バイオ燃料は悪者か 食糧高騰で批判集中 | 日本のお姉さん

バイオ燃料は悪者か 食糧高騰で批判集中

バイオ燃料は悪者か 食糧高騰で批判集中

 世界的な食糧価格の高騰に直面し、温暖化対策の切り札のひとつとして米国が主導するトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料増産に批判の矛先が向き始めた。国連の食糧問題に関する特別報告官がバイオ燃料増産を公然と批判し、欧州連合(EU)もバイオ燃料使用の目標見直しを迫られている。6月3日からローマで開かれる国連食糧農業機関(FAO)の加盟国高官会議や7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でもバイオ燃料と食糧安全保障が主要議題として取り上げられる見通しだ。(ニューヨーク 長戸雅子、ワシントン 渡辺浩生)

 「バイオ燃料の大量生産は、世界の食糧価格破壊をもたらす『人道に対する罪』である」。国連の「十分な食糧を得る権利」に関する特別報告官ジャン・ジグレール氏はドイツのラジオ局でこう述べた。

 バイオ燃料用の穀物生産のため、食糧用穀物の作付面積が減少してしまうというのが理由だ。とくに、トウモロコシを原料としたエタノールについて、米政府が2006年1月、20年までの生産目標を当時の生産能力の7・5倍の360億ガロンに設定したことを契機に、
米農家が小麦や大豆の栽培を縮小し、トウモロコシ増産に走った。

 この結果、他の穀物価格にも高騰が波及。穀物産地のオーストラリアの干魃(かんばつ)や投機筋の資金流入などに加え、アジアの主食であるコメ価格もベトナムなどの輸出停止措置の影響を受け、食糧全体の高騰につながった。

 こうしたなかで、これまで温暖化対策のため、バイオ燃料使用の割合を増やす目的を掲げているEU内部でも、見直しを迫る声があがり始めた。EUの欧州委員会は2020年までに運輸部門の燃料に使用されるバイオ燃料の割合を、現在の2%以下から10%にまで上げることを目指しているが、英国は早急の計画見直しを要請。農業国フランスのバルニエ農業・漁業相も「最優先されるべきは食糧生産だ」と述べた。

 米政府は昨年末、360億ガロンのうち210億ガロンは草の茎や木材のくずなどを使ったセルロース(植物繊維)を原料にして生産するよう目標を修正。超党派でバイオ燃料増産を推進した民主党上院のリード院内総務は22日の地球の日を記念する会見で、「原料を食糧から切り替える必要がある」と強調した。

 ただ、欧州環境委員会の担当者は「政策目標を変更すれば他の目標をリスクにさらすことになる」と反論。
バイオ燃料に関する目標数値を変更する考えはないことを強調した。

 FAOは今年2月に専門家による「バイオ燃料政策と食糧安全保障に関する基調声明」を出し、バイオ燃料政策が食糧安全保障に与える影響は十分に解明されておらず、早急な分析が求められていると強調。そのうえで、食糧の安定供給を確保しつつ、貧しい農業従事者がバイオ燃料生産から得られる利益を奪われることのないような政策立案が必要と提言した。

 一方、サトウキビを中心としたバイオ燃料の世界最大輸出国であるブラジルのルラ大統領は、世界が必要な食糧を「供給できないでいるだけで、バイオ燃料が食糧価格に与える影響はない」とすべてのバイオ燃料を否定するような動きを牽制(けんせい)している。 

 また、国際通貨基金(IMF)と世界銀行も、「食糧価格高騰は一部の国の無分別な農作物の価格政策の反映でもある」(ストロスカーンIMF専務理事)と指摘、生産国の農作物に対する補助金や輸出制限なども問題視している。

4月24日23時10分配信 産経新聞


国連緊急援助調整官室(OCHA)などは17日までに、食糧価格の高騰によって世界各地で暴動が起きていることに対処するため、各国首脳が参加する食糧サミットの開催などを盛り込んだ提言書をまとめ、潘基文国連事務総長に提出した。

 食糧価格の高騰は、
中国やインドの需要急増やバイオ燃料の広がりなどが原因。適切な対応を取らないと暴動が拡大して政治情勢が不安定になりかねない国もあり、提言書は「緊急の行動が必要」と危機感を示した。関係者によると、国連本体が食糧サミットを開けば、初めてという。

 「地球規模の食糧課題」と題した15日付の国連内部討議用の提言書は、潘事務総長を議長とする作業部会設置のほか、食糧サミットを「理想的には(9月に始まる)次期
国連総会前」に開催するよう提言した。(共同)4月18日

【ワシントン=渡辺浩生】食糧の世界的な価格高騰を受け、ブッシュ米大統領は14日、2億ドル(約200億円)の緊急食糧支援を行うと発表した。食糧不足に悩む途上国では政情不安につながり、13日にワシントンで開かれた世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員会でも緊急支援の必要性が叫ばれた。食料インフレの元凶として米国のバイオ燃料政策が指摘されており、政権の素早い対応には、こうした批判を回避する思惑もありそうだ。

 大統領は14日の閣議で、価格高騰に伴う食糧危機について説明を受け、「強い関心を持ち、関係閣僚に対応策を指示した」(ペリーノ大統領報道官)。2億ドルの緊急支援は、国際開発局(USAID)を通じて、アフリカやその他の地域の貧困国にあてられる。

 ホワイトハウスによると、米国は2007年度に21億ドル、250万トンの食糧援助を行った世界最大の食糧援助供給国。特にブッシュ政権は、アフリカに対する支援を、テロ対策など安全保障上の観点から重視し、エイズウイルス(HIV)感染防止対策や貧困対策、人道支援を拡大してきた。

 ブッシュ政権下で通商代表や国務副長官を務めたゼーリック世銀総裁が13日の世銀・IMF合同開発委員会で、世界食糧計画(WFP)に5億ドルを緊急支援するよう先進国に要請、大統領は元側近の呼びかけに即応した格好だ。

 ただ、世界的食糧高騰は米経済やエネルギー政策と密接に結びついている。米住宅ローン問題に端を発した金融危機と、米連邦準備制度理事会(FRB)の相次ぐ利下げで進むドル安は、商品相場の上昇を加速している。「米政府がガソリン消費削減のため掲げたバイオ燃料増産計画は有害だ」(世銀幹部)と指摘されるように、エタノールの原料となるトウモロコシ価格は過去2年で4倍に上昇。穀物価格全体の高騰に波及した。

 ペリーノ大統領報道官は14日の定例会見で、「大統領は食糧不足に責任を感じているか」と追及され、「需要増とエネルギー高、干魃など多くの異なる要素によるものだ」と反論する場面もあった。4月15日

記録的な食料価格高騰に不満を爆発させる民衆の暴動が世界に広がっている。中南米カリブ海のハイチでは今年に入り、コメや豆類、食料油の日用食料品が高騰。これに抗議する民衆のデモが首都ポルトープランスなどで警察隊と衝突し、12日には国連ハイチ安定化派遣団のナイジェリア出身警察官が殺害された。

 ルネ・プレバル大統領(65)は政府にコメ価格引き下げの計画を提示。ジャックエドゥアール・アレクシ首相(60)はこれを実施せず、議会の上院は12日、価格沈静化に対処できなかったとして首相の不信任決議案を可決。食料価格高騰が首相解任にまで発展した。

 《パン奪い合い死傷者》

 穀物価格上昇はアジアの台所も直撃。東南アジアのコメ価格が年初来30~40%上昇し、フィリピンではレストランで「半ライス」が奨励される一方、共産ゲリラが米穀商の車両を襲撃。コメの輸送を軍隊が守る。バングラデシュでも価格が倍増し、1974年以来のコメ不足だ。

 主要な要因は高度成長に伴う消費拡大や物価上昇に対応するため国内供給を優先させたベトナムやインドなどの生産国の輸出規制だ。だが、物価上昇率が年率10%を超すベトナムでは賃上げを求めるストライキが工場で多発。7%強のインドでも物価高がデモを招いている。

 エジプト も食用油や小麦などの主要食糧品の価格は倍以上に上昇し、数千人が放火や投石で抗議デモを展開。政府支援で供給するパンは供給不足に陥り、奪い合いで死傷者も。軍がパン製造を命じられる異例の事態になった。アフリカ中西部のコートジボアールでは国民の不満を抑えるため減税を打ち出した。

 世界銀行のロバート・ゼーリック総裁(54)は国際通貨基金(IMF)との合同開発委員会などで、庶民の生活圧迫によって世界33カ国が混乱の危険に直面していると警告。各国政府に国連食糧計画(WFP)に5億ドル提供するよう呼びかけた。世銀はハイチに1000万ドルを食料支援などに援助する方針だ。

 《原油高と構図類似》

 だが、食料価格高騰の構図は原油価格高騰と類似する。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)に端を発した金融危機の阻止に向けた、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げや、欧州中央銀行(ECB)と連携した市場への資金供給の拡大。先進国の金融緩和による投機資金の膨張で投機筋やファンドの膨大なマネーは低迷する株や債券市場には向かず、原油や金、穀物の商品先物に流れ込んでいる。

 利下げによるドル安も米国内のインフレ圧力を高めるだけでなく、通貨がドル相場と連動した他国に物価上昇を“輸出”している。トウモロコシが原料のバイオ燃料エタノールの増産も穀物価格の高騰に波及。エタノール増産に米政府が農家や業者に拠出する巨額の補助金も問題視されている。(ワシントン 渡辺浩生、シンガポール 藤本欣也、カイロ 村上大介)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/137672/

【ワシントン=渡辺浩生】記録的な食料価格高騰に不満が爆発した民衆の暴動が世界に広がっている中米ハイチでは首相解任の事態に発展した。世界銀行はアフリカなどの途上国や最貧国で飢餓や政情不安が今後も拡大すると警告。米国発の金融危機を受けた利下げや、バイオ燃料ブームがこの食料インフレに拍車をかけており、沈静化に決め手はないのが実情だ。

 「世界中で空腹に苦しむ人が増えており、実態は日々深刻化している」

 ゼーリック世銀総裁は、先週当地で開催された国際通貨基金(IMF)との合同開発委員会などの場で、食料価格高騰で庶民の生活が圧迫され、世界33カ国が政治・社会的混乱の危険に直面していると警告。各国政府に対し、援助用食糧不足に直面する国連食料計画(WFP)に緊急で5億ドル提供するよう呼びかけた。

 世銀によると、世界の食料価格が2005年以来実に83%も上昇。中でも米は2カ月で75%上昇、小麦は昨年来120%上昇した。IMFも今年の新興国・発展途上国の消費者物価は食料・エネルギーの高騰で7・4%上昇と予測する。

 その構図は原油価格高騰と類似する。中国やインドなど新興国の急成長や人口急増の需要要因では説明がつかない。先進国の金融緩和による投機資金の膨張が犯人のひとりだ。
 低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)に端を発した金融危機を阻止するため、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げは昨年9月以来3%に達し、欧州中央銀行(ECB)などと連携した市場への資金供給も拡大。投機筋やファンドの膨大なマネーは、低迷する株・債券市場には向かず、原油や金、穀物の商品先物に流れ込んでいる。

4月15日のニュースは、以前もお知らせしました。
「世界食糧計画(WFP)に5億ドルを緊急支援するよう
先進国に要請」
日本も出せと当然、言われるよね。
ベトナムやインドは、食料を輸出しなくなった。
もしも、アメリカやチュウゴクが日本に小麦を売ってくれなく
なったら、ブラジルが大豆を日本に売ってくれなくなったら、
パンも豆腐もパスタもうどんも、みそもしょうゆもなくなるんだね。
そして、こんな時代になっているのに、日本政府は無策。
自民党から政権を奪おうとする民主党のせいで国会がねじれ
ているだけ。by日本のお姉さん