「マケイン大統領なら日米関係は万全の体制だから、安心してほしい」――。 | 日本のお姉さん

「マケイン大統領なら日米関係は万全の体制だから、安心してほしい」――。

▼「マケイン大統領なら日米関係は万全の体制だから、安心してほしい」――。4月半ば、第一期ブッシュ政権でアジア政策を担当した元米政府高官と国際会議で再会すると、冒頭からこう切り出された。(NETEYE)
「マケイン大統領なら日米関係は万全の体制だから、安心してほしい」――。 4月半ば、第一期ブッシュ政権でアジア政策を担当した元米政府高官と国際会議で再会すると、冒頭からこう切り出された。 大統領選への出馬表明以来、共和党の大統領候補、ジョン・マケイン上院議員の外交顧問団には日本から見て多くの見慣れた顔が集まっている。自他共に「日米同盟の守護神」と認めるアーミテージ元国務副長官、流暢な日本語を操り、安倍前首相とも気脈を通じたグリーン前大統領補佐官(国家安全保障会議上級アジア部長)らがその筆頭格といえる。

・日米安保体制が支柱
彼らのアジア政策の支柱は「安定した日米安保体制の堅持」である。中国との戦略的関係を重視する「関与政策派」が多数を占める民主党のヒラリー・クリントン上院議員らの陣営に比べ、マケイン陣営は日本や韓国、豪州などを念頭に置いた「同盟重視派」が主流をなしており、それが新政権の対日政策はもちろん、対北朝鮮政策、中国政策においても日本から見てプラスの影響を与えるという期待感は永田町、霞ヶ関でも根強い。 マケイン候補自身、3月末に行った外交演説で「日本と協力していくことで、今世紀を米国、アジアの双方にとって安全、自由で繁栄したものにできる」と強調。日本が気にかける米中関係についても「両国の関係は共通の価値観より、共通の利害に基づくものになる」とやや距離を置く姿勢を見せている。マケイン周辺では米国、日本に加え、豪州、インドなど民主国家による緩やかな連合体をつくり上げることで、21世紀のアジア太平洋地域の安全保障環境を整備するというアイデア(League of Democracy)もささやかれている。 米同時テロからアフガニスタン、イラク戦争へと突き進んだブッシュ政権は発足当初、パウエル国務長官、アーミテージ国務副長官らを擁する「国際協調派」、ウルフォウィッツ国防副長官らを代表とする「ネオコン(新保守主義)派」、さらにチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官らの「強権発動派」の三派連立で成り立っていた。 だが、共和党現実派を代表するパウエル・アーミテージのコンビはやがて、単独行動主義(ユニラテラリズム)を強くしていくブッシュ大統領との間に距離を感じ、政権二期目にはそろって離脱。以降、チェイニー副大統領らが牛耳るブッシュ政権に対して、冷淡な姿勢を保ち続けている。 マケイン外交に多大な影響力を持つであろう、彼らの思想や、ブッシュ政権で味わった挫折などを考慮すれば、マケイン政権のアジア外交が日本にとってそれほど悪い結果を残すことがないと見るのは妥当と言ってもいいだろう。

・「アーミテージ報告書3」
では、具体的にマケイン大統領のアジア政策、とりわけ安全保障政策はどのようなものになるのだろうか。ここで注目すべき報告書がある。現在、水面下で作業が進んでいる新たな報告書は米外交サークル内でこう呼ばれている。 「アーミテージのいない、アーミテージ報告書3」――。
アーミテージ報告書とは民主党の外交大御所、ジョセフ・ナイ米ハーバード大学教授とアーミテージが共同座長となって、日米同盟に関する超党派の政策方針をまとめたものであることはよく知られている。その作業には共和党側からケリー前国務次官補(東アジア・太平洋担当)、グリーン前大統領補佐官、民主党側からはキャンベル元国防副次官補(同)らが参加し、名実ともにアジア政策を熟知した共和、民主両党の政策エキスパートの知恵が詰め込まれたものだった。 だが、すでに2冊目も出し終えたアーミテージ・ナイ報告書は一つの大きな課題を抱え始めていた。それはあまりにも日米の二国間同盟に焦点を絞りすぎた結果、米国のアジア政策全般をカバーするものには至っていない、ということである。 実際、アーミテージ報告書2には当初の想定以上に時間がかかり、参加メンバーの意見集約にも手間取っている。これは本来の趣旨である日米同盟を中心議題にしなければならない一方で、大国化する中国との付き合い方、そしてインド、ロシアといったプレーヤーの扱いをどうするかといった点にも目を配った結果、「日米同盟に関する分量が減ってしまうという問題が発生した」ことが原因、と有力メンバーの一人、ケリー前国務次官補は解説する。 「アーミテージ報告書3」はこうした経緯を踏まえて、日米同盟のみならず、もっと幅広く米国のアジア安保戦略を俯瞰(ふかん)するものになる、と提唱者のケリーは言う。  アーミテージが最も 信頼する旧友の一人でもあり、米朝交渉の責任者でもあったケリーが取りまとめ役となる新報告書は、米国防総省がかつてまとめていた「東アジア戦略構想(EASI)」や「東アジア戦略報告書(EASR)」などをモデルとしている。 父ブッシュ政権時代のEASIは在韓米軍の縮小問題が中心議題となり、クリントン政権時代に国防次官補(国際安全保障問題担当)だったナイがまとめたEASRは日米同盟の重要性を再確認すると同時に、東アジアに米軍10万人体制を堅持することをうたい上げ、注目された経緯がある。

・ケリー・イニシアティブ
第一期ブッシュ政権で国務省の幹部となったケリーは中国の台頭や北朝鮮による核武装など新たな安全保障環境を踏まえ、21世紀の実情に見合った、新たなアジア戦略をまとめあげるべきだ、と当時のラムズフェルド国防長官らペンタゴン上層部に直談判している。だが、ペンタゴン側は「興味があると言いながら、どうせやるならアジアだけではなく、地球規模でやるなどと受け答え、結局、何もやらなかった」とケリーは振り返る。 その無念を踏まえ、ケリーはあえてアーミテージ報告書とは切り離す格好で新たな報告書を年末までにまとめ、新政権発足に合わせて 発表することにしたのである。その際、民主党側からの共同座長としてキャンベルを指名したことから、米外交サークルでは「アーミテージなき、アーミテージ報告書」と呼ばれることになった。だが、その着想の原点は上述した通り、「日米だけでなく、幅広くアジア政策を論じ、アジア太平洋域内各国にメッセージとして発信すること」(ケリー)にある。

共同座長にキャンベルを迎えたことで、新報告書の内容は仮に民主党のオバマ上院議員やヒラリー・クリントン上院議員が大統領となった場合でも、そのアジア政策立案に一定の影響力を持つと思われる。だが、結束力の強い「チーム・アーミテージ」の大番頭として今も隠然たる影響力を持つケリーが始めたイニシアティブが、最もその効果を発揮するのはマケイン政権が誕生した際、と見るのは自然である。 現時点で各メンバーによる活発な議論を続けている「ケリー報告書」の全容はまだ、定まってはいない。だが、日米重視を掲げる一方で対中警戒感を持ち、資源大国として影響力を増しつつあるロシアへの猜疑(さいぎ)心も強めるマケイン外交・安保政策に具体的な肉付けをする際、その内容が主要な「たたき台」になることは間違いなさそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーー
▼ロシア帝国再興戦略始動(田村秀男の経済がわかれば、世界が分かる)
ロシアの石油増産戦略が本格的に始動するということは、プーチン氏のロシア帝国再興戦略が不動の路線になるということだろう。
旧ソ連の崩壊というのは、実は石油価格の下落とともにあった。下図を参照してもらいたい。ロシアの石油生産はドルの変動、また米国の金利政策に翻弄され、ソ連帝国は崩壊した。今回はそれを教訓に、通貨ルーブルの国際通貨化、ルーブル建ての石油取引を伴い、米国のドル政策に縛られず、ドルに対抗する基軸通貨ルーブルの座をめざすだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▼【アメリカを読む】大本命・ヒラリー候補の「敗因」 有元隆志(iza)
米民主党の大統領候補指名争いは20日のケンタッキー、オレゴン両州予備選で、バラク・オバマ上院議員(46)が一般代議員の獲得数で過半数に達するのは確実とみられ、事実上の「勝利宣言」をする見通しだ。1月に選挙戦が始まる前は、「大本命」といわれたヒラリー・クリントン上院議員(60)は、なぜ敗れることになったのだろうか。4月22日のペンシルベニア州予備選後、勝利演説でみたヒラリー氏の表情は自信にあふれていた。「流れは変わってきている」と逆転勝利を信じているようだった。演説に対する米メディアの評価も高かった。ただ、オバマ氏勝利の流れを止めるには遅すぎた。

■致命的な戦術ミス
5月19日号の米誌タイムは敗因として、ヒラリー氏が「民主党内の雰囲気を読み間違えた」と分析する。ヒラリー氏は選挙前は知名度、組織力、資金力で他の候補に勝っていたため、指名争いには勝てると踏んで、11月の本選挙をにらみ、経験や最高指揮官になるための準備ができていることを強調した。ところが、共和党政権下で民主党員は「変化」を熱望していた。それに応えたのが、オバマ氏だったというわけだ。次に、タイム誌はヒラリー氏が民主党の選挙の「仕組みを習得していかなった」ことを挙げた。ヒラリー氏の選挙戦略は、割り当て代議員数が多い大規模州での勝利に主眼が置かれた。夫のビル・クリントン前大統領(61)からの「地盤、看板、カバン」が威力を発揮し、計算通りカリフォルニア、地元ニューヨーク、ニュージャージーの各州を押さえた。民主党が「比例配分方式」ではなく共和党のように「勝者総取り方式」を採用していれば、2月5日に24州で選挙が行われた「スーパーチューズデー」の時点で、ヒラリー氏の勝利が確定していたとも言われている。これに対し、オバマ陣営は中小規模州で多い党員集会にねらいを定め、これらの州に大量に運動員を投入し、圧勝した。しかも、オバマ陣営は目前の選挙と並行する形で、常に「別動隊」が次回以降の選挙に向けた運動を展開していた。2月5日後の選挙では、オバマ氏が9連勝と勢いに乗った。

■資金集めでも誤算
ヒラリー陣営は戦術ミスに加え、資金面でも問題を抱えた。タイム誌は陣営が「古いお金」に頼り、資金集めにおける「インターネット」の威力を十分に把握していなかったと指摘した。予備選では、1人当たりの献金額の上限は2300ドルとなっている。ヒラリー氏の場合、1回に全額を受け取るケースが多かったという。この場合、同一人物からは二度と献金を受け取れなくなる。オバマ氏はインターネットを通じ、小口で受け取ったため、同じ人物から何度も献金を受けることができた。長期戦になるに従い、資金面でヒラリー氏を凌駕(りょうが)することになった。敗北は決定的だが、ヒラリー氏は最後まであきらめないと、撤退しない意向を示している。クリントン前大統領の選挙参謀を務めた政治評論家ディック・モリス氏は、ヒラリー氏が2012年の大統領選に備え、戦いを続けているとの見方を示す。大接戦を演じたことで、ヒラリー氏は民主党内に影響力を残すことができた。本選挙でオバマ氏が共和党のジョン・マケイン上院議員(71)に敗れた場合、4年後にヒラリー氏にチャンスが回ってくるというわけだ。クリントン夫妻とたもとを分かったモリス氏だが、かつての付き合いから夫妻の心理を見抜いているのかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▼チベット問題報道の落とし穴(政財界倶楽部)
先週、日本のメディアは、ドイツを訪問した第14世ダライ・ラマ法王に対し、一部チベット仏教僧侶達が批判のプラカードを掲げデモを展開した、というような報道をした。多分、日本のメディアが、第14世ダライ・ラマ法王に対する反対派もチベット仏教僧侶の中にはいる旨を伝えた、初めての報道ではないか。

 どうも昨今、日本のメディアによる報道は、感情的になりすぎる。確かに、チベット人達が迫害を受け、苦しんでいるのは事実だ。彼らを擁護したいという気持は、私もまったく同じだ。だが、こういう人権活動というのは、ただの流行や感情論だけで突っ走ってしまえば、必ずそのツケが支援者ではなく当事者に及ぶということを肝に銘じておかなければならない。

 個人的には、第14世ダライ・ラマ法王のことは嫌いではない。いや、むしろ好きだ。それは、第14世ダライ・ラマ法王だからとかという次元ではなく、1仏教徒として尊敬に値する人物であると感じてのことだ。だが、だからといって、感情論で彼寄りの記事を書くつもりはない。あくまで公平な目、耳で見聞した内容を記事にすることを心掛けている。よって、以前に書いたチベットの独立運動に関する複数の記事に於いても、第14世ダライ・ラマ法王を全チベット民族の代表、という誤解を招くような書き方は1度たりともしていない。常に、チベット仏教ゲルク派法王でありチベット亡命政府の最高責任者である、という書き方をしてきた。何故なら、現状、必ずしも全てのチベット人が第14世ダライ・ラマ法王をチベット民族の代表と認めているとはいえない事実もあるからだ。そこのところをしっかりと理解して報道しないと、先々誤解を招くことにもなる。そうなれば、その皺寄せを背負うのは、結局当事者であるチベット民族の一般民衆ということになりかねない。それほど悲しいことはない。

 アメリカをはじめ他国では、随分と昔より、チベット問題は真剣に議論されてきた。そのことは、ハリウッド映画などに、チベット問題に対するメッセージが織り込まれていることが多いことにも見て取れる。何故なら、チベット問題も、アラブ諸国で起こっている問題同様、ことの発端は嘗ての大英帝国、現イギリスにあり、西欧諸国の思惑によって起こった問題であるからだ。そもそも、このチベット問題は、インドと中国の間で、長年火花を散らし続けた領土問題にも繋がっている。そして、その元凶こそ、現イギリス、嘗ての大英帝国なのだ。

 歴史は繰り返すというが、皮肉にも、北京オリンピックをキッカケに、再び欧米諸国によって歴史は繰り返されようとしている。だが、今回の場合、公平な目で見て、迫害を受けるチベット族の人々の人権を守るという意味で、決して批判するべき動きでないことは確かだ。だが、その背後には、そういう純粋な人道的思惑とは裏腹に、一部商業主義を推進する輩による、大市場中国の資本主義化という思惑があることも確かである。そのことは、しっかりと踏まえていなければならない。

 第14世ダライ・ラマ法王は、盛んにチベット族の漢民族化を懸念する旨を訴えている。何故なら、第14世ダライ・ラマ法王の中には、嘗て、イギリスにより持ち込まれた資本主義によって、チベット人の魂が汚されたという意識が、アレルギーとしてあるからであろう。そのアレルギー症状が、中国の漢民族化政策に対しても反応を示していると思われる。確かに、中国はチベット族だけではなく、少数民族の漢民族化を嘗て政策として打ち出した。それは、チベット族だけではなく、数十ある少数民族の文化や歴史を消滅させてしまう可能性がある一大事である。だが、皮肉なことに、中国政府による少数民族の漢民族化を阻止した後には、アメリカをはじめとする西欧諸国による資本主義化が待っている。どう転んでも、第14世ダライ・ラマ法王は、チベット族のアイデンティティーを守り切れない可能性が大きい。というのも、中国政府や西欧諸国よりの圧力や思惑よりも、もっと大きな時代の流れと力がそこには働いているからだ。それは、物質文明を知ってしまったチベット人自身の内にある。

 現状、日本のメディアの報道だけをみていると、チベット民族は一枚岩のごとく報道されている。だが、実際にはそうではない。鄧小平の時代に、中国政府は「福利政策」を推進することにより、チベット族の自治を保障した。その結果、多くのチベット人が、その恩恵にあやかった。実際、チベット自治区の役人の多くがチベット人で占められていることをみてみても、そのことは理解できる。当然のことながら、恩恵を受けたチベット人達は、親中国政府である。それは、小さな力ではない、人数的にいってもかなり大きな数を占める。結局、物質文明をチベット族に持ち込み、贅沢を覚えさせ、中国政府側に付かせたのだ。これは、アメリカやイギリスの常套手段だ。嘗て、イギリスから嗅がされた「物質文明」という鼻薬を、今度は中国政府によって嗅がされたのだ。当然のことながら、恩恵をうけ恵まれた生活を送れるようになった人々は、中国政府に感謝し親中国になる。嘗て、イギリスへ対してそうであったように。

 また、この政策の延長線上には、宗教に対しての中国政府の強かな思惑も見え隠れしている。確かに、近代、ダライ・ラマはチベット族の代表のような位置付けにあった。しかし、厳密にいえば、チベット仏教には大きく分けて4派あり、第14世ダライ・ラマ法王は元を正せばゲルク派の法王である。その微妙な力関係が働くチベット仏教の歴史を、中国政府は逆手にとり、他派閥の僧侶達を上手く手なずけているのだ。よって、今回ドイツで起こったような、第14世ダライ・ラマ法王に対して批判的なチベット仏教僧侶が登場するのだ。ここでもう1つ理解しておかなければならない事実がある。それは、第14世ダライ・ラマ法王はあくまでチベット亡命政府の最高責任者であり、全チベット民族の代表者ではないということだ。そのことを理解していないと、後に迷路を彷徨ことにもなりかねない。このような複雑な状況下、チベットの独立運動は、理想論で突っ走るのではなく、実現可能な範囲内でのゴールを設定して活動しなければ、結局その皺寄せで苦しむことになるのは、他でもないチベット族の一般民衆なのだ。そのことを、我々他国の支援者達も理解して支援活動をし、報道すべきであると強く思う。

Tags:恩田葉一郎 恩田将葉 チベット