縄文塾通信
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■□■ 『厚黒学』とはなにか?
──これがチャイナの本質だ!中村 忠之
★李宗吾と厚黒学
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この聞き慣れない『厚黒学』とは一体なにか。実は「厚かましく腹黒いことを正当化し推奨?する学問・学説」のことである。こんな説があること自体、我々日本人には信じがたいことだが、事実近代チャイナにおいては広く流布してきたもののようだ。 「厚黒学」を提唱したのは、四川省富順県自流井(じりゅうせい)の出身の李宗吾(1879~1943)、もとの名前である世全から宗吾に改めた。宗吾とは、「吾を宗(もと)とする」意で、ペンネーム(筆名)を「獨尊」と号した。もっとも彼は当初儒教を学び、孔子を尊崇していた。ところが理由は不明だがその後考えを改め、孔孟の道は所詮自分の目指すべき道ではないと考えるようになったという。古今の学に通じていた李宗吾は、科挙に及第し早くから教育活動に従事して、中国校長を始め、教育庁副庁長・督学(教育長)などの要職を歴任するが、次第に腐敗しきった環境に愛想をつかし、もっぱら著述の筆をとようになった。 考えてみれば、そもそも厚かましく腹黒い事を推奨する「厚黒学」を説く者が、教育長を任じたり、「腐敗しきった環境に愛想をつかす」のもヘンな話だが、そこが
チャイナのチャイナたる所以であろう。彼は「厚黒教主」と号したように、たいした自信家でもあるが、時あたかも孫文らによる辛亥革命(1911年)
によって清朝が崩壊し、中華民国が設立されたいわゆる「清末民初」という時期だったこともあってか、彼の「厚黒の実践」を説く文が成都の「公論日報」に連載され盛名をとどろかすことになった。 はじめの頃は、物議を醸すような赤裸々な表現が多過ぎてか、世論の大きな反発を招いたことから、一時掲載を中止して題名や表現を改め、1934年に『厚黒学』3巻を発売するや、即日売り切れるという人気を博した。
★「厚黒学」とは?
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「厚黒学」は、厚かましく腹黒いことを正当化する説だから、当然「性悪説」のカテゴリーに属する。「性悪説」は、紀元前3世紀ころの思想家である荀子(じゅんし)が、孟子(BC372年? ~同289年)の「性善説」に反対して唱えた説である。荀子の「性悪説」は、「人の性は悪なり、その善なるものは偽(ぎ)なり」という主旨だから、李宗吾の「厚黒学」の主張はそれを論拠としたものである。「厚黒学」は、類例として多数の歴史上における人物と行動原理を示して、「厚黒であれば成功し、不厚不黒の者は失敗する」と唱えた。以下、李宗吾の挙げる実例のごく一部を紹介すると、
1.越の勾践: 会稽の戦いで呉王夫差に敗れると、妻も妾も差し出し、みずからも呉王の奴隷に身を落とし「臥薪嘗胆」の末、密かに富国強兵を行って呉に復讐を遂げる。ところが今度は、敗れた夫差が妻妾を差し出して命乞いしても、一切、耳を貸さず死に追いやってしまった。これぞ究極の厚黒である。
2.魏の曹操:彼は旧友・ブレーン・主君とその妻子を殺しても、なんらやましさを感じず,「自分は人に背いても、人に自分を背かせない」と豪語した。こうした才能があったからこそ、一世の英雄に成りおおせた。
3.蜀の劉備:彼は曹操・呂布・劉表・孫権などの有力者を次々に頼りながら、あちこち臆面もなく逃げ回る等、他人の厄介になりながら、いささかも恥じるところがなかった。 しかも自分では処理できない問題は他人に泣きついて状況を有利に進めたところから、世間より「劉備の領土は泣いて手に入れたものだ」と言われた。注:毛沢東は「魏の曹操」に、周恩来は「蜀の劉備」に似ていると言われるが、案外それぞれ両者を手本としていた感がある。
★ 李宗吾語録と実践例
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「天は人を生じたとき、我々に厚みをもつ面と、腹黒さをもつ心を与えた。凡そこの世の功名富貴、いずれもひとつとしてこの厚黒の作用から発しないものはない」
厚黒の三段階
第1段階:「厚きこと城壁の如く、黒きこと石炭のごと し」
第2段階:「厚くてしかも硬く、黒くてしかも光る」
第3段階:「厚くてしかも形なく、黒くてしかも色なし」
また実践例として、
1.簳(やがら)が刺さったので外科医のところに行ったら、外に出た?の幹の部分だけ を切り取って、治療代を請求し、刺さった鏃(やじり)の部分は内科医の仕事だと言えと言へ。
2,頼み事で人が来ると、「其奴は賛成だが、某々にも相談しては」と言い逃れよ。
3.鍋のヒビ修理に鋳掛屋を呼ぶと、理由をつけて主人を外させ、ヒビを叩いて大きくし、修理代を増やしても、双方満足する結果を得る。
我々から見ると、「よくもまあ イケシャアシャアと1」と唖然とするばかりであるが、ダンボール饅頭などを見ても、この国ではこうした行為や考え方が受け入れられる素地がある事を知るべきだろう。
★ 日本も厚黒だった!?
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なお李宗吾は、「日本も厚黒立国なり」と言ったという。理由として彼が挙げた日本外交は、
1.強盗式外交である。時には理不尽にも武力で略奪する盗賊と同じやり方をした。
2.娼妓式外交である。時には甘い言葉で歓心を買い、娼妓が客に媚びるようにして盟約を結ぶが、約束事は守らない。
さて、皆さんいかがですか。この『厚黒学』は実に1千万部売れたという超ベストセラー・ロングセラーだと言うことから見ても、以来チャイナの施政者達が厚黒学を信奉して内政に当たり、外交に応用してきたかと考えると、今まで掴み所のなかった闇の国チャイナの本質が見えて来るではないか。
★「厚黒学」を知ればチャイナが見える
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言うまでもなく、チベットや新疆ウイグル自治区・内モンゴルなど周辺の国々を強引に武力や策略で併合した方法や、日本の排他的経済水域すぐ近くでのガス田発掘や尖閣列島の領有権帰属の先延ばしなどなど、まさに李宗吾が日本に当てはめた、強盗式外交のそのまま裏返しではないか。
また急成長に伴うエネルギー資源獲得のために、人種差別などの人権問題や内戦、汚職の横行がはびこるアフリカのアンゴラ・ナイジェリア・スーダン・ケニアなどに、「内政に干渉せず、援助を拡大する」、あるいは「援助にはいかなる政治条件もつけない」という方針で援助を行っている背景にも、「厚黒学」の影響が見て取れる。しかもこうしたチャイナの行為が先進諸国から非難され、顰蹙を買っても一向に動じないなど、まさに厚黒学 のスタンダード実践そのものではないか。 悲しいことに日本には、(知らぬ事とはいいながら)DNAに組み込まれた「性善説」から一歩も抜け出せぬ、というよりむしろ無知から来る媚名派・属国根性丸出しで「娼妓式外交」に終始している日本政府そして福田首相がいる。言うまでもなく福田さんは、「厚黒大王」胡錦涛に苦もなく丸め込まれて、上野動物園のパンダ、リンリンの代わりを提供して貰う代償として、ガス田発掘問題・毒
ギョーザ事件には目をつぶり、オリンピック開会式への参加を公言するのオチではないか。
注:◎本文は,縄文塾塾友、熊本謙次氏の講話と、 ウィキペディア「李宗吾」に依拠した。
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<中村のコメント>
ウィキペディアによると、大田弘子経済財政政策担当大臣発言の真意として、「国民の危機意識を煽り、高い国際競争力を挽回しようという叱咤激励の意図があったとされる。しかし、発言の重大さにもかかわらず、大田大臣及び福田内閣がそのような状況を打破するような経済対策に対してマーケット関係者の反応は厳しく、その後の株価下落にも影響した。」 とあります。大いに考えさせられる事です。日本経済を金融・為替本位で考えて,一喜一憂することはいかがなものか。その点おおなださんの視点は重要である。
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□■ 日本経済は一流とはいえないのか? ■□■
おおなだ
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1月の国会で、大田弘子経済財政政策担当大臣は「もはや日本経済は一流とはいえない」と国会答弁し波紋をよんだ。多分、構造改革が進まない現状にイライラして国会議員に活を入れたのが本音だろうが、おかげで直ぐマスコミが日本経済悲観論を流した。だが彼らの言うとおりではない。
世界のGDP比較をするときはドル表示で行う。従ってドルベースでのGDPは為替相場の変動だけで簡単に上下する。先日、日経新聞の「視点」に興味深い記事があった。一つは、2008年はドルベースでは日本は二桁成長を遂げるであろう数少ない国に入るというのである。ブラジル、ロシア、インド、中国などとともに。今一つは各国通貨ベースの物価変動を加味した実質成長率でいえば、先進国では最も下振れが少ないとある。この記事に
加えれば、特にGDPに所得収支を加味したGNIベースでは比較的順調に拡大が続いているのである。そもそも、わが国の潜在成長性をみるとき忘れてはならないのは研究開発投資の水準で、失われた10年のときも現在も日本の研究開発投資はGDP比3%以上で世界1でありつづけた。少なくとも主要先進国では。こういう科学技術の水準はよくウオッチしておかないと、世界の中での日本の経済を見誤る。多くのマスコミは日本の中の日本で経済を見るから誤る。概して小生は、日経新聞の企業の技術開発の項を見るのが好きである。日本の世界での産業技術の競争力が
漠然とではあるが理解できるからである。この技術開発では相対的に日本は世界の先頭にいる。2006年統計では、研究開発投資はGDP比 日本3.1% 米国2.7% ドイツ2.5% 、なりふり構わず必死で日本に追いつきたい韓国2.5%、 それに中国は、たった1% 。しかも日本が他国と大きく異なるのは民生用が80%も占める。企業が役員報酬や配当を控えめにしてでも未来のために懸命な努力を傾けている姿がみえる。 健気というべきだろう。だからこそ、この資源高のなかでも、日本の国際競争力は比較優位にある。つまり日本は資源の価格弾性値が低い。因みに、この価格弾性値が高い韓国では原油の使用効率は日本の33%しかないから、他人事ながら大変だろう。実際、韓国では物価上昇が大問題になっている。世界の中での日本を観て日本人はもっと自信をもとう。
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□■ 逆・三題噺■□■ 月河 潔
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――松下電器産業・ナショナル・パナソニック
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1月10日松下電器産業は、会社名を「パナソニック」に変更すると発表した。社名変更に伴う費用は、松下電器だけで約300億円を見込む、という。そして大坪文雄社長は『世界の市場で事業展開する上で「松下電器」の名はローカルな印象がある』という。*じゃぁ何故現在まで「松下―」の他に「ナショナル」「パナソニック」のブランドも使っていたのか? ** サンスターも、そのロゴを変更するとき、(私が旗振りだったが)1億以上かかってキモをつぶした。約半世紀昔のハナシだが、300億じゃぁ、とてもとても、と思う。 以前の勤務先で、工業所有権関係部門を兼任していた
とき、松下さんの「ナショナル」についてのウワサは、ゴシップの形で私のところに流れて来た。今度の報道には欠けている箇所もあるので、いちおう
私なりに整理しておきたいと思う。 最初に聞いた噂は、"松下さんのアメリカに輸出したラジオ「ナショナル」が先方の商標にひっかかった"というものだった。(A)英語Brand には商標(品物の名)の他に商店名の意味がある。つまりラジオの名としてひっかかったなら、たしかにトラブルになるし(工業所有権法)、先方の店名だった場合は2つのケースに分かれる。店名ならひとつの町に一軒しか同じ店名は使えないから、売り出した町に「ナショナル」があるか、ないか、で Brand に抵触したか、しないかが決まる。
(B) 商標には登録されない(出来ない)言葉がある。「完全」「無敵」など。審査で却下されるが、使うことは出来る。権利(自分が使い、他人に使わせない)がないだけだ。「National」がその範囲にあたるかどうかで決まる。
(C)登録後、一所定の期間使用されない場合は登録を抹消される。このケースになっていないか、調査を要する。
これだけの疑問を解明しないと、抵触の有無は決定出来ないのだ。私にしてみれば興味深々だったが、所詮ヨソのことだから放置しておいたがちょうど今回の騒ぎは死人が生きかえったような気がする。*同期生に松下、いやパナソニック勤務の男がいる。内部からこの経緯はどうだったか知りたいものだ。** Nationalの意味:(1)国民の (2)国家の (3)全国的(4)国有の(5)その国固有の とある。上記(B)にあたる、と私はみる。
*** "万国共通のルール"とはいうが、案外、米国には例外があるかも知れない。殊に州(State) の制度ではあり得ることである。
ついでに、 Panasonic について。(Pan と Sonic の合成語である。) Pan: 「全」「総」「汎」の意味の語形成要素。とある。"パンアメリカン航空"という会社が実在したあなァ。派生語例:Panacea 万能薬。 Panache カラいばり新聞では、Pan (あまねく)と Sonic (音)を組み合わせて"松下電器の音をあまねく世界へ"という意味を込めた、と持ち上げている。私にしてみれば、「Panasonic」は無事米国で登録出来たか気になるが、まず、通ったのだろう。造語だから先願がある危険性は少ないからだ。言わせてもらえれば、すこし長い。「ソニー」をみろ。*SONY については後出する。PANASONIC の SONI もソニーと読める。別のゴシップに、創業者松下幸之助さんの晩年、病院に見舞いに行った役員が"松下電器の名は古くなってー"と言いかけた途端、幸之助さんにハッタと睨みつけられ、青くなって早々に退出した、というのがあるが、眼に見えるようだ。幸之助さんにしてみれば、松下電器はシニセなのだ。老舗なのだ。シニセがカタカナ名の製品を売って、どこが恥ずかしいか!私は、ブランド統一による消費者知名度の向上、という効率第一主義よりも幸之助さんに肩入れしたい。1月9日、東芝は朝日新聞に見開き2ページ全面を「TOSHIBA Leading-Innovation」の広告でつぶした。サン・テグジュペリの「星の王子さま」をキャラに仕立てて、"この星のエネルギーと、エコロジーのために。東芝"とやった。がんばったものだ、と思っていたら、翌10日、アメリカで開催された家電見本市で東芝は予定していた説明をとりやめている。理由は東芝グループの「HD-DVD」陣が、ソニーグループの「ブルーレイ・ディスク(BD)」に敗れて、ワーナー・ブラザーズがBDに特化すると表明し、更にパラマウントもこれに追随するという。朝日の広告枠は以前からとっていたろうから、止むを得まいが、運がなかった。この一件、ジャンクネタでは、ソニーのストリンガー会長に、説明会席上、"ワーナーがブルーレイに決断したので、私の心はブルーだ"と駄洒落をとばされている。この2日間、東芝には悪日だったなぁ。
*蛇足だが、Blue には、悲しい、さびしい意味がある。寺田寅彦が、ドイツ映画の名作、 Blauen Engel つまり Blue Engel を「青い天使」と訳して恥をかいている。正しくは「嘆きの天使」。ディートリッヒ初演。岩波文庫の「寺田寅彦随筆集」には、「青い天使」としてある。岩波さんもヒトがわるい。
蛇足ついでに。社名・商品名・商標名などの取り扱いは、ソニーが抜群だ。創業後間もなく、アルファベットのSONY一本槍で押しとおしていることをみても判る。日本語で読めば「ソニー」だが、これが英語のSONNYと同じ発音で、"坊や、おチビちゃん"といった愛称につながるし、もう少しひねれば、SONIC, 音、の意にも出来る。(前記 Panasonic 参照。松下の方が後発である。)
キャラクターとして、岡部冬彦さんの「ベビー・ギャング」を使う。やることもキツい。菓子屋さんが(ブームにあやかってか)食品部門でSONYの商標権をとったことがある。「ソニー」側では、"権利はあっても絶対に使わせない"と公言して、とうとう宣言とおり押し切っている。*私見では、両社が弁護士をたててエンエンと"交渉"をつづけ、ソニー側が「長期間不使用による失権」に持ちこんだもの、と見ていた。ヘタな菓子など売られるよりも、弁護士費用の方がずっと安いのだ。最近、球団タイガースの商標権を、非関係者がとって売りつけ、騒ぎになったが、その後はっきりしない。ソニーと同じ手を球団側がとったのだろうか? ** ナショナルの懐中電灯が「津山事件」で使われ。この事件を横溝正史が小説化して、映画「八っ墓村」
(市川昆監督)になった。この映画がヒットして角川書店の破綻を救ったと言われている。 T-021