罪がないほうで、人を殺めることも多い。それで初めて「こいつ、病気か」と周囲は分かるが、殺された人は救われない。
ここまで書いたら日曜出勤のカミサンが帰宅した(8日)。話題は今日の「秋葉が原の通り魔殺人」になった。小生は27年前、昭和56(1981)年6月の川俣軍司の「深川通り魔殺人」を思い出した。クスリでおかしくなり「電波がひっついている」と言って心神耗弱が認められ、死刑を免れた。
おかしい人がおかしいことをやる前には何らかのサインがある。それを読み取れる場合と読み取れない場合がある。少なくとも川俣軍司のケースでは際立った反社会性があり、事前に鎖につないでおくべきだった。
おかしな奴を拘束しておく「予防拘禁」は必要ではないかとカミサンに言うと、「あんたが真っ先に拘束されるよ」。ふーん、それはありだな、よく観察しているなあ、「ははは、俺もそう思うよ」と自分でも認めてしまうほど「本源的自分・野生の自分」に不信感をもっている。正直言って自分が怖い。
飼育員を襲ったベンガル虎のような、あるいは川俣軍司のような暴発、激発をしでかしかねない(自暴自棄、反社会性の)血が流れており、ウィリアム・フォークナー の「燃える納屋」を読んだときは放火犯 に我
が身が重なり本当に怖かった。理性と知性、教養、道徳、愛国心など善なるものを総動員して我が身の野性、暴性を辛うじて押さえ込んでいるが、「こいつ大丈夫か?」と己に常に疑念を抱いている。
こんな人、他にいるのなら悩みを共有したいものである。ちょっとおかしい、あるいはかなりやばいキャラである。とにかく迷惑をかけずに晩年を静かに過ごしたいと思い、それをカミサンも家族も望んでいる。精
神病質というのはやはりあるようだ。
日本を永久に武装解除せよ(1)
━━━━━━━━━━━━━━━平井 修一
近年の若者の会話は、ほとんどが「さえずり」のようである。「え! ウソ! マジ!?」が連発、繰り返される。言語の貧困で、高等教育も最高学府もほとんどディズニーランドと化した。
「大学の4年間で読んだ本がハリーポッターだけ、なんていう学生は珍しくないですよ、入社試験のための受験勉強はしても学問と言えるものはゼロ。むしろ学問以外はすべて体験するのが今の大学でしょう」
と言っても、学生諸君は「え! ウソ! マジ!?」。
「4年間の学生生活で、2年間はバイト、1年間はサークルと飲み会と遊び、残りの1年は受験勉強ですから学問なんてする暇がありませんよ」
学生諸君は再び「え! ウソ! マジ!?」。「ところで諸君はなんのために大学へ進学したのですか?」しーん。これってありか、小生も「え! ウソ! マジ!?」。ま、小生も1年生のときはそんなだったか。
ところで、「真面目な話は暗くなる」と言ったのは誰だったろう。しばらく真面目な話をしたいが、当然暗い話になる。言いたくないことを言わねばならないから、書くほうも読むほうもともに楽しくはない。辛う
じて知的好奇心がある読者から「おもしろい」と思われることを信じながら以下文字を紡ぐ。
「国家とは国語である」
山本夏彦翁が語っていたが、つまり「国家なくして国語なし」「国家ありて国語あり」ということになる。小生が子どもの頃、「みっともないことはおよし」などとよく母に言われた。マナー違反、公衆道徳違反、人倫(人間として守るべき道)や世間の良識にもとることは「恥ずかしいことだ」と教えられた。
「みっともない」は「もったいない」とともに日本から消え去りそうな言葉である。「操を守る」「貞淑」「親孝行」「忠君愛国」なんていう言葉はすっかり消えた。国語がどんどん消えているということは国家も
また日々溶けているということだろう。北極海の氷のように。
「日本の統治体制の改革」と題する昭和21(1946)年1月7日付けのGHQ(連合国総司令部)の最高機密ファイルがある。敗戦後の日本をどう改造するか、その大本である憲法をどう作るかという米国国務省・陸軍省・海軍省調整委員会(SWNCC、スワンク)が承認した米国政府の指針を示す文書で、一般的に「SWNCC228」と呼ばれているそうだ。
浅学非才の小生は57歳の今日まで知らなかった。
<日本における軍部支配の復活を防止するために行なう政治改革の効果は、この計画を日本国民が受け容れるか否かによって、大きく左右される。・・・日本国民がこの変革を受け容れ易いようにする方法を考慮するとともに、変革の順序と時期の問題をも考慮しなければならない。・
・・本文書は、公表されてはならない>
GHQが戦後の日本の骨格、憲法を作ったことがばれたら問題になる、と言っている。それはそうで、大層「みっともない」ことである。
<日本人が、天皇制を廃止するか、あるいはより民主主義的な方向にそれを改革することを奨励支持しなければならない。しかし、日本人が天皇制を維持すると決定したときは、最高司令官は、日本政府当局に対し、・・・安全装置が必要なことについても注意喚起しなければならない>
「安全装置」とは、天皇陛下万歳、大日本帝国万歳と言って国民が火の玉になって外国の悪逆と戦わないための仕組みで、「友だちの嫌がることはしない」というスキームである。
<「降伏後における合衆国の初期対日政策」において、日本に対する合衆国の究極の目的の1つは、次のようなものであると述べられている。
「他の諸国家の権利を尊重し、国際連合憲章の理想と原則に示されている合衆国の目的を支持する、平和的かつ責任ある政府を最終的に樹立すること」>
ここにアメリカの属国として、軍事権、外交権の無い戦後日本が誕生したのである。そう言えば「知識人、インテリゲンチャー」という言葉もほとんど死語だ。その知識人、インテリの最後の一人である福田恆存氏が「滅びゆく日本」で嘆くまいことか。以下次号。
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親の意見とナスビの花は
━━━━━━━━━━━ 渡部亮次郎
ナス科の1年草(熱帯では多年草)で,ナスビともいう。果実を食用とする重要野菜である。インドの原産で熱帯から温帯地方に広く栽培される。中国での栽培はきわめて古く、千数百年の歴史を有する。
日本への渡来年代は不明であるが,最古の記録として,正倉院文書に〈天平勝宝2年(750)6月21日藍園茄子を進上したり〉とあり,古くから栽培され重要な野菜であったと推定される。木質化する茎は枝分れして高さ60~120cm。花は普通単生であるが,品種により房状に2~3花つける。花色は紫。果形は卵形から長楕円形まで,なかには球形のものもある。すべての花が実を結ぶ。
このことから日本では古来、諺として「親の意見(教え)と茄子(なすび)の花は千に一つの仇(あだ=無駄)は無い、と子を納得させてきたが、最近は親が諺を知らない。
茄子は古くから主要野菜として発達しただけに各地で栽培され,交雑採種も容易なことから,日本の各地域ごとに多くの地方品種ができあがった。これら地方品種で,はっきり区別できるものだけでも150以上ある。
(1)丸ナス群 巾着(きんちやく),芹川(せりかわ)に代表される品種で,北陸地方,東山地方,京阪で栽培。
(2)小丸ナス群 橋ぎ(もぎ),民田(みんでん)などの品種で,生育日数の短い東北,北海道で栽培。
(3)卵形ナス群 千成(せんなり),真黒(しんくろ)などの品種で,関東で栽培。
(4)中長ナス群 橘田(きつた),大市(おおいち)などで,関西,山陰,東海地方で栽培。
(5)長ナス群 南部長(なんぶなが),大阪長(おおさかなが)などで,東北と関西以西で栽培。
(6)大長ナス群 博多長,久留米長などで,九州で栽培。その他へたが緑色の米国大丸ナス,観賞用に作られるタマゴナスなどがある。日本では大正末期から数多くの品種が育成されており,現在栽培されている品種の大部分は一代雑種である。おもな品種は千両,新早真,千両2号,黒陽などである。主産地は埼玉,群馬の各県で,促成栽培の盛んな地方は高知,福岡,熊本の各県である。
露地栽培は普通3月にまき,5月に定植し,収穫は6月から10月にかけて長期間行われる。開花後20~25日のものを収穫する。温暖な気候を好み,気温が低いと落花や不良果が発生するが,近年はホルモン剤の利用によって低温期の着果も容易となっている。
果実100g中の成分は水分94.1g,糖質3.4g,タンパク質1.1g,脂質0.1g,灰分0.6g,ビタミン A23IU(国際単位),ビタミン B10.04mg,ビタミンB20.04mg,ビタミン C5mgである。糖質をすこし含むだけで栄養的価値はほとんどない。
果皮の色素の本体はデルフィニジン delphinidin で、この色素は鉄塩と青色の複塩を作りやすい。漬物に鉄釘やミョウバンを加えると鮮やかな青になるのはこのためである。
果実は各種の漬物や煮食用に利用され,葉は粉末にして,沢庵(たくあん)漬にぬかに混ぜて利用される。また,果汁やへた,茎,葉の匙汁などはいぼ,凍傷,にきびなどに外用として効きめがある。
奈良時代すでに蔬菜(そさい)として栽培、売買されてもいた。《延喜式》には,おもに〈捺漬(ひしおづけ)〉〈糟漬(かすづけ)〉〈荏裹(えづつみ)〉などの漬物にされていたこと,ならびに,その耕作についての記述が見られる。
漬物,汁の実,煮物,揚物,あえ物,焼物と,きわめて利用範囲の広い野菜であるが,しぎ焼といえば,いまではナスを油で焼いて練りみそをつけて仕上げるのが普通であるが,もともとは当然ながら野鳥のシギを用いたものであった
鴫壺は漬けナスの中をくりぬき,そこにシギの肉をつめて煮るものであったが,鴫壺焼になると焼きナスの上に木の枝でシギの頭を作ってのせて出す料理になり,油とみそを使う現在のものはその後の変化である。
しもやけの治療には,根や茎,葉を枯らして匙じ,これに患部を漬ける
処方などもあった。2008・06・05
━━━━━━━━━
心の病の心もとなさ
━━━━━━━━━平井 修一
身長185センチ、体重120キロもあるラグビー選手のような大男が入院してきて終日病院は大騒ぎだった、と精神病院の看護婦であるカミサンが過日帰宅するや元精神病(ウツ病)の小生に報告する。
カミサンは思い切り話さないと「腹ふくるるわざ」(徒然草)になり欲求不満が昂じるのだ。ガス抜きである。小生は必死で聞き役になる。
この病院は基本的に包丁を持って人を殺すような重症患者は受け入れていないが、時々自損、他損行為をする患者はいる。
ところがこの大男は入院が厭で大暴れ。なにしろ力があるから男性看護師が5人で押さえても振り回されてしまう。どうにか保護室のベッドに拘束し、注射して眠らせたが、2人の看護師は眼鏡を壊されてしまったと言う。
精神病患者は急性期と慢性期に分けられる。急性期は病気になりたてのため症状が緩和することもあるが悪化することもあるという微妙な時期で、自損、自殺も多いから眼が離せない。一方、慢性期は「心が壊れて回復が期待できない状態」で、食事やトイレもできない人もいる。
心の病気には誰がかかってもおかしくない。現役の女医さんが担ぎ込まれたり、看護婦さんが入院したり、普通の人が入院してくる。(ここまでの原稿はカミサンにチェックしてもらったから大筋間違いはない。以下は小生の元患者の経験からの類推)
心は結構ヤワで、筋肉を鍛えるようにはいかない。心の健康状況はレントゲンでもCRT、MRI、血液検査でもまったく補足できない。ある日、突然、あるいは徐々に症状が悪化してダムが決壊するように病気が発覚する。
自殺は罪がないほうで、人を殺めることも多い。それで初めて「こいつ、病気か」と周囲は分かるが、殺された人は救われない。
ここまで書いたら日曜出勤のカミサンが帰宅した(8日)。話題は今日の「秋葉が原の通り魔殺人」になった。小生は27年前、昭和56(1981)年6月の川俣軍司の「深川通り魔殺人」を思い出した。クスリでおかしくなり「電波がひっついている」と言って心神耗弱が認められ、死刑を免れた。
おかしい人がおかしいことをやる前には何らかのサインがある。それを読み取れる場合と読み取れない場合がある。少なくとも川俣軍司のケースでは際立った反社会性があり、事前に鎖につないでおくべきだった。
おかしな奴を拘束しておく「予防拘禁」は必要ではないかとカミサンに言うと、「あんたが真っ先に拘束されるよ」。ふーん、それはありだな、よく観察しているなあ、「ははは、俺もそう思うよ」と自分でも認めてしまうほど「本源的自分・野生の自分」に不信感をもっている。正直言って自分が怖い。
飼育員を襲ったベンガル虎のような、あるいは川俣軍司のような暴発、激発をしでかしかねない(自暴自棄、反社会性の)血が流れており、ウィリアム・フォークナー の「燃える納屋」を読んだときは放火犯 に我
が身が重なり本当に怖かった。理性と知性、教養、道徳、愛国心など善なるものを総動員して我が身の野性、暴性を辛うじて押さえ込んでいるが、「こいつ大丈夫か?」と己に常に疑念を抱いている。
こんな人、他にいるのなら悩みを共有したいものである。ちょっとおかしい、あるいはかなりやばいキャラである。とにかく迷惑をかけずに晩年を静かに過ごしたいと思い、それをカミサンも家族も望んでいる。精
神病質というのはやはりあるようだ。