中国がいう民間組織とはあくまでも政府の別動隊にすぎない。デモ参加者には交通費提供。 | 日本のお姉さん

中国がいう民間組織とはあくまでも政府の別動隊にすぎない。デモ参加者には交通費提供。

【中国の第五列】中国「民間」装い圧力
2008.4.22 産経新聞 

 中国の国際情報紙「環球時報」は21日、「中国には力強い民間外交が必要」と題する大型対談記事を掲載した。出席者は大学教授ら著名学者6人で、北京五輪の聖火リレーへの妨害活動に対抗した海外の中国人留学生らの一連の抗議デモが「欧米社会の偏った世論に対し大きな反撃となった」と高く評価、「政府はこうした民間外交をもっと積極的活用すべきだ」と主張している。同紙は中国共産党機関紙「人民日報」の傘下にあり、こうした「民間外交」が今後、中国の新しい外交戦略の一つとなる可能性もある。(北京・矢板明夫)


 出席者は、チベットと五輪問題で中国の外交が最近、逆境の中にあることを認めたうえで、中国を批判している主な勢力は、欧米諸国の政府ではなく、人権団体と称する欧米の多くの民間組織だと指摘。中国政府がこれらの組織を相手にすることは「大砲で蚊を攻撃しているようなもので、対応しきれない」と論じた。その一方で、欧米などで最近、中国人留学生が起こした大規模なデモなどの愛国行動が、海外の反中勢力に対して「大きな圧力となった」と結論づけた。


 北京師範大学の張勝軍教授は、「民間外交」を展開することは、政府にとって外交上のリスクがないことがメリットだと強調。「例えば、個別の韓国人が日本大使館の前で、指を詰めたり、焼身自殺を図ったりしても、韓国政府と関係がないことから、外交上のリスクが全くない」と紹介。中国政府はこうした“民間の力”を活用することはまだ少なく、これからはもっと積極的に推進すべきだと提案した。

 これに対し、北京大学の余万里助教授らは、政府は自らの外交政策を実現させるために、間接的に協力してくれるNGO(非政府組織)などに対し、資金やノウハウの面で援助することが必要と指摘した。同時に、「民間外交」を展開するためには、その民間組織が愛国的で政府の外交方針をよく理解していなければならないとし、そのためには、政府による基礎教育が必要だとの意見も出された。


 中国がいう民間組織とは、自らの意志を自由に表現する欧米や日本などの民間組織とは異なり、あくまでも政府の別動隊にすぎない。実際、「自発的組織した」とされる最近の欧米での留学生デモでも、これを裏付ける情報が流れている。

 中国紙などの報道によると、19日にドイツのベルリンで行われたデモで、数千人の参加者にマニュアルが配られたという。このマニュアルは「ナチスを連想させる行為をするな」「外国の指導者を侮辱してならない」などと指示、中国のイメージを損なうことや、ドイツの法律に触れることを厳禁したという。参加者には交通費が提供されたといわれ、その動員力と資金力から、背後で中国政府が影響力を行使しているのは間違いないとの指摘もある。