太田述正 有料メルマガ (日本人必読)・ 日本国の研究 (日本人必読)
ようちゃん、おすすめ記事。↓
1 始めに
意外にチベット騒擾の英米での報道は盛り上がっていませんね。
昨年のミャンマーの騒擾の時と違って、歴史を振り返りつつ、突っ込んだ分析をした論説やコラムにもまだお目にかかっていません。
「経済大国」中共への遠慮もあるのでしょうが、英米では従来からチベットに対する関心が高く、今更チベットの歴史を振り返る必要はない、ということもあるのかもしれません。今回は、チベット騒擾に関し、2点とりあげたいと思います。「中共政府情宣のウソ」と「ダライラマの苦悩」です。最後にコメントを付しました。
2 中共政府情宣のウソ
(1)中共官憲は発砲している
「中国チベット自治区などの騒乱に関し、同自治区の人権、独立運動を支援する国際人権団体「フリー・チベット・キャンペーン」(本部・ロンドン)は18日、中国当局の治安部隊に射殺されたとする住民の写真を公開した。遺体には明確な銃創が残り、発砲を否定した中国当局の発表と食い違っている。写真は27枚で、中国四川(Sichuan)省北西部アバ(Aba (Ngawa))県のキルティ(Kirtii)僧院で16日と17日に撮影された。胸や首などを貫通した銃創を生々しく写し出しているものもある。逮捕者らの解放を求めて抗議活動を行ったチベット仏教僧ら数百人に対して中国当局の治安部隊が発砲したとする目撃者の証言を伝え、死者は3人と30人という両方の証言を紹介した。チベット自治区のシャンパ・プンツォク主席は 17日、騒乱の死者13人はいずれも暴徒による殺害や火事による焼死などで「治安部隊は発砲しておらず、戦車など人を殺害する武器は一切使っていない」と 説明。中国外務省の劉建超報道官も治安部隊は「実弾を使用していない」と主張した。」
(2)人民解放軍が投入されている
「中国に詳しいカナダの軍事評論家、平可夫氏は18日、香港のテレビ局がチベット自治区ラサ市内で撮った映像に中国軍の最新鋭装甲車が写っている、と指摘した。15、16日に香港の複数テレビ局がラサ市中心部に展開する多数の装甲車を撮影。同氏によると軍機械化歩兵師団の精鋭部隊に配備されている90式と92式の重装甲車で、映像では軍の所属を示す赤い星印を白い布で覆っていた。同自治区のシャンパ・プンツォク主席は17日の記者会見で「軍は鎮圧に加わっていない」と強調している。
「ラサは・・「事実上戒厳令の下にある」と先週来同市に滞在しているエコノミスト誌のジェームス・マイルズ特派員は言う。政府は軍隊はいないと主張しているが、軍隊がいることは間違いない。兵士の中には、ナンバープレートを隠したり取り去ったりした軍事車両に乗っている者もいる。兵士は数千人はいる。あらゆる所にいる。これは1989年の天安門事件直後の治安水準を彷彿とさせる。」
)
(3)チベット人の間で下克上が起きている
「温家宝・中共首相は、騒擾(sabotage)の陰謀を組織したとしてダライラマ及びその一味を非難したが、これは正鵠を射ていない。チベットの亡命精神的指導者は、かねてより中共からの独立ではなく自治で折り合いを付ける方針を追求してきた。この方針に疑問を投げかけ、もっと効果的な戦術をとるべきだとチベット内外のチベット人の若者達が求めているのだ。中国共産党の機関誌であるチベット日報(Tibet Daily)の論説はこの変化に気付いているように見える。それと同時に同紙は漢人の怒りの大きさも吐露している。・・これは敵とわれわれとの死ぬか生きるかの戦いである・・<と。>」(
3 ダライラマの苦悩
「誰がダライラマになりたいだろうか。すべてのチベット人の半世紀にわたる苛立ち、怒り、絶望の重みを背負うことは、彼らの亡命精神的指導者にとって何もない時だって容易なことではない。しかし3月10日にチベットの内外で反中共デモが始まってからというもの、ダライラマは彼自身のコミュニティの中からの山のような反対と反抗的態度に直面させられている。その結果、彼は、北京がラサでの暴力的抗議活動の首謀者が彼であると決め付けていることに異議を唱えなければならず、かつ彼の亡命政府を受け入れてくれているインド当局と、このインド当局の中共との関係を活用しつつ、外交的綱渡りを演じなければならない一方で、彼は、チベット人の大義を挫折させることのないよう、チベット人の中の過激かつ挑発的な分子を抑え込むことに努めなければならないというわけだ。」
4 終わりに
アフリカのダルフール問題でスピルバーグ(Steven Spielberg)とミア・ファロー(Mia Farrow)が中共を攻撃したのが、北京オリンピック開催をめぐる、非自由民主主義国家・中共と国際世論とのせめぎあいの第一陣だったとすれば、今回のチベット騒擾はその第二陣であると言ってよいでしょう。
仮に今回の騒擾が収まっても・・現に収まりつつあるようですが・・オリンピックが始まるまでにはチベットでもう一騒動あるのは必至だろうと囁かれています。というのは、聖火がギリシャから北京に運ばれる途中チベット人地区を通ることになっているからです。
ただでさえ、北京の大気汚染が話題になりオリンピック開催にケチがついているというのに、チベット問題にまで火が付き、中共政府は頭を抱えているに違いありません。
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■■■ 日本国の研究
■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
4月1日火曜日、ガソリン税などの暫定税率維持を含む税制関連法案が不成立となり、暫定税率が失効した。全国の地方自治体は暫定税率の維持を前提に予算を編成しているので、多くの自治体は税制改正法案の再可決を期待している。
しかし再可決を待っているだけでよいのだろうか。
「国会が暫定税率をいつまでも復元しないなら、税財源確保のために都が自ら法定外税として課税することも考えなければいけない」石原慎太郎都知事は4月4日の定例記者会見で、独自に条例を制定し、都内のガソリン販売に課税する「揮発油引取税」構想を打ち出した。
今週のメルマガは、「揮発油引取税」構想について猪瀬直樹が語った『週刊ポスト』(4月25日号)のインタビューをお届けします。
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■□税金を道路役人から取り上げよ!
□■猪瀬直樹「自治体ガソリン独自課税で霞が関解体私案」
石原慎太郎都知事は4月4日、揮発油(ガソリン)税など道路特定財源の暫定税率が復活しない場合、暫定税率分を法定外税として都が独自に課税する考えを示した。この政策提言を行なったのは、作家として、また政府の地方分権改革推進委員として道路行政にかかわり続ける猪瀬直樹副知事である。その真意とは。
新聞やテレビの報道だけではピンと来ないかもしれないが、これは「霞が関解体」プランなのだ。中央省庁の役人にとって何より大切な税源を地方自治体が取り上げるという話だから。
国交省はもちろん、財務省から猛烈な抵抗が予想される。が、今回の動きには、大阪の橋下徹知事も、「是非、連携して動きたい」と話しており、宮崎の東国原英夫知事や首都圏自治体が検討し始めたら、地方対国の戦いは大きなうねりになる。
暫定税率失効で地方が被るダメージはことのほか大きい。東京では年1000億円規模の道路関係予算がなくなる。開かずの踏切をなくすために高架をかけたり、バスの停留所の整備をしたり、という身近な行政サービスが滞る。「ガソリンが下がるんだからいいじゃないか」
と考えるのはあまりに早計だ。国と地方合わせて2兆6000億円の暫定税率分がなくなることで、国民の生活に著しい影響が出る。足りない分は国債で賄うなんてことになれば、それこそ悪しきツケの先送りだ。
今年1月、僕は東京の代表としてダボス会議に出席し、ロンドン市長のケン・リビングストン氏らと都市計画について討論した。欧米各国がCO2削減、環境問題にいかに本気で向き合っているか実感した。日本がやるべきことは多くある。
8種類ある道路特定財源のうち最も金額の大きいのが揮発油税(国税)で2.7兆円(08年度)。ここから、「地方道路整備臨時交付金」7000億円が地方に配られていた。東京は400億円。さらに補助金が500億円。暫定税率失効でそれらがいきなり止まった。国税としてはもともと余っていたのだから、最初から地方で徴税してはどうかというのが今回のプランの出発点だ。
現在、減税となっているのは1リットルあたり25.1円。独自課税は全額でなくても構わない。現在の軽油引取税(地方税)のようにガソリンスタンドなどに納めてもらう。半分の12.5円分だけでも全国で7100億円になる。法定外税は自治体ごとに税率を決める自由がある。東京だけが得をする枠組みではない。国が税金をとりすぎると、役人が勝手に差配して採算性のない道が続々つくられ、余興のためにカラオケセットやマッサージチェアを買うというムダまではこびるのは繰り返し報じられている通りだ。
税源移譲は地方分権を進めるうえで肝となる部分である。地方が独自で課税し、責任を持って使えば、確実にムダは減る。首長は役人とは違い直接選挙で選ばれる身だから、使途は厳しく監視される。地域ごとの環境対策も効率的に進むだろう。世界に胸を張れる国民国家建設の奇貨になる。
(『週刊ポスト』 08年4月25日号)
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ガソリン税暫定税率、来月1日復活…前日に衆院再可決へ
政府は、ガソリン税の暫定税率を復活させる租税特別措置法改正案の施行日を、5月1日とすることを決めた。
政府筋が24日、明らかにした。 政府・与党は参院で審議中の同法案を30日に衆院で再可決し、成立させる方針だ。政府は30日に閣議を開き、4月1日の施行日を5月1日に改める政令を決定する予定だ。福田首相は、再可決の必要性を国民に説明するための記者会見を30日に開く方向で検討している。 政府筋は「国民に理解を求めることはしなければいけない。暫定税率をさかのぼって徴収することはない。施行日をきちんとすることではっきりさせる」と述べた。 4月25日3時4分配信 読売新聞http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080425-00000006-yom-pol |