チュウゴク政府はウソっぽいことばかり報道しているということは分かった
チュウゴク発のニュースは、どれも信用できないもの
ばかり。北京在住のふるまいよしこさんの
推理小説のようなチュウゴクの報道の謎解き。結局、
謎は解けないのだけど、チュウゴク政府はウソっぽい
ことばかり報道しているということは分かった。↓
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大陸の風-現地メディアに見る中国社会』 第120回
「五輪前の中国」
□ ふるまいよしこ :北京在住・フリーランスライター
■ 『大陸の風-現地メディアに見る中国社会』 第120回
「五輪前の中国」
今週に入って、我がアパートでも冬季の集中暖房が打ち切ら
れた。すでに3月に入ってからは暖房器具に手を当てても
ほんのり程度の温かさになっていたし、今年は2月中旬の
旧正月からこっち、例年になく暖かい日々が続いていたので、
このまま集中暖房が打ち切られてもいつもほど寒い思いを
しなくていいかな、と思っていた。
が、北向きの我が家ではやっぱり朝夕は集中暖房なしでは
まだ肌寒い。
「集中暖房」といえば、いわゆるホテルや高級マンションなどに
付いている「セントラル・ヒーティング」(英語にすれば同じなん
だけれど)を想像する方もおられようが、北京の民間住宅の
それはそんな「優雅な」ものではない。それは真冬には日中
気温が零下になる土地にあって、燃料が戦略的、経済的な
意味で国有財産であった共産主義華やかなりし頃の名残
なのだ。住宅が集中する地域ごとに公有の温水場を作り、
そこから担当地域の集合住宅に地下パイプを通じて温水
暖房を提供するシステムになっている。
最近では個人が住宅を買って、冷暖両用エアコンや電気
ストーブなんかも取り付けられるようになり、暖房を集中、公共
にする必要はあまりないように思えるものの、多くの家庭は
毎年11月15日から3月15日まで(北京市の条例による)の
暖房供給期間(原則的に、だけど)はほぼまだそれに頼って
いる。もちろん、毎年暖房料金を払わされるが、確かにエア
コンや電気ストーブを使って暖をしのぐよりずっと安くつく。
そういう意味では立派に省エネとして役に立っているといえ
るだろう(でも、温水場の燃料は多くがまだ石炭で、大気
汚染の問題を抱えているが)。
それでも、ほんわかと暖かくなってきた首都に比べて、
3月中旬の高原はまだまだ寒いはずだ。1959年、49年前
のちょうど今頃にラサを脱出してインドを目指したダライ・ラマ
もその手記で、「何度も凍えるような寒さで手足が麻痺した」
と書いている。
インドでのチベット難民と当局の衝突が、中国のチベット族居
住区におけるデモ、騒乱、そして暴動のニュースへとエスカ
レートするなか、現地に身をおくわけではない我われに出来る
ことは、チベットに関する資料を探すことだけだった。たとえ、現
地に飛ぶ方法が残されていたとしても、いったいそれがどこか
らどうやってどんなふうに始まり、どうなっているのかを知らな
ければ、お話にならないのだから。
まずはもちろん、インターネットだ。チベットの亡命政府がある
インドで10日に始まった、「ラサへの徒歩行進」については
香港紙がすでに8日ごろから伝えていた。しかし、それを手が
かりに香港や海外のサイトでチベットのニュースを集め始め
た頃、だんだんインターネットによるチベット情報へのアクセス
が難しくなった。これまでも台湾情報を集める際に使ってきた
プロキシーサーバーによるアクセスですらもかなり難しくなり、
一旦チベット関係のサイトを開く
と、後に開こうとしたページは
それが日本のエンターテイメント
ニュースであれ、アメリカの大統
領選挙関連のページであれ、
開けなくなる。
先週いっぱいは中国政府の主張を支持する中国語サイト
(一部ニュースサイト含む。ただ、新華社などの公式ソースは
開けた)すら、半日待っても開けなかった。
これではダメだとインターネットに居座ることをあきらめて、
仕事机の横に積んである未読本の山から『ダライ・ラマ その
知られざる真実』と『チベットわが祖国』を引っ張り出し、週末
までに読破。日本語の知識本がまったくと言っていいほど
現地で手に入らない中国で、チベット関連本を買い込んでい
た自分の先見の明に満足しつつ、しかし、少なくとも買って
から2年間、読まずにほったらかしにしていたことに
自己嫌悪を覚えた。それでも、中国政府が「許す」情報源
しか手に入らない状況下における情報としてはラッキーすぎる
ほどラッキーだった(中国人の友人たちも表紙を見ながら、
「日本語が読めたらねぇ…」とため息をついた)。
ついでにアマゾンを調べてみて分かったのだが、日本に
おけるチベットものは旅行ガイドや旅行記、あるいはチベット
仏教の教えといった内容以外は、ほぼ西洋諸国で
出版されたものの翻訳本ばかりだ。ニュースではチベット
研究者の発言も見られるが、チベットに詳しいプロのジャーナ
リストは日本にいないのか。事件発生後の報道を見ても、
ニュースソースはほぼ基本的に外電を翻訳したもの
(主にインドのチベット亡命政府発表)と中国政府の公式
発表で、その間で右往左往しているところに、日本の
アジア観の限界を見る思いだ。その経済力で「アジアの
リーダー」を主張してきた日本には、そのアジア全体を見渡す
目と知識はまだ十分に育っていないということになる。
そんな中にあって、すべての人たちが情報不足を感じてい
る。特に苛立つのは、中国政府が熱心に流している「襲わ
れた漢人、そして漢人が経営する商店」の映像によって、
実際にチベット地区が暴動と呼べる状況に陥ったことは
証明されたし、死者、負傷者の存在も明らかにされたが、
一方でそれに対する当局側の対応とチベット人の死者、負
傷者がまったく明らかにされていないことだ。この「欠落」に
ついて、現地の封鎖によって自身の目で見ることが出来ない
海外のマスコミたちは、どんなに中国政府が否定しようとも、
亡命政府側のコメントを聞くしかない。そのために、今回の
チベット事件は現地で実際に起こった事件とは別のところで、
だんだん情報戦のようになってきた。
実際にこれまでにもCNNなどが使った写真のトリミング
(構図)が恣意的だったり、ネパールでの当局取り締まりの
写真に「チベットで」とコメントをつけて発表されたりと、西洋
メディア側のミスも多く指摘されている。一方でアメリカの
911事件の様子を中国国内で唯一24時間生放送して事件
報道の面では中国の視聴者に大きく支持されるようになった
香港フェニックステレビは、中国当局を刺激しない範囲で
慎重に海外の対応も報道していたが、チベットがこれまで
引きずってきた問題の深淵にはあまり触れていない。しかし、
同テレビの花形記者、閭丘露薇さんはそのブログに、中国
外交部(外務省にあたる)が急遽、中国メディアを締め出して
西洋メディア向けに行った2回の記者会見についてこう
書いている。
「後で、これは西洋メディアに対する火消しのつもりだったの
だろうと皆で笑った。
というのも、現場に行けないために西洋メディアの多くが
ダライ・ラマ方面(注:インドにあるチベット亡命政府)が発表する
情報に頼るしかなく、もちろん中国側も情報を提供し、暴力的な
場面もそこで見せられたが、それは中央電視台がその他メディ
アに提供したものだった。ただ、中国も政府系テレビ局を現
地に送ってはいるが、このような状況における彼らの信頼度は
海外メディアにとっては大きく割り引かれたものであり、その
ために効果はそれほどどころか、まったくないことが誰の目
にも明らかだ」(「総理の記者会見とチベット問題」
閭丘露薇ブログ・3月19日)
シンガポールの新聞「聨合早報」も、公安部が24日に記者
会見を開き、そのスポークスウーマンの単慧敏女史が、
チベットで14日と15日に起こった放火事件の犯人をそれぞれ
逮捕したことを明らかにし、「その死者に8ヶ月の赤ん坊が
含まれている」と語って言葉を詰まらせたことに触れている。
「単慧敏氏は、その2件の放火事件が騒ぎに乗じた強盗放火
事件だったのか、それとも事前に計画されたものだったのか
については説明せず、ただ14日に起こったラサでの騒乱は
『深刻な暴力犯罪事件』であり、国際メディアが報道した
ような『平和的デモ』『平和的な抗議』ではなかったことを
強調した。彼女は事件の捜査状況を紹介した後すぐに、
騒乱は北京オリンピックの破壊と中国領土の分裂を目的に
ダライ・ラマが扇動したものだったと譴責した。しかし、それに
対するさらに踏み込んだ証拠の提示や質問の受け付けを
行わずにさっさと記者会見を終えてしまい、現場にいた記者
たちはみな愕然となった」(「チベット騒乱問題、中国は宣伝
戦を持続 技巧不足は逆効果にも」聨合早報・3月25日)
現場で情報を求めて走り回っている記者ですらこう感じている
のだから、同じように情報を求めながらも手段のない読者に
すれば、事実はもっと闇の中である。わたしもどこかで「今回の
事件は1989年の天安門事件に匹敵する」と書かれた記事を
目にしたが、コトの次第はともかく、中国当局の西洋メディアに
対する規制や緊張ぶりは間違いなく「匹敵せずとも準じた」
ものだと感じている。
「実際のところ、西洋の民間と政府の反応にはしっかりとした
ロジックがある。西洋社会は普遍的にチベット問題に理想
主義的な色彩を抱いており、一方でその政府はチベット
問題においても基本的に現実主義的な原則を遵守し、
外交政策における理想主義的な色彩を引き下げようとすら
している。だから、オリンピックボイコット活動についていえば、
絶対大多数の西洋諸国の政府がそれにかかわらなければ、
ボイコット活動は大きな波とはならないだろう。だからこそ、
今回のチベット問題において、北京は迅速に事件を収め、
如実に真相を公表し、特に外国の記者によるチベットでの現
地取材を迅速に解禁しさえすれば、北京オリンピックへの
衝撃を引き下げることができるはずだ。同時に北京はまた
すばやく国際社会に対してPR活動を行い、国際社会が
熟知した言葉できちんとした事実を差し出すべきである」
(「国際PRは迅速、正直、透明に」邱震海ブログ・3月20日)
オリンピック、オリンピック、オリンピック。情報戦が行き着こう
としているのは、結局そこになってきた。今週月曜日に
ギリシャで行われた聖火の採火式で妨害行為を受けたことに
対して、中国外交部のスポークスマンは「決まり悪く感じて
いるのは我われではなく、破壊分子だ。中国はいかなる
組織や個人によるオリンピックの政治化に反対する」と語気
を強めた。しかし、その一方で国内テレビで生放送された採
火式の妨害シーンがカットされたのは、やっぱり「決まり
悪かったから」じゃないのか。
シンガポール紙「聨合早報」の首席論説員杜平氏は、その
コラムの中で同様に「オリンピックを政治化する勢力」を批判
しつつも、「オリンピック開催決定が決まった当初、気分を
高ぶらせたのは自然なことだった。しかし、8年後の今、
同じような過剰な情熱で、高すぎる目標をかかげ、大きす
ぎる希望をそこに抱くならば、内部の政策決定は度を失し、
外交がアンバランスになり、国内外のオリンピック気分に大きな
差を生むことになるだろう」と警告している。
「それは主に、過分な重視と内省が足りない情熱は、北京
オリンピックが中国だけのことであり、オリンピックの成功は
つまり中国共産党政権の成功であり、オリンピックの失敗は
つまり中国共産党政権の失敗なのだと、多くの人に思い
込ませてしまうからだ。中国がそこまでオリンピックにこだわ
るからこそ、もともと北京の成功を目にしたくない人にとっては、
当然立ち上がって破壊行為や騒乱を起こす目標となる。こ
こ数年における台湾独立派、ウイグル独立派、チベット独立
派、さらにさまざまな国際的な勢力が北京オリンピックへの
干渉と破壊を公言してはばからないのは、中国のオリン
ピック問題における『負けたくない』という気分と、手を出そ
うにも出せないところを見透かしてのことなのだ」
(「平常心で平常のオリンピックを」杜平ブログ・3月21日)
オリンピック、オリンピック、オリンピック。確かにそのとおり
だろう。ただわたしは、中国政府が杜平氏が指摘するような
「情熱」で「蛇足」に走っているのではないかと思えるふしを
感じている。
たとえば、チベット問題が大きなニュースになる直前、
中国の新疆ウイグル自治区の中心地ウルムチから
北京に向かっていた南方航空の旅客機でテロ未遂を摘
発したというニュースが日本でも報道されたのを覚えて
おられるだろうか。このニュース、今振り返ってみると
おかしなコトだらけなのである。
事件の一報は、ちょうど全国人民代表大会参加で北京に
滞在中していた、同自治区のヌェル・バイクリ主席が3月9日
に同自治区が開いた公開会議の席上で、「3月7日金曜日、
ウルムチから北京へ向かう予定だった南方航空が甘粛省に
緊急着陸し、テロ事件を未遂に終わらせた」と語ったことに
よってもたらされた。その後、中国共産党中央委員会が運
営する新聞社「人民日報」社傘下の新聞「環球時報」は、
「外国メディアによる」として「7日10時35分にウルムチを
飛び立った南方航空機が12時40分に甘粛省の蘭州空港に
緊急着陸し、可燃物を発見して関係者二人を逮捕した」と
伝えた。
その後、その「可燃物」がガソリンであり、「二人の若い
ウイグル族の女性が、コーラ缶に針で穴を開けて中身を
ガソリンと入れ替えたものを機内に持ち込み、トイレで蓋を
開けてそれに火をつけようとしていたところを、ガソリンの
においに気がついた乗員に取り押さえられた」と、最終的に
まとめられた。さらに細かいものになると、「二人はかつて
アルカイダにテロ訓練を受けた新疆独立派」で、「飛行機を
北京空港の新ターミナルに突っ込ませる計画だった」と
伝えられたが、いつもニュースの最後はバイクリ主席が
語ったように「テロを未然に防いだことは、我われの警備
体制が万全であることを証明する」という強気の言葉で
結ばれていた。
この事件の報道がひっかかったのは、実はわたしは事件が
あったとされる日の翌日8日、偶然にも国内線の飛行機を
利用したからだ。もちろん、事件発表はまだなされていな
かったから、わたしはなにも知らなかった。しかし、手荷物
検査も空港内の雰囲気にも「前日にテロ未遂事件があった」
という緊張感はまったく感じられなかったし、次の日の首都
北京行きの搭乗検査でもいつもと違うと感じるような厳しさは
なかった。
また、この事件はオリンピックに向けて今月初めから運用が
始まったばかりの第3ターミナルを目標にしたテロだったと
いわれるが、南方航空機が北京で離着陸するのは
第1ターミナルで、南方航空機は今のところ新ターミナルに
乗り入れる予定すらない。さらにどうやってコーラ缶に針で
穴を開けてその炭酸飲料を抽出した上でガソリンを入れた
のかも不思議だが、それは特殊な訓練を受けたテロリスト
たちが特殊な工具を使ってやったのかもしれない。ならば、
そこまで専門的で特殊な訓練を受けた用意周到な犯人たちが
なぜ、第3ターミナルに下りない飛行機を目標に選んだのか。
もちろん、操縦士を脅して新ターミナルへと向かわせる予定
だったのかもしれない。いや、その攻撃目標は「バードネスト」
と呼ばれる北京オリンピックメイン会場だったとも、
「ウォーターキューブ」と呼ばれる国家水泳センターだという
報道もある。でも、まだ北京への着陸態勢にも入っていない
時点でなぜコーラ缶の口を開けたのか。結局そのために
「乗員がガソリンのにおいに気がつき、取り押さえられた」の
だから。また、それほど強烈なにおいを放つガソリンは、
ちょっとした摩擦や火で爆発するほど引火点が低い液体である。
そんなガソリンを早々と振りかざして、どうやって「テロリスト」は
北京にたどり着くつもりだったのだろうか。
さらに未遂に防いだけれど、衆人環視の飛行中の捕り物
騒ぎだったはずなのに、不思議なことに誰一人として
乗客らしき人物が、メディアにもインターネット上のブロ
グにも見聞きしたことを発表していない。いや、わずかに一人
だけ、上述した「環球時報」は、「Luckie」という人物がその
ブログに、「女性客は香水を使ってガソリンの匂いを消して、
機内にそれを持ち込んだ」、取り押さえられたときには「す
でにトイレットペーパーにガソリンを浸して引火させようとし
ていた」などと、取り押さえに加わったのか、または捜査に
かかわったのか分からないくらいの詳細な記事
を残していると伝えている。しかし、ある海外メディア関係者は
実際にその「Luckie」のブログを探したが、どうやっても見つ
からなかったという。
細かな点はわたしのブログに書いたのでここでは繰り返さ
ないが、すでに事件から2週間以上経った現在でも、ガソリン
を入れたコーラ缶の持込みを見逃したウイグル空港、あるい
は同空港管理関係者がその責任を問われたという話も
一切流れてこない。しかし、一方では今回の人民代表大会で
注目されていた政府機関改革の話題に絡んで、民用航空を
管轄する中国民航総局の代理局長が、「民用航空の政経
分離に伴って地方空港の管理を各地の地方政府に任せ
ようとしているが、収支のバランス取りが難しいために、一部
では有料制の簡易搭乗サービスを導入している」と、その
機構管理が不十分で安全面で不安を抱えていることを明らか
にしている。
このようにこの事件についてメディアで繰り返し流された
情報を取りまとめてみると、「オリンピック破壊を目的に、入念
に計画されたテロ計画」なのに、すべてがあまあまなのだ。
そして、全体のストーリーをまとめてみると、一般的中国人が
アメリカの911事件に持っている漠然とした印象をそのまま
「おさらい」しただけの構造なのである。
いったい、すでに世界的に注目されて警戒されている事件を、
そのまま真似する「入念な」テロリストがどこにいるんだろうか。
いや、本当に911事件を引き合いにするなら、容疑者を
取り押さえた時点で、ほかの飛行中の、あるいはこれ
から飛ぼうとしている飛行機を警戒しても不思議ではない。
しかし、空港での搭乗検査から見て少なくともそれはなかった
ようである。
そして、さらに不思議なことに、13日前後の「各空港で
安全検査強化」の報道以降、この事件についてぱたりと
後続報道がなくなった。新しい情報もなければ、上述
したように関係者に対する処分も伝えられていない。
「テロリストグループ」がその後どうなったのかも分からない。
実は香港の『亜洲時報』でもこの事件を取り上げて、「これ
までタリバンやアルカイダは中国と接点はなかった。なのに、
ここ数年中国が反テロを支持するようになって、タリバンや
アルカイダはその考えを変えて、積極的にウイグルの独立
運動を支持するようになったのだろうか」と、
公表された全体像に疑問を呈し
ている。
「注目に値するのは、ウイグルの独立運動は多くの場合、
常に宗教に関係付けられる点である。たとえば11年前に
起こった北京の公共バス爆破事件でも、ウイグル独立組織は
『北京による新疆ムスリムの独立運動に対する報復』だと
語っている。ならば、北京当局は今回の事件を処理するに
当たって、注意深くならなければならないはずだ。そうでな
ければ、ムスリム世界に罪をなすりつけたりすれば、中国は
重い代価を払わされるだろう」(「北京バス爆破事件から
11年 新疆で再びテロ襲撃か」亜洲時報・3月11日)
さらに11年前と違うのは、今の北京には「繁栄の証」である
自家用車が激増し、あちらこちらにガソリンスタンドが立って
いる。もし、本当にガソリンで北京の町を吹き飛ばしたければ、
わざわざ「アルカイダ」に訓練を受けて「飛行機」に乗り込み、
目的地でもない建物に「突っ込む」ような「テロ」を決行する
よりも、街中のガソリンスタンドにマッチ一本放てばすむことだ。
なぜ、「テロリスト」はそんな周りくどい方法をとったのだろうか。
もちろん、以上は推理小説好きの、元ガソリンスタンド経営者
の娘がヒマにあかせて考えた想像上のお話である。でも、
事実は小説より奇なりというではないか。もしかしたら、もっと
ドラマチックな「オリンピック破壊物語」が裏にあるのかもしれな
い。その公表を心から願いながら、チベット本探しの折に偶然
見つけた、村上編集長の『五分後の世界』をこれから読む
つもりだ。
ふるまいよしこ
フリーランスライター。北九州大学外国語学部中国学科卒。1
987年から香港在住。近年は香港と北京を往復しつつ、文化、
芸術、庶民生活などの角度から浮かび上がる中国社会の
側面をリポートしている。著書に『香港玉手箱』(石風社)。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883440397/jmm05-22
個人サイト:<http://wanzee.seesaa.net
>