チャイナデイリーの不思議なアンケート結果
チャイナデイリーの不思議なアンケート結果
ぺきんこねたぶろぐ(福島香織記者)↓
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/566994/
■胡錦濤国家主席の訪日で、日本は沸いているのだろうか。パンダも(貸して)もらうことになったし、これで日本では一気に親中ムードがもりあがるのか?胡錦濤主席が日本で歓迎されるにはどうすればいいか、というテーマで外務省は相当リサーチしていて、キャッチボールのかわりに福原愛ちゃんと卓球するとか、いろいろアイデアを練っていたようだが、やはりパンダは威力あるね。このニュースを私はとある在北京日本人宅できいたのだが、「胡錦濤いい人、やるじゃん」と友人が思わず口ばしっていた。ま、その一瞬後、「いや、思わず、そういいたくなるよね。パンダってすごい」と苦笑い(?)。ギョーザとかチベットとか、中国のいやなイメージもパンダで一瞬、遠のくのだ。
■ところで、中国人の日本に対する認識、態度の変化がきょう5月7日の英字紙チャイナデーリーに紹介されていた。北京にある世論調査機関が北京、上海、広州など10大都市3181市民にアンケートをとったところ、「日中の歴史問題の解決」への認識として、「棚上げすべき」が「日中間の最優先課題」を上回ったそうだ。この結果をもって、チャイナデーリーは中国人の日本観がより肯定的になった、としていた。
■記事によれば、2005年は「歴史問題の解決は日中間の最優先課題」とする回答が60・5%。「棚上げすべき」との回答が30・7%。2006年は最優先課題派が54・8%、棚上げ派が36・7%。ところが2007年は棚上げ派は49・7%で、最優先課題派は43・1%と逆転したという。
■これをうけて、「中国都市民は日中関係のブレークスルーに貢献する」「歴史は日中を隔てる壁ではあるが、それがすべてではない」といった評価がされている。この変化については、2006年の安部首相(当時)訪中からはじまる日中関係の雪解けが背景にある、と解説されていた。
■いや、別にケチをつけるつもりはないし、まったくもって歓迎すべき変化なのだが。でも、違和感。ついこのあいだまで、歴史問題がさも、日中間に打ち込まれた深いくさびのように言い続けてきて、口を開けば歴史教科書問題や靖国問題をさけび、そのために、日本製品ボイコットを呼びかけ、日本大使館に石やトマトぶつけて、日本車ひっくり返したこともあったのだ。中国人にとって歴史問題って、そんなに簡単に棚上げできる問題にかわるのか。変わるとしたら、中国人にとって、歴史問題ってなんだったのか。もともとさほど重要な問題ではなく、単なる、憂さ晴らし、ガス抜きの口実だったのではないか?と疑ってしまう。
■変わらない、としたら、アンケート自体が、作為的なもので、中国人の本音をぜんぜん反映したものではない、ということだ。中国人の多くにとって本当は、歴史問題は今も最重要課題なのだけれど、日本との関係強化を優先する政府が歴史問題は棚上げする、という対日政策を決めた、だから、反日言動を慎め、というメッセージがこめられたアンケート結果発表ということになる。だいたい、2007年のしかも、たかが3000人あまりのアンケート調査の結果を今頃、胡錦濤主席の訪日にあわせて発表したという点からみて、こっちの可能性が強いか?
■ちなみに、「日本は中国を尊重しているか?」という質問については、「まったく尊重していない21・0%」「あまりしていない52・5%」と70%以上の中国都市民が、日本から受けるべき尊重を受けていないと感じていた。で、「日本は中国にとって脅威か?」という質問には、「まったく脅威でない7・3%」「あまり脅威でない44・9%」で、「わりと大きな脅威37・6%」「非常に脅威6・5%」を大きくこえていた。このアンケート結果を勝手に解釈すれば、、日本人は中国のことをぜんぜん尊重しておらず、ムカツクけれど、脅威でもなんでもないし、国益のためなら、歴史問題をたなあげして、日本とうまくやっていこう、ということかな?
■世論だとか、国民感情という形で現れるものは、ものすごく曖昧で不安定なものなのかもしれない。ものすごく信念にこだわっている少数の人をのぞけば、ちょっとしたこと、そうパンダくらいで風向きがかわる。日の丸を見ただけで虫酸が走る、という人も日本アニメで陥落することもある。国民感情操作とか世論操作って意外と簡単なのかもしれないな。
■私の周囲の在北京日本人の間では、パンダ・パワーはかなりはっきり効果をみせていた。でも、私自身は、パンダは四川の山奥にいればいいよ、と思う。それより、チベットで拘束されている人や政治犯らを五輪恩赦という形でもいいから、即刻釈放するほうが、パンダプレゼントより、胡主席のイメージをアップすると思う。
チャイナデイリーの不思議なアンケート結果
ぺきんこねたぶろぐ(福島香織記者)↓