ロシア政治経済ジャーナル No.513 (必読!!) | 日本のお姉さん

ロシア政治経済ジャーナル No.513 (必読!!)

北野です。前号では、私が「ぶった斬り日本問題」で書いた
1、食糧価格が高騰し
2、食糧危機が起こり
3、食糧輸出を制限する国が出てくる
が現実化している状況、そして、食糧危機が起こる必然性とそのメカニズムについて書きました。
<食糧危機で支援強化へ=日本にも期待強まる-世銀・IMF

4月14日15時1分配信 時事通信
【ワシントン14日時事】世界的な食糧価格高騰を背景とした食糧危機
を受け、世界銀行と国際通貨基金(IMF)が緊急支援に乗り出す。
7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を主宰する日本にも
支援への期待が強まりそうだ。世銀の報告によると、過去3年間で食糧格は世界平均で83%上昇。小麦は181%も値上がりしている。食糧を輸入に頼る開発途上国は食糧不足、栄養失調や飢餓の危険に直面。ハイチでは市民の抗議デモが激化、死者を出す事態に発展した。>まさに、黙示録の世界が展開しているではありませんか。
「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。>(ヨハネの黙示録第六章六節)

結局どういう話か?「食糧自由貿易論者」のいう、「輸入品は永遠に安い」という前提は大ウソということです。前号ではカザフが穀物輸出の全面禁止を検討しているというお話をしましたが。。。カザフだけじゃないですよ。↓
<コメ価格高騰の主要な要因となっているのが、高度成長に伴う消
費拡大や物価上昇に対応するため国内供給を優先させたベトナム、
インドなどコメ生産国による輸出規制だ。べトナムでは年間輸出量を制限し、インドでも高級米を除くコメ輸出を禁止した。>

(4月15日 産経新聞)
中国産に頼っていてはいけないのは、「毒が入っているから」だけで
はありません。そのうち、「すいませ~ん、自国民を優先させるので輸出しません」という時代が必ずくるのです。前々からず~~~と主張しているように、日本は食糧自給率100%にむけて、今出発しなければならない。そこで出てくるのが、「どうやって?」という問題ですが。現実的に、今は輸入食品の方が安い。

▼自給率を増やす=米の需要を増やすこと「ぶった斬り日本問題」から引用します。
▼引用ここから
「自給率を増やすなんて難しいな~」と誰もが思うでしょう。しかし、理論的には難しくありません。米の需要を増やせばいい。唐突な結論に思えたでしょう。説明します。皆さんも、米の自給率がほぼ100%であることはご存知ですね。これを維持することを大前提とします。米の需要を増やしても、それがカリフォルニア米やオーストラリア米だったら意味がありません。

問題は、米の消費量が徐々に減っていること。日本国民一人当たりの米消費量は、1962年の118.3キロがピーク。その後徐々に減少し、現在ではピーク時の約半分の水準まで落ち込んでいます。理由は誰でも知っています。食生活が欧米化したこと。具体的に、パン・乳製品・肉などをたくさん食べるようになったこと。しかし、外国人や外国暮らしの日本人は、「日本が欧米食に走るのは愚かだ」と思っているでしょう。

なぜか?アメリカでも欧州でもロシアでも、「日本食は健康にいい。ダイエットにいい」と世界最高の評価を得ています。一方、ハンバーガー、ジャガイモ、肉、パン、ピザ、パスタ等々に代表される欧米食は、肥満への超特急切符。太ると、高血圧・糖尿病等々、さまざまな問題が起こってきます。日本人は今まで、世界一体にいい食事をしてきた。それが、今はわざわざ欧米人も「体によくない」と認めている食生活に移行している。

愚かというしかありません。さて、自給率を増やす方法。本質を一言でいえば、「パン食をやめて、米食に戻せ!」となる。単純化していますが、パンをやめて米を食べるだけで、波及効果は限りないのです。なぜなら、パンを食べながらひじきや梅干を食べる人はいないでしょう?また、ご飯を食べながら、ジャムを食べる人、チーズを食べる人もいないはずです。つまり、主食を変えると、副食が全部変わるのです。
▼食生活の変化には理由があった
「そうはいっても、米炊くのめんどくさいな~。なんだか、クールでな
い気がするし」今の若い世代はそうでしょう。そして年配の方も、「食の多様化は仕方ないじゃないか。強制的に米を食わせるなんてできないよ」と思うはずです。これは、そのとおり。お上が国民に「あなたたち自給率を増やすために米を食べなさいよ」と命令はできません。「私たちは、自給率を増やすための機械か?!」と怒られてしまいます。

ところで、皆さん食生活が変化したのは、勝手にそうなったと思ってい
ませんか?実は違うのです
。食生活が欧米化したのは戦後です。しかし、自然とそうなったのではありません。日本は戦後食糧難。心優しいアメリカは、脱脂粉乳と小麦粉を日本に援助しました。当時、アメリカは莫大な余剰小麦を抱えていた。これが、戦後学校給食のパンの原料になったのです。それまで、日本人はパンや牛乳になじみがありませんでした。ところが、「三つ子の魂100までも」。

子供の頃に覚えた味は生涯忘れません。主食が米からパンになると、おかずも肉・卵・乳製品・油物等欧米化していきました。この流れは国策として行われています。1954年に制定された学校給食法の趣旨説明でも「(日本人の主食を)粒食から粉食に変える」ことが明言されている。つまり、政府がパン食を推奨したのであり、わざわざ「自給率を下げる」道を選んだことになります。

それは、当時の役人さんが頭悪かったのか、日本への食糧輸出を増
やしたいアメリカの意図があったのか、はっきりわかりません。しかし、「勝手に食生活が変わったのではない」ことは確かです。つまり日本の食生活は、善意・悪意は別として、政府の意図によって
変えられた。その本質は米食をパン食に変えることだった。そして、主食が変わったので、副食も全部欧米化したという流れなのです。ではどうすればいいか、結論は簡単ですね? つまり「主食をパンから米に戻せば全部変わる」となる。

▼マクドナルドを定着させた藤田田氏の長期戦略
「子供の頃に食べた味は生涯忘れない」という話を続けます。
「日本マクドナルド」をゼロから外食日本一に育てあげた藤田田氏。
その著書「天下取りの商法~ゼロから1000億円へ」にとても面白い話があります。以下引用。

「私は毎年生まれてくる150万人に、ハンバーガーとシェイクをねじこむつもりで商売をやっている。小さいころにハンバーガーの味を覚えさせればこちらの勝ちだからだ。人間は小さいころに覚えた味からは、生涯逃げられないからである。私がいい例だ。大阪生まれの私は、大阪本部へ出掛けると、昼食にはかならず、キツネうどんを注文する。社員からは、「社長、もっとマシなものを食べたらいかがですか」といわれるが、私はどうしてもキツネうどんにこだわってしまう。キツネうどんが好きだし、いつ食ってもうまいと思う。

理由は簡単である。子供のときから食っていたからだ。だから、生まれたときからハンバーガーを口に押し込まれて育った子供は、大きくなったときに、けっして昼めしをキツネうどんとはいわないはずだ。「昼メシはマクドナルドのハンバーガーだ」そういうに決まっている。私はそれを狙っているのだ。(中略)30年経てば、子供が親になり、時代が変わってくる。だから、親になったハンバーガー育ちの世代は、生まれてきた子にせっせとハンバーガーを食べさせるはずだ。つまり、30年がんばれば、ハンバーガーは親から子、子から孫へと永遠に引きつがれていくのだ。」

どうですか?一人の決意が社会を変えてしまった例ですね。ここで藤田氏は重要なポイントを私たちに教えてくださっています。

1、人は子供の頃と同じ食べ物を、死ぬまで食べつづける。
2、親は子供に、自分が食べてきたものを食べさせる。(米食の伝統は、政府の方針により崩れましたが)。

これを日本の自給率アップに応用してみましょう。

1、 子供の頃に米を食べさせれば、死ぬまで米を食べつづける
2、 米を食べながら育った人は、子供にも米を食べさせる

つまり、ハンバーガーが広まっていった方法を逆利用し、米を子供の頃
から食べさせればいい。でも、どうやって?

▼完全米飯給食が米の需要を引き上げる
学校給食の主食をパンにしたのは、政府の意図的な選択でした。しかし、それで新たな問題が起こってきます。「米あまり」現象。そのため、1976年から学校給食に米飯が導入されることになりました。私は70年生まれですが、米飯は週1回でした。現在は全国で平均週2.9回が米飯。全国32000の小中学校のうち、完全米飯給食を実施しているのは1400校だそうです。全小中学校で「完全米飯給食」を実施すればいいでしょう。
 
既述のように、子供の頃からパン食になれてしまった成人に「米を食べろ」といっても無理です。不可能ですし、できたとしても食事が苦痛になります。 しかし、子供のころから米を食べさせれば、誰も苦痛を感じなくてすむ。しかも、米飯給食で育った子供達は、卒業してからも死ぬまで米を食べつづける。そして、あらたに生まれてくる子供にも米を食べさせます。つまり、「完全米飯給食」は、米の需要を永遠に増やしつづける秘策なのです。
 
効果を検証してみましょう。現在学校給食を食べている子供は約1000万人います。そして、米飯が週2.9回ですから3回としましょう。
完全米飯にすると、週に2回分増える。つまり、週に米食が2000万食、年に10億食増える。これは米の需要増で、つまり自給率アップにつながります。そればかりではありません。完全米飯給食で育った子供達は、死ぬまで「1日最低1食はご飯を食べる」層になる。毎年100万人の「米党児童」が中学校を卒業していく。つまり毎年、日100万食・年3億6500万食の米需要が増えつづけることになります。
 
たかが給食と甘く見てはいけません。考えてみれば、日本人の食生活は戦後、パン給食で変えられた(そして自給率が減った)のですから。
また国は、「給食用の食材は、できるだけ地元で調達すること」と指導するべきです。これは地元の農業を保護すると共に、国産品を食べ自給率をあげる意味があります。東京のような大都会でも、なるべく近い場所から調達すればいいですね。

ついでに、「子供が口にするものですから、無農薬で作ってください。みかけにはこだわりません」と指導すればどうでしょうか?私たちは皆、化学肥料・農薬が体によくないと知っています。しかし、化学肥料を使わないと「みかけが悪くなるし、生産性が落ちる」等の理由で、使用を止められません。しかし、給食に関していえば、みかけはどうでもいいですね。子供が健康に育つのは、国益にかなっています。

ポイントをおさらいしておきましょう。食糧自給率アップのカギは、米の需要を増やすことである
1、 米の需要を増やす一番手っ取り早い方法は、完全米飯給食を実施す
ることである
2、 米もその他の食材も国産で、できるだけ地元で調達するようにする。
これは、地元農業保護・食糧自給率アップにつながる

3、 学校給食は、できるかぎり無農薬の食材を使う。これは子供の健康
増進に役立つ
 
となります。欲をいえば、「朝食米飯給食」の実施を提案したい。
両親共働きで忙しく、子供はまともな朝食を食べていないでしょう。学校に行って、ご飯・味噌汁で朝食が食べられる。お母さんも子供も国も農家も皆得をします。「公立高校米飯給食」を導入すれば、さらに自給率が高まります。また、県庁・市役所・その他公共機関の食堂は全部米。そして、なるべく地元の食材、無農薬食材を使うように指導すればいいと思います。これで、自給率もアップし、公務員も健康になります。もちろん、これで日本の食糧自給率が100%になることはありません。しかし、大事なのは方向性。食糧自由貿易は亡国の道、自給率アップに向けて一歩でも前進しなければならないということなのです。

▲引用ここまで
RPEの読者さんには、政治家・議員さんがたくさんいます。日本の未来のために、よろしくお願いします。冒頭の記事を見てもわかるように、「自給率45%を目指します」(^▽^)なんて、ノンキなこといっている場合じゃないんですよ。(おわり)