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国際戦略コラム NO.2932 基軸通貨の条件は??
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ドルの基軸通貨がどのように構成されているかを見る。 Fより
4年前、地経学で述べたが、基本的に、
「基軸通貨を制する者が、世界を制す」---国際戦略コラムF
である。この原理は永遠不滅であり、現在も変わらない。しかし、
どうすれば基軸通貨になるかをその時述べなかった。このため、日
本の有名な通貨の専門家もトンチンカンな評論をしている。専門家
も分からないのでしょうね。
ここでは、基軸通貨の必要条件を述べることとする。必要十分条件
ではないことをまず頭に入れて欲しい。
基軸通貨を世界的な貿易等に使う理由は、その年の為替交換レート
の変動を抑制する仕組みがあるからだ。この仕組みがないと計画が
立たないために貿易を順調にできないことになる。このため、現在
ドルはこの仕組みを持っているために基軸通貨になっている。
この仕組みとは何か?
答えは、為替の先物取引である。年間40000兆円の先物取引の
多くは為替である。トヨタもキャノンも1年間の為替の予約をして
いる。その相場が現在、1ドル=100円となっているようだ。社
内の海外取引を1ドル=100円としている理由でもある。予約と
言うが、これは先物取引相場で、トヨタはPUTし、信用がある米
大手銀行や証券会社等がGETすることで成り立つ。
GETは信用ある米大手銀行などしかできない。もし、その権利行
使をしようとした時に銀行が倒産すると、先物の信用取引が成り立
たなくなり、市場全体が成り立たなくなる。この取引をできない時
にドルの基軸通貨としての役割が崩壊する時である。このことは米
財務省、FRBともに知っている。
このため、ベア・スターンズが倒産しそうな時に、なりふり構わず
にFRBが助けたのは、ベアスターンズが先物取引残高1000兆
円ものGETを持っていたからである。
この先物取引のGETの2/3がシティなど2つの米国大手銀行で
占めている。しかし、信用ある銀行がサブプライムの影響で信用が
落ちている。勿論、FRBや米財務省は大手銀行を助けるために、
PKOという株価維持の行動を取り、銀行が所有している株式の評
価を下げないようにして、一層の損失にならないようにしている。
これが米ダウが下落しない理由である。これと同じことを日本もバ
ブル崩壊後行ったが、内外の批判が大きかったが、米国もやってい
る。
また、大手銀行に増資を要請している。日本にも米財務省から
シテ ィ銀行の増資に加担して欲しいと要請されているはず。
しかし、シ ンガポールやドバイのSWFは、シティ、UBSなどに
融資したが 、その株価が1/3になり大きな損失を抱えること
になっている。
これ以上の投資はSWFはできないので、日本に期待をされて
いる のである。みずほ銀行だけが、その要請を受けたので
G7に招待さ れたのである。
しかし、今も住宅の差し押さえが前年同月に比べ65%増えた
ように 益々、破綻件数が増加する状態である。このため、
バーナンキFR B議長も金融市場は正常な状態に、なお
遠いと表明している。
一時、ユーロの基軸通貨へのシフトが起こると思われたが、
この条 件である為替の先物取引でGETできる銀行がEU
でも少なくなっ ている。EUの銀行でも大手のUBSや
英銀最大手HSBCもサブ プライムなどで大きな損失を出して、
担保証券を国債に代えてもら い、息継ぎをしている段階で、
信用ある銀行とは到底なりえない。
このため、ドルも基軸通貨としての要件である先物取引が
できなく なる可能性があり、ユーロも到底、今の状態では
出来ないと基軸通 貨への打診にNOと答えている。
そして、サブプライム問題で傷を負わなかったことで、世界
的に信 用ある銀行は日本しかないことになっている。中国
の銀行も大きく 利益もあるが、国の信用力が人権問題の
対応等で無い。このため、 日本の東証に為替の先物取引を
円ベースで始めて欲しいと依頼が来 ることになる。
これを聞いた時に、日本の円が基軸通貨になること と思った
が、そうではない。十分条件が日本は不足しているが、金
融大国になるチャンスが出てきたのである。
しかし、米国先物取引市場でGETの権利を得ることになる
可能性 もある。みずほ銀行は米財務省の勧進帳に乗った
ご褒美にGETの 資格が貸与される可能性を感じる。
日本の銀行でGETする割合が 信用力があるために高くなる
ように感じる。
3%の予約金は、ほとんど権利行使されないために、利益が
積み上 がることになる。1000兆円の3%でも30兆円の
利益になるの で、銀行の収益は大幅に改善されるが、行使
されると30兆円以上 の損失になる。さあ、どうなりますか??
━━─━[太田述正有料メルマガ]━─━─━─━─━─
<コバ>
米国税関が、外国から米国へ入国する全ての人が保持するPCのデータをコピーする新制度が始まるとの記事がありました(http://
<太田>
手間とコスト、そして効果を考えると、この話、にわかには信じられません。
<コバ>
北朝鮮との国交正常化を目指す議員連盟が発足する(http://
<太田>
日本は米国の属国だし軍隊も持っていません。属国ですから、どこの国との外交にせよ、米国の定めた土俵の上でしか日本がマヌーバーする余地はありません。また仮に、日本が歴とした独立国であったとしても、軍隊を持っていないのですから、いくら日本が経済力やソフトパワーがあっても、安全保障を最優先に考える北朝鮮のような国に対しては、外交手段の大部分を欠いているのが実状です。ですから、民主党政権になっても、対北朝鮮政策が現状よりマシになることはありえません。
<ケンスケ2>
田中角栄の訪中も、共和党のニクソン政権の末期でしたね。 ブッシュ政権末期の今、六ヵ国協議も明らかに日本の意志を無視して結論を出す方向に突っ走っていって居ますし。 今明らかにアメリカが対日政策を変更して、アジアの2極の一つ、つまり一ローカルパワーに過ぎないとして突き放し、世界の問題への発言を無視し始めているとき、このレスキュー隊の活動が、かつての田中外交の役割を果たすことになるかも知れませんね。 日中が、同盟とまで行かなくても友好関係を深める事態になれば、アメリカも、そして対中批判を強めている欧州特にフランスもかなりあわてるかも知れませんよ。 彼らの基本戦略は,日中分断統治戦略の上につくられていますから。 両国を咬み合わせ続ける戦略の上に。
<太田>
皆さん、私のコラムを読んでおられるはずなのに、日本が米国の属国に過ぎないことをお忘れのようですね。米国も、フランスも、そしてもちろん中共も、日本が米国の属国であることを前提に動いているのです。
<読者A>
コラム#2550の件です。 返信どうもです。自分はML組です。(まとめて見ることが多いです。)2541で太田さんが紹介された米国の声の中の人道的介入にソマリアの件が含まれていて自分の抱いていた印象と違っていたので、質問した次第です。≫軍政当局の同意なしにミャンマーのサイクロン被災地域に直接支援物資を届ける、ということです≪(太田)普通に圧倒する軍事力を援助側が持たない限り、ミャンマー軍の妨害を排除できないのでは?とも思ったりしています。個人的妄想ですが、次の戦争の理由に使われそうな気がしてちょっと心配だったりします。
<太田>
有料読者の方であったとは失礼しました。
ソマリアの場合は、1991年から、内戦状態の下で人道的危機状態となり、1992年に入って、人道的支援を主目的として国連平和維持活動が開始されたところ、埒が明かない状況が続いたので、(ブッシュ父政権下の)1992年末、国連国連安保理の承認の下で、米軍を中心とした多国籍軍が強制的に人道支援を行うために軍事介入を行い、いわゆるブラックホーク・ダウン(Black Hawk Down)を経て(クリントン政権下の)1993年、介入後10ヶ月後に米軍が撤退したわけです。(以上、http://
http://
(いずれも5月17日アクセス)による。)
この時のことがあるので、中共やロシア以外の主要国連加盟国の間で、ミャンマーにおける(軍事力を用いた一方的)人道的介入に慎重な意見があるのは確かです。要は、ソマリアとミャンマーじゃ相当事情が違うと考えるか否かでしょうね。<だっと>
--北海道開発局の談合--
http://
天下りを不正の温床として取り上げるマスコミって珍しいと思いました。太田さんや掲示板の皆さんは既にご存知かもしれませんが、何かの役に立ててもらえればと思い、ここに貼らせてもらいます。
<太田>
読んでました。官製談合はなくなったはずだし、官がからまない談合だって根絶されつつあるとされているのに、いまだに公共事業発注官庁から関係企業に天下っている官僚oBがいるとすれば、談合が依然行われているか、不必要な随契が行われているか、その両方でしょうね。やっぱ、政権交代しなくっちゃ。自公政権がいやいやつくったできの悪い公務員制度改革基本法案の成立すら自民党内での抵抗で危ぶまれている(http://
全く違う話題を二つ。
一番目はコラム#2545(未公開)がらみです。このコラムで言及した、アインシュタインの、神の存在とユダヤ人の選民性を否定した(新しく発掘された)手紙が競売にかけられた結果、何と40万米ドルで落札されました(http://
二番目は、欧州文明は人種差別文明であるという私の一貫した主張を裏付ける新たなニュースのご紹介です。世論調査で、イタリア人の68%がイタリア在住の(イタリア国籍保有者を含む)15万人のジプシーの国外追放を望んでいるという結果が出ました。ジプシーのうち7万人はイタリア国籍を保有しており、うち3万人は15世紀に移住してきた人々です。残りはそれ以降の移住者であり、多くは1990年代にバルカン諸国からやってきた人々です。更に,2007年にルーマニアがEUに加盟するとルーマニアから約50万人の人々がイタリアにやってきました。そのうち1万人がジプシーです。
上記世論調査では、イタリア人の81%がどこからやってきたかどうかを問わずジプシーは「嫌い」ないし「大嫌い」と答えました。もっともジプシー以外のルーマニア人についても似たり寄ったりですが・・。
(以上、http://
(5月17日アクセス)による。)
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日本の進路★0410★080517★沖縄が危ない、沖縄の安保は?
★ 表題: 沖縄が危ない、沖縄の安保を誰(どの国・勢力)に依存?
新垣朝源
水戸昭幸 f9mdd@yahoo.co.jp
◇ 沖縄には大別して、親日・独立・親中の三つの流れがあり、大きく対立しています。
◇ 親日派として、羽地朝秀(琉球王国の正史『中山世鑑』を編纂した政治家で日琉同祖論を展開)・宜湾朝保(日本古語と琉球語の比較研究『琉球語彙』の著者)・伊波普猷(廃藩置県を肯定し沖縄学の父と称される)らの諸氏、及びその流れを汲む人々がいます。形質人類学・言語学等の学問的な研究では、日本人と沖縄人(琉球人)とは、非常に隣接した関係にあります。
◇ 独立派として、山里永吉(画家作家)・仲宗根源和(共産党→事業家)・嘉陽安男(作家)・真栄田義見(文化財保護)・大宜見朝徳(琉球独立党で台湾に支部)らのインテリ諸氏があります。清朝(China )・薩摩・本・米国・日本と続いた歴史的「被支配」に対する反発心が根底にあり、沖縄(琉球)人のアイデンティティ(独自性)と沖縄全体の権益(利益)を確立したいと切望していると申せます。
◇ 親中派として、林成功(廃藩置県時に明治政府に反対し清朝に軍事支援を要請するも失敗)・謝花昇(沖縄知事と闘争し狂死)らの諸氏、及びその思想心情考え方を継承した人々がおります。China の朝貢冊封制度(形式的には属国風だが、実質的には独立色濃厚)は、薩摩や明治以降の日本による沖縄支配、及び1945年の日米陸上戦時代よりも、良かったという想いが、基礎にあると言わざるを得ません。
◇ 沖縄のメディア(沖縄タイムス・琉球新報)は、反体制派を主導し、「反日本軍」「反米軍」の立場を堅持しています。
◇ 海外の左翼系(共産色等)は、上記の独立派・親中派・沖縄メディアに触手を伸ばし、あらゆる策略・謀略・陰謀を巡らせて、「日本と沖縄」及び「日本と米国」を離反させようと画策を繰り返しています。
◇ 北京共産党政権China の飽くなき軍事膨張路線、米国のアジア戦略変更に伴う米軍の沖縄配備縮減を念頭に置くと、沖縄の安全保障には、「危機接近」を予想せざるを得ません。
◇ 沖縄は、軍事的にも経済的にも、単独で(自主独立姿勢で)の生存が、事実上「不可能」と申せます。つまり、誰(どの国・勢力)かに安全保障を依存しないと、抹殺されてしまう可能性が高いのです。
◇ 新垣朝源は、沖縄の長期的な「経済繁栄」のためには、米国の保護の下に(軍事的な安保を米軍に全面的に依存)、完全な「為替貿易フリーゾーン」を造って(自国の通貨無しに)、米国・日本・アジア各国との「交流立国」を想定しましたが、1945年日米陸戦の精神的な後遺症が大きくて、実現しませんでした。
◇ 万一、沖縄人が北京共産党政権のChina 傘下入りを選択すれば、チベット類似の悲惨な状況に転落します。
◇ 米軍を沖縄から全面的に排除すれば、日本の自衛隊の気概・意欲、及び日本民族の意思、憲法上の問題(制約)が重なって、共産China からの脅威を十分に除去可能か、極めて不透明であります。
◇ 沖縄の世論が分裂し続けていると、沖縄自体が極めて危険な状況に転落すると言わざるを得ません。