映画「靖国」上映中止。この映画を上映することは社会的にも適切ではない」と判断したからだという。
【論説】映画「靖国」上映中止
時局心話會代表 山本善心
中国人の李纓(リ・イン)監督が撮った映画「靖国」の上映を
めぐる論争が喧しい。封切りは4月の予定であったが、
東京・大阪の5館が上映中止を決めた。問題の争点は、
なぜ映画館が上映禁止を決めたかである。抗議電話や
街宣車がうるさいからだとの記事もあったが、映画館側は
「ほとんど抗議や妨害はなかった」と答えている。
街宣車が抗議に来たのは銀座のシネパトスだけと
見られている。他の上映館では右翼団体の抗議や高圧的な
中止要請はなく「誰かの意見や圧力と言うことではなく、
この映画を上映することは社会的にも適切ではない」と
判断したからだという。筆者も映画館側に電話を入れたが
「政治問題化している映画を上映するのは難しい」との感触
を得た。
上映禁止のきっかけは、国会議員の圧力による異例の
試写会が開かれたとの論評が大きく報道されたからだという
説もあったが、映画館側は「まったく関係はありません」と
強く否定した。これは映画館側が自主的に判断したという
わけだ。しかし5月以降、自主的判断による8館の上映が
決まっている。
助成金の妥当性を問う
稲田朋美衆議院議員によると、問題は映画の内容検閲で
はなく、文化庁所管の日本芸術文化振興会が750万円の
公的助成をしたという点である。
稲田氏はさっそく自民党若手議員の「伝統と創造の会」
(伝創会)で諮り、この映画に対する助成金支出が妥当な
ものであるか否か内容を検討するため、上映会の開催を
申し入れている。その映画には稲田氏自身も映っていた。
ただ稲田氏は、朝日新聞が指摘するような代議士の特権
で強圧的に公開前の試写を求めたわけではない。あくまで、
税金使途の妥当性を検証するのは代議士の重要な職責の
一つだと考えたからである。
仮に稲田氏が事前に試写を求めたとしても、中国人監督に
よる映画の内容を検閲するのは至極当然のことだ。
稲田氏は「私たちの行動が表現の自由に対する制限で
ないことを明らかにするためにも、上映を中止していただき
たくない」との談話を出した。これに対して反対勢力は
「言論の自由な表現活動ができない。それがどれほど
息苦しく不健全な社会かは、ほんの60年余り前までいやと
いうほど経験している」と問題をすり替えている。
反日映画に公的資金
反対勢力は、映画「靖国」の上映中止は稲田氏からの
試写要請が原因だとする追及をゆるめていない
。「稲田氏が表現の自由への介入と取られる行動に
踏み切った」という批判に対して、世論は冷めている。
つまり、稲田氏の言動が昔の軍国主義に戻る兆候だと
する発想は、問題のすり替えである。
公的資金が支出された映画にDVDすらなく、3月12日に
なってやっと国会議員向け試写が開かれたという制作側の
非公開性、閉鎖性、不誠実さは問題ではないか。
検閲とは、国家機関が表現内容を吟味・調査して非合法を
取り締まるというものだ。その内容が明らかに反日を目的と
していたり、事実無視や日本の冒涜を行っていたりしたなら
問題である。ましてや国民の貴重な税金を使って、日本を
貶めるような映画に対する助成金の援助は断じて許されまい。
騙された刈谷氏
本来は国会議員が単に助成金の妥当性を問うことから
始まったものであるが、そのうちいくつかの問題点が浮上
した。自民党の有村治子参議院議員が国会で、映画に
登場する刀匠・刈谷直治氏に関する事実関係を指摘している。
李監督は当初、靖国刀匠のドキュメンタリーを撮りたいと
熱心に説得した。
すっかり信用した刈谷氏は、自らの刀匠人生における最後の
仕事と考えて引き受ける。刈谷氏は靖国を愛し、匠に一生を
賭けた仕事師としての誇りを持っている。
ところが制作中に映像を見せてもらったところ、靖国問題に
まつわる政治的なシーンがたくさん登場したため
「これは話が違う」と不信感を持つようになった。
しかし李監督は「大丈夫です、日本政府系から助成金まで
出ているのですから」とあの手この手で刈谷氏を丸め込んだ。
刈谷氏の人権問題
有村議員が刈谷氏宅を訪問した際、刈谷氏から「自分の
名前と映像を省いてほしい」と嘆願された。
同席した夫人も「一度ビデオを持ってきたので見ましたが、
主人が当初聞いていた映画とはまったく違っていたので、
その後は誰とも会いたがらなくなりました」という。
(週刊新潮4月17日号)
結局のところ刈谷氏は、
李監督に騙されたのである。
靖国刀匠一筋に人生を賭けてきた刈谷氏の職人道は台無し
になったわけだ。つまり、日本の伝統文化である靖国刀匠に
関する映画とは違った方向に制作されていることが分かった。
3月12日の試写会に参加した議員の一人は、映画の終わり
頃に反日宣伝に使う旧日本軍蛮行の偽造写真が用いられて
いたという。刈谷氏の「靖国刀」を映像の中心に添えることで、
南京虐殺や百人斬りが事実であるかのように想像させるのが
狙いであるかのようだ。つまり刈谷氏を騙して反日映画を制
作したとしか思えない。
今回の大騒動は、人権侵害という大問題に発展することも
考えられよう。
すべては問題のすり替えだ
映画「靖国」は問題だらけの映画だとの見方がある。
日本人の魂である伝統と精神性の高い神聖な題材を、
中国人の監督が扱うことに問題があった。
この数年中国が執拗に従軍慰安婦や南京大虐殺、
靖国参拝問題を宣伝・情報攪乱してきた、本当の狙いは
何であったのか。
中国はチベットやウイグル、台湾問題をはじめ深刻な
国内問題と、世界からの批判の眼をそらしたがっている。
こうした問題をすり替えるために、事実無根の創作された
歴史問題を持ち出し、
日本こそ悪の根源だとのイメージ
を内外に宣伝する工作だ。
たとえば、中国はチベットを侵略して人権を踏みにじってい
ながら「悪いのはダライラマである」とごまかし問題をすり
替えている。しかしチベット人の苦しみについて、日本の
人権派グループのみならず保守系論者ですらその実態を
声にしていない。チベットでは大方の青年達が、仕事もなく
安い賃金でその日暮らしの生活を強いられ、若い女性は
売春で身を立てているのが実態だ。
つまり彼らには希望どころか、人間らしい生き方すらない
のである。
中国人の戦術
中国はあの手この手を使って日本の歴史観を捏造し、
多角的な圧力をかけてくる。映画「靖国」もその一つでは
なかろうか。中国の目的は日本人の精神や伝統文化、
歴史を破壊して日本人を骨抜きにすることに他ならない。
それゆえに日本罪悪論の演出は必要不可欠なのである。
チャンスと見れば機会あるごとに何度も同じ問題で挑発し、
日本側がひんだところで叩く。東ガス田開発問題も安倍前
首相と胡錦濤主席の間で、07年の秋頃までに解決するとの
合意があった。しかし福田首相は「相手の嫌がることは
しません」と先送りしている。
日本は自国の不利になること、国益を害する不当な問題に
は毅然とした不快感を中国に対して表明すべきではないか。
今回のような中国の不当な要求や介入、明らかな反日映画
による伝統文化への侵害は、一度許容すれば勢いづき、
日本の歴史や伝統を否定する動きが加速する。
時代の変化に日本も変われ
「靖国」の上映中止は、国会議員や公的機関の圧力によるも
のではないし、その他の妨害行為があったわけでもない。
それならなぜこのような大騒ぎになったのか。
これはそもそも稲田議員達の行動に対して、一部勢力が
異常に反応したことによるものだ。
映画館が上映を中止するのは怪しからん、という声もある。
日教組の集会に会場提供を拒否したグランドプリンスホテル
新高輪の例も引き合いに出された。ホテル側は「宿泊客らの
安全を守りたかった」と釈明しているが、本音は別のところに
ある。言葉のトリックではなく、日教組にも中国人にも不信感
を持つ世論が背景にある。
戦後日本では、米国に作られた憲法と左派勢力が絶対的な
権限と支配力を持ってきた。しかしグローバル化社会や
大競争時代を迎えて、情報が世界を行き交うようになった
のである。今や我が国の若い人たちの間で、
右も左もおかしい、イデオロギーを持ち出すのは時代遅れだ、
こんな論争で日本がよくなると思っているのか、との危機感
が見て取れる。台湾や韓国の新しいリーダーが親日になった
のと同じで、日本が底流から大きなうねりを上げて変わろうと
しているのは時代の趨勢といえよう。
次回は
5月1日(木)
成20年5月12日「政民合同會議」ご案内☆☆☆☆☆☆
タイトル「チベット問題から学ぶ中国の覇権主義」
講師/ペマ・ギャルポ 桐蔭横浜大学・大学院教授
今、チベット問題が大きな火の粉となって全世界に飛び火
している。チベット民族は中国の自治区で人種差別や弾圧、
人権侵害など厳しい試練に直面しており、1959年の
チベット動乱から49周年を迎えた3月10日に、チベット
独立を訴えた大規模な抵抗運動が発生。しかし3月14日に
中国側の治安部隊が抵抗運動を鎮圧、多くの犠牲者を
出した。暴動と血の鎮圧は今でも続いている。平和と人権を
謳う北京五輪を前に、中国の人権弾圧は世界中から非難の
的になっている。 日本で数少ないチベット問題の第一人者
が、チベットの現状や中国の覇権主義の実態を解き明かす。
今回は、世界に波紋を広げるチベット問題の根源を知る
ためにも、貴重な機会だ。
日 時/平成20年5月12日(月)
AM 11:50~PM 1:30
※曜日が通常と異なりますのでご注意下さい。
会 場/参議院議員会館 1F「第1会議室」
東京都千代田区永田町2-1-1
参加費/4,000円(お弁当代含む)
お申込み先/℡03-5832-7231またはメールshinwa@fides.dti.ne.jp
詳細はホームページhttp://www.fides.dti.ne.jp/~shinwa/
で
ご覧下さい。事前申込のない方は参加できません。
ご注意下さい。
◆◆◆◆◆◆平成20年6月11日「政民合同會議」ご案内◆
講師/有村 治子 自民党参議院議員
稲田 朋美 自民党衆議院議員
「映画『靖国』上映中止をめぐる波紋」
映画「靖国」について稲田議員が上映会の開催を申し入れ
たことをきっかけに、上演中止が相次いだ。また有村議員は
肖像権の侵害などを理由に、給付された助成金の返還を
求めている。波紋を呼んだこの問題の真相とは何か。
渦中の議員に話をうかがう。
日 時/平成20年6月11日(水)
AM 11:50~PM 1:30
会 場/参議院議員会館 1F「第1会議室」
参加費/4,000円(お弁当代含む)
お申込み先/℡03-5832-7231またはメールshinwa@fides.dti.ne.jp
詳細はホームページhttp://www.fides.dti.ne.jp/~shinwa/
でご覧下さい。
事前申込のない方は参加できません。ご注意下さい。
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html
『日本之声』 http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe
(Big5漢文)