クリントン副大統領は最悪の選択肢? - News&Analysis(ダイヤモンド社) | 日本のお姉さん

クリントン副大統領は最悪の選択肢? - News&Analysis(ダイヤモンド社)

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▼クリントン副大統領は最悪の選択肢? - News&Analysis(ダイヤモンド社)
米民主党大統領予備選の“戦後処理”は予想以上に紛糾しそうだ。
6月3日の最終戦の結果、バラク・オバマ上院議員が歴史的な激戦を制して勝利宣言にこぎつけたことを受けて、焦点はすでに副大統領候補選びに移ったが、敗れたヒラリー・クリントン上院議員の処遇を巡って、党の中枢が真っ二つに割れているためだ。争点は、いわずもがな、クリントン氏の副大統領候補指名の是非である。
オバマ陣営内には、クリントン氏を副大統領候補に選ぶべきではないとの声が根強い。5ヵ月に及ぶ泥仕合――特にオバマ氏暗殺の可能性を示唆する発言――で増幅された感情的な「ヒラリー・アレルギー」もさることながら、なにより変革者を標榜するオバマ氏のイメージを損ねるというのがその理由だ。 民主党のある関係筋は、「あれだけワシントンのオールドポリティクス(古い政治)を批判しておきながら、元ファーストレディのクリントン氏をホワイトハウスに招くことは、自己矛盾以外の何ものでもない」と手厳しい。選挙戦終盤にオバマ氏支持に回った、ジミー・カーター元大統領も、CNNとのインタビューで、「最悪の組み合わせ」と酷評した。
だが一方で、クリントン陣営からは、ここまで接戦を演じてきたクリントン氏の副大統領候補指名を“当然の権利”として求める声が燎原の火のごとく広がっている。特にクリントン氏の元側近らが立ち上げたプロジェクト「VoteBoth(2人に投票を!)」の動きは活発で、オバマ&クリントンの“ドリームチケット”(夢の組み合わせ)の実現を求める1万人以上のサポーターたちが署名活動をネット上で展開。党大物議員への働きかけを強めている。米ウォールストリートジャーナル紙によれば、黒人向けCATV、ブラック・エンターテインメント・テレビジョンの創業者であり、大物黒人実業家のロバート・ジョンソン氏も、ドリームチケット実現に向けて、党幹部の説得に動き始めたという。こうした動きに苛立つオバマ陣営では、「裏でクリントン氏が動いているのではとの疑心暗鬼が広がっている」(民主党関係者)という。渦中のクリントン氏は、党内の亀裂が深まることを恐れてか、5日に、「自らは副大統領候補になることを求めていない」との声明を出した。7日の敗北宣言でも同じ言葉を繰り返すと見られている。しかし、ドリームチケットを求めるクリントン陣営の動きは日増しに活発化するばかりである。

有力女性候補は他にも多数、クリントン氏を選ぶ必要なし?
では、11月のジョン・マケイン共和党大統領指名候補との本選に向けて、民主党の再結束を急ぐオバマ氏はどう出るのか。
すでにオバマ陣営は故ケネディ大統領の娘、キャロライン・ケネディ氏や政府系住宅金融機関ファニーメイのジム・ジョンソン元CEOらを招き、副大統領候補選定の特別チームを立ち上げている。米メディアによれば、オバマ氏は記者団に対して「前から言っているとおり、クリントン氏ならば、誰のショートリスト(最終候補者)にも入るだろう」と語ったという。ちなみに、オバマ氏のショートリストには、コネチカット州選出の大物議員で現在上院銀行委員長を務めるクリス・ドッド氏のほか、ウェズリー・クラーク退役大将らが含まれていると見られている。また、カンサス州知事のキャサリーン・セベリウス氏を筆頭に、同氏の弱点である白人労働者層、女性層の支持確保を意識した女性候補も複数浮上してきており、前出の民主党関係筋も「わざわざクリントン氏を選ぶ必要はない」と言い切る。
 
識者の声も総じて“クリントン”という選択肢には懐疑的だ。英エコノミスト誌前編集長のビル・エモット氏は、「変革のイメージが薄れ、マケイン陣営に巻き返しの糸口を与えることになる」と警鐘を鳴らす。「オバマ氏がクリントン氏を選ぶとすれば、それはやはり民主党長老の圧力によるものであり、オバマ氏は古い力に屈したという悪いイメージを世間に与えたまま、本選を戦わなければならなくなる。政策のサブスタンス(中身)よりもイメージで勝負する彼にとっては致命傷ともなりかねない」。それでも昨日の敵は今日の友と割り切り、調和を重んじてタッグを組むのか。あるいは初志貫徹で“変化”のメッセージを重視するのか。前者の道を選べば、身内のオバマ陣営を落胆させ、後者ではクリントン陣営との亀裂が深まる。いずれの道を選ぶにせよ、オバマ氏は大激戦の戦後処理に追われつつ、共和党のマケイン候補との本選に突入することになりそうだ。
(ダイヤモンド・オンライン副編集長 麻生祐司)