欧州の身近な問題は不法移民、密航の流入と夥しいチャイナタウンの出現が、おおきな政治問
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)4月16日(水曜日)弐 通巻第2159号
中国が最大・最悪の脅威と欧州世論の風向きが変わった
FT・ハリス合同調査で平均31%が中国を脅威と不安視
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フィナンシャル・タイムズとハリス社の合同世論調査は、
毎年、独・仏・英・イタリア、スペインの五カ国で実施されて
いる。
「どの国がもっとも脅威か?」という設問にヨーロッパ人の
心理が投影される。過去のロシア、北朝鮮への不安視は
希釈され、大西洋同盟のパートナーだった米国を脅威視
するようになったのは冷戦終了後の特色だが、これまでは
「偉大」な印象も残存していた中国観が、劇的に変化して
いることが判明した。
この調査は3月27日から4月8日にかけて欧州五カ国で
行われた。結果は以下のようだ。
イタリア
中国が脅威 47%
米国が脅威 21%
イラン 13%
フランス
中国が脅威 37%
米国 30
イラン 11
ドイツ
中国が脅威 35%
米国 28
イラン 7
イギリス
中国が脅威 28%
米国 27
イラン 10
フィナンシャルタイムズ(4月16日付け)に依れば、昨年の
中国が脅威とした回答より、およそ二倍に増えており、
昨年トップだった北朝鮮は番外に外れた。
チベットにおける中国共産党の暴政に嫌気したことが
大きいが、欧州の身近な問題は不法移民、密航の流入と
夥しいチャイナタウンの出現が、おおきな政治問題となって
いるからである。
またイランへの援助や技術提供をしているドイツでは、
イランへの脅威が極めて希薄である実態も浮かび上がった。