■「青い軍団」はご免こうむる 異様な印象を与えているチュウゴク人青ジャージ軍団
【主張】長野聖火リレー チベット人権訴え走れ↓
http://sankei.jp.msn.com/sports/other/080419/oth0804190308001-n1.htm
■「青い軍団」はご免こうむる
「調和の旅」が一転、「混乱の旅」となった北京五輪の聖火リレーが26日、長野にやってくる。
日本が聖火リレーをどう取り仕切るか。これまでの混乱のそもそもの原因となった中国政府の対応に対してどのようなメッセージが発信されるか。世界中が注視していることを忘れてはならない。
世界5大陸21都市を巡る聖火リレーによって、威信を国内外に誇示しようとした中国政府の目算は完全にはずれた。
皮肉にも、世界最高峰エベレスト(中国名・チョモランマ)の聖火登頂ルートに設定したチベット自治区で騒乱が起きた。その武力鎮圧が国際社会の非難を浴び、聖火リレーの多くの都市で抗議や妨害が続いた。これが「混乱の旅」の構図である。
長野の聖火リレー出発式の舞台になる予定だった善光寺は、スタート地点となることを辞退した。「文化財や信者の安全、チベット問題を考慮した」という寺側の説明が、前代未聞の聖火リレーを物語る。
各都市で、妨害行動以上に異様な印象を与えているのは、聖火ランナーの前後左右を固めるように並走する青いスポーツウエア姿の中国人集団である。
≪国際基準はずれた中国流≫
北京五輪組織委員会は「聖火随行員」と呼び、中国外務省は「学生ボランティア」だという。しかし、「聖火の管理を行う」との名目で中国から派遣されたこの青い軍団は、ロンドンやパリのような国際都市で、そこがあたかも中国であり、自分たちに法執行の権限があるかのように傍若無人にふるまう姿が目についた。
泉信也国家公安委員長が「日本でそのような行動があるとすれば受け入れられない」と述べた通り、警察庁は「日本国内の警備は日本が行う」として中国側随行員の実力行使を認めない方針だ。主権国家として当然である。平和的な抗議も認めようとしない集団には、長野に来てほしくない。
北京五輪の野球日本代表監督、星野仙一氏ら総勢80人の聖火ランナーは以上の複雑な状況下で走ることになるが、少なくとも人権の重みを胸に走ってほしい。聖火リレーの受諾は、人権を置き去りにした五輪の開催を容認することではない。それが1998年冬季五輪の開催地・長野からの第1のメッセージだろう。
国際社会の同情を集めるチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世を「暴動の扇動者」と決めつけるかたくなな姿勢を崩さないままでは、北京五輪の真の成功はおぼつかない。現実を中国政府は直視しなければならない。同時に、国際オリンピック委員会(IOC)と参加国にも、局面打開への冷静な戦略が求められる。
≪局面打開の知恵しぼれ≫
世界の経済や安全保障は、今や中国抜きには論じられない。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議を例にとっても、日米両国は中国の協力を必要としている。
西側メディアのチベット弾圧への批判や各国での聖火リレーへの妨害が中国内の反発を呼び、仏系スーパーや米系ファストフード店の不買運動にも発展した。
外に向けられた愛国主義は、中国政府の対応しだいでは内向きに矛先を向ける。中国内の政情不安は全世界に大きな影響を与えるだろう。
だからといって、中国政府のメンツを立てて見かけの安定だけを優先し、チベット問題を無視した北京五輪を容認しては、今後のオリンピック運動に禍根を残すことになる。
英独など7カ国の首脳が北京五輪開会式への不参加を表明し、ブッシュ米大統領が中国の胡錦涛国家主席に対し再三にわたりダライ・ラマ14世との対話に応じるよう呼びかけている。
日本も高村正彦外相が来日した楊潔●中国外相との会談で、「条件をつけずに対話してはどうか」と踏み込んだ発言をした。国際的な連帯による中国への圧力継続が不可欠だ。
福田康夫首相はいっそ、5月に訪日する胡錦涛国家主席に「ダライ・ラマを北京五輪の開会式に招いたらどうか」ともちかけてはどうだろう。
実現の可能性がほとんどない提案だが、五輪の歴史に「人権無視」の汚名を着せないためには、これしかない。
これも、長野からのメッセージになりうる。
●=簾の广を厂に、兼を虎に