外国人記者から見ても日本は政府が無能、無策で、何にもできてないようだ。
わかりませんので、外国人のひとつの意見として
注意しながら読んでね。↓
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福田改革逆行内閣が「日本売り」を促進中
2008年5月2日 フォーサイト
下がり続ける日本株。改革断行こそが最上の対策だが、官僚株が全面高の福田内閣には「無策」しかない。日本の株安が止まらない。サブプライムローン問題に端を発する米国の株安がきっかけだが、実のところ米国よりも日本の下落が大きい。小泉改革をきっかけに大量に日本株を買い増してきた外国人投資家が、福田内閣の改革逆行を見て一斉に売りに回っているためだ。
「株価対策をやれと言われるが、何かいい手があるなら教えて欲しい」…。官邸から漏れてくる言葉を聞くにつけ、福田内閣の無策ぶりに慄然とする。昨年末の日経平均株価は一万五千三百七円。その後、二月上旬までに二千三百円あまり下げた。昨年七月の高値から計算すると、下落率は三〇%近くに達する。
下げ幅が大きかっただけに、福田康夫首相からも官邸スタッフに株価対策の検討が指示されたようだ。年末には、高騰が続く原油への緊急対策を打ち出したが、これも福田首相の指示だった。石油会社への勤務経験がある福田首相は経済通を自任しているフシがある。
改革派の市場主義者が中心を占めていた安倍官邸と違い、福田官邸は官僚統治主義の反改革派、反市場主義者が中心を占める。霞が関が敵視してきた安倍内閣が潰れて生まれた政権だけに当然といえば当然だが、“経済通”の福田首相が苛立つほどに、官邸の動きは鈍い。とくに官僚以上に官僚体質と言われる町村信孝官房長官は、いまや改革潰しの親玉の感がある。
噴飯ものの愚策しか出ず
二月に入っても、官邸スタッフはまともな対策を作ることすらできていない。前例を#繙{ひもと}く官僚から出てきたのは“PKO”。平和維持活動ではなく、一九九〇年代前半に大蔵省(当時)が圧力をかけて公的資金で株を買わせ、プライス・キーピング・オペレーションと揶揄された愚策だが、今回は民営化したゆうちょ銀行に株を買い支えさせることなどを真顔で検討したらしい。結局、官邸スタッフが首相に上げた“対策”は、官邸と各省の局長、日銀幹部を結ぶ緊急連絡網を敷くことぐらいだった。あとは、銀行等保有株式取得機構や日銀が持つ“塩漬け株”の売却を凍結する案が「切り札」として残されている程度だ。この塩漬け株は九〇年代後半に含み損を抱えた銀行の持ち合い株を日銀などが引き取ったもので、昨年から市場売却が可能になった。だが、ここまで株価が下がると売却しても利益が出ないため、現実に市場で売却する動きはない。つまり、対策になりようもないのだ。
本来は証券優遇税制の継続などが対策になるはずだが、「官邸は財務省の顔色をみており、税がからむ問題は最初から諦めている」という。
無策ぶりは福田首相の発言にも表れている。「(日本経済は)底堅い動きだとみているので、現状を冷静に把握するのがいいのではないか」(一月二十一日)と述べ、市場では株価対策に否定的と受け止められた。二十四日も、「今の経済を見ていて緊急ということはないと思う」と、緊急的な対応は必要ないとの認識を改めて示している。
二十六日、スイス東部のダボスで開かれた世界経済フォーラムに出席して演説。日本経済について「(世界市場混乱の)影響は限定的だ」と楽観的な見方を世界に発信した。日経平均が六百円以上下げた二月六日になっても「株価は上がったり下がったりだ。しかし、今の国際情勢、国内の足元の状況もよく見極めて対応していきたい」と具体的な対応にはまったく踏み込めないでいる。
いずれも、過去のデータを元にした官僚の見方を踏襲したもので、三カ月先、半年先をみる株式市場からは失笑を買っている。福田首相の無定見な発言が日本株の下落に拍車をかけているのだ。インターネットのブログには「福田無能内閣」「無策政治」と厳しい言葉が並ぶ。
こうした中で、政府の対応の遅さに業を煮やした自民党の一部議員が独自の株価対策を打ち出した。山本有二・前金融担当相が会長を務める「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が緊急提言としてまとめ、一月二十四日に町村官房長官に提出した。同議連は日本版国家ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド=SWF)の創設を目指している金融改革派グループだ。
具体策としては、日経平均が一万八千円台を回復するまでの間、株式譲渡益課税や配当課税を免除することや、証券会社に払う株式売買委託手数料の軽減を求めている。また支払い給与を増やしている企業に対して税制上の恩典を与えることや、交際費課税の緩和などを求めた。今のところ業績が好調な企業の“果実”を個人や消費に回そうという狙いだ。また、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化で外国人投資家の日本株離れを防ぐことも求めた。議連では、政府が「スピード感をもった対外的アピール」を行なうことが何よりも大事だと強調している。
企業経営者の間からも株価対策を求める声が上がっている。一月三十一日に開かれた経済財政諮問会議では、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、御手洗冨士夫・経団連会長らが連名で「経済成長戦略の早期実行・検討着手に向けて」とする提案、いわゆる民間議員ペーパーを提出した。
ペーパーでは金融資本市場競争力強化プランの早期実行を真っ先に挙げ、日本がグローバル市場の中で生き残りに向けて努力する姿勢を早急に打ち出すべきだと主張。また、着手すべき具体策として確定拠出年金(日本版401k)の改革を挙げている。日本版401kは株価対策として二〇〇一年に経済同友会が導入を主張したもので、その後実現したものの、鳴かず飛ばずのまま放置されている。カギは、認められていない本人拠出を解禁すること。所得の中から自由に年金掛け金を拠出し、その分を所得控除の対象にするもので、ドイツでも導入して年金規模が急拡大した実例がある。
自民党議連の提言も、民間議員ペーパーも、税制がからむところが最大の問題点。昨年末に税制改革が決着しており、通常のペースでは今年の年末まで議論すらできない。福田首相が強い決意で税制の変更を公約でもしない限り、株価対策としては効き目がない。
問題は福田首相のリーダーシップだ。ダボス会議の演説では金融資本市場の開放を進めると述べたが、発言にはまったく力が入っていなかった。海外からの直接投資を増やすというのが小泉内閣以来の基本方針であるはずだが、現実に福田内閣が実行していることはまったく逆だ。
官僚を守るために外資規制
二月五日に開かれた自民党の国土交通部会・航空対策特別委員会合同会議。空港会社に外資規制を導入する法改正案の扱いを巡って紛糾した。国土交通省がまとめた法案を太田誠一特別委員長が了承しようとすると、反対論が噴出した。一月二十九日から数度にわたる合同会議は結論が出ないまま。福田内閣の中からも渡辺喜美金融担当相や大田弘子経済財政担当相などが規制反対の声を上げ、冬柴鉄三国交相と対立した。閣外での反対の急先鋒は塩崎恭久元官房長官。はからずも安倍内閣の改革派が、官僚追随の反改革派と真正面から激突した格好だ。法案提出の背景は、オーストラリアの投資銀行グループ、マッコーリーが羽田空港ビルを運営する上場企業「日本空港ビルデング」株の一九%強を取得したこと。法案は上場予定の成田空港なども含めて、外資による株の保有割合を議決権ベースで三分の一未満に制限する内容だ。
「買い集められたから法律を変えるというのは、後だしジャンケン。こんな事を許したら外国人投資家にそっぽを向かれる」と証券界の首脳は怒りを#露{あらわ}にする。経済同友会なども規制反対の声明を出した。
国交省は規制の理由に安全保障を掲げるが、空港ビルの株主が外国人になっても飛行機の運航に支障が出るわけではない。「金儲けの外資が来たら羽田空港の駐車場料金が上がる」などという理屈に至っては荒唐無稽だ。歴代天下りを送り込み、ぬるま湯経営を許してきた国交省の利権保全が本音だろう。
外国人投資家が異口同音に言うのは昨年のブルドックソースの買収防衛策を巡る判決だ。株を買い集めていたスティール・パートナーズを「濫用的買収者」とし買収防衛策の発動を認めたものだ。安値で買い集めて高値で売るという欧米の資本市場では当たり前の行動を「濫用的」と判断した日本への不信感が広がっているのだ。投資家の多くが「ブルドックソースという会社は、国を挙げて守らなければいけないような重要な会社なのか」と首をひねる。
ブルドック判決に続いて、日本空港ビルの法改正が通るとすれば、日本は「外資拒絶」というメッセージを世界に発信することになる。
郵政解散・総選挙で小泉改革への国民の「支持」が示された二〇〇五年。株価は一万一千円前後から一万六千円前後まで一気に上昇した。年間の上昇率は四〇%と世界の主要市場でトップクラスとなった。小泉改革での「日本の変化」に期待する外国人投資家の買いが猛烈な勢いで流れ込んだことが主因だ。
その「小泉プレミアム」が#剥{は}げ落ちたと考えるならば、日経平均株価が一万一千円を割り込む水準まで下げてもおかしくない。大幅な株価下落で国民の怨嗟の的となった森喜朗首相の在任期間中の株価下落率は三四%。福田内閣発足時の株価にこの率を乗じると約一万八百円となる。福田内閣が改革による成長路線に明確に舵を戻さない限り、日経平均はこの水準に向けて急降下を続けることになるだろう。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080502-04-1501.html