「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 国際派日本人の情報ファイル
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成20年(2008年)
4月8日(火曜日) 通巻第2148号
北京五輪への聖火リレー、パリで中断。聖火消える
長野は厳戒態勢。「恥。中止せよ!」の声が全国から集中
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北京へ向かう聖火リレー。点火式のギリシアで躓きが始まった。イギリスで妨害活動が噴火、ついにパリでは聖火が消え(4月7日)、リレーは中断のやむなきに至った。チベット虐殺と人権無視の中国に「五輪を開催する資格があるのか」いう民主主義、自由な国家からの呻きに似た動きである。次のインドでは予定コースを十分の一にカットした上、二重のフェンスをはって、見物人を排除する。が、おそらく聖火リレーは中断されるだろう。
日本はなぜか、長野市が聖火リレーの会場。すでに長野市役所には「恥を知れ、聖火リレーはいまからでも遅くないから中止せよ」という声が全国から澎湃と寄せられ、予定コースは厳戒態勢に入ったという。
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♪小林節『国家権力の反乱』(日新報道)
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題名がちょっと誤解を産みそうだが、著者の小林節・慶応大学教授も最初からそのことを認識しつつ、しかし貸金業新法は“権力側の反乱だ”と言う。
おおざっぱに小林節説の骨子を述べると、消費者金融業者の悪質なブローカー的跳梁対策としての金利の上限の法律的歯止めを、またまた権力側が低めに改訂したが、これではまっとうな業者がつぶれることになると「せつせつ」と言うのだ。当該法律は憲法違反でもある、と。
つまり「新貸金業法」なるものは、闇のパワーを強めこそすれ、弱めたりはしない、とあくまで法律解釈による論理を構築しており、これ(新法)は国民を不幸にして、國を衰退させる悪法である、と説くのである。そもそも多重債務者というのは性格的にだらしない人が多いし、融資話にのって、保証金を先に払えという振り込み詐欺も、被害者のほうに論理的思考がないからおきえるのではないのか。
なぜ、融資の先に保証金が必要なのか、ちょっと考えてみれば矛盾していることに気がつくのが当然ではないのか、と小林教授は徹底的な正論を述べる。
評者(宮崎)は昔から小林教授とは知り合いで、十数年前には一緒に台湾の金門島へ行ったことがある。改憲論議では意見がちがうけれど、昨年も慶応大学の小林ゼミに呼ばれて講演した。
小林ゼミに学生が多く集まるのは、こうした苛烈なまでの論理性の構築に、法律論争、論理の組み立ての妙を展開するコツを見いだそうとする学生が多いからかも。論理的破産という文脈から田原総一郎のいう「解説」も、根本的におかしいと非難を続けている(でも田原某にそもそも論理性を求めるのは、猿に倫理を求めると同じくらいに意味がないのだが)。サービスが悪くて向かっ腹の立つビジネスホテルも増えたが、所詮、そういうホテルには、それにふさわしい客層しか得られないように、世の中の仕組みはそういうものである、と小林教授、ひさびさの論理的ヒット。
♪山崎養世『道路問題を解く』(ダイヤモンド社)
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ゴールドマンサッックスで辣腕を振るい、いまは独立されてシンクタンクを主宰し、様々な政策提言をされている山崎養世氏は、本書を通じて、従来的な日本人の発想を超えた、ユニークな論理を展開して、道路行政を批判する。いま『暫定税率』の廃止によってガソリン代金が値下げになり、毎日、ガソリンスタンドの動揺をテレビは報道しているが、議論がなんとも浅薄きわまりない。道路の財源確保が問題であり、暫定税率は必要と説く人がいれば、国会運営の手練手管の道具のために反対している野党がいる。いずれも道路本来の意味を考えていない。
まず本書最大の提案は「東京湾アクアラインを無料にせよ!」という議論だ。なぜなら20分で羽田と木更津とが繋がると上海へ行くより断然はやい。
わざわざ工場を中国に移転する必要がないではないか、國の産業保護と地域活性化と道路の賑わいが得られ、一石三鳥になるではないか、と。
過日、或る大企業幹部と懇談の機会があった。浙江省の杭州に敷地を一万坪用意したが、木更津より土地代が高かった、とぼやく。――それなら、なぜ中国くんだりまで進出し続けるのですか?たとい労賃が安いと言っても、それよりコスト高になる、不条理な課税、山猫ストライキ、挙げ句は法外な賄賂。そこで山崎氏の東京湾アクアライン無料化構想を思い出して相手に喋ると、ぽかんとしていた。発想の貧弱なことよ!
もうひとつ。山崎さんは道路建設にまつわる歴史に着眼している。
それはアイゼンハワー大統領が第二次大戦後、本腰をいれて全米に無料の高速道路プロジェクトに邁進したのは、青年時代の痛い体験だったからだという。東海岸から西海岸まで移動するのにアイゼンハワーが陸軍少佐時代には62日間を要した。当時のヒトラー・ドイツのようにハイウェイを早急に整備することこそが国防に繋がると痛切に感じた。もし西海岸に敵が上陸しても、兵力の輸送に二ヶ月もかかっては敵に負けると陸軍少佐は危機感を抱いた。ハイウェイを整備しなければ、米国は外部勢力との戦争も遂行出来ないではないか、という動機が米国を世界一の高速道路大国にした。
さはさりながら、本書が触れていない本質的ポイントがある。道路を民営化とか、税率とか、効率とかでのみ、論じても意味がないことである。なぜなら道路とは本来、ローマ帝国がそうであったように軍事戦略が基本である。韓国や台湾のような國でさえ高速道路の一部は滑走路に転用できる。戦車が疾駆しても耐えられる設計と角度も考慮されている。
日本の道路は熊のほうがクルマの交通量より多い場所に造る必要はないという理論でしか論じられておらず、きわめて危険である。
そもそも道路は国防上の観点で考えられるべきであり、しかも道路が民営化されることは国防上、あり得ない。その意味で猪瀬直樹氏らの公団とか民営化議論は基本が間違い。山崎さんの本書もこの点で踏み込みが足りない点に評者(宮崎)の不満が残った。
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♪読者の声1)「反日映画問題について」
反日映画「ヤスクニ」の上映が「表現の自由」だという。
しかし反日宣伝から日本の子供を守る日本人の「自衛の自由」は何処に行ったのだろうか。勿論、自衛の自由が優先する。なぜなら自衛は自然権であるからだ。反日映画は毒餃子の情報版である。情報の毒餃子なのだ。しかし毒餃子を営業の自由といって販売する意見も論理もない。中身の毒性は反日映画の方がはるかにひどいと思う。(MC生)
(宮崎正弘のコメント)表現の自由は、まさに自由です。問題となっている映画の問題は政府の補助金がでているので、国会議員は前もって当該映画をみたい、と言っただけのこと。それを逆宣伝に左翼がつかっていて、これも「かれら」の常套手段ですね。イランは『悪魔の歌』をかいてモハメッドを冒涜したといって作者サルマン・ラシュディ(インド人作家)に死刑判決をだし、多くの刺客が亡命先のイギリスへ送られ、英国政府はかれを守りました。表現の自由を守るためです。あおりでトルコ語に訳した訳者ら文学者が宿泊していたホテルが放火され、二十数人が焼き殺されるという無惨な事件がトルコで起こりました。日本でも訳者の五十嵐助教授(筑波大学)が刺殺されました。犯人はまだ検挙されていません。日本を冒涜する映画を日本人がつくり、それを日本人が上映し、日本人が見に行く。なんと世界の常識とはかけ離れて、表現の自由がありすぎる國でしょうか? 他の国、たとえば中国なら、確実に映画館は爆破か焼き討ちの対象でしょうが。
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作ったのは、在日チュウゴク人で、日本政府が資金の一部を
補助金として負担した。日本人の税金を使うような映画なのか?
by日本のお姉さん
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♪(読者の声2)『正論』五月号の貴論『馬英九総統誕生で台湾はどこへ行く』を拝読しました。今回の台湾総統選挙での民進党の予想外の大敗より、想定外でサプライズなのは李登輝氏の“豹変”ぶりです。君子ですから豹変は当然なのでしょう。李登輝氏の権力につねに寄り添う政治家としての強かさに圧倒されます。李登輝氏のアドバイスを受け入れず云うことを聞かない阿扁や内紛ばかりしている汚職まみれの民進党に愛想を尽かし、台湾のあり得うべき行く末を構築するには政権党に返り咲いた国民党に寄り添うことを選んだと思えるのです。台湾がシナ大陸に呑み込まれないよう頑張るにはこれしかないとの決意のように思えるのです。一李登輝ファンの日本人としての過剰な思い入れと過大な期待かも知れませんが、そう思いたいのです。さはさりながら国民党から離れて以降李登輝氏の打つ手、やることなすことは裏目に出てばかりです。もはや李登輝氏に期待しない、と冷めた目で見るかつての同志は少なくないようです。
シナ大陸の中共政権はいつかきっと台湾を吸い込もうと大きな口を常に開けています。台湾はそんな強大なバキューム力を持つ脅威に立ち向かいあらがい続けて来ました。しかし馬政権ができたことで、その大きな口に呑み込まれることが、近未来の台湾の宿命となり行くでしょう。
大陸の中華世界と国を一体化してこそ台湾民族の繁栄と安寧があり、安全保障が確保されると観念するようになり行くでしょう。貴論の最後の一句が「台湾の民主主義も熟柿から腐乱に入ったか?」とあって巧みな表現と感じ入りました。馬英九は若い頃、国民党学生組織を指導して日台断交通告のために訪台した椎名特使の車列に生卵をぶつける嫌がらせをしました。その馬英九が台湾のトップになるのです。故に台湾の民主主義は生卵が「腐乱」した状態、つまり“腐卵”と成り行くでしょう。馬英九が昔椎名特使に投げつけた生卵は腐り果て今や干からびて道脇の雑草にこびり付いています。そのように台湾の民主主義は潰えて行く危機にあると観念されます(有楽生)
(宮崎正弘のコメント)チベット問題は、民進党の謝長廷候補には追い風とはなりませんでしたが、台湾の民主政治、法治の安定という大局にとっては歴史的な追い風、天佑です。台湾は『第二のチベットになる』という懼れが心理的に広まって台湾人の団結が、馬英九権のもとで、さらに進むという皮肉も、馬自身が「台湾人」として、この國を治めて行かざるを得ず、米国の後ろ盾が絶対に必要であるという基本を壊してまで北京に近づく理由はゼロです。
李登輝さんを二元的に解釈するのもどうでしょう? 世俗を超え、党派をこえた政治家は目前の党派性を超越した発想をしているのではないでしょうか?馬英九次期総統は李政権下で法務部長をつとめ、李政権後期に台北市長。いわば李登輝の教え子でもあることをお忘れなく。馬英九自身、「李先生を尊敬している」と公言しています。
♪(読者の声3)川内康範氏の死去の第一報に接し、悲しみに耐えません。88歳の天寿をまっとうされた由、ご立派の一語に尽きます。
三島氏の自決直後、関係友人知人同志有志が当時あったホテルニュージャパン内の川内事務所に終結してあれこれ打ち合わせた件りが、宮崎さんのご著作(『三島由紀夫“以後”』、並木書房)にあります。
常に真摯一途灼熱苛烈であった、それでありながら清清とされていた川内康範氏。もうすでに去られた川内康範氏・・。(HN生、横浜)
JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■
1リットル25円の価値
MoMotarou放送局
★ ★ ★
4月1日より暫定税率が切れてガソリン・軽油ともに「価格」
が 下がりました。素直に喜びたいと思います。一素人
(いちしろうと) の感想であります。
■値下げなのか。。
これは単純な「値下げ」ではありません。これは「減税」です。
それも日本国民が初めて、一票の行使で獲得したもので、
敢えて言 えば民主主義の「成熟」を意味するものでしょう。
■自民党史観からの脱却
あれほど「民意、民意」「支持率、支持率」と騒ぎ立て政争
に使っ てきた政治家や官僚が、全くこの減税を評価しない
のは残念です。
先の選挙で、国民は民主党の好き嫌いに係わらず、一票を
投じまし た。
自民党史観―即ち、自民党の立場から政治を観ることに
慣れてい る人々にとっては、「(自民党に)お灸を据(す)え
た」位にしか 見えなかったかもしれません。
■政治家の誤算
しかし、コイズミさんが言った「ま坂(さか)。。」が起こりまし
た。「自民党をぶっ壊す」と言っていたことが現実になりつつ
あり ます。自民党は中央政界・経済団体を抑えて於けば
大丈夫と思って おりました。ですから東京で政治をし、
テレビ等を使って、竹中さ んのいう「効率」の良い政治で
国民を「操ろう」としました。
■LIVE
先の参議院選挙では、郵政解散選挙で圧勝した経験で、
与党は大 量の資金をマスメディアに投入し、テレビなどで
「効率」良く選挙 戦を戦うはずでした。ところが民主党党首
の第一声は岡山県の"山 の中"でした。
日頃テレビでしか見たことがない大物が、眼の前の
"みかん箱"の 上に居ます。将に、"ライブコンサート
(LiVE CONCERT)"であり ます。自民党がテレビの中に
いたのに対し、民主党はテレビから" 飛び出して"きたの
でした。。
■政治を取り戻そう!
田中角栄さんは、新人議員に言ったそうです。将来選挙区
に度々 帰れなくても大丈夫のように、しばらくは地元の
事情を隅々まで分 かる様に回れと。
今回の「減税」を通じて、私達は税法さえも一票を通じて
変える ことが出来るのだとわかりました。この自覚こそ
日本を変える源泉 であります。「日本」を忘れた専門家から
「日本」を取り戻す方法 がわかりました。
オバマさんが「Yes we can!」なら、
私達は「Yes,We can, too !」というところでしょうか。
(今回の税の失効を一番喜んでいるのは財務省でしょう。
この暫定法の税配分は地方7:中央3の割合でした。こ
れが与党・野党共に言う一般財源化で復活すれば、将に
"濡れ手に粟、一石二鳥"です。その為、地方自治体・政
治家を焚(た)き付けておるのです。財源不足で騒ぐこ
とはありません。そこを何とかするのが官僚の仕事です。
朝鮮銀行の救済や新生銀行を外資に売り飛ばす時には、
ガソリン税を上回る税金を財務省は投入したことを思え
ば少ない方です。)
以下、今週も「反対」!