軍事情報 第335号 (重要です。)
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■F-16が墜落
十四日金曜日、アリゾナ州ルーク空軍基地近くで、米空軍六十二戦闘飛行隊所属のF-16Cが空対空戦闘訓練中に墜落。十五日、搭乗員の死亡が確認されました。墜落地点はフェニックス北西のアラモ湖南の峡谷地帯とのことです。報道によれば武器は装着していなかったとのことです。
⇒現時点で墜落原因は不明です。そういえば昨年、州空軍所属のF-15が訓練中に墜落し、全世界でF-15の運用がストップしたことがありました。同じことになるのでしょうかね。盟邦の軍人のご冥福をお祈りいたします。
F-16C“ファイティング・ファルコン”は米空軍の多用途戦闘機です。ロッキード・マーティン社製で、79年に配備がはじまりました。
わが空自では青森県三沢基地に2個飛行中隊が配備されており、各国空軍でも多数採用されている戦闘機です。2003年までに4,100機以上、2004年~2013年かけて463機生産される見込です。
2005年4月にインドに輸出したことが公表され、同年5月にはパキスタンへの輸出も明らかになっていますトルコ空軍、イスラエル空軍も多数保有しています。イラン攻撃と関係があるような気がしてなりません。杞憂ならいいんですけどね。
■チベットの騒ぎ
シナの中共政権は「無辜の民を殺すチベット分離主義者による反乱・暴動」と今回の騒ぎを評し、世界に伝えています。以下の高志さんのコラムでも紹介されている通り、わが国とシナ国内のテレビでは、ラサでの「放火」などのプロパガンダ映像を繰り返し報じています。騒乱状態にあることは事実のようです。問題は「なぜそういう状況が発生したのか?」ということです。言論をはじめとする「自由」がない中共では、政府に反対する人間、国の意に染まない民族を抹殺することが可能です。少なくとも、事実を把握する際、中共から流れてくる報道だけは信用できません。天安門事件の際の大嘘という実績もありますし、そもそも彼らは党の宣伝機関に過ぎませんからね。
全人代で中共の重要人事が発表されたと同時に公になっている点、胡主席はチベット弾圧の功績が党中央に注目されて出世したことなどから見て、あまりにタイミングがよすぎますよね。騒ぎそのものに人為が働いているのではないの?と思ったりします。米の政府系通信社VOAは16日付で、「中共政権によるチベット弾圧は既に20年以上行なわれつづけている」と、北京発のレポートを報告しています。チベット自治区で情報を得るのは極めて難しく、隣接し、チベット系住民が多く居る四川省や青海省で情報を得るといった話も書かれています。
⇒ダライ・ラマの動静が、すべてのキーを握っていると思います。
10日、亡命先のインド・ダラムサラでダライ・ラマは「北京五輪を機に各国はチベットにおける中共政権の人権弾圧を提起すべき」
と述べています。
今回の騒ぎはこれが原因ではないでしょうか。こんなことをされたら困る中共は自ら演出し、暴動を自作自演して火をつけたのではないのでしょうか?「乱暴で粗野なチベット人」という印象を世界に与えるために。ダライ・ラマは中共当局とこれまで何度もチベット自治・独立について話を行っていますが、中共側にチベットを手離す意図は100%ありません。
■米空軍、GPS衛星を打ち上げ
米空軍は十五日、ケープカナベラル宇宙センターから第三世代GPS衛星をデルタ2ロケットで打ち上げました。打ち上げは成功し、衛星は軌道に乗りました。十五年は機能するそうです。
⇒デルタ2ロケットは、米空軍の衛星打ち上げロケットで、ボーイング社製です。九十七年に打ち上げ後爆発し、搭載していたGPS衛星が木っ端微塵になったことがあります。米空軍では、衛星打ち上げコストの上昇に伴い、今年から使い捨てロケットを打ち上げに使用することになっています。もしかしたらこれがデルタ2最後の打ち上げかもしれませんね。
■スリランカ、LTTE基地を攻撃
スリランカ国軍は十五日、空軍が十四日金曜日、同国北部にある反政府武装勢力LTTE(タミルイーラム解放のトラ)の訓練基地を空爆し、三名の損害を与えたと発表しました。空軍が爆撃を実施したのは同国北部のジャフナ、マンナール、ウェリオヤ県です。
■イスラエル防諜機関がガザ攻撃に参加
複数の情報によれば、十五日土曜日、イスラエルはガザ地区に対する二度目の空襲を実施しました。参加したのは軍の武装へリコプターと防諜機関シンベットからなる部隊です。ガザ北部からイスラエル攻撃を開始する途上にあった「イスラム聖戦ミサイルチーム」をミサイル攻撃し、三名の損害を与えています。防諜機関シンベットの部隊が、対ミサイル攻撃作戦への参加が明らかになったのは、今回が初めてです。
複数のイスラエル情報を見る限り、イスラエル側は今回のミサイル攻撃について「すべてはイスラム聖戦の仕業であり、ハマスは関係していない」という見方のようです。ハマスはエジプトが仲介する非公式の休戦にあわせ、ガザ地区における武力行使をためらっている、とされます。
⇒ここでご紹介したのは二度目の空襲ですが、一度目の空襲では起爆装置を運んでいた二名のイスラム聖戦エキスパートをイスラエル国境で阻止しています。十一日火曜日、ガザ北方約1キロにあるネティヴ・ハアサラに対し、ガザ北部から多連装ロケット発射機「カチューシャ」から発射されたロケットミサイルが打ち込まれました。にわとり三十羽の被害が出たそうです。笑
各種情報では、IDF(イスラエル軍)空軍は今回の件を受けて同地区に投入されたものでないそうです。ガザ・イスラエル国境地帯警備にあたるイスラエル部隊を、ネティヴ・ハアサラ周辺で重機関銃や対戦車砲で待ち伏せ攻撃していた「イスラム聖戦待ち伏せ部隊」を殲滅するために、以前から投入されていたものだそうです。
カチューシャロケットという言葉、よく耳にしますが、カチューシャというのは旧ソ連・ロシア陸軍製の多連装ロケット発射機のことです。16連装で飛翔速度はマッハ3、射程は6.4キロです。二〇〇〇年六月、米陸軍はTHELレーザ兵器でカチューシャロケットの撃墜実験に成功 しています。ですので、正確には「カチューシャから発射されたロケットミサイル」といったほうが正確ですね。あわせて、これは紛れもない治安戦ですね。レバノン侵攻とは意義が全く異なります。「陸軍は出ていない」「悪いのはイスラム聖戦でハマスではない」とのアナウンス効果は大きいかもしれません。イスラエルを見ていると、軍事行動はまぎれもない国際政治の1ツールであることがよくわかります。さて、エジプトはどう出てくるのでしょうか。
■オバマ氏の智恵袋の退役空軍大将がイラン情勢を述べる
米の退役空軍大将マックピークさんはブッシュ(父)政権時の空軍参謀総長、統合参謀本部メンバーだった人です。現在は、民主党のオバマさんの選挙陣営に参加されています。オバマ氏とイランに関して書かれたワシントンタイムス紙の記事の中で、以下のようなコメントを出しておられます。どうも、オバマさんの智恵袋のお一人みたいですね。
・イランはブッシュ大統領の強硬姿勢に対抗して大口を叩いているだけだ
・イランはアルカーイダにとって大なる敵である。タリバーンもイランの仇敵
である
・イランがわが国と協力することは、わがアフガン作戦の初度段階確立に当た
って必要不可欠だ。イランを『悪の枢軸』に含み、「米はイランを好まない」
とイランに確信させ、侮辱を与えたのはわれわれ米国だ。
・オバマの立場は『彼らと話しませんか?若干の共通基盤がないかどうか、
観察しませんか?』ということだ
・イランもわが国も、アルカーイダという共通の敵を持つ。
・オバマは、シリア、パキスタンといったイラン同様アルカーイダの存在に迷
惑している国々の首脳とも会談する気持を持っており、「共通基盤がないかど
うか」探るつもりだ。
⇒米国防総省からは「とはいえ、イランはヒズボラを支援し、反米パレードを大々的に開き、テロの黒幕になっていることは事実。それにオバマさんは国際関係に関する十分な経験を持たないし・・・。そんなに簡単な話ではないよね」という声も聞こえています。
共和党はマケインさん、民主党はオバマさんですが、今年中に結論は明らかになりますね。
それにしても、わが国は米政権の動向に一喜一憂する幼稚な態度を捨て去り、最低限度でいいので国防軍事体制の自立を図らねばならないのではないですか?くだらぬ闇資金の行方に右往左往し、唯一無比の大臣の寝首を掻くことに力を注ぐ時期ではありません。
■ヘンリー王子、アフガンで空爆を命令?
USAToDAYに面白い記事が載っていました。
先月OED(不朽の自由作戦)への従軍から帰国された、英のウェールズ大公息ヘンリー王子殿下のアフガンでの任務のご様子です。
昨年12月、レーザー誘導爆弾投下を命令されていたようです。
⇒写真で見る殿下の横顔は、母君の故ダイアナさんそっくりですね。
■王室タイ海軍、政府に装備取得を要請
十五日時点で王室タイ海軍は、スンタラウェート首相兼国防相の海軍基地訪問時に、潜水艦と航空機の新規調達を働きかける意向のようです。
⇒その後情報が全然ないので話がどうなったかわかりません。何かご存知の方がおられたらご連絡ください。ちなみに王室タイ海軍の平時編成は以下のとおりとなっています。
第一コマンド:作戦地域 東部タイ湾
第二コマンド:作戦地域 西部タイ湾
第三コマンド:作戦地域 アンダマン海
第一航空団:司令部 ウタパオ
第二航空団:司令部 ソンクラー
■ブルネイとマレーシア、相互協力関係強化継続で一致
王室マレーシア海軍司令官のTan Sri Ramlan bin Mohamed Ali大将は13日、王室ブルネイ海軍司令部(在 ムアラ海軍基地)を訪問し、同海軍司令官のDato Paduka Haji Joharie bin Haji Matussin上級大佐[Col. (L)]と会談しました。両国は相互協力関係を強化させてゆくことで一致しています。海軍を通じての2国間軍事協力関係はより強化されるようです。海軍司令部でアリ大将は儀杖兵の出迎えを受け、その後、国防省で国防副大臣、王室陸軍司令官との会談も行っています。アリ大将にとってこれが現役最後の国外訪問だそうです。
■中央コマンド司令官ファロン海軍大将の辞任
「ファロン米中央軍司令官辞任月12日16時58分配信 産経新聞
ゲーツ米国防長官は11日、国防総省内で記者会見し、イラク、アフガニスタンを管轄する米中央軍(司令部・フロリダ州タンパ)のウィリアム・ファロン司令官(海軍大将)が辞任したことを明らかにした。
イランへの対処をめぐるブッシュ政権との見解の相違が理由とされる。ゲーツ長官は「遺憾ながらファロン大将の辞表を受理した」と述べる一方、在任1年での司令官辞任については「正しい判断だった」として、辞任がやむを得ない状況だったことを示唆した。(ワシントン 山本秀也)」http://
ファロン大将は事実上のクビですね。複数の情報によれば、ファロン大将はイラン核施設への空爆に強硬に反対しており、それが今回の辞任につながったそうです。イランの核武器保有の野望に対しては核施設空爆で対抗せよ、とする意向に反対する中央コマンド司令官出身者はこれで3人目になります。おひとりは前中央コマンド司令官で、ファロン大将とともにイラン攻撃に反対していたアビザイド陸軍大将、そしてもうおひとりは元中央コマンド司令官のジニ退役海兵隊大将です。それぞれの方の在任期間は以下のとおりです。
ジニ大将 1997/8/13~2000/7/6
アビザイド大将 2003/7/7~2007/3/18
ファロン大将 2007/3/18~2008/3/11(辞任時期の詳細は不明)
ファロン大将は海軍出身としてはじめて中央コマンド司令官になった方ですが、今回の人事は明らかに更迭です。イラン攻撃の場合、空母任務部隊とディエゴガルシアのB-2爆撃機を出動させる必要があります。
その際、海軍出身のファロン大将であればうまくやれる・・・との目論みが指名の段階からあったのかもしれませんね。ファロン将軍にすれば「勝手なことぬかしやがって、ふざけんじゃねえよ」という感じではなかったでしょうか。ゲーツ国防長官が就任後、最も重要な戦域を管轄する中央コマンド司令官が連続で同じような形で交代しています。ゲーツさんはブッシュ政権に忠実とされる人ですが、これでは制服の信頼を得
ることは難しいように思います。ジニ退役大将は、中東通として知られる人です。死に体のクリントン政権末期に中東特使として活躍された方です。イランと米の関係についていろいろなところでご高見を出されています。ニクソン政権時にキッシンジャー国務長官が中共との国交を樹立したときのように「高級政治レベル」で行動し解決すべき課題、との主張です。アビザイド大将はアラビア語がペラペラの方でこちらも中東通です。講演の中で大将は以下のようなことをおっしゃっています。・イラン核武器と共存するための『スマートな力の外交』が求められる。
これにあたってはソ連と中共の核共存関係を学ぶ必要がある
・イランは、イラクのシーア派武装勢力、レバノンのヒズボラ、ガザのハマスへの武器援助を止める必要がある
・イラン核武装を否定することは、地政学的現実認識を否定することでもある。中東地域には世界に八つある核兵力のうち五つが集中している。北部にはロシア、西部にはイスラエル、東部にはパキスタンとインド、そして南部には米空母に搭載された核兵力がある。(核に囲まれたイランが核武装を目論むのは実に自然な話ということですね)
・1935年に独立したイランは、紀元前6世紀から現在にいたるペルシャ文明の継承者としての誇りを持っている
そういえば、イスラエルのペレス大統領が10日から4日間の日程でフランスを訪問しています。イスラエルは「単独で」イラン核武装を邪魔することはない、との確約をサルコジ大統領に行なった模様です。
サルコジ大統領は「わが国はイスラエルの味方だ」と述べています。
ちなみにイスラエルの核武装に当たっては、フランスが多大な協力をしています。この会談について一部では、ブッシュ大統領がオルメルト・イスラエル首相に「お前一人にやらせることはない」という確約を与えた証左ではないか?とファロン大将が理解したのではないか?との指摘があります。43年にわたる軍務を終えることになるファロン大将は辞任の理由について、「政府方針との対立が原因ではない。中央コマンド責任地域でわが国益を図ることを任務とする本官にとり、イラン情勢に対する単純な認識は任務完遂を困難にする」とのみ述べておられます。
⇒これまで米軍高級将校は、さまざまなレベルでイラン攻撃に反対しているようです。伝えられることはほとんどありませんがね。
おき軍事が聞いた限りでは、わが自衛隊の退役諸官の認識も、イラン攻撃に反対、というところに落ち着くようです。
米の次期政権が民主党になれば、イランへの軍事攻撃オプションは100%なくなる。しかし共和党が政権継続することになれば、イラン攻撃が現実になることだろう。との見方もあるようです。
わが国の立場からすれば、イラン攻撃には、最後の最後まで必死のパッチで政府に反対してもらわなければなりません。わが国には、ホルムズ海峡をとおり、わが石油を運ぶタンカーを軍事攻撃から護ることができないからです。国の命令による武力発動を禁じている憲法をそれまでに変えられますか?戦場で「攻撃しないで下さい」と相手に土下座して許されると思ってますか?米かシナの属国になって護ってもらいますか?
それともまた特措法を作って、手足がんじがらめのままわが海自部隊を現地に送り出しますか?命令を受ければわが自衛隊は全力を挙げて任務に当たります。しかし、そもそも無理なことを「自衛隊だからできるだろう」と頼むのはあまりに非常識ではないでしょうか?国民の意識が低すぎます。
イラン攻撃時は米にシーレーンを護ってもらう。その引き換えにスーダンPKOに行く。わが自衛隊を使ったこんな卑劣な取引が行なわれると耳にします。こんな国でいいのでしょうか?