日本と中国は「日中軍事同盟」へ向けて一歩を踏み出すつもりなのか? | 日本のお姉さん

日本と中国は「日中軍事同盟」へ向けて一歩を踏み出すつもりなのか?

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▼日本と中国は「日中軍事同盟」へ向けて一歩を踏み出すつもりなのか?日中両軍首脳が親密な関係を演出した背景を読み解く。(じじ放談)
5月31日付け産経ニュース(シンガポール=共同)は「自衛隊機派遣見送りに中国軍幹部が謝意」と題する以下の記事を報道した。

1.5月31日シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で演説した石破防衛大臣は、自衛隊機派遣見送りをめぐる会場の質問に対し、過去の日中間の戦争に触れた上で「中国の文化や伝統、国民感情、国民性に理解と敬意を示さなくてはならない」と答えた。

2.これに続いて、中国人民解放軍(以下「中国軍」という)馬暁天副参謀総長は日本政府が自衛隊機による四川大地震救援物資の輸送を見送ったことに関連し「(日本が)中国の歴史と伝統に理解を示してくれたことに感謝している」と述べた。


中国軍のナンバー2である馬暁天副総参謀長が「感謝している」といったことは、従来の傲慢不遜な中国軍首脳の態度から推察すると異様なものである。何かあるのか?と疑ってかかる必要がある。自衛隊輸送機による救援物資の輸送計画は、我が国政府の独走かと思われる面もあったが、実態は「中国軍と日本政府・防衛省の合意」に基づいていることが分かった。両軍の合意を「中国側の国民感情で履行できなかった」件につき、日本側が自主的に自衛隊機の派遣を中止してくれたから、中国軍最高幹部が「謝意を示した」のだ。「日本側に迷惑をかけた」ということであろう。
中国軍の対応は、「毒入り餃子事件」を初め「黒を白と主張して、自らの非を決して認めない中国政府(共産党官僚)」と比較すると、中国らしくない常識的なものである。なぜ、中国軍は態度を豹変させたのか?その背景を読み解くことにしたい。5月31日付けアサヒコムによれば、米ゲーツ国防長官は同日のアジア安全保障会議で演説、以下の発言を行ったという。

3.米国がアジア太平洋地域に寄せる関心は強く、永続的であることは変わらない。米国がアジアへの関心を失いつつあるという説はばかげているか、不誠実な動機から出たものだ。

4.米中間には防衛当局間のホットラインを開設した。次期米政権も「北朝鮮を抑制する課題を引き継ぐ」ことになり、それには中国の貴重な協力が不可欠だ。

5.15年間政府から離れていた私が公職に戻って強く印象を受けたのは、日米安全保障関係の著しい改善だ。海兵隊のグアム移転計画について「日本からの支援を得て」即応態勢を整える。


「米国はアジアへの関心を失っているのではないか?」という疑問は常識的な見方であろう。「悪の枢軸」の筆頭である北朝鮮は、核兵器を保有している。目下、米国は何の見返りもなしに「人道支援」という名目でコメ50万トンを無償贈与しようと計画している。そればかりではない。北朝鮮はシリアに核関連施設を輸出した。このような北朝鮮に対し米国は、核兵器を保有させたままで、核関連施設を廃棄する見返りに「テロ指定国家解除」に踏み切る姿勢を見せている。

北朝鮮の核兵器は、中国、日本そして韓国にとって重大な脅威となっている。米国が北朝鮮に対し「核兵器を含むすべての核関連施設の廃棄をさせるつもりがあるのかどうか疑問がある」とみなされている。一方米国は、核関連施設もなく、生物・化学兵器などの大量破壊兵器を保有していなかったイラクを武力制圧した。現在でも16万人以上の米軍を駐留させている。以上米国の矛盾した一貫性のない態度は世界中に知れ渡っている。「目は口ほどにものを言い」ではなく、「一つの行為は100万言よりも重い」ということだ。今や、米国の美辞麗句に踊らされる馬鹿はいないというべきだろう。ゲーツ米国防長官が、敢えて「アジア重視」を言わざるをえなかったのも、アジアにおける「米国の地位低下を懸念している」からであろう。そして、わざわざ中国との協力関係の保持と日米安全保障態勢の緊密化に触れ、現実を糊塗した訳である。

(中国の安全保障政策は転換したのか?)
毛沢東・周恩来時代の中国は、中ソ対立の劣勢を挽回するため、ニクソン・キッシンジャーとの「米中密約」を取り決めた。米国は「ソ連と対立する中国を側面支援する」中国は「日米安保条約の存続・強化を承認する」米国は見返りに「日本に核武装させない」という米中密約である。1972年2月のニクソン訪中から36年が過ぎた。冷戦の旗頭であったソビエト連邦が崩壊したから、中国が米国と連帯してロシアと対決する理由はなくなった。逆に、中国は米国の一極支配を打破すべくロシアと連帯している状態である。中国軍の世界戦略、特に極東地域での戦略に変化が生じるのは自然だ。不可解な事は一つもない。31日付け韓国・中央日報ウエブサイト日本語版は「中国外務省が韓米同盟に不快感?」なる以下の記事を掲載した。李明博大統領の訪中当日(27日)、中国外務省の秦剛報道官が発言した内容が「外交的失礼にあたるのでは」という議論を呼んでいる。秦報道官は27日午後の定例記者会見で、共同通信北京特派員の質問に答える際、韓米同盟に不快感を示したものと誤解され得る以下のコメントをした。「韓米軍事同盟は歴史が残した一つの産物だ。御存知のとおり、時代は変わった。(北東アジア)域内の状況も大きく変化している。冷戦時代のいわゆる軍事同盟では今日の世界と地域が直面している安保問題を観察し、きちんと処理することはできない」筆者が注目するのは、韓国大統領に対して「礼を失した」という韓国・中央日報が取り上げる些細な問題ではない。

秦剛報道官がいう「冷戦時代とは時代が変わった。今日の時代状況に即した安全保障政策をとるべきだ」という情勢分析にこそ焦点をあてるべきだ。中国が「韓米軍事同盟は冷戦時代の遺物」という時、当然ながら「日米軍事同盟も冷戦時代の遺物」とみなしているはずだ。みなしているだけではない。出来れば、冷戦終結後の極東アジアの情勢に適合する新たな「安全保障体制の枠組を構築すべきだ」と考えているとみなしてよい。
つまり、冷戦時代(中ソ対立時代)の1972年に、毛沢東・周恩来とニクソン・キッシンジャーが合意した「米中密約」は過去のものとなった。「用済み」という訳である。であるから、中国軍にとって「日米安保条約」は目の上のタンコブになったという訳である。極端な表現をすれば「日米軍事同盟をやめて、中日軍事同盟を締結したい」と期待していると考えてよいのではないか。日米間にクサビを打ち込むという姑息な手段ではなく、「アジアはアジア人で管理しよう」という狙いではないか。

(中国軍と我が国の保守勢力の連携はあるのか?)
大東亜戦争で我が国は、欧米列強の植民地であったアジアを解放するために「大東亜共栄圏」構想を打ち上げた。欧米列強の植民地であったインド、ベトナム、インドネシア、中国などの代表を集め「大東亜会議」を開催したこともある。植民地からの解放をめざすアジア諸国の青年を支援して義勇軍を創設させた。我が国の保守勢力の一派は「大アジア主義」の思想を内在させている。目下のところ「親米保守」を装っているが、時折、地下水脈から「大アジア主義」が噴出することがある。という訳で、中国軍の「アジアはアジア人で管理しよう」という呼びかけに対し、我が国の保守勢力は共鳴しやすい体質を持っている。なお、朝日・毎日新聞ほか社会主義思想の影響を受けた報道機関は「親中又は媚中」といわれる。中国共産党指導部べったりの報道をするから誰にでも判断できる。日本共産党、社民党、民主党左派もこの部類だ。創価学会・公明党も同じかもしれぬ。最近、というより昨年頃から、右翼系新聞といわれる産経新聞が「中国関連の記事を掲載する」頻度が多くなった。記事の内容は「事実を伝えるだけ」のものから、中国共産党の悪政を批判するものまでさまざまである。だが、中国軍を批判している記事を見たことはない。筆者の勉強不足かもしれぬが、そんな気がする。

中国共産党は汚職と腐敗でボロボロである。共産党及び関連組織からの離脱表明者が、この3年6か月で3750万人を超えた(大紀元日本からの引用)。内部崩壊も遠くない。おそらく、中国軍は「共産党崩壊以後」の軍事政権樹立を構想しているのではあるまいか。もちろん、専門の安全保障戦略は構築していると見てよい。ちなみに、米国は「胡錦涛指導部を支え、中国を資本主義国家に軟着陸させる構想を持っている」ように見える。だが、米国の構想が実現する可能性は限りなく小さい。遠くない将来、中国共産党が内部崩壊して政権を投げ出す可能性が高い。四川大地震への救援物資を自衛隊機で輸送する件が、中国軍と我が首相官邸・防衛省の談合で「一度は決定された」こと、そして、「中国の国内事情を考慮して、我が国が自衛隊機による輸送を断念し、中国軍のメンツを守ってやったこと」、そして中国軍ナンバー2の副総参謀長が「日本政府・防衛省の気配りに謝意を示したこと」を総合して勘案すると、「党官僚・外交部から軍官僚に」権力の移譲が始まっているのではないかという感じもする。日中両国の外務省の影が薄い。

(日米軍事同盟と日中軍事交流の関係はどうなる?)
日米軍事同盟が急速に形骸化することはあるまい。だが、日中両軍の交流が活発になれば、その分、日米軍事同盟の比重は低下せざるをえない。さらに「日露軍事交流」が促進されれば、「日米安保条約」の存在意義は益々低下する。「なぜ、米軍は日本列島に居座っているのか?」という疑問が広がる。米国としても「核の傘を提供してやる」ともいえなくなるし、さりとて「日本を保護国に留めておくために監視しているのだ」という本音をいうこともできない。ゲーツ米国防長官は31日「米経済が減速しても米国は中東やアジアなど世界のすべての地域に関与し続ける能力を持つ」と述べた(31日付け日本経済新聞)が、根拠のない強がりというものだろう。先立つモノ(カネ)がなければ、膨大な軍事力を維持することはできない。それとも「同盟国に資金を出させる予定」でもしているのか。米国が大不況に見舞われ、米ドルが基軸通貨の地位を失う時、米国は世界中に張り巡らせた米軍基地を撤収せざるをえない。軍事費を何分の1に縮小せざるをえない。誰でも分かる理屈だ。

ハンチントンは「文明の衝突」で「日本は常に世界最強の国家と同盟を結びたがる。日英同盟然り、日米同盟然り。いずれ、中国軍が世界最強となれば、中国軍を同盟相手に選ぶのではないか」といった。この理屈でいえば、我が国は「帝国以後の覇者がロシアか、中国か」を見分けることになる。そして、世界最強国家と思える相手と同盟を結ぶことになる。世界最強と信じて同盟を結んだヒットラーのドイツ帝国の例もある。判断ミスを犯して亡国の憂き目を見ることもある。という訳で我が国は「特定国家との一蓮托生」の軍事同盟ではなく「多角的安全保障」をめざすべきであろう。その方が生き残る確率は高い。それにしても、中国軍の「対日急接近外交」には目を見張るものがある。用心して対処すべきであろう。