頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

ようちゃん、おすすめ記事。↓頂門の一針

タカル役人、媚びるタクシー
━━━━━━━━━━━━━平井 修一
「居酒屋タクシー」・・・うまいこと言うなあ。
民間ならこれは全く問題ないが、タクシー代を税金から払うお役人にこ のサービスを提供するというのはやっぱりまずいだろう。この「接待」というかサービスは、最初はドリンク剤あたりから始まったろう。お客さんへの感謝と慰労の気持ちからだったろう。
それが徐々にエスカレートしていき、おつまみ付きアルコールになった。サービス競争もあったろう。深夜の長距離客は大切だから、このままいけばコンパニオン付きにまでいきかねない(それはないか)。

タクシー会社に雇われる運転手は24時間勤務が普通で、首都圏なら1乗車 勤務で6万円の水揚げがないと厳しい(東京23区内なら6万6000円)。半 分の3万円が収入になる。月曜朝に出社し火曜の朝に帰社、水、木曜が非番で、金曜朝に出社というパターンだから、月に8勤務で24万円。ボーナスを含めてようやく年収300万円だ。

現実には4、5万円の水揚げがやっとの日もあり、体に鞭打って月に12勤 務、13勤務をこなして60万円ほどの水揚げを得ないと生活できない。家 族を養えない。1万円以上の長距離客が1日に1件でもあれば救われるから運転手も必死である。首都圏なら成田空港への客(1万7000円平均)や深夜の酔客、お役人さんは上客だ。

雇われ運転手さんに聞くと、7割の運転手は月給手取り20万円に達しない そうで、多くはサラ金に手を出している。車庫に戻って車を掃除するの も運転手の仕事だが、水揚げの少ない運転手は、同僚から1台1000円で掃 除を引き受けるという。大変な仕事である。

労務管理も厳しくなった。夜に備えて木陰に駐車し昼寝をするというの は以前は珍しくなかったが、駐車している時間分の給料を差し引く会社 もある。時給プラス歩合給の会社が増えているのだ。一所懸命、真面目に、病気にもならず、無事故無違反で2、3年勤めて資金を貯めれば個人タクシーにキャリアアップする資格も得られるのだが、運転手募集の広告は多いから、薄給と厳しい労働に耐えられずに転職する人が多いのだろう。

雇われ運転手さんが嘆く。「24時間、真面目に23区内を流していれば6万円にはなるけれど、生身の体だから食事も休憩もしなければならない。仮眠だって必要です。タクシー運転手になりたくてなった人なんかいませんから、真面目にやれというのが無理なんですよ。

そもそもタクシーが多すぎて、ターミナル駅は客待ちタクシーであふれ ている。これを何とかしてもらわないと」2002年にタクシー台数規制が緩和されて以来、供給過剰になってタクシー運転手の収入は激減している。一番恵まれた東京でさえ、勤続10年、53.8歳の運転手の年収は406万円(年間2376時間)で時給1709円。

同条件の男子常用労働者の場合、年収694万円(年間1921時間)、時給 3630円だから、運転手さんの時給は半分以下の48%だ(厚生労働省、全国 自動車交通労働組合総連合会、2005年)。

最低の徳島県では61.8歳、勤続12年で年収180万円、時給828円で常用労 働者の33%しかない。労働時間は全国4位の長さで、パート並みの時給!
 「働けど働けど」じっと手を見るの状況だ。

「居酒屋タクシー」はタカル役人のおぞましさをあぶりだしたが、奢ら ざるを得ないタクシー運転手の泣きたくなるほどの悲惨な状況にこそ関 心が向けられるべきだろう。タクシー台数の規制は待ったなしではない のか。
━━━━━━━━━━━━━━━━
挑発的・冒険的な中国の軍拡(下)
━━━━━━━━━━━━━━━━翻訳:平井 修一
米上院外交委員会でのカート・キャンベル博士の講演の抄訳の最終回。
・・・・
中国が「信頼できる利害共有者」の働きをするように政策担当者が戦略 を考案することはますます重要で、将来を予見し、アジア太平洋でアメ リカのパワーと影響力の維持を確実にすることです。米国の利益のため、全体的なアジア政策において重要な同盟国との関係を活かす必要があります。戦略には以下の要素を含むべきです。

(1)アメリカの戦略的プレゼンスを再び主張する
新しい政府から明快に、アメリカにとってアジアの永久的な重要性を強 調する強い声明が発せられなければなりません。次期大統領はアジア太平洋での世界的な挑戦と協力の見通しに焦点を当て、アメリカにとってヨーロッパと同様に重要なアジアの展望を伝えなければなりません。

台湾に対するアメリカのポジションへの明白な言及は、同時に中国本土 との相互関係を拡大したいというアメリカの願望の発言で補完されなけ ればなりません。これは、特に「中華帝国」とインドが世界的大国として再び台頭し、数年内には戦略的な競争時代を迎えそうなアジア太平洋では重要です。

(2)強い相互関係を維持する
地域での戦略は、それを支える相互関係が強ければ強いほど有効です。
二国間の同盟関係が地域での無数の難問を扱うことができるかという問 題はありますが、従来の安全保障問題を管理する上では無駄ではありま せん。

アメリカはオーストラリア、インド、日本、韓国、インドネシア、台湾 と強い相互関係を維持しなければなりません。特に日本は依然としてアジア太平洋におけるアメリカのプレゼンスの基盤で、我々の協力関係はブッシュ政権以上に深まらなければなりません。

(3)対外アピール:ゲームに参加し、活発に地域の多国間フォーラムに 従事する

次の国家安全保障会議と国務長官、国防長官は、アジアでハイレベルの 会議に出席することの重要性を認めるべきで、さらにアメリカの戦略的 な利益を進める会議とサミットを活発に開催もすべきです。

国務省はアジア太平洋で会議のために諸機関間の出席方針を明確にし、 あらゆる会議で副長官以上の出席を保証しなければなりません。この方 針を円滑に進めるために、我々は副長官会議の再編を提案します。アメリカは、大臣レベルでの三者間の会談も進めなければなりません。アメリカ、中国、日本の間の会談、またはアメリカ、日本、韓国の間の対話は、特に生産的であることが証明されています。

 (4)軍事の役割を再検証する
アメリカは前方配備の軍事プレゼンスをこの地域で維持しなければなり ません。友人を安心させるため、同時に中国に注意を促すためで、我々 が地域の平和と安定の最終的な保証人であることを明らかにすることで す。軍事プレゼンスは、地域でアメリカの同盟と他の安全保障を確かなものとするために不可欠です。より積極的に、我々は中国を含むすべてのアジア諸国で共に働くことへの我々の熱意を明白にしなければなりません。

テロリズム、海賊行為、大量破壊兵器の拡散に対処するという一般の安 全保障の追求において協働が必要です。中国、日本、韓国、その他の国 が関係している共同の平和維持活動は、参加国の間で安全保障対話の機 会を拡大することにもなります。

 (5)課題を広げること
伝統的な安全保障問題だけに集中することは、アジアに対する広範囲の 利益を追い続けるアメリカの能力を制限するかもしれません。アジア諸 国の主要な問題は、安全保障ではなく経済です。一方、世界的な気候変動とエネルギー問題という課題は、時間とともにますます一般的になっていきます。すべてのこれらの複雑に絡み合う問題は、国際協調的な解決を必要とします。特にアメリカは省エネルギーと協力に対する相互的な米中フレームワークを求め続けなければなりません。

結論:
冷戦時代のアメリカの外交政策の多くは、ある程度の超党派的提携によって特徴づけられました。バンデンバーグ上院議員の不朽の名言ですが、苦々しい情況は「水際で」しばしば止まりました。超党派的提携は現在の議論においてほとんどありません。

この内部対立はアメリカの外交政策の策定と実行で効果を弱めています。前途に横たわっている難問は大きく、アメリカの政治、少なくとも外交政策に関しては、ある程度の共通基盤を再発見する協調努力は、外交政策が真に成功するために最も重要な要件の1つであるかもしれません。

世界的な舞台における強国としての中国の台頭は必ずしも確かなもので はありませんし、必要でもありません。アメリカと中国は、台湾、貿易 摩擦、アジアでの地域紛争、あるいは人権問題について衝突しているの ですから。

アメリカと中国は、現在は驚くほどうまく一緒に広範囲の問題に取り組 んでいます。しかし、中国の意図と拡大する能力が不透明のままである 限り、アメリカと地域の諸国は用心深いままです。

民主党または共和党であれ次期大統領は、ますます中国が関係するアジ ア太平洋で、相当な難問に取り組みむことになります。基盤と協働フレ ームワークを確立することは、地域の安定と安全保障を確実にするため に重要です。この名門のパネルで証言する機会を得たことに感謝します。(終わり)

━━━━━━━━━━━
国際会議は日本語で語れ
━━━━━━━━━━━前田 正晶
ある大学の先生から心配なこと、いや、心配を通り越して憂慮すべきこ とだと痛感する話を聞いた。

大学院生に教えておられるその先生によれば、院生たちが英語でのレポ ート作成、原書講読の準備等の英語関連に費やす時間が、全勉強時間の 60%にも達しており、大学院進学の本来の目的である課題の研究の40%を 超えているというのだ。本末転倒で憂慮すべきことと、全く同感である。

我が国の学校教育における「科学としての英語」教育の不備がこのよう な状況を生み出しているのである。

言葉は意思伝達の手段である。そのための教育の結果が大学院に至って も出ていないのである。しかも「会話能力が必要」などと言っておきな がら、一般人では話すことすら思うに任せないことを何と考えるか!

私は長年「国際化時代に即応すると称する英語学習の押しつけ」を批判 し、「英語が話せないことを卑下する必要は皆無である」と主張してき た。

意志が思うように伝達されねばならぬような職種を選ぶか、その必要に 迫られる人が会話でも何でも投資してでも学べばよいことではないか。
普通に暮らしている人に高度な英語能力がどれだけ必要か、考えなくと も解りそうなものだ。

だが、すでに何やら懇談会が「小学校3年から英語を必修に」という答申 を提出するなど、英語押しつけの勢いは増すばかりである。

言葉は悪いが押しつけ教育の内容が少しは改善されるとしても、飛躍的 に改善される保証はないのではないかと危惧する。また仮令改善されて も、どのような方向に改善されるのか。

だが、少なくとも大学院まで進んでも英語が過剰負担になる危険性があ るような現在の英語教育は改善されねばならないのではないか。

現在の教育の内容の批判は、この欄でもやんわりと行ってみた。教育の内容改善は兎も角、官民挙って英語ができないと国際化に遅れるとでも言っているかのような表現を避けて貰いたいものだ。あれでは一種の脅しに近いものだと私は考えていた。

我が国は英語の介在なくしてあらゆる科学・学問の領域を学べる世界で も数少ない先進国である。英会話の必要などは余程のことがない限り万 人に強制するべきことではない。

上記の先生は「日本の国力からすれば、世界の何処で如何なる会議に出 席しても、堂々と日本語で語り、研究を発表しても何ら恥じるところが ないはずである。自信を持って国際場裏に出て行ける日本人を育成する 時代だ」と力説された。何ら異議はないと申し上げた。

いきなり国際会議で日本語で語れと言うのは飛躍があるという向きもあ るだろう。先生のお説の要点は「一刻も早く、後進のためにも、日本語 を世界の何処に行っても通用させる方向に向ける努力が必要だ」という 点にある。尤もではないか!

ドンデン返しのようなことになるが「英語を適切な方法で十分に学び、 "I know how to express myself in English."くらいの水準に到達する ことは良いいことだ。この段階までの英語能力を身につけて失うものな どない」。