ロシア政治経済ジャーナル | 日本のお姉さん

ロシア政治経済ジャーナル

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★プーチンとロシアの自立
<○国内政治
1、プーチン政権は権威主義的超安定政権
2、新興財閥は政治的影響力を失う
3、チェチェン戦争は終わる(たとえ続いても下火に)
4、自由の制限、言論統制が強まる

○外交
1、これからのロシアは親中反米
2、CISと接近
3、日露関係はあまり変わらず

○経済
1、国家の経済への介入が強まる
2、外資は増える
3、国内産業も復活する>
(2000/03/27 【ロシア政治経済ジャーナル】No.42
★プーチンさんのロシア 
http://archive.mag2.com/0000012950/20000327162000000.html?start=700  )
<プーチンさんはこれから皇帝(エリツィン)をはるかに上回る権限を手に入れるだろう。ロシアにおいて皇帝の上にいるのは「神」しかいない。プーチンさんは神への道を歩みだした。>(2000/05/21 【ロシア政治経済ジャーナル】No.52
★神への道
http://archive.mag2.com/0000012950/20000521172000000.html?start=700  )


全世界のRPE読者の皆さまこんにちは!
いつもありがとうございます。北野です。上に引用したのは、RPE8年前の記事です。プーチンが大統領選に勝利した翌日と、2ヵ月後。
あれから8年経ちましたか。。。5月7日、メドベージェフさんが宣誓を行い、大統領に就任しました。これからは、メド大統領、プーチン首相という体制に移行します。(「メドベーデェフのロシアはどうなるの?」はこちら。

http://archive.mag2.com/0000012950/20080303083509000.html?start=20   )
そんな節目ですので、今回はプーチン時代までを振り返ってみましょう。

▼なぜソ連は崩壊したの?
かつて、アメリカと世界を二分したロシア(ソ連)。なぜ崩壊しちゃったのでしょうか?この質問に答えようと思えば、一冊本が書けるでしょう。しかし、超簡単にいえば、「経済が破綻したから」。で、なんで経済が破綻したのか?社会主義・共産主義経済の脆弱性をあれこれ書くこともできますが。。。私は、それより三つの点をあげたい。
1、1979年からのアフガン戦争
2、アメリカとの軍拡競争
3、原油価格の下落
1970年代、ソ連経済は絶好調でした。なぜかというと、第1次オイルショック(1973年)・第2次オイルショック(1979年)があり、原油価格が異常に高かった。1980年代に入ると、アメリカはサウジを説得(脅迫?)し、原油価格を下げさせます。さらにレーガンさんは、ソ連を「悪の帝国」と呼び、軍拡競争をしかけました。そして、かさむアフガン戦争の戦費。これらがソ連経済を直撃した。1985年にゴルバチョフさんが書記長になったとき、ソ連経済はボロボロになっていたのです。

▼なぜ、ロシア経済はボロボロだったの?
そんなわけで1991年12月、ソ連が崩壊しました。新生ロシアの初代大統領は、故エリツィンさん。天下をとったものの、彼も共産主義国で生まれ育った。資本主義のことなんて全然知らない。どうやって改革したらいいんだろう。それで彼は、アメリカとIMFの勧告にしたがうことにした。
内容は、
1、政府による経済管理の廃止 
2、大規模な民営化 
3、価格と貿易の自由化
「プリクラスナ」(すばらしい)エリツィンはわけもわからず、このアホな改革を実行します。(なぜアホな改革なのか?例えば、当時のソ連は物不足が深刻だった。トイレットペーパーを買うのに、2時間行列に並ぶ。そんな状態で価格を自由化すれば、ハイパーインフレになるにきまっている。また、ソ連崩壊でルーブルが大暴落していた。そんな状態で貿易を自由化すれば、これもハイパーインフレになるにきまっている。)結果は悲惨。改革初年度92年のGDP成長率はマイナス14.5%(!)。インフレ率は2600%(!)。ロシアのGDPは、金融危機があった98年までになんと43%も減少したのです。

▼なぜ、ロシアは超格差社会になったの?
ロシアといえば万人平等の共産国家。貧富の差も失業もないんですよね。ところが、今のロシアはとんでもない格差社会になっています。ロシア1の金持ちはデリパスカさん(非鉄金属ルサール社長)。彼の資産は07年1兆3000億円だったのが、08年には2兆8000億円まで増えた。(現在世界9位)ということは、年収1兆5000億円。(!)月収は1250億円、日収は41億円。8時間労働で換算すると時収は5億円(!)分収は約800万円で、秒収は約13万円。一方、おとしよりは、月1万5000円の年金で暮らしている。これはデリパスカさんの秒収の8分の1以下。(涙)
そうそう、なんでロシアは超格差社会になったのか。
IMFは、「大規模な民営化しないと金かしませんよ!」というロシア政府はしゃあないから、民営化しますね。しかし、ソ連時代のロシアは国民全員が公務員。(共産国家には、私有財産や民間企業が存在しない)つまり、民営化しても、買い取る金のある人はいない。で、政府はどうしたか?
国民全員にバウチャー(民営化証券)を配った。国民は、これを民営化された会社の株と交換できたのです。ところが、共産国家で育った人に「株」なんていっても、なんのこっちゃわからない。しかもソ連が消滅したり、ハイパーインフレで大騒ぎしていて、頭がまわっていない時期。99%の人にとって、バウチャーはただの紙切れにすぎなかった。それで、ウォッカやソーセージと交換しちゃった人が山ほどいたのです。しかし、ある一群はバウチャーの真の価値に気がつき、安値でかき集めていた。彼らはほとんど無料で、次々と民営化会社を手中におさめていった。「彼ら」って誰?
▼新興財閥の時代
このように、富と所有の再編は進んでいきました。97年1月の時点で、民営化企業はロシア全体の75%、労働人口の80%。欧米から「クレムリンのゴッドファーザー」と呼ばれたベレゾフスキー(61歳)さんは当時、「7人の新興財閥がロシアの富の50%を支配している」と語っていた。7人の新興財閥って誰?
1、ベレゾフスキー(基盤は石油大手シブネフチ・ロシア公共テレビ等)
2、ロマン・アブラモービッチ(シブネフチ)(42歳)
3、4、ピョートル・アヴェン(53歳)とミハイル・フリードマン(44歳)(アルファ銀行、石油大手TNK)
5、ウラジーミル・グシンスキー(55歳)(メディアモスト、傘下に民放最大手NTV)
6、ミハイル・ホドロコフスキー(44歳)(メナテップ銀行、石油大手ユコス)
7、ウラジーミル・ポターニン(47歳)(インターロスグループ、ノリリスクニッケル)
ポターニン以外は皆ユダヤ系。彼らは、ロシア経済の主要部門ばかりでなく、政治も牛耳るようになっていった。そして、エリツィン一家と癒着することで、税金を払わずにすんでいました。なぜロシア経済は90年代ボロボロだったのか?90年代初めのバカな改革の結果である。しかし石油・鉄鋼など主要部門を手中におさめた新興財閥軍団が、税金をおさめなかったのも大きな理由。

▼プーチンの登場
さて、新興財閥の長老といえば、エリツィン一家と癒着していたベレゾフスキー。反エリツィンのメディア王グシンスキーでした。エリツィンさんは心臓が悪く、98年ごろにはいつ天国に行ってもおかしくない状態。それで二人は考えた。「次の大統領は、俺の操り人形でなければならない」ベレゾフスキーは、FSB(旧KGB)の長官だったプーチンさんを選んだ。

プーチンの経歴。
94年サンクト・ペテルブルグ副市長、97年大統領府副長官、98年8月連邦保安局(FSB)長官、99年8月首相。グシンスキーは、これもKGB出身の大物プリマコフさん(元外相・首相)を選んだ。なぜ、二人ともKGBの大物を選んだのでしょうか?これは、「命と資産を守ってもらうには、KGBを取り込むしかない」と考えたからでしょう。99年12月の下院選挙。当時首相だったプーチンさんが支持する政党「統一」が、プリマコフの政党「祖国-全ロシア」に勝利。プリマコフは大統領選への出馬を断念。プーチンさんは、ベレゾフスキーの思惑どおり、00年3月の選挙で大統領になったのです。

▼粛清
結論をいうと、プーチンさんは新興財閥の力で大統領になり、即座に彼らを裏切りました。00年にはグシンスキーと恩人ベレゾフスキーを脱税・横領などの容疑で追求。グシンスキーはイスラエルに、ベレゾフスキーはイギリスに逃れます。ベレゾフスキーは、今も反プーチン運動をしている。そして、殺されたリトビネンコさんは、ベレゾフスキーと仲良しだった。イギリスは、「プーチンが殺した!」と主張。ロシアは、「プーチンの評判を失墜させるために、ベレゾフスキーあるいはMI6が殺した!」と主張しています。プーチンは03年、ロシアの石油最大手ユコスのホドロコフスキーと対立。ホドロコフスキーも敗れ去り、今では刑務所の中。なぜプーチンは、新興財閥の大物に勝つことができたのでしょうか?背後にKGB軍団・内務省・最高検・軍などがいるから。彼らは新興財閥時代冷遇されており、復讐の機会を待ち望んでいた。それで、プーチンさんを圧倒的に支持したのです。新興財閥たちは、金の力を過信しすぎていました。これで、残りの新興財閥は恐れおののき、
1、政治に干渉しません
2、税金をちゃんとおさめます

と誓います。
ロシア経済は
1、ロシアの主要経済部門を牛耳る新興財閥が悔い改め、税金をおさめるようになった
2、そしたら原油価格が急騰し、オイルマネーが洪水のように流れこんできたという流れ。「プーチン時代、石油価格は右肩上がりだった。ただのラッキーボーイだ」なんていう人もいます。しかし、新興財閥がエリツィン時代同様政治を牛耳り、税金を払わなければ、ロシアの今の繁栄はなかったでしょう。

●余談1
(ちなみにユダヤ人がロシアを支配し、その後追い出されるのは2回目。1回目は1917年のロシア革命。この革命を主導したのは、ほとんどがユダヤ人でした。しかし、彼らはグルジア人のスターリンに粛清されました。)

●余談2(プーチンは、ユダヤ系新興財閥ベレゾフスキー・グシンスキー・ホドロコフスキーを粛清した。その後、ロックフェラー系のエクソンモービルやロスチャイルド系のロイヤルダッチシェルをいじめている。それで、いわゆる「陰謀論者」の中には、プーチンを英雄視している人々もいるようです。)
▼石油・ガスは国家のもの
ベレゾフスキーが所有していた石油大手シブネフチ。それを安値で買い取ったアブラモービッチは、天然ガス世界最大手ガスプロムに売却しました。
ガスプロムはこれで、時価総額世界3位に浮上。一方、ホドロコフスキーのユコスは、国営石油会社ロスネフチに吸収された。現在、ロシア1はガスプロム、2位はロスネフチ。プーチンは、民営化で新興財閥の手に移った石油・ガス部門を国家に取り戻したのです。超簡単にロシアの現代史を振り返ってきました。プーチンさんの時代、ロシアはどのように変貌したのでしょうか?数字を見ると驚かれるでしょう。ロシアのGDPは、2000年の2511億ドルから07年の1兆2237億ドルまで、なんと約5倍化(!)。すでにフランスを抜いている。平均月収は、00年に約100ドルだったのが、07年は540ドルで5.4倍(!)増加。外貨準備高は、04年にはじめて1000億ドルを超え、3年後の07年には4000億ドルを超え、世界3位に浮上。株価指標RTSは、00年の200から07年には2000ポイントを突破し10倍化。まあ、善悪はともかく、なぜロシア国民が「独裁者プーチン」を愛するのかわかるでしょう。経済をボロボロにした民主主義者エリツィンより、ワンマンでも生活を楽にしてくれるプーチンの方がよい。

▼自立を達成したロシア
私は常々、
1、日本はアメリカ幕府の天領である
2、アメリカ幕府は衰退している
3、よって日本は自立する準備をすすめなければならない
4、でなければ日本は中国幕府の天領になる
と書いています。で、自立ってなんだ。

1、財政と経済の自立
2、軍事的自立
3、食糧の自立
4、エネルギーの自立
5、精神の自立
自立していない国のことを「依存国家」といいます。日本はアメリカの依存国家。ロシアも90年代は、依存国家でした。しかし今は、自立国家になっています。
1、財政と経済の自立==プーチンが大統領に就任した00年から、ロシアはず~と財政黒字の国。90年代は借金大国だったが、現在ほぼ完済。
2、軍事的自立==ロシアは、アメリカのMDを突破できる多弾頭ミサイルを完成させていて、アメリカも手出しできない。アメリカが東欧MD配備や、NATO拡大を急ぐのは、ロシアの脅威を感じているから。
3、食糧の自立==ソ連崩壊後ロシアの農業もボロボロになった。それでも、世界有数の農業大国であることに変わりない。
4、エネルギーの自立==説明の必要なし。
5、精神の自立==ロシア人は共産主義教がインチキだとわかった後、アイデンティティー・クライシスに陥りました。しかし、現在はロシア正教・イスラム教・チベット仏教等の復興により、危機は克服されたようです。このように、プーチンは独裁者ですが、ロシアを「依存国家」から「自立国家」に進化させました。日本は現在アメリカの「依存国家」ですが、「ある人物」の登場により「自立国家」への道を歩みはじめるでしょう。え?「ある人物」って誰かって?極秘情報ですが、絶対口外しないと約束してくださるなら、教えますよ。日本を自立に導く「ある人物」とは?

あなたです。