米欧の主要金融機関の資産担保証券の含み損の合計は、おそらく400兆円
ようちゃん、おすすめ記事。↓4月1日の記事です。
▼米欧の主要金融機関の資産担保証券の含み損の合計は、おそらく400兆円になっている!(株式日記と経済展望)
◆サブプライムローン問題の帰結と経済(2) 4月1日 ビジネス知識源
無理なローンを借りた500万世帯のうち、すでに200万世帯が、住宅を追われています。これは今後、もっと増えます。そのため、住宅価格は更に下げます。2008年は、住宅価格が10%~15%、2009年も15%は下がる感じです。(注)統計は3ヶ月~6ヶ月は遅れます。
●$13兆(1300兆円)の住宅ローンから、こうした証券化が行われたのは$6兆(600兆円)です。これらの証券は、60%から70%を米国の金融機関が、次に欧州、そして日本と中国を含むアジアや中東が持ちます。90年代中期以後の世界の金融は、国債やこうした証券、及び株、社債の売買業です。信用査定が必要な、直接の融資は減っています。窓口となって貸す会社と、その機関が発行する証券を売買する大手(プライムブローカー)が分離した。その証券に、各種の保険(クレジット・デリバティブ)が係っている。そのため、保証があるかの如く、安易に、証券が売られ、買われたのです。こうした住宅ローン関連証券(米ドル建て)を買った会社は、
(1)米国の住宅価格の下落と、
(2)米ドルの下落で、二重に、疑心暗鬼になった。何がその証券の原資産として混合されているか分からないからです。ちゃんこ鍋が、中身が不明の、食べられない闇鍋になったと言えばいいでしょう。
■4.2008年は、600兆円の資産担保証券の全体が下落
この600兆円相当の、資産担保証券の時価は、今、どうなっているか?
▼資産担保証券(Asset Backed Securities:ABS)の下落
〔格付け〕 2007年9月 2008年3月価格指数
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
AAA 95 55
AA 85 20
A 60 18
BBB 40 15
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(元本価値100:financial Times:08年03月)
現在の価格下落は、「とんでもない」と言えるレベルです。元本価値1000億円の、AAAの格付けのABS証券を持っていても、その市場価格は550億円です。損失が450億円。BBBの格付けのものなら、元本価値1000億円は、紙切れと言える150億円に下がっています。確認のため言えば、AAAは、プライム・ローンの部分であり、米国債並みに、利払いと返済は安全とされていました。国の信用は、紙幣発行ができ、徴税権があることです。ところが、08年3月ではこれが、55%の価格に下がった。
原因は、
(1)「米国の住宅ローンと消費者ローンは、優良部分でも、デフォルトが増加する」という予想に変わったからです。
(2)加えて、米ドルの下落予想もあります。
AA、Aがそれに次いでいました。BBBは、デフォルト・リスクは高いが、その分に見合って利回りが高かった。20%水準の高い利回りを求めるファンドが買っています。
●600兆円もの残高の資産担保証券(ABS)は、元本の55%から15%の価格に下落してしまいました。
●実は、今、価格を安くしても、米ドル建てのABS証券(デリバティブの一種)は、皆が怖がって買わないという流通市場の消滅が起こっているのです。株式市場で言えば、気配値はあっても、売買がゼロに近い。素人は買っていません。金融機関とファンドが持つ。
金融機関は、3か月決算のサイクルで、株や証券のリスク資産の時価評価をしなければならない。米国を中心とする金融機関が、08年3月現在で蒙った資産担保証券の含み損の合計は、おそらく300兆円~400兆円になっているはずです。
●米欧の主要金融機関(メガバンクやメガ証券)の、自己資本は合計でも200兆円です。(注)自己資本を増やす年間純益が20兆円水準です。
●米欧の主要金融機関は、現在の自己資本の1.5倍~2倍の不良債権を抱えてしまったと見ていいでしょう。金融機関が自己資本を失えば、金融業務はできない。
●今は、損失の本当の開示が遅れているから、なんとか維持されている状況です。
【その証拠】
3月の最初の週、米国最大のシティバンクが、コールによる借入ができず、決済不能に陥るという噂が流れ、そのため、米FRBは、慌てて23兆円相当の、緊急資金注入を行っています。IMFが08年3月に公表した、「住宅ローン関連証券の損失総額は85兆円」というのは、甘い数字です。上記の、証券価格の時価の下落率を見れば、その甘さは明白です。(注)こうしたときの当局発表は、ほぼいつも3分の1くらいです。日本の、金融機関の不良債権の発表もそうでした。
■5. 金融機関の自己資本の喪失から起こる事態を「経済恐慌」と言うが・・・
▼90年代後期の日本
1990年代の後期(橋本内閣の時代)、日本発の世界恐慌が言われ、その防止策が、
(1)金融機関の救済のための政府資金投入、
(2)ゼロ金利策による、世帯から金融機関への所得移転(1年間で約30兆円)でした。
▼2008年、2009年の米国
2008年、2009年は、米国の住宅価格が更に下落するため、米国発の世界恐慌の恐れがあります。想定できる対策は、日本よりはるかに巨額になる、
(1)金融機関への政府資金投入、
(2)実質ゼロ金利策、
(3)住宅ローン証券の、政府による買い上げ、
(4)住宅ローンを借りている世帯への徳政令(債務カット)です。
つまり、政府・中央銀行からの資金供給で、世界に波及するクレジット・クランチを防ぐことです。これは、資金を、じゃぶじゃぶに注ぐことでもあります。
▼日本と米国の違い
米国と日本では、根本的な違いがあります。
(1)日本は、海外からの純借金はなく、一貫して200兆円相当の純債権国だった。日本は、国内で問題を片付けることができたのです。背景に、ゼロ金利でも、金融危機でも解約されなかった銀行・郵貯の個人預金800兆円があったためです。
(2)米国は、海外に対し300兆円相当の純債務があり、一貫して債務国である。
米国にとっての難題は、国内に世帯の預金が少ないことです。そのため問題の解決には、海外からの資金流入(ドル債券、証券買い)が必要です。(注)米国の世帯の資産は、株、住宅、年金基金です。いずれも相場で価格が上下する資産です。
●海外からの資金流入がなくなると、米国の、資金供給源になるFRB自体が信用を失います。これは、米ドルの1$=60円への下落を意味するでしょう。米国は、金融機関の自己資本喪失の解決に、金利を、ゼロ付近に下げねばならない。しかしそうすると、今度は海外が持つドル($6兆=600兆円)が売られます。誰も、損をする通貨はもちたくない。
【対比】海外のファンドから借金をし、それを投資していた1998年のタイ(アジア通貨危機の起点)のようになる。タイからファンド資金が引き揚げたとき(バーツ売り)、タイ中央銀行は、対抗策を持たなかった。
【過剰消費】
米国の世帯の、ローンによる過剰消費(1年100兆円相当)が、世界の輸出経済を引っ張る機関車でした。(注)日本は、米国とはちょうど逆で、生産力が需要を上回る経済です。
中国経済、アラブ、アジア、そして日本の輸出は、米国の貿易赤字によるものです。要は、対米輸出による経済成長だった。日本の中国やアジアへの部品輸出は、中国・アジアで製品が組み立てられ、米国に最終商品が輸出される「三角貿易」です。
■6. 100兆円相当の海外からのファイナンスが必要な米国
●米国は1年で100兆円を、海外(欧州、中国、日本、中東、アジア)からファイナスする必要があります。このファイナンス(資金調達)が、ドル建ての住宅ローン証券・社債・国債の、海外による購入です。ところが、世界の通貨に対するドル下落は、今、ドル建ての住宅ローン証券・社債・国債が売られていることを示します。実に・・・すごいことになってきました。
5%レベルだった米国の政策金利は今、FRBの緊急利下げで、その半分以下の2.25%です。消費者物価の上昇が、資源の高騰のため4.1%ですから、実質金利は、〔4.1%-2.25%≒1.85%〕のマイナスです。マイナス金利の米ドルが、海外から買われることがあるのか?
日本との関係で言えば、3%の金利差が、ドル買いの条件でした。他国も類似します。日本が1%なら米国は4%以上が必要です。
・ところが利回りが、日本に準じて低くなり、
・加えて、世界の通貨に対するドル安での為替差損が予想できるドル債券を誰が喜んで買うか?
米ドルが更に下落すると、米国の輸入物価は上がります。世界からの輸入品を売るウォルマート、ギャップ、リミティッド、ホームデポの店頭価格が上がります。ローン金利の高騰で傷んだ家計の消費は、当然に減ります。米国の消費者ローンは25%とサラ金並みで、住宅ローン金利(プライムローン)も、8%以上に上がっています。
【政府策と逆行する市中金利】
FRBが金利を下げても、市中金利は上げています。企業への融資からも、回収が増えている。
政策金利の下げ及び資金供給と逆行し、民間での資金不足ためのクレジット・クランチが起こっているからです。その原因は、金融機関の自己資本の喪失です。米国の08年3月期、及び08年6月期のGDPは、実質でマイナス予想でしょう。個人消費が、70%を占めるからです。
海外からの資金流入が止まれば、米国経済の息の根がとまると言われて久しい。2007年7月まで、それが起こらなかった。2007年8月以後、実際のことになった。息が止まるのを防ぐため、米FRBは緊急資金供給を続けていますが、これはドル札の増刷と等しい。そのため、水膨れした米ドルの価値が下落する。
【金融部門の利益】
加えて、米国には、別の特殊事情もあります。米国の全企業利益のうち40%部分が、金融収益であることです。米英は、90年代を経て、金融の仲介によって稼ぐ国に変わっています。この金融収益が、予見できる2008年、2009年と、ゼロに近くなる。これは、米国の株価が、今より20%~30%下落することを意味します。世界恐慌は、米政府とFRBの金融対策で避けることはできるかもしれない。しかし、世界経済の07年までの実質成長率(5%:金額で4500兆円×5%=225兆円)は、相当の打撃を受けるはずです。日本の国債(833兆円)が増発不能(=市場金利の高騰)になる前に、確実と思われていた米国の住宅ローン(1300兆円)の市場価値が暴落した。本来は今、世界の金利は上昇し、物価が抑えられねばならない。しかし、中央銀行は金利を低くし、資金を水割りし増やす。この矛盾が、どういった帰結を生むか?
次号では考察を深め、2008年と2009年の経済予測をします。恐らく今、戦後60年で最大の、経済の転換期です。
ーーーーーー
(私のコメント)
ビジネス知識源の記事にもあるように、おそらく欧米の金融機関は債務超過の状態にあり、実態を発表したくともできない状況にある。だから欧米の中央銀行はなりふり構わぬ資金供給をしてコール市場を維持していますが、欧米の金融機関自身が自分のところも債務超過に陥っており、他の金融機関も同じだろうと見ているのだろう。
シティバンクですらコール市場で資金が受けられないと言う噂も出てFRBは23兆円もの資金供給をした。コール市場が機能していないので中央銀行が無制限の資金供給でその場を凌いでいるのですが、金融機関の評価損を埋めきる事は不可能だろう。すでに資産担保証券の評価損残高は400兆円にも達している。これでは金融機関が増資をして資本を増強しても一時しのぎにしかならない。もっとも優良な資産担保証券も半値に値下がりして、BBB格付け債権はほとんど紙切れ同然になってしまった。つまり600兆円のうち400兆円あまりが含み損になっているようですが、これは金融機関の資本金の200兆円の倍の金額だ。金融機関が自己資本を失えば金融業務は出来なくなるはずなのですが、欧米の大本営発表で誤魔化されている。この事を一番知っているのが金融機関の経営者たちですが、だからコール市場が凍りついたまま疑心暗鬼になっている。いつどこの金融機関が破綻してもおかしくはない状況なのですが、マスコミ報道も大本営発表に加担している。
例えば、1000億円で購入したABS証券がAAAであっても500億円の価値しかなく、BBB債だったらたったの150億円にしかならないのですから、金融機関が被っている損失額は債務超過になっていてもおかしくはない。しかしそれを発表すれば欧米の金融機関の多くが破綻してしまって、欧米の資本主義は終わってしまう。このような実態を知っていれば、うっかり欧米の金融機関救済に動く事は危険だ。中東産油国や中国などの政府系ファンドが資本出資に応じましたが、このような状況が把握できなかったのだろう。欧米の政府当局や中央銀行がこれからどのような手を打つのか興味がありますが、大本営発表を続けるしか方法はない。
アメリカは金融立国を宣言してアメリカ企業の多くも金融収益で利益を上げている。しかし債券市場がマヒ状態になり、債権の借り換えさえもままならなくなり、とんでもない高金利で借換債を発行している。FRBも無制限の資金供給していけばFRB自身の信用不安が発生してくる事になるだろう。そうなればドルの暴落だ。アメリカは海外から資金を調達して資金運用して400兆円もの損失を出してしまった。もし海外から金を返せと言われれば返せないから中央銀行が輪転機を回してドル札を印刷して返さなければならない。馬鹿を見るのはドルとリンクした通貨を持つ国であり、中国やサウジアラビアや中南米の国などはアメリカと一緒に抱き合い心中する事になる。
日本のバブル崩壊は、日本が200兆円もの純債権国であり、800兆円も個人預金があって、ゼロ金利を長期間続ける事で金融機関の利益でバブル崩壊の損失を穴埋めできた。ところがアメリカは実質ゼロ金利になりましたが、ドルが海外に流出して金融機関の金庫の中は空っぽになり、金融機能は凍結してしまって、日本の金融機関のように自力で回復する事は不可能だ。アメリカ企業の40%の金融収益も消えてなくなるから、その分の株価も下落するから20%~30%の株価下落は避けられない。本来ならばアメリカは金利を引き上げてインフレを抑えなければならない状況なのですが、バーナンキFRB議長は水で薄めたドルをばら撒いている。この結果がどうなるかはアルゼンチンやロシアがどうなったかを見れば分かるだろう。
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◆サブプライムローン問題の帰結と経済(2) 4月1日 ビジネス知識源
無理なローンを借りた500万世帯のうち、すでに200万世帯が、住宅を追われています。これは今後、もっと増えます。そのため、住宅価格は更に下げます。2008年は、住宅価格が10%~15%、2009年も15%は下がる感じです。(注)統計は3ヶ月~6ヶ月は遅れます。
●$13兆(1300兆円)の住宅ローンから、こうした証券化が行われたのは$6兆(600兆円)です。これらの証券は、60%から70%を米国の金融機関が、次に欧州、そして日本と中国を含むアジアや中東が持ちます。90年代中期以後の世界の金融は、国債やこうした証券、及び株、社債の売買業です。信用査定が必要な、直接の融資は減っています。窓口となって貸す会社と、その機関が発行する証券を売買する大手(プライムブローカー)が分離した。その証券に、各種の保険(クレジット・デリバティブ)が係っている。そのため、保証があるかの如く、安易に、証券が売られ、買われたのです。こうした住宅ローン関連証券(米ドル建て)を買った会社は、
(1)米国の住宅価格の下落と、
(2)米ドルの下落で、二重に、疑心暗鬼になった。何がその証券の原資産として混合されているか分からないからです。ちゃんこ鍋が、中身が不明の、食べられない闇鍋になったと言えばいいでしょう。
■4.2008年は、600兆円の資産担保証券の全体が下落
この600兆円相当の、資産担保証券の時価は、今、どうなっているか?
▼資産担保証券(Asset Backed Securities:ABS)の下落
〔格付け〕 2007年9月 2008年3月価格指数
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AAA 95 55
AA 85 20
A 60 18
BBB 40 15
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(元本価値100:financial Times:08年03月)
現在の価格下落は、「とんでもない」と言えるレベルです。元本価値1000億円の、AAAの格付けのABS証券を持っていても、その市場価格は550億円です。損失が450億円。BBBの格付けのものなら、元本価値1000億円は、紙切れと言える150億円に下がっています。確認のため言えば、AAAは、プライム・ローンの部分であり、米国債並みに、利払いと返済は安全とされていました。国の信用は、紙幣発行ができ、徴税権があることです。ところが、08年3月ではこれが、55%の価格に下がった。
原因は、
(1)「米国の住宅ローンと消費者ローンは、優良部分でも、デフォルトが増加する」という予想に変わったからです。
(2)加えて、米ドルの下落予想もあります。
AA、Aがそれに次いでいました。BBBは、デフォルト・リスクは高いが、その分に見合って利回りが高かった。20%水準の高い利回りを求めるファンドが買っています。
●600兆円もの残高の資産担保証券(ABS)は、元本の55%から15%の価格に下落してしまいました。
●実は、今、価格を安くしても、米ドル建てのABS証券(デリバティブの一種)は、皆が怖がって買わないという流通市場の消滅が起こっているのです。株式市場で言えば、気配値はあっても、売買がゼロに近い。素人は買っていません。金融機関とファンドが持つ。
金融機関は、3か月決算のサイクルで、株や証券のリスク資産の時価評価をしなければならない。米国を中心とする金融機関が、08年3月現在で蒙った資産担保証券の含み損の合計は、おそらく300兆円~400兆円になっているはずです。
●米欧の主要金融機関(メガバンクやメガ証券)の、自己資本は合計でも200兆円です。(注)自己資本を増やす年間純益が20兆円水準です。
●米欧の主要金融機関は、現在の自己資本の1.5倍~2倍の不良債権を抱えてしまったと見ていいでしょう。金融機関が自己資本を失えば、金融業務はできない。
●今は、損失の本当の開示が遅れているから、なんとか維持されている状況です。
【その証拠】
3月の最初の週、米国最大のシティバンクが、コールによる借入ができず、決済不能に陥るという噂が流れ、そのため、米FRBは、慌てて23兆円相当の、緊急資金注入を行っています。IMFが08年3月に公表した、「住宅ローン関連証券の損失総額は85兆円」というのは、甘い数字です。上記の、証券価格の時価の下落率を見れば、その甘さは明白です。(注)こうしたときの当局発表は、ほぼいつも3分の1くらいです。日本の、金融機関の不良債権の発表もそうでした。
■5. 金融機関の自己資本の喪失から起こる事態を「経済恐慌」と言うが・・・
▼90年代後期の日本
1990年代の後期(橋本内閣の時代)、日本発の世界恐慌が言われ、その防止策が、
(1)金融機関の救済のための政府資金投入、
(2)ゼロ金利策による、世帯から金融機関への所得移転(1年間で約30兆円)でした。
▼2008年、2009年の米国
2008年、2009年は、米国の住宅価格が更に下落するため、米国発の世界恐慌の恐れがあります。想定できる対策は、日本よりはるかに巨額になる、
(1)金融機関への政府資金投入、
(2)実質ゼロ金利策、
(3)住宅ローン証券の、政府による買い上げ、
(4)住宅ローンを借りている世帯への徳政令(債務カット)です。
つまり、政府・中央銀行からの資金供給で、世界に波及するクレジット・クランチを防ぐことです。これは、資金を、じゃぶじゃぶに注ぐことでもあります。
▼日本と米国の違い
米国と日本では、根本的な違いがあります。
(1)日本は、海外からの純借金はなく、一貫して200兆円相当の純債権国だった。日本は、国内で問題を片付けることができたのです。背景に、ゼロ金利でも、金融危機でも解約されなかった銀行・郵貯の個人預金800兆円があったためです。
(2)米国は、海外に対し300兆円相当の純債務があり、一貫して債務国である。
米国にとっての難題は、国内に世帯の預金が少ないことです。そのため問題の解決には、海外からの資金流入(ドル債券、証券買い)が必要です。(注)米国の世帯の資産は、株、住宅、年金基金です。いずれも相場で価格が上下する資産です。
●海外からの資金流入がなくなると、米国の、資金供給源になるFRB自体が信用を失います。これは、米ドルの1$=60円への下落を意味するでしょう。米国は、金融機関の自己資本喪失の解決に、金利を、ゼロ付近に下げねばならない。しかしそうすると、今度は海外が持つドル($6兆=600兆円)が売られます。誰も、損をする通貨はもちたくない。
【対比】海外のファンドから借金をし、それを投資していた1998年のタイ(アジア通貨危機の起点)のようになる。タイからファンド資金が引き揚げたとき(バーツ売り)、タイ中央銀行は、対抗策を持たなかった。
【過剰消費】
米国の世帯の、ローンによる過剰消費(1年100兆円相当)が、世界の輸出経済を引っ張る機関車でした。(注)日本は、米国とはちょうど逆で、生産力が需要を上回る経済です。
中国経済、アラブ、アジア、そして日本の輸出は、米国の貿易赤字によるものです。要は、対米輸出による経済成長だった。日本の中国やアジアへの部品輸出は、中国・アジアで製品が組み立てられ、米国に最終商品が輸出される「三角貿易」です。
■6. 100兆円相当の海外からのファイナンスが必要な米国
●米国は1年で100兆円を、海外(欧州、中国、日本、中東、アジア)からファイナスする必要があります。このファイナンス(資金調達)が、ドル建ての住宅ローン証券・社債・国債の、海外による購入です。ところが、世界の通貨に対するドル下落は、今、ドル建ての住宅ローン証券・社債・国債が売られていることを示します。実に・・・すごいことになってきました。
5%レベルだった米国の政策金利は今、FRBの緊急利下げで、その半分以下の2.25%です。消費者物価の上昇が、資源の高騰のため4.1%ですから、実質金利は、〔4.1%-2.25%≒1.85%〕のマイナスです。マイナス金利の米ドルが、海外から買われることがあるのか?
日本との関係で言えば、3%の金利差が、ドル買いの条件でした。他国も類似します。日本が1%なら米国は4%以上が必要です。
・ところが利回りが、日本に準じて低くなり、
・加えて、世界の通貨に対するドル安での為替差損が予想できるドル債券を誰が喜んで買うか?
米ドルが更に下落すると、米国の輸入物価は上がります。世界からの輸入品を売るウォルマート、ギャップ、リミティッド、ホームデポの店頭価格が上がります。ローン金利の高騰で傷んだ家計の消費は、当然に減ります。米国の消費者ローンは25%とサラ金並みで、住宅ローン金利(プライムローン)も、8%以上に上がっています。
【政府策と逆行する市中金利】
FRBが金利を下げても、市中金利は上げています。企業への融資からも、回収が増えている。
政策金利の下げ及び資金供給と逆行し、民間での資金不足ためのクレジット・クランチが起こっているからです。その原因は、金融機関の自己資本の喪失です。米国の08年3月期、及び08年6月期のGDPは、実質でマイナス予想でしょう。個人消費が、70%を占めるからです。
海外からの資金流入が止まれば、米国経済の息の根がとまると言われて久しい。2007年7月まで、それが起こらなかった。2007年8月以後、実際のことになった。息が止まるのを防ぐため、米FRBは緊急資金供給を続けていますが、これはドル札の増刷と等しい。そのため、水膨れした米ドルの価値が下落する。
【金融部門の利益】
加えて、米国には、別の特殊事情もあります。米国の全企業利益のうち40%部分が、金融収益であることです。米英は、90年代を経て、金融の仲介によって稼ぐ国に変わっています。この金融収益が、予見できる2008年、2009年と、ゼロに近くなる。これは、米国の株価が、今より20%~30%下落することを意味します。世界恐慌は、米政府とFRBの金融対策で避けることはできるかもしれない。しかし、世界経済の07年までの実質成長率(5%:金額で4500兆円×5%=225兆円)は、相当の打撃を受けるはずです。日本の国債(833兆円)が増発不能(=市場金利の高騰)になる前に、確実と思われていた米国の住宅ローン(1300兆円)の市場価値が暴落した。本来は今、世界の金利は上昇し、物価が抑えられねばならない。しかし、中央銀行は金利を低くし、資金を水割りし増やす。この矛盾が、どういった帰結を生むか?
次号では考察を深め、2008年と2009年の経済予測をします。恐らく今、戦後60年で最大の、経済の転換期です。
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(私のコメント)
ビジネス知識源の記事にもあるように、おそらく欧米の金融機関は債務超過の状態にあり、実態を発表したくともできない状況にある。だから欧米の中央銀行はなりふり構わぬ資金供給をしてコール市場を維持していますが、欧米の金融機関自身が自分のところも債務超過に陥っており、他の金融機関も同じだろうと見ているのだろう。
シティバンクですらコール市場で資金が受けられないと言う噂も出てFRBは23兆円もの資金供給をした。コール市場が機能していないので中央銀行が無制限の資金供給でその場を凌いでいるのですが、金融機関の評価損を埋めきる事は不可能だろう。すでに資産担保証券の評価損残高は400兆円にも達している。これでは金融機関が増資をして資本を増強しても一時しのぎにしかならない。もっとも優良な資産担保証券も半値に値下がりして、BBB格付け債権はほとんど紙切れ同然になってしまった。つまり600兆円のうち400兆円あまりが含み損になっているようですが、これは金融機関の資本金の200兆円の倍の金額だ。金融機関が自己資本を失えば金融業務は出来なくなるはずなのですが、欧米の大本営発表で誤魔化されている。この事を一番知っているのが金融機関の経営者たちですが、だからコール市場が凍りついたまま疑心暗鬼になっている。いつどこの金融機関が破綻してもおかしくはない状況なのですが、マスコミ報道も大本営発表に加担している。
例えば、1000億円で購入したABS証券がAAAであっても500億円の価値しかなく、BBB債だったらたったの150億円にしかならないのですから、金融機関が被っている損失額は債務超過になっていてもおかしくはない。しかしそれを発表すれば欧米の金融機関の多くが破綻してしまって、欧米の資本主義は終わってしまう。このような実態を知っていれば、うっかり欧米の金融機関救済に動く事は危険だ。中東産油国や中国などの政府系ファンドが資本出資に応じましたが、このような状況が把握できなかったのだろう。欧米の政府当局や中央銀行がこれからどのような手を打つのか興味がありますが、大本営発表を続けるしか方法はない。
アメリカは金融立国を宣言してアメリカ企業の多くも金融収益で利益を上げている。しかし債券市場がマヒ状態になり、債権の借り換えさえもままならなくなり、とんでもない高金利で借換債を発行している。FRBも無制限の資金供給していけばFRB自身の信用不安が発生してくる事になるだろう。そうなればドルの暴落だ。アメリカは海外から資金を調達して資金運用して400兆円もの損失を出してしまった。もし海外から金を返せと言われれば返せないから中央銀行が輪転機を回してドル札を印刷して返さなければならない。馬鹿を見るのはドルとリンクした通貨を持つ国であり、中国やサウジアラビアや中南米の国などはアメリカと一緒に抱き合い心中する事になる。
日本のバブル崩壊は、日本が200兆円もの純債権国であり、800兆円も個人預金があって、ゼロ金利を長期間続ける事で金融機関の利益でバブル崩壊の損失を穴埋めできた。ところがアメリカは実質ゼロ金利になりましたが、ドルが海外に流出して金融機関の金庫の中は空っぽになり、金融機能は凍結してしまって、日本の金融機関のように自力で回復する事は不可能だ。アメリカ企業の40%の金融収益も消えてなくなるから、その分の株価も下落するから20%~30%の株価下落は避けられない。本来ならばアメリカは金利を引き上げてインフレを抑えなければならない状況なのですが、バーナンキFRB議長は水で薄めたドルをばら撒いている。この結果がどうなるかはアルゼンチンやロシアがどうなったかを見れば分かるだろう。
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他の馬鹿コメントは不要なので掲載しない!
勉強不足で 人心を誑かす!ようちゃん
★http://extremist5123.iza.ne.jp/blog/entry/421252/
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(青皮の手帳)2007の12月を支持します。今日田中宇氏もユーラシア大陸の地殻変動の題名で書いてる。パキスタン政情不安定から、イラン、アフガニスタン、タジキスタンの首都で集まった事。石油パイプライン建設してその通行料が貰える国々でかつてのペルサシア帝国圏内で、中国へ石油を流す相談と上海機構へ忠誠儀式と睨んでる事。アカシック・レコードは中国・北朝鮮戦争がイアスラエルのイラン攻撃の中東戦争より先と言う見方で三者三様ですが、青皮の手帳の取る「バルカン主戦論」を推進するためににも、日本は何とかしなければいけない! しれが日本と英国との日英同盟が成立すれば可能になる。米サブプライムローン爆弾が炸裂した現状では、世界のパワーバランスが著しく不均衡になっており、米英を中心とする海洋勢力群(シーパワー)は、その凋落に何らかの歯止めを掛けずにはいられない。英国がこの現状を打破するためには乗ってくるであろうと読んでいるからである。英国は海洋国家である。英国の伝統的な戦略の基本は海洋国家として実に明確なものだ。それは「欧州大陸内に覇権を求めないこと」と「欧州大陸を単一の国家(勢力)が支配することのないように干渉し続けること」である。これは欧州大陸内のバランス・オブ・パワーを細分均衡化させ維持することにより、欧州大陸を単一支配させないという英国外交の伝統的ドクトリンによるものだ。米サブプライムローン爆弾が炸裂し、旧西側陣営は金融恐慌一歩手前の状況にある。いや既に恐慌に突入しているのかもしれない。そして、米国は中東だけでなく、全局面で腰砕けな対応をしている。ただし、対日本を除いては・・・。
米国は経済面だけでなく、地政学的な側面からも中、朝と過接近しており、返す刀で「ジャパン・ナッシング」をも目論んでいるような様子もうかがえる。このままだと数ヶ月以内のうちに日経平均株価が6,500円を割り込むような悪夢も覚悟しなければならない。それくらいに日本を取り巻く環境は急激に悪化している。
ならば打つ手は奇手しかない。米国による「ジャパン・ナッシング」を避けるためにも、より遠方で騒動を起こすことは有効だ。手法としては、コソヴォ側だけでなくセルビア側にも援助をして、なるべく紛争が派手になるように仕向けるのが良い。計は小を用いて大なる成果をあげるのが、その妙味でもある。外交で「汚い」とか「卑怯だ」「ズルい」なんてのは当たり前だ。つまり、“戦略的”とはこれらの「汚い」「卑怯だ」「ズルい」手法を用いることに他ならない。よって、戦略的外交というものには、あらゆる手法が含まれるのも当然である。
日本を取り巻く環境が急激に悪化している今日において、もはや「バルカン主戦論」は日本の自衛戦争と言っても過言ではない。中国や北朝鮮、韓国の振る舞いや対日本非難決議案にカッカしてる場合ではない。近視眼的な漸減邀撃(ぜんげんようげき)観だけではダメだ。今こそ、世界的な鳥瞰観が必要とされるのである。少なくともそういう戦略的な知性を持っても良いだろう。
この奇手しか無いでしょう!与野党ねじれて日銀総裁も決まらず、暫定贅言で税収が不確定で漂流してるのです。これが日銀不在を言い訳にして米国から回ってくる奉課加帳逃れなら良いが、フフフもオザワンもそういう思考は無いし、両陣営とも政争での内部抗争状態に見える。官僚がも宛てにもならず、経済界にしかこの根回しを企画できる人物は無い! コソボの独立は良い知らせだったのです。
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米国は経済面だけでなく、地政学的な側面からも中、朝と過接近しており、返す刀で「ジャパン・ナッシング」をも目論んでいるような様子もうかがえる。このままだと数ヶ月以内のうちに日経平均株価が6,500円を割り込むような悪夢も覚悟しなければならない。それくらいに日本を取り巻く環境は急激に悪化している。
ならば打つ手は奇手しかない。米国による「ジャパン・ナッシング」を避けるためにも、より遠方で騒動を起こすことは有効だ。手法としては、コソヴォ側だけでなくセルビア側にも援助をして、なるべく紛争が派手になるように仕向けるのが良い。計は小を用いて大なる成果をあげるのが、その妙味でもある。外交で「汚い」とか「卑怯だ」「ズルい」なんてのは当たり前だ。つまり、“戦略的”とはこれらの「汚い」「卑怯だ」「ズルい」手法を用いることに他ならない。よって、戦略的外交というものには、あらゆる手法が含まれるのも当然である。
日本を取り巻く環境が急激に悪化している今日において、もはや「バルカン主戦論」は日本の自衛戦争と言っても過言ではない。中国や北朝鮮、韓国の振る舞いや対日本非難決議案にカッカしてる場合ではない。近視眼的な漸減邀撃(ぜんげんようげき)観だけではダメだ。今こそ、世界的な鳥瞰観が必要とされるのである。少なくともそういう戦略的な知性を持っても良いだろう。
この奇手しか無いでしょう!与野党ねじれて日銀総裁も決まらず、暫定贅言で税収が不確定で漂流してるのです。これが日銀不在を言い訳にして米国から回ってくる奉課加帳逃れなら良いが、フフフもオザワンもそういう思考は無いし、両陣営とも政争での内部抗争状態に見える。官僚がも宛てにもならず、経済界にしかこの根回しを企画できる人物は無い! コソボの独立は良い知らせだったのです。
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