福田首相は本当は官僚好きとは違うのだろうと思います(阿比留瑠比記者)
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▼福田首相は本当は官僚好きとは違うのだろうと思います(阿比留瑠比記者)
福田首相というと、よく官僚べったりだとか、官僚の振り付け通りにものを言っているだけ、という評価を目にするのですが、実は私はこうした論評を少し疑っています。確かに、福田氏が、秀才中の秀才官僚だった父上の福田赳夫元首相にコンプレックスを感じていて、それが妙な形で官僚好きに転化したと言われるとなるほどなと思います。また、以前は煙たがっていた石破防衛相について、石破氏が建設事務次官の息子だと知ると途端に親しげに声をかけるようになったなどのエピソードを聞くと、そうした見方を補強するようにも思えるのですが、実際はどうなんでしょうね。
もともと他人に対する関心が薄く友達も少ない福田氏にとって、官僚は子供のころから比較的に身近な、空気のようにそこにいる点では安心できる存在というだけで、本当はそんなに官僚好きというわけでもないような気がします。少なくとも、官僚の人心掌握に長けているとか、官僚をうまく使いこなして操作しているとか、そんな印象はこれまで見てきて全然ありません。自民党外交部会長と外務政務次官に付き合ったチャイナスクールの外務官僚以外は、官房長官時代から気心が知れている秘書官以外、たいして人脈もなさそうに見えるぐらいです。
官僚の人心掌握というと、古い話になりますが、田中角栄元首相や竹下登元首相らが有名ですね。官僚の入省年次から成績、同期にだれがいるか、場合によっては家族構成や誕生日まで記憶していて、それに感動した官僚側が忠誠を尽くしたというエピソードは、私も本で読んだり、人に聞いたりしました。これは旧日本軍の部下掌握のやり方にも似ていますね。私は複数の旧軍人から、指揮官として配属されることが決まった部隊の全員の顔と名前を一致させてから赴任するのは基本だという趣旨の話を聞いたことがあります。そのうちの一人は戦後、ある私立高校に校長として招かれた際に、生徒全員の顔と名前をまず覚えたと語っていました。それでは、福田氏の場合はどうでしょうか。最近、こんな話を耳にはさみました。ある政策について、関係各省庁の参事官クラスの官僚が数人、福田首相に説明に言った際のことだと言います。最初に一人が名前を名乗ろうとしたところ、福田氏はこう言い放ったそうです。
「名前はいいから。役職だけ言って」
一度で覚えてくれとまでは言わないが、名前ぐらい名乗らせてほしいと、さぞや官僚側も憮然とし、落胆したことだろうと思います。ある意味、角栄流の真逆をいっているわけですが、これって相手が官僚だろうとだれだろうと、やっぱり失礼ですよね。こんなところにも、福田氏の人となりが表れている気がします。
また、5月の中国の胡錦濤国家主席来日後、福田氏と会話する機会があった人によると、親中派で有名な福田氏は、中国側とさまざまな問題をめぐって議論し、やり合い、どうにか首脳会談の格好をつけた外務省の中国課長の名前を覚えておらず、「だれそれ?」という感じだったそうです。この人の話では、福田氏が「なかなかいい共同声明を出せた」と自賛するので、「事務方も頑張りましたね」と名前を出したところ、福田氏はその名前に心当たりがなかったのだとか。やはり、官僚好きというのとは、ちょっと違うのでしょう。基本的に人間というものに興味がなく、没個性的な、記号のような「官僚」という存在が好きなのかもしれません。
ちょっと角度を変えれば、官房長官時代には、こんなこともあったと聞きます。外務省が田中真紀子外相(当時)によって機能不全となり、官邸との意思疎通も難しくなっていたときに、ある官僚がこのままではいけないと、あえて真紀子氏の使者として官邸に行き、福田氏に「田中外相はこれこれこういう意向です」と伝えたところ、福田氏に「お前は真紀子の犬か!」と怒鳴りつけられたというのです。別に真紀子氏が好きなわけでも正しいと思っているわけでもなく、ただ、なんとか話をつなごうとした官僚を侮辱し、本人はあとでこの官僚と一緒に仕事をしても、全然覚えていない様子だったとか。
現在も、中国製ギョーザ中毒事件やチベット問題など、大好きな中国がからむ話になると、福田氏は外務官僚の振り付けに従わず、官僚が用意する想定問答の範囲を超えて中国擁護の答弁をしているというのが実態のようです。単純に官僚べったりというのとも、官僚の言う通りに動いているというのとも違うような気がします。
ここで思い出したのが、以前も書いたことがありますが、福田氏の人物像をめぐる某自民党幹部の見方です。私は一昨年の春ごろだったか、この福田氏をよく知る自民党議員と話をしていて、何の話題だったのかは忘れましたが、何気なく「福田氏はスノッブですからね」と言いました。すると、この議員は最初は「うん」と頷いていたのですが、しばらく一人で考えこう言い直しました。「いや、福田さんはスノッブというよりも、貴族そのものだから」
このときは上手いことを言うなあと思っただけだったのですが、福田氏の官僚に対する扱いを見ていると、自分は生まれつき特別な存在だと思っている貴族階級の人間が、親愛の情からではなく、ただ必要のためだけに、官僚を側においているという構図が思い浮かびました。相手には愛情どころか関心すらないわけですが、自分を補佐し、手足となって働く頭脳労働者はいなくてはならない、その相手の個性や人格などはどうでもいい、というような…。まあ、あくまでただそんな風に思えただけですが。
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Commented by weirdo31 さん
人物評をすると自己嫌悪感にやりきれなくなる対象の筆頭が小沢とすると、次はこの福田です。二つ前のブログ、阿比留さんのブログだけを読んでスルーしてたら、いやー参戦すればよかったと後悔しました。福田が貴族ですって?貴族ならウナギの蒲焼きじゃありませんが、Noblesse obligeの匂いぐらいさせてみろといいたいですね。全然貴族じゃありません。ヨーロッパへ行って、ドイツとイギリスの首相に持ち上げれて舞い上がり、USーDirectedの裏を知らずに世界的規模の食糧不足にリーダーシップを発揮するつもりらしいですが、橋龍の轍の跡を辿るのは目に見えています。
Commented by tkskyk さん
こんばんは、阿比留さん。現首相が名前を憶えていなかった外務省の中国課長の方は、いわゆるチャイナスクール出身者ではない方ですよね。ほとんど、安倍前首相の遺産の成果とはいえ、酷い結果にならなかったのは、チャイナスクール出身者じゃない人を中国課長に起用したことも一因にあるんでしょうか。現中国課長が中国課長に就任したのは、小泉首相の頃みたいですけど、今までの慣例だったら、中国課長はチャイナスクール出身者、ロシア課長はロシアンスクール出身者が勤めてきたんでしょう?なぜ今までの慣例を破るような人事が行われたんでしょうか。もしも、お分かりでしたら(推測でもいいです)お答えいただけると ありがたいです。それと、現首相の官房長官時代のエピソードに出てくる、ある官僚とは、谷内前外務事務次官とのことですか?
Commented by 阿比留瑠比 さん
hanausagi様そうですね。少なくとも政界にはいないのだろうと思います。官房長官になるまで、本当に目立たずひっそりと過ごし、派閥内で「世捨て人」とまで言われていた人ですから。その本当の仲間がいない人を、よってたかって首相にまで押し上げ、いま「福田内閣を支える」と必死に大声をあげている人たちの姿ときたら…。
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▼きょうの「人権問題等調査会」は流れました。あすの8時から党本部で開催されます。「太田会長を始め推進派はかなり強引にやりそうだ」という情報もあります。(まわたり龍治衆議院議員)
きょうの「人権問題等調査会」は流れました。あすの8時から党本部で開催されます。「太田会長を始め推進派はかなり強引にやりそうだ」という情報もあります。当初、法務省は平成17年の法案を今国会に出すのは困難との見方がありました。そこへきて“太田私案”なるものが出てきてから推進派の議員は、なんか本気になってきたような感じです。私案の内容は「差別や虐待など人権侵害に対する現行の救済制度を明文化し、加えて『人権侵害を行ったとされる側との話し合いによる解決』等の新たな救済制度を導入し、人権問題を法の支配の下に置く」となっていて、いかにもソフトなイメージがありますが、その実体は「委員会を設置し、『差別的言動』等についての『調査権』を認めたものですから、やっぱり“恐怖感”があります。被害者と加害者の双方を呼び出して『話し合い解決』するのに、なぜ『調査権』が必要なのかわかりません。
そもそも、現行の処理規定に基づいて、毎年2万件を超える「人権侵犯事件」のうち、約99%は解決しているのに、わざわざ法律で「明文化」しなければならないのか。何度、人権問題等調査会で質問しても、明確な答が出てきません。それなのに、名前を変えた“私案”が出てきて、「これに反対するのであれば対案を出せ」という始末です。私たち慎重派は、「個別法で対応できるのだから人権擁護法なるものはいらない」という明確な答を出しています。まず、このような法律が必要なのかどうか議論をアウフヘーベンする必要があります。
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