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▼【月刊論座】『「軍」をマネジメントする この組織に何が足りないのか、必要か』 (清谷信一)
現在発売中の月刊「論座」で『「軍」をマネジメントする この組織に何が足りないのか、必要か』と題した宝珠山昇、古庄幸一、半田滋三氏による鼎談が掲載されています。こういう企画こそ保守系の論壇誌でやって欲しかったです。うなずけるところも、そうでないところも多々ありますが。
古庄氏が述べていますが、海自の人員の不足は深刻です。氏は「海上自衛隊4万4千人ほどですが、私は『現状の装備からいくと6万人いなければ運用できない』と言い続けてきました」と述べています。とはいっても石破氏が長官時代人員削減で定員を減らすか、充足率を下げるかで議論があったのですが制服組は後者の方を強行に主張して、その通りになったのですが。絶対的な人員の不足は否定しませんですが、足りない足りないで人員を増やせ問題が解消するものでもないでしょう。人員を増やす以前に出来ることもあるでしょう。幕僚監部やその他の組織で余っている(とは中の人達はいいませんが)間接人員を艦隊に回すといった方法も考えるべきです。更には艦隊の規模を縮小しても充足率を上げることを考慮すべきです。定員が多く、性能が低い旧式艦を廃棄して、その分の乗員を他の艦艇に振り向けるということも必要でしょう。現状では防衛予算がこれ以上増えないのですから、ゼロサムで何かを削る必要があるはずです。ですが当事者からは定員の削減はやめてくれ、充足率を下げるので勘弁してくれというわけです。恐らく定員を削られと増員が認められにくいからでしょうが、その結果が現在の艦隊の人員不足です。陸自も大幅に人員を削減すべきだと思います。陸自の装備は旧式化が甚だしく、ネットワーク化、UAVの導入なども遅れています。本当に悲しいくらい遅れています。また兵隊的な水陸両用部隊の新設(あるいは既存の部隊からの改編)も必要です。これらを更新するためには大幅な人員削減が必要だと思います。既存の師団旅団を削減する、あるいは期間要員だけ残したスケルトン部隊にし、その分予備役を増やすという方法もあるでしょう。これらに関しては時期を見て具体的な提案をしてみようかと思っています。こういう問題は野党、民主党に頑張って欲しいものですが、あまり当てにならないんですよね。実際の所防衛予算が国会では殆ど審議無しで毎年予算が組まれているのが現状です。野党は防衛省が情報を出さないといいますが、公開情報すら満足に利用できていないわけです。公開情報をつかってもあれこれ突っ込みはもっと出来るはずです。石破大臣は各幕僚長が大臣(あるいは首相の)「参謀」としての性格と、自衛隊の司令官という二つの性格をもっているのはおかしい、と主張しております。ですから陸自に陸自総隊を新設して、その司令官をラインの長とする、三自衛隊ともそのようにして、幕僚長は大臣の補佐、それとは別にラインの長が各自衛隊を指揮という案は検討に値します。昨年の守屋スキャンダルの熱が冷めてしまってメディアではさほど防衛省改革が報道されなくなりました。もう少ししつこくこの問題を報道し続けて欲しいものです。
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▼北朝鮮のケソン工業団地で虚々実々の綱引き (大島信三)
以前いただいた亜東親善協会の季刊「亜東」(平成20年春季号)を手にとって、ぱらぱらとめくっていたら衆議院議員、前原誠司氏(元民主党代表)の「北東アジアの安全保障」と題した講演が載っていた。2月13日にひらかれた同協会の新春互礼会で話した内容だという。このなかに北朝鮮のケソン(開城)工業団地にかんする話があって、なかなか興味深い内容だったので、紹介したい。ケソンは、高句麗の首都であったところ。韓国側の38度線から望遠鏡でみえるという。<ここに韓国の企業がノムション(盧武鉉)政権の合意で進出しています。きわめて生ぬるい形の進出です。私にいわせると北朝鮮の金正日政権にまんまと騙されて、北朝鮮のような形が行われているのです>と語る前原氏によれば、認可された韓国企業の数は26社、実際にケソンに進出している企業数は16社。そのうち黒字を出している企業は、3社にすぎないという。しかしながら、赤字だという残りの13社は、撤退していない。それは、韓国政府が、赤字を補填しているからだ。民間企業の赤字を国で埋めてあげるとは、ふつうでは考えられないが、ケソン工業団地をつくる際、南北双方が、とりきめた約束だという。<しかも、きわめて北に甘いのは、韓国側の企業が、直接北朝鮮の労働者に賃金を渡すことはできません>と、前原氏。どうなっているのかといえば、韓国企業は、賃金の総額を北朝鮮政府に渡すのである。そして、北の労働者は政府から給料をもらうという仕組みになっている。これでは、北の労働者が、韓国側のいうことに素直にしたがうはずもない。一体、労働者は、どのくらい貰っているのか。給料の明細をみたいものだ。政府がピンはねしている可能性は、十分に考えられる。前原氏がいうように、13社の赤字は、当然といえよう。経済界出身の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、こういう甘い政策は、とらないであろう。ケソン工業団地では、もう南北の虚々実々の綱引きが始まっているにちがいない。
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▼ワイルダーNSC上級部長 「大統領の基準は高い」 (島田洋一)
5月2日午後2時半から、米国家安全保障会議(NSC)のデニス・ワイルダー・アジア上級部長と面談した。北朝鮮の核申告とテロ支援国指定解除について、同氏は次のように述べた。大統領はまだ何も承認していない。クリス・ヒルが大統領に交渉結果を持ってくる日はまだ来ていない。その日が来たとき、彼、大統領が、十分な内容かどうかを判断する。(The President has NOT approved anything yet. There will be a point in time when Chris Hill will bring the President what has been negotiated. But that day has not come yet. When it does, He, the President, will decide whether it is good enough.)そしてワイルダー氏は、手を額の上あたりまで挙げながら、「大統領は非常に高い基準を設定している」(I know he has very high standards.)と強調した。今回ワシントンで会った多くの人が、ライス、ヒルは、米朝国交正常化を自らの「業績」とすべく、無原則に妥協する構えだが、ブッシュは踏みとどまる可能性が十分ある、日本からもしっかり情報発信してほしいと言っている。実際、そういう状況だろう。
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▼気になる手足口病の大流行 (福島香織)
■すでに報道ずみなのだが、中国で手足口病が大流行している。7日、WHOと中国衛生省が「五輪に影響を与えない」と発表した。で、目下の私の疑問は、本当に本当に、「五輪に影響なし」と今、断定していいのだろうか。ちょっと早すぎるのではないか、ということだ。
■手足口病の感染者数は7日現在で約1万6000人。おもに子供がかかる病気で、死者28人。うち、感染が大流行した安徽省で22人が死亡している。手足口病を引き起こすウイルスは、いくつかあるが、死亡例が出ているのはエンテロウイルス71型が引き起こしたものだろう。北京でも手足口病は5月4日までに1482例が報告されているが、こちらは、エンテロ以外にコクサッキーA16が病原体のものが多いようだ。
■手足口病の流行はなにも中国に限ったことではなく、シンガポールでも蔓延している。本来、夏風邪と同じく、どこにでもあるウイルスが引き起こすのだ。だが、シンガポールでは感染の勢い止まらず、と大騒ぎなのに死亡例がでていない。安徽省のケースは、死亡例が多すぎるのではないか。これを単に医療水準や衛生水準の差とだけ考えるべきなのか。ここで疑われるのが、ウイルスが変異して重症化しやすくなっているのではないか、ということだ。
■もっか、ウイルスの変異はない、というのが中国衛生省の公式発表。だが、気になるのは、各地方の衛生省への手足口病感染報告では、感染例何例のうち、何例が安徽省から伝播したもの、と区別して報告がされている例がある。また4876例(エンテロウイルス33例)の報告が7日までになされた広東省衛生当局などは地元医療機関に、エンテロウイルスによる手足口病の重篤化例については疫学調査と実験室検査を徹底せよ、と呼びかけている。やはり、現場の専門家は重篤化エンテロウイルスの登場を懸念しているようなのだ。
■エンテロウイルス71型に対するワクチンは今のところない。唾液、鼻水、排泄物などを通じて感染するので、手洗い敢行、感染者の食器や衣類の消毒、プールや銭湯にいかない、学校や幼稚園など、児童が集まるところは閉鎖する、といった対応しかない。しかも、消毒剤や抗生物質に強く、50度の加熱にも耐えうるウイルスだそうだ。つまり、人口が多く、密集し、衛生観念が低い中国では、一旦蔓延すると、もっとも感染拡大を制圧しにくいタイプのウイルスなのだ。こういうウイルスに重篤化変異がおきると、どんなに怖いか。かりにそういうウイルスが登場して、かりに北京市の水源などが汚染されたりしたら…(糞便や吐瀉物のまじった下水が水源に混じるようなことがあれば水源は汚染される)。
■ある人は89年から90年の一年間だけで4万人以上の感染報告を出したポリオの流行のような状況が再現されることを懸念していた。小児まひを引き起こすポリオもエンテロウイルスの一種で、一旦感染が広がれば制圧しにくいやっかいなウイルスだ。ポリオについてはワクチンがあるのだが、中国の場合、一人っ子政策の網をのがれて生まれた未登録児童に対するワクチン接種もれが多くポリオが流行する隙間があった。ちなみに中国でポリオを根絶したのは、日本の医療関係者、研究者の協力、貢献が大きい。
■北京市衛生当局は「手足口病は今後数カ月の間、発生率が上昇する。一部、大規模感染が起こる可能性もある」という強い表現で感染拡大を懸念している。中国衛生省の言葉を信じれば、今のところウイルス変異は起こっていないそうだから、問題は今、いかに迅速に感染拡大を封じ込め、ウイルスを変異させないようにするかだろう。「手足口病はSARSと全然違って怖くない」などとうそぶくのは、いまの感染拡大を終息させたあとにしてほしい。
■話はかわるけれど、きょう、聖火がチョモランマに到達した。私も、なんのかんのいいながらも中継を見てしまったけれど、時節柄、国際的なひんしゅくを買うイベントではなかったか、と思う。
■しかも、このイベントのために、7年の歳月と2000万元(3億円)が投入されたのだときき、唖然とした。聖火が世界最高峰に到達して、五輪の成功に何の関係があるんだろう?そのお金と労力を、地方の感染症対策や医療・衛生環境水準向上の足しにした方がよっぽど、五輪の成功に寄与すると私は思うのだけれど。