中国、黄海で弾道ミサイル発射実験か 南方拠点の原潜搭載へ
中国、黄海で弾道ミサイル発射実験か 南方拠点の原潜搭載へ
MSN産経ニュース 2008.6.4 01:50 より(再掲)
中国海軍が5月下旬、最新鋭潜水艦に搭載予定の
弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を朝鮮半島西方の
黄海で行った可能性が高いことが3日、防衛省や
在日米軍の情報分析で明らかになった。
発射されたSLBMは開発中の「巨浪2(JL2)」とみられる。
防衛省情報本部などは細部について、調査・分析を始めた。
防衛省によると、発射実験は5月29日に実施され、SLBM
を発射したのは、巨浪2の開発用に改造されたゴルフ級弾道
ミサイル潜水艦だった。
巨浪2は飛行距離が8000キロと米国本土の一部も射程に
入れられるミサイルで、中国海軍最新鋭の原子力弾道
ミサイル潜水艦「094型(「晋」級)」に搭載される予定という。
「晋」級原潜は2004年に1番艦が進水。中国南部の
海南島の軍港を拠点に実戦配備に向けた各種航行試験を
行っており、巨浪2が12基搭載できるという。
防衛省は各種情報の分析から、今回の実験で水中から
発射されたSLBMは、水面からの上昇高度が低く、飛行
距離も短かったとみている。
また、米軍が、北朝鮮による弾道ミサイル発射の兆候が
あった場合などに展開するミサイル追跡艦「オブザべー
ション・アイランド」の投入など警戒態勢を強化した形跡も
なかった。
このため、防衛省では(1)模擬弾頭装着のダミー弾だった
(2)弾頭がないミサイル胴体だけを水中から発射する実験
だった(3)実験は失敗だった-などの観点から分析を
進めている。
防衛省は、「5月20日前後に中国軍が弾道ミサイルの
発射実験を行う可能性がある」との米軍情報を受け警戒
監視を強化していた。
また同月30日には、北朝鮮が同じ黄海で艦対艦短距離
ミサイル3発を発射しており、関連性についても情報収集
している。
■太平洋戦略 日米再検討も
四川大地震の救援活動が続く最中、中国が新型SLBMの
発射実験に踏み切ったとみられることは、日米や台湾、
インドなど周辺諸国に大きな波紋を広げそうだ。
巨浪2が搭載される最新鋭原潜「094型」を中国が南海
艦隊の主要基地、海南島に回航したことは、南方重視の
姿勢を改めて浮かび上がらせている。
北海艦隊の原潜や東海艦隊の通常型潜水艦は、太平洋に
出るには日米が警戒する南西諸島を通過するため行動が
筒抜けだった。
だが、海南島からは、比較的警戒が緩く水深が深い台湾と
フィリピン間のバシー海峡を抜けることが容易で、領有権争い
が続く南沙諸島にも近い。海南島はインド洋からマラッカ海峡
を経て中国本土に向かうシーレーン防衛にも欠かせない
戦略拠点だ。
その海南島に巨浪2を搭載した094型が実戦配備されれば、
米本土の一部のほか、インド本土も射程内に収めることになる。
インドの「海南島への『晋』級原潜の実戦配備」への警戒感は
相当強い。
英軍事専門誌「ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー」な
どは、中国海軍が海南島南部の三亜市の海岸の山にトン
ネルを掘った大規模な地下潜水艦基地を建設中であると
伝えている。
潜水艦は出港帰港時は浮上しており、軍事衛星での探知
が可能だが、地下基地は衛星も探知できない。このため、
太平洋への中国海軍の進出を警戒する米海軍と海上
自衛隊は、太平洋戦略の再検討を迫られることにもなり
そうだ。(大塚智彦)
『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html