ネパール側からエベレストの登山路を利用して亡命チベット人らが越境する可能性が中国側から指摘された
<チベット暴動>ネパールに飛び火 逮捕者1000人
【ニューデリー栗田慎一】中国チベット自治区で起きた暴動で、自治区に隣接するネパールでも中国政府に抗議する亡命チベット人らのデモが相次いでいる。ネパール治安当局はこれまでに約1000人を逮捕するなど強硬手段で臨んでいるが、抗議デモは激化する一方だ。絶対王制から共和制に移行するため10日に行われる憲法制定議会選挙への影響も懸念されている。
ネパールには約2万人の亡命チベット人がおり、3月中旬の中国チベット自治区での暴動発生後、連日のようにデモが続いている。地元記者によると、31日には首都カトマンズの中国大使館前で、中国政府が禁じているチベット旗を振りながら「北京五輪のボイコットを」などと叫んだ約70人が護送車に押し込まれ、連行された。30日にも同大使館に突入しようとした約120人が逮捕された。 ネパール政府が強硬措置でデモを取り締まる背景には、中国との友好関係を重視し、5月にエベレスト山頂付近である北京五輪の聖火リレーに対する妨害行為を未然に封じる狙いがある。政府関係者によると、聖火リレーはネパールを通過しないが、ネパール側からエベレストの登山路を利用して亡命チベット人らが越境する可能性が中国側から指摘されたという。このためネパール政府は登山路の閉鎖を検討したが、5月は外国人登山者の入山ラッシュが続くため、封鎖は困難との見方がある。 政府当局は、登山路周辺に治安要員を配置して監視することも検討しているという。ただ、制憲議会選挙を前に政治勢力間の衝突が各地で続発、治安当局はその対応に追われ、登山路の監視まで手が回らないのが実情だ。政府関係者は「(チベット仏教最高指導者)ダライ・ラマ14世と中国指導部が対話し、早く事態を収拾してほしい」と本音を漏らす。 |
4月1日11時38分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080401-00000037-mai-cn