頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

ようちゃん、おすすめ記事。↓頂門の一針

「容共政権」を否定した民主党
━━━━━━━━━━━━━━花岡 信昭

「ガソリン攻防」が一段落して、政局は一転して静かになった。ガス抜 き効果などともいわれるが、激しくぶつかると局面が大きく転換するの が政治攻防の常だ。

自社対決時代(といわれていたが、実態は自社「なれあい・談合」に近かった)の55年体制下では、重要課題で与野党がぶつかってこう着状態になると、お互い納得づくの「強行採決」が行われ、国会は1夜で正常化したものだ。いま、それと似た状況が生まれているといっていいかもしれない。政治家も人間だから、こういうぶつかり方をすると、精神的、肉体的な消耗も激しい。しばらくはリハビリ期間ということになる。
ガソリン業界だけがきりきり舞いさせられたわけだ。月末29日になると、再議決規定の適用が可能になるから、また騒がしくなる。9日に今国会初めての党首討論が行われることになった。ガソリン税や道路特定財源の一般財源化といった問題も大事だが、国家戦略そのものを党首同士で率直に語ってほしい。

どういう国柄を目指そうとするのか、国際社会の中でどう振る舞おうと するのか。そういう骨太の論議がほしい。政治の世界が静かになったといっても、さまざまな動きは続いている。こういう時期の政治ウオッチャーとしては、短い記事(短信という)が要注目だ。

そこで見逃せないのが、「民主、共産との選挙協力『しない』」という 記事。民主党幹部が語ったという。これは重要な意味が込められている。時期はともあれ、次の衆院総選挙で民主党は政権を奪取するとしている。現有勢力を倍増させても過半数に及ばないのだから、厳しい情勢であることに変わりはないのだが、小選挙区主体の選挙は思わぬ結果が出る。昨年の参院選も1人区(小選挙区だ)が明暗を分けた。得票数に比べて、過剰な議席を与えるというのが、小選挙区制の特徴だ。仮に現在の300小選挙区をA党とB党が争って全選挙区でA党が51%、B党が459%の得票率であったとしよう。現実にはあり得ないが、理論的にはあり得る。復活当選はこのさいわきに置く。

その場合、得票数はほとんど同じだが、獲得議席数はA党が300、B党は
ゼロだ。これが小選挙区制の怖さである。
2大政党時代になったとき、必ず一方の政党が過半数を制し、強力な政権をつくるうえでメリットといえる。政権運営に失敗すれば、政権交代もたやすく行われるようになる。共産党はこれまでほとんどの選挙で候補を擁立することを実行してきた。選挙が政党のPRの格好の場となる。だが、有効得票総数の10%を得られないと供託金没収となるなど、財政的にも負担しきれなくなったようだ。

次期総選挙では候補を絞り込んで臨む方針を打ち出した。となると、共 産票は当然ながらアンチ自民だから、民主党候補に上乗せされるケース が増える。これは事実上、民主党への選挙支援体制を組むのと同じだ。共産党は野党連合政権を目指してきたのだが、仮に、共産党を加えると野党が過半数を超えるという結果になった場合、悲願達成となる。

「共産党との選挙協力はしない」と民主党幹部が言明したのは、そうい う事態を避けようというものだ。あの小沢一郎代表のことだから、共産 党とだって手を握りかねないという見方が民主党内にあるのも事実だが、そうではないということを今から表明したということになる。「容共政権」はつくらないという意味になる。では、そういうきわどい結果になった場合、どういうことが考えられるか。自民、民主入り乱れての「再編成」である。自民党は民主党の一部を切り崩して多数勢力を構築しようとするだろう。民主党も逆に自民党に手を突っ込むことになる。

いまから言うのもなんだが、この帰趨はおもしろい展開になる。勝った と思った次の瞬間に敗者の側に転落するというダイナミックな政治ドラ マが繰り広げられるわけだ。民主党幹部の発言を伝える短信から、そういう読み方をするのも、政治を見ていく上での楽しみである。

で、がらりと話題は変わってプロ野球。巨人の開幕5連敗は興味深い。
「巨人・大鵬・卵焼き」の世代としては、どうしても「隠れジャイアン ツ」を捨てきれない(かつて所属していた新聞社はヤクルト系だったの で、社内では静かにしていた)。野球の世界は政治と似ている。とりわけ監督の選手起用は政治リーダーのあり方に通じるものがある。そうした観点からいえば、原監督の采配には疑問ばかりである。上原を開幕戦に使わず、4戦目の中日戦に「温存」し、そして敗れた。

巨人が最も信頼し、エース一番手の位置にいるはずの上原(五輪日本代 表のエース候補である!)を開幕戦に起用しないというのは、当たれば いいが、こういう結果になればチーム内の監督不信を倍化させる。そこ がトップの決断の難しいところだ。上原を開幕戦に堂々と出して負けたのなら、選手たちは納得する。そうでないのだから、これは最悪だ。もしかすると、福田政権よりも原政権崩壊のほうが先かもしれない。

緊張感が漂う朝鮮半島
━━━━━━━━━━古澤 襄

日本で感じているより朝鮮半島で緊張感が漂っている。いたずらに危機 感を煽るつもりはないが、3月6日午後、韓国江原道麟蹄郡北側の非武 装地帯で、北朝鮮軍が韓国軍の哨戒線に数発の銃撃を加えてきた。韓国 軍もこれに応戦し、十数発の警告射撃を行った。

在韓米軍のベル司令官はワシントンの記者懇談で「北朝鮮は米韓同盟との戦争に勝つことはできない。戦争が起きた場合は、ばく大な被害を加 えることはできる」とこの時期に発言している。さらに「朝鮮半島で戦争が発生した場合は約50万人の韓国軍が地上戦闘を責任統括し、米国陸軍はその支援を行うが、米軍の主な支援は空軍力と海軍力になるだろう」と述べている。

6カ国協議の再開を模索しているヒル米国務次官補は、ソウル市内で記 者会見して「北朝鮮の金桂寛外務次官が必要と思うなら、来月の訪朝中 に軍部関係者と会いたいと提案した」とわざわざ明らかにしている。
いずれも、これまでにない新しい動きである。その脈絡で3月末の韓国 ・聯合ニュースを読み返してみる必要がある。

<(ソウル31日聯合)昨年末から今年3月末にかけて行われた北朝鮮軍の 冬季訓練水準は、陸海空の全般で例年に比べ50%以上強化されていたこ とがわかった。韓国軍消息筋が31日に明らかにしたもの。

北朝鮮は訓練が終わる今月も、黄海道にある機械化軍団傘下の師団級機 械化部隊に配置された戦車を南側に機動する訓練を行ったほか、ミグ21 戦闘機も軍事境界線から50キロメートル北側上空にある韓国側が仮想設 定している戦術行動ラインを複数回にわたり越え、前方基地に展開する
訓練を行ったとみられる。北朝鮮の戦闘機は、黄海上で短距離ミサイルが発射された28日にも戦術行動ライン近くまで4~5回飛行している。韓国軍は中央防空統制所を通じ24時間体制で北朝鮮領空を監視しており、戦闘機の出撃待機状態を維持しながら、北朝鮮の戦闘機が戦術行動ラインを越えた場合には対応出撃しているという。>


木造住宅の外断熱?
━━━━━━━━━ 内田一ノ輔

一時期大流行した住宅リフォーム。
建築のど素人が会社を作り、ど素人を集め、挙句に粗雑工事や手抜き工 事が跋扈した。また、相手が知識の無いお年よりと見れば、お約束の 「ぼったくり」である。この様な通常500万円以下の工事は、法律的には「雑工事」とされており、建設業の資格も、技術者の資格も必要としない。しっかり管理の出来る元請建設会社の「下請け」としての位置づけとしての「雑工事」であれば問題ないが、この様な「実績」も「技術」も「責任感」ない輩が会社を作って、工事管理の出来ない、無知な庶民を相手に工事をしてしまう闇世界が形成されている。

また、この様な世界は、2重、3重の下請けされる構造で、ピンハネまた ピンハネの世界であり、その都度、工事の原価が下がり品質劣化を生ん でいる。この土日、「外断熱のご説明に参りました」のセールスがよく来る。これならまだ良いが、「近所で仕事を展開しており、お宅様にもご説明が必要なので、玄関口まで起こし下さい」出て行くと、「ご近所で外断熱の工事をします。つきましてはお宅様もどうですか」と、本来の目的の「外断熱」のセールスが始まる。</ SPAN>

建築の専門家に聞くと、後施工、即ちリフォームの「外断熱」は鉄筋コ ンクリートのマンションの断熱工法に端を発している。木材とは違って、熱伝導率の高いコンクリートは、壁の内外の温度差によって、壁の室内側が結露する。コップに冷水を入れたときと同様の現象である。この場合、壁の内側に断熱材を設置(内断熱)すると、壁と断熱材の間に結露した水分が乾燥せず、「カビ」を大量発生させることになる。そこで考えられたのが、壁の外側で断熱するマンションの「外断熱工法」である。

木造住宅は結露しないので、外断熱工法に特別なメリットは無いといえ る。セールスマンは、「内断熱のように壁の中が断熱材で詰められていると通気できない つまり風が通らないわけです」と屁理屈を言うが、通気や吸湿性が良いのが木造住宅である。また、既設の木造住宅に、「外断熱」をしっかり取り付けるためには、柱を痛めつけることになる。地震等を考えれば、こちらのほうが問題だ。

また既存の木造住宅の、モルタル、サイディングボード、タイル等の外 壁は構造材ではなく、雨風をしのぐ強度しかない。これに外断熱材を取 り付ける方法では、壁材がボロボロになってしまうし、当然強固に取り 付けることは困難である。まして、ど素人工事では強風に対し飛ばされ てしまう恐れもあるし、とにかく危険である。この様な工事を、寒冷地で施工すれば、沁み込んだ水分の凍結融解作用で、数年で自壊してしまうでしょう。

「ボッタクリ業者のターゲット」はリフォームから後施行の外断熱へ鞍 替えしている。貴方は狙われている。十分にご注意を。室内外の熱を伝達させる、つまり断熱できない第一の要素は、ガラス窓なのである。
家の断熱工事を考えているなら、北海道など寒い地域で使われている、 「2重ガラスの窓」は、断熱に加え騒音も遮断してくれるので、こちら のほうが理に適っている。床に摺れる程度の長さの厚手のカーテンでも、断熱保温効果はかなり有効である。

話はそれるが、暖房といえば「床暖房」も魅力がある。環境にやさしい ソーラーシステムで「床暖房」も住み心地のよさそうな良い響きである。「寒い冬は家族とコタツに入り、みかんを食べ、季節を実感する。明確な四季のある日本に生まれ育ち、季節ごとの花や食べ物を味わい暮らしてきたが、今はそんな当たり前にあった喜びがなくなった」。

これは、老後をハワイで暮らすと移住した従兄弟の後悔の弁であるが、 北国で育った彼には、複雑な心境がありそうである。考えてみれば、我家は電気カーペットにコタツだ。言い換えれば、床暖房も有り、コタツも有る、おまけに猫付だ。これで何の不自由も無い。 (08.03.13)


長寿医療保険は誰のためか
━━━━━━━━━━━━━前田 正晶

 名称変更以前の保険証は頂戴している。4月1日を過ぎたので、冷静に この新制度が与えてくれる影響を考えてみた。

先ずは年金である。すでに所得税は源泉徴収されている。そこに介護保 険の源泉徴収も加わった。有無を言わさずに徴収しておいて、今度は健 康保険も源泉徴収である。

厚生年金から源泉徴収される金額は人によって異なるだろうが、20%以上 も減額されては堪ったものではあるまい。私は困るよ。だが、支払に行 く手間は省いて頂けている

次が保険料である。すでに貰っていた資料で大凡の金額は算出してあっ た。ここ新宿区では4~6月は「徴収なし」で、7~9月間は「銀行等で納 付」とある。これでは「手間は省いて頂けていなかった」である。即ち、「年金引き落とし」は10月以降だった。

説明がない点がある。それは4~6月間の「徴収なし」分が免除なのか、 残り9ヶ月にどのように割り振るかである。何れにせよ、9ヶ月間に振り 込まれる金額は大きく減額されることと覚悟した。

問題はまだある。通知してきた資料には「国保」に残る形となって、こ れまでの私の扶養家族から外れた家内の分がどうなるかが記載されてい なかった。そこが問題である。

そこで区役所の指示された電話番号に問い合わせた。答えは明快で「奥 様の分の国保の保険料は別途お支払い頂くことになる」のだそうである。遺憾ながら予測通りだった。

ならば「その保険料は如何に」と尋ねると「国民健康保険課でなければ 答えられないが、6月までは決まらないこと」とこれまた明快な答え。 ここで解ったことは新聞・テレビ報道の「準備期間不足で間に合ってい ない」は正しかったことである。

まだ疑問は残る。それは「これだけ杜撰なことをしていて、高齢者医療 費の増加を防いで、国民皆保険を維持するという大命題が達成できるの だろうか」という極めて深刻なものである。ガソリンが上がった下がっ たよりも遙かに喫緊で重要な問題だと思うのだが、如何でしょう?
━━━━━━━
反     響
━━━━━━━
1)頂門の一針で福田首相のボン・サミットでのエピソードを拝読し、まさにあの手のタイプが会社員の多数派であり、そこそこ出世もし、そ こそこの給料をもらい、そこそこの生活をしていると思うと、腹立たし
いばかりです。

視野が狭く、全体を見ることもできず、言動はほとんど保身と自意識に 起因しているため、いくら話しても、なかなか真意が理解できません。 一見、常識人の顔をしていますが、悪意のない悪気のかたまり、と感じ ます。

宮崎正弘さんのチベット暴動・自作自演の英字紙写真も、溜飲が下がる 思いでした。中国共産党が外国メディアに流した映像を鵜呑みにする人 はほとんどいないと思いますが、テレビで僧侶が建物を壊している映像 を見たとき、私はてっきり、殺した僧侶の衣服をはぎとって、決定的な 映像を発信しようと、軍が急遽思いついたのかと思っていました。

今、社会の現象に対し明確な問題意識を持ち、自分の考えと意見を持つ 人たちのお話をうかがう機会が減ってしまいましたが、頂門の一針を読 み、あまり錆びつかないように気をつけます。(K)


 2)原材料の値上げ攻勢が激しい。政府が小麦粉のさらなる30%だった かの値上げを打ち出した。それに呼応したのか、対処したのか、1日の テレビニュースではラーメン店とお好み焼き店が、もう耐えられないと オズオズと20~30円値上げを実行したと報じていた。どちらかは何十年 も耐えに耐えて価格を維持してきたが限界を超えたそうである。

コスト上昇ないしは急騰を需要家や消費者に転嫁していくのは、資本主 義社会では当然の行為だろう。経済がまともに成長していればだ。だが、 物価上昇は困ったことだ。この場合に我が国と欧米間にはその対処法に 明らかな違いがある。

言うまでもないことだが、我が国は、各段階であるいは懸命に合理化に 努め、あるいは我が身を削ってお客様にご迷惑をかけないように努力す る。それをお客様も評価するという伝統的な美風がある。これを非難・ 批判したら、日本の文化の否定にも繋がりかねないとすら思うことがあ る。

ところが欧米人の辞書にはつい先頃まで「堪え忍ぶ」という言葉は載っ ていなかったかと、私は解釈していた。彼は当然のように受益者負担と ばかりに「コスト上昇」を製品価格に織り込んでいく。

値上げを表明しても受け入れなければ他から買ってくれとにべもない。 買い手も心得たもので「高い物は買わないよ」と買える値段を提示する 先に変わっていく。これが"Don't feel bad. Come and see us again." =「気悪うせんとまた来いや」である。

この文化の違いの何れがよいかなどを論ずるのは無意味である。相手を 思いやって、相手の立場を尊重しあって、長いつきあいを続け、お互い の好関係を維持しようというのが我が国の美風である。そこに近代資本 主義を導入して、日本式資本主義が成り立っている。

それと、欧米の結果を求める狩猟民族の思想に立脚した資本主義とは相 容れないと思う。彼らの直ぐに他社に転嫁するのも一方である。

だが、昨今のアメリカを見ていると経済の成長が止まり、エネルギー・ 原燃料コストが急騰したのみならず、サブプライムだの何のと悪条件の みが発生して、各段階でコスト上昇を受け入れがたい状況が出てきた。

少なくとも紙パでは2段階で妥協したの、積み残しは次回に回すといった 妥協が生じてきた。耐えて行かざるを得ないのだ。

では、この苦境をどうやって脱出するかといえば相変わらずリストラと M&Aである。さて、どうなることか?

我が国でも、世界の各地で起きている悪条件が一気に押し寄せてきた。
ここには何も政府の無為無策だけが原因ではない要素がある。中にはこ れから策を立てれば軽減できるかも知れないものがあるかと思う。

だが、現状をよく見れば、暫定税率だの問責決議だの、長寿何とかと名 称を変えた保険だのと、コップの中の嵐みたいなことをやっている場合 ではないのは明らかだと思う。

原材料の高騰を消費者にまで転嫁せざるを得ない状況は深刻である。ツ ケを回す先がない最終消費者をどのようにして保護するかを考え、手段 を講ずるのが、まともな政治ではないか!?経営者の責任ではないか? 以上 前田正晶


3)1143号拝読。

>日本人が日本語の中で遣う英語は日本語として使っているのだから、英
語屋からあれこれ文句を付けられても聞く耳持たない、というのは家人。<
わたくしも同感であります。(S)