軍事情報
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■レバノンの戦闘拡大
レバノンの首都ベイルートでは、九日の時点で、イラン、シリアの支援を受け、レバノンに拠点を置くシーア派武装勢力ヒズボラおよびその支持勢力と政府側民兵との衝突が激化しています。九日時点で武力で優位に立っているヒズボラ側は西ベイルートを支配下に置いており、民兵は拠点を明渡しています。それに伴い、反シリアの政治指導者として知られるハリリ氏系のテレビ局・新聞社がヒズボラ部隊に包囲され活動できない状態になっています。
⇒両者の衝突は、レバノン政府がヒズボラの軍事通信網を違法と判断した六日に発生しました。ヒズボラ指導者のナスララ師が「この政府決定は米・イスラエルに代わる宣戦布告と同じだ」と述べたことで火に油を注ぎました。ベイルート市内では食料品買いだめに人々が殺到しており、外国人には国外避難の動きも出てきています。この状況に対し、
1.国連安保理は「双方に自制を求め、レバノン各派に対話を呼びかける」姿勢を取っています。
1.米政府はヒズボラに対し「破壊的行動を停止するよう」要求しています。
1.レバノンの現政権(反シリア)を支持するサウジアラビアは「混乱収拾に向けた緊急アラブ外相会議の開催」を呼びかけています。
■ロシアで軍事パレード
九日に行なわれた「対独戦勝63周年記念日」では、モスクワにある赤の広場で大規模な軍事パレードが行われました。結構話題になっています。ロシアでは七日に第三代大統領メドベージェフ氏が就任しており、八日に前大統領のプーチン氏が首相に就任しています。新体制もこれまでのプーチン路線を継承することを国内外に告知するのが理由でしょうね。このパレードには軍人約八千人、地上部隊の兵器が百以上、航空兵器が約三十、そして、ICBM「トポリ」が赤の広場に初めて登場しています。昨年夏以降、ロシアは太平洋地域での戦略爆撃機の長距離飛行訓練を再開していますが、広場上空にはその戦略爆撃機も姿を見せています。
⇒メドベージェフ大統領は、プーチン首相の後に一人で観閲式に現れ、セルジュコフ国防相代行からの報告を受け、首相らを従えて観閲に望んでいます。そして「わが軍や艦隊はロシアと同様強くなってゆく」と宣言しています。赤の広場のパレードで兵器が登場したのは、一九九〇年十一月の革命記念日が最後で、それ以降は登場していませんでした。前日の八日にAPは、米政府当局者の話としてロシア政府が在モスクワ大使館の米武官二名に国外追放を通告したと伝えています。昨年十一月と今年四月に米政府が在米ロシア大使館の武官二名を国外追放したことへの報復措置ですが、これも、プーチン路線を明確に引き継ぐことを示した証左といえましょう。
■ナウマン大将の指摘
NATOの東方拡大、BMDの東欧配備等の問題がロシアを神経質にし、その対外行動に変化を与えているとされますが、NATO軍事トップとしてNATOーロシア協定交渉に尽力した元ドイツ連邦軍総監のナウマン大将は『ナウマン大将回顧録』のなかで、ロシアについて以下のような趣旨の指摘をされています。
・ロシアは世界第二位の大国でありたいとの願望を一度たりとも放棄したことはない。プーチン氏はこれまでの選挙を通じて、その印象をロシア人に与えてきた。だから、ロシアの前方地域である欧州の安保はロシアの同意によってのみ交渉可能という古くて新しい要求を掲げている。それが東欧におけるBMD配備非難につながっている。
・ロシアは欧州におけるロシア前方地域とともにソ連が崩壊したことを信じていない
・ロシアは東欧諸国からの尊敬と友情を獲得していない
・ロシアはソ連崩壊後、西側、特に米から欺かれたと信じている
・ロシアはNATOとの交渉で常に実現不可能な願望を抱いていた。それは、あらゆるNATOの決定に対する一方的な拒否権だった
・ロシアは欧州における支配的地位を得るため、欧州のエネルギー依存、EUの国際社会での控えめな態度、欧州で広がっている反米主義を「利用すべきチャンス」と捉えている。それに成功すればロシアは世界舞台に復帰でき、政策がワシントンで真剣に受け取られる機会を得るだろう。そのためプーチン氏は昨年より米に対する直接的挑戦をはじめている。
・プーチン氏は新冷戦をはじめたいのではない。ロシアにそんな力がないことは彼が一番よく知っている。彼は、ウクライナのNATO加盟といったロシアの戦略的選択肢に大きな影響を与える可能性がある将来の危険の目を摘もうとしている。自分はこれがミサイル問題の本質と考える。東欧のミサイルとレーダー基地は、この将棋ゲームにおける最初の「歩」にすぎない。
・欧米はロシアとの対話をめぐり厳しい時代が続くであろう。
国家とは友情ではなくただ利益のみ追求する存在である事実
を冷静に受け止めなければならない。
わが国にとってこれが
何を意味するかは
ご理解いただけると思います。
こういう話にうかうか乗ってはいけません。
この種の話をうかうか進める政府を十分監視する必要が
ありますね。
⇒さきほどご紹介したナウマン大将のことばのなかで、ロシアの提案にうかうか乗るのは不可である。という趣旨の言葉がありましたが、それとまったく同じ構造の話です。わが国には欧州ほど見識がなく、「カネになるなら」ということでこの種の話にうかうか乗ってしまう風潮があるようです。実に恐ろしいことです。
■米シ合同の対テロ訓練
一部報道が、この二月に行なわれた米シ軍事対話で、シナ側が海軍による軍事交流拡大と対テロ合同訓練実施の検討を米側に要請し、これらについて米シ外交当局が具体化の作業に入っていると伝えています。これまで両国の軍事交流は「海上遭難者の捜索訓練」レベルでした。
⇒数年前に確かお伝えしたかと思いますが、米はシナとの軍事交流を幾つかの段階に分けて考えており、今回シナが要請したとされることも、捜索救難レベルの次の段階として、米側が示していた内容だったように記憶しています。ですのでまったく驚きの念はありません。
それより、
「シナが提案した」と大々的に
伝えられていることに
不信感を覚えます。
(おき軍事情報部)
1.ソ連時代に軍事力で西側に影響を与えようとし、それが失敗したこと
1.ロシアは資源供給国として必要だが、ロシアは二重の意味で欧州を必要としていること。欧州は資源輸出の顧客であると同時に最新技術の供給者である。
1.欧州の大多数が米との緊密かつ永続的な関係構築を結ぶことを決定していること。その理由は、われわれの同盟基盤が民族的なものであることに価値を見出すからである。米との同盟にある一定の利益を見出すからである。更に米は世界唯一の国際政治における主役だからである。こうして欧州の方針は決定された。そのため欧州は団結しなければならない。
1.ロシアは欧州にとって米と同様多くの問題に関して協力すべきパートナーであるが、ひとつのパートナーよりも同盟の意見のほうが重要である。したがって欧州諸国にとって「ロシア第一」の選択はないし、あってはならない。
1.プーチン大統領が提言したのは、必然的に米と「欧州を含むロシア」の協力となる新しい政策の推進である。このような提言に膝を屈してはならない。次のロシア政府と交渉するにあたって欧州が、このような提言には二〇〇九年以降の米政府との合意が必要であるというように行動すれば時間の余裕を獲得できる。時間の余裕はこのゲームを平穏に収めるために活用されなければならない。そうすれば東欧におけるBMD配備に関する対立点の真の次元を把握することが可能となり、ロシア政府に西側はゲームを読みきっており脅しに屈することはなく、協力相手は欲しているが誰も支配者とは認めないということに気がつくことであろう。
・欧州は米なしに進むことはできず、ロシアとの協力を必要としているのだ。
⇒NATO加盟の欧州諸国が見るロシアは、誇大妄想癖があり人命や自由という価値観の面で共通点のない存在で、国の格としてはトルコ並みということのようです。必要ではあるが同盟相手ではないということでしょうね。一部国内報道では、ロシア新政権が「欧米との関係改善に意欲」との見解を示しているようですが、そんな単純な話で片付く課題ではないと思いますね。そういえば、昨年から太平洋地域でもロシアの軍事的冒険が目立っていますよね。ナウマン大将の指摘を通じ、その背景に何があるのかがよく分かります。『ナウマン大将回顧録』については、二十三日の「本の紹介」で取り上げる予定です。
■中共主席の来日
先週のわが国朝野はシナ主席の来日に目をとられ、大騒ぎでした。
ここでは日シ共同声明のエッセンスをお伝えします。
1.日シ関係は最も重要な二国間関係のひとつ。平和共存、世代友好、互恵協
力、共同発展の実現を決意する
1.双方は歴史を直視し未来に向かう
1.シナ側は日本が戦後平和国家としての歩みを堅持し、世界の平和と安定に貢献していることを積極的に評価する
1.シナ側は日本の国連における地位と役割を重視する
1.六者協議を共に推進する。シナ側は日朝が諸懸案を解決し国交正常化を実現することを歓迎・支持する
1.温室効果ガスを二〇五〇年までに世界全体で半減させるとの長期目標にシナ側は留意し、方法と措置を検討する。
⇒そういえば、「「戦略的互恵関係」の新局面を切り開く」という一文がありました。「戦略的互恵関係」(a mutually beneficialstrategic relationship)なることばの意味がわからないので調べてみると、以下のような意味ということがわかりました。< 2007/04/11-21:03 戦略的互恵関係とは 地域の安全保障や経済、環境、エネルギーなど幅広い分野で、共通の利益を目指すという日中両国の関係。小泉純一郎前首相の靖国神社参拝で冷え込んでいた両国関係の立て直しに向け、昨年10月に訪中した安倍晋三首相と胡錦濤国家主席が首脳会談で「共通の戦略的利益に立脚した互恵関係」の構築で合意した。今回の温家宝首相の訪日はこうした関係の具体化を図るのが狙いで、両国は閣僚級の経済対話の開始や省エネ分野の協力強化などを確認した。(了)>(時事通信社)
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二〇〇六年にできた、シナとの間にのみ使われる特殊用語ということですね。ぜんぜん中身を感じませんね。たぶんシナ独特の目くらましプロパガンダなんだと思います。これに踊らされるとひどい目に合うでしょう。今回の胡主席の訪日目的は、結局のところ「五輪開催のあいさつ」 にすぎず、戦略的互恵関係なるものも、五輪成功までのシナ有利の時間つなぎという意味あいしかないように思いますね。
マスコミは今回の訪日をパンダのことまで取り上げ、頭のなかまで熱くしていろいろ報道していますが、白けてみている方がよほどまともな気がします。今回の首脳会談で最も重要かつ唯一注目されたであろうことは、「チベット問題に対するわが国の対応」ですが、これまでの主張を繰りかえすだけの中共主席に対し、わが首相は「これまでどおり対話を続けて欲しい」と言っており、いってみれば中共の方針に同意しています。ヘタレという言葉がふさわしいですね。今回の来日を受け、「両国関係の雪解け」とのたまう脳内花園さんは少数派だと思いますが、「両国関係はより一層厳しくなってゆくなあ」と捉えた人は果たしてどの程度いるのでしょうか。今回のわが国の対応が、政界再編の序章になればいいですね。
■ゾルゲが周恩来と接触
九日、時事通信が興味深い記事を配信していました。「ゾルゲと周恩来、上海で極秘接触」と題するこの記事は、来日前の一九三 一年、ゾルゲが上海で当時の中共最高幹部だった周恩来と秘密接触していたことが、中共工作員の回想記を通じて八日までに判明したという内容です。「毛沢東の親族 張文秋回想録」(広東教育出版社)というこの本は、二〇〇二年に限定出版されたものだそうで、著者は古くからの中共党員で毛沢東の長男・次男とそれぞれ結婚した姉妹の母親だそうです。出版前の二〇〇二年七月に死去しています。
ゾルゲはソ連のスパイで、一九三三年にドイツ紙特派員として来日。近衛文麿や朝日新聞記者の尾崎秀美周辺からわが機密情報をGETしたとされる人物です。一九四一年にわが防諜当局に摘発され、一九四四年、尾崎らと共に処刑されています。「日本軍は南方進出を図り、北方には出ない」というゾルゲ情報は、ソ連が後方の憂いなく対独戦に集中できる状況を生んだとされます。ゾルゲは一九三〇年から三二年にかけて上海を拠点に活動し、国民党の動向、英仏米日の対支政策関連情報を収集してはモスクワに報告していたそうです。
⇒八日といえばロシアのプーチン首相誕生と同じ日ですね。それを待って公開したのでしょうか。同国の新体制誕生と期を一にしていることが気になりますね。中共政権が、この種の情報を何の意図もなく公開するわけがありません。
■ミャンマーのサイクロン被害
二日にサイクロンの直撃を受け、百五十万人の被災者と十万人を超える死者が出ているとされるミャンマーですが、諸外国や国際機関、NGOの援助受け入れを政権は規制しており、災害復旧は遅々としてはかどっていないようです。これについて米政府は六日、軍部隊を被災地及び周辺地域に展開する用意があることを明らかにしています。同様に被害が出た二〇〇四年末のインドネシア・スマトラ沖地震・津波被害への対応がモデルになるとしています。米軍はその際、一万五千人規模の部隊を現地に投入・展開しています。すでにミャンマー周辺に艦艇二隻と海兵遠征隊を待機させているそうですが、現時点でミャンマー政権は米がすでに派遣を決定している災害支援チームの入国を許可していません。
米政府は、ミャンマーに影響力を持つ中共、インドに対し、ミャンマー政府が支援受け入れをするべく働きかけるよう求めているそうです。
EUは六日時点で、「ミャンマー政府は、十日に予定されている新憲法の是非を問う国民投票を全国規模で延期することが賢明」とする声明を出し、ビザ発給を制限していることについても「必要なだけの発給を求める」としました。国連の潘事務総長は八日に「ミャンマー政府はすべての能力を緊急対応に集中させるのが賢明」と述べています。しかし十日、ミャンマー政府は予定通り新憲法の是非を問う国民投票を行な っています。
⇒ミャンマーは、当面世界で最も注目すべき国になると思われます。
十三日金曜日にお届けする「本の紹介」でもこのことに触れる予定です。スマトラ沖津波被害支援といえば、わが自衛隊から初の統合任務部隊が派遣されましたね。初めての部隊統合運用でした。シー・ベースでの部隊運用もこのとき行なわれてますよね。そのときの苦い経験が、新統幕創設の柱のひとつになったという話も聞きます。
■北鮮が核計画を提出
八日の記者会見で米国務省のマコーマック報道官は、訪朝した米国務省のキム朝鮮部長に対し、北鮮がプルトニウムを利用した核開発計画に関する相当の文書を提出したと明らかにしました。米に対して北鮮から核計画に関連する文書が提出されたのは初めてと見られます。
今回のキム部長の訪朝目的は、プルトニウムによる核開発計画文書の入手が主目的だったそうです。共同通信によれば、その報告書の中には寧辺にある実験用黒鉛減速炉(五千キロワット)と再処理施設である「放射化学研究所」の稼動記録が含まれているそうです。いっぽう、ウラン濃縮、シリアへの核協力に関連する文書は含まれていません。これらの文書は「プルトニウムの抽出量」検証にあたって不可欠の資料といわれています。八日の米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」はこれについて以下のようなことを伝えています。「提出文書によって寧辺核施設の稼動記録が完全に説明されるものと判断された場合、ブッシュ大統領は議会に対しテロ支援国家指定解除を通告できる」現実的には、テロ指定解除には申告の完全な実現が必要で、文書の精査にも相当時間がかかるようです。この時間が誰に有利に働くのか。見極める必要がありますね。翌九日、国連欧州本部で行なわれた「二〇一〇年の核拡散防止条約再検討会議にむけた第二回準備委員会」は、北鮮が核計画に関する「完全かつ正確な申告を果たしていない」ことへの懸念を表明した議長の総括報告をまとめて閉幕しました。報告は「北鮮の核行動は核拡散防止条約に対する重大な挑戦」と位置付け、申告の即時実施を強く求めています。もしかしたら、北鮮はNPT復帰をあらたなカードにしているのかもしれません。ちなみに先日行なわれた日シ首脳会談では北鮮核問題について概略以下のような話が行われたと伝えられています。
福田首相
北鮮はまだ「完全かつ正確な申告」を実施していない。北鮮核廃棄に向け、引き続き連携していきたい。拉致・核・ミサイルなど諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を実現するとの方針に変わりはない
胡主席
寧辺の核施設無能力化と核計画申告という「第二段階」を履行し、六者協議を早く新たな段階に引き上げたい
⇒この前お伝えした記事でも触れましたが、北鮮は少なくとも核弾頭十個分のプルトニウムを保有していると見られます。ノドンの弾頭に搭載してわが国を恫喝することも、近い将来可能になると見るべきでしょう。(もしかしたらすでに・・・)いたずらに不安を煽る気はありませんが、そういう事態にわが国としてどう対処するのか、ということを政府には言葉もしくは行動を通じてきちんと説明してほしいものです。
■日シ米の戦略枠組みを打診
対話によって日米同盟に影響が出ることはなかろう。こんななんとも不可思議な理由でわが国は前向きに検討した(ている?)そうです。
昨年、シナ政府が米政府に対しわが国を含めた三ケ国で、次官クラスの北東アジア情勢の包括的対話枠組みを作ろう、と打診していたそうです。わが国はこの話を積極的に進めたといわれますが、米が難色を示し、米政府内の一部当局者は「現政権での実現はほぼなくなった」との認識を示しています。しかし、米の次期政権ではどうなるかわかりません。下手すれば「太平洋地域の安保は米と<日本を含めたシナ>の枠組みで行なう」ことになりかねません。これは日米同盟の弱体化に直結する話です。