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▼キャノン・コマツ他の「派遣社員の正社員化」は結構なことではあるのだが。人材派遣業法を廃止したらどうか。(じじ放談)
3月16日付け日本経済新聞は1面トップで「キャノン・工場の派遣社員ゼロに:年内メド6000人直接雇用。待遇改善で人材確保」なる見出しをつけた以下1,2,3の記事を掲載した。(抜粋)
1.キャノンは製造現場での派遣契約を年内に全面的に打ち切り、正規雇用に切り替える。子会社を含め国内で働く12000人の派遣社員のうち約5割を期間契約の社員として年内に採用。正社員への登用も進める。
2.コマツも2009年3月末までに工場の派遣社員全員を期間社員に切り替える。待遇改善で優秀な人材を確保し、生産技術や品質など国際競争力の向上に役立てる。サービス・流通で進む非正規社員の正規雇用への動きが、製造業に本格的に広がり始めた。
3.最近の主な企業の雇用安定化や従業員の待遇改善の動き
キャノン・・・08年12月までに派遣社員6000人を期間社員に
コマツ・・・・09年3月末までに派遣社員750人を期間社員に
ダイキン工業・・・請負社員約1000人のうち希望者を期間社員に
吉野家・・・6月にもパートを転勤がない地域限定の正社員に
ユニクロ・・・パートなど約5000人を2年かけて正社員化
みずほ銀行・・・1年以上勤務した人に正社員転換に資格
三菱東京UFJ銀行・・・08年中に派遣社員1000人を契約社員に
日本を代表する企業が、「派遣社員→正社員化」を打ち出したのは、団塊の世代の大量退職並びに若年人口の急激な減少に伴い「労働力確保が困難となりつつある」ことが背景にあることはいうまでもない。超優良企業にとっても「背に腹は代えられない」という切羽詰った事情があるのだろう。業績がよく体力のある超優良企業が「雇用条件を改善して、労働者の囲い込み競争」を行うから、二番手・三番手企業も雇用条件を改善して正社員化に努めなければ人材確保が困難となる。労働力が余っていた時代。企業は政府の尻を叩いて、「労働者派遣業法を改正させ、無制限ともいえる派遣業種の拡大策」をとってきた。結果、我が国は「使い捨て低賃金労働者」つまりワーキングプアーという年収200万円以下を1000万人以上も生み出したのである。彼らは不安定な仕事と低賃金であるから、結婚もできず、子供も生めない。少子高齢化日本を益々加速させてたのであった。
このように我が国の雇用政策は「企業本位」なものである。だが、事情はともかく、企業が「従業員の正社員化を促進する」のは歓迎すべきだ。というのも、低賃金で雇用と収入が安定しないワーキングプアー層の生活が安定すれば、我が国の消費が増え内需が拡大する。輸出中心の産業構造を転換させる契機となる。若者を中心とするワーキングプアー層が正社員となって技術を習得するならば、企業だけでなく国家全体としてのソフトパワーも増大する。彼らが、未来に希望を持てるようになれば「結婚して子供でも生むか」という気分になる。我が国の人口減少に歯止めがかかり治安も安定する。1石3鳥どころか、1石5鳥にも1石6鳥にもなる。企業側が「派遣」という名の低賃金労働者を雇用することで、生産経費をわずかに節約した結果、憂うべき今日の日本を創り出した。ワーキングプアーが街にあふれ、国内消費は冷え込んだ。企業は国内で儲けることができず、外国での「商い」に励まざるをえなくなった。巡り巡って、企業は自らの首を絞めた。
(人材派遣業はなぜ罪悪なのか?)
仕事にあぶれた無職者を集め、仕事を斡旋し、賃金をピンハネする仕事は、かってヤクザの仕事であった。福岡県の筑豊で石炭を採掘して八幡製鉄所に船で輸送する人夫をかき集めたのが、北九州のヤクザであった。神戸の港湾荷役作業の人夫あっせんを独占し、賃金のピンハネをやって組織力を拡大したのが広域暴力団「山口組」であることは周知のとおりだ。賃金をピンハネする「人材派遣」のような商売は「まともな商売」ではない。かっては、疲弊した農村で食えない無数の失業者の群れがあったから成り立った商売だった。まともな人間は、「人血を吸う」ようなアクドイ商売には手を出さなかった。
人材派遣業社では不正行為が相次いでいるが、もともと「人血を吸う」商いという本質を持っているから、倫理観を期待する方がおかしい。「人材派遣」そのものが人徳に反する行為なのだから、そこから派生する不祥事だけを問題にしても仕方がないのだ。ヤクザの「債権取立て」や「地上げ」のやり方が悪質だからといって、「もっと紳士的にやるべきではないか」というようなものだ。人材派遣が悪質であるのは、仲介者が賃金をピンハネするからだけではない。人間を時間単位で売買することが問題なのだ。通常の雇用形態は、企業と従業員が雇用契約を結ぶ。労働と賃金は、第三者の介在なしで直接決める。契約社員は「労働と賃金」という関係から疎外されている。雇用する企業は派遣会社に賃金を支払い、派遣会社が「賃金をピンハネ」して、その一部を派遣社員に手渡す。「人材派遣」という名のピンハネ業は、19世紀、資本主義の悪徳を描いたカール・マルクスさえも想定できなかった事態だ。「賃労働と資本」というのは、資本家による労働の搾取を暴いたものであるが、さすがのマルクスも「派遣という名の奴隷労働」には思い至らなかった。人間を時間限定で販売して「金を稼ぐ」という人材派遣業は、おそらく資本主義以前のものではなかろうか。我が国が近代資本主義を導入する以前の江戸時代、土木作業員を臨時的にかき集め、賃金をピンハネする稼業があったという。世界の先進国と標榜する我が日本に「人材派遣業」という名のピンハネ稼業が隆盛を極めているのが異常なのだ。これも、「自由競争本位社会の実現に貢献した」小泉純一郎と竹中平蔵の置き土産かもしれぬ。
(さいごに)
会社は誰のものか?という議論がある。アングロ・サクソンは「会社は株主のものに決まっている。」と考える。株を買占め、会社を乗っ取り、分割して転売することを当為と考える。株主本位主義者ホリエモンの傍若無人な振る舞いから判断すると、彼はこれに感染したのであろう。会社の所有権が株主にあることは間違いない。社長や従業員にないことは明白である。まして顧客や地域社会にないことを疑うものはいない。だが、会社は、土地・建物・設備だけで成り立つものではない。従業員の研究開発力、勤務意欲や従業員の資質として蓄積された技術力、顧客との信頼関係、下請けや取引企業との円滑な連携など、数字化されにくい財産があって成り立っている。つまり、人的資源を喪失すれば、会社は会社でなくなる。例えば、世界の超優良企業であるコマツを、欧米などのファンドが敵対的買収で100%の株式を取得したとする。これに反発した研究者・従業員が一斉に退社し、資金を借りて別会社を立ち上げたとする。コマツが保有する土地・建物・生産設備は株主のものになるだろうが、研究者や従業員が抜けたコマツは「もぬけの殻」とはいえないだろうか。おそらく株価は10分の1以下に暴落するはずだ。
ということで、株主が企業を自由自在に操ることはできないのだ。株主にとっても、株価が暴落し財産が減ることは好ましいことではない。社長や従業員が頑張って企業を発展させ、株価を上げて欲しいと思っている。会社が発展すれば、自治体の法人税が増えるだけではない。従業員の給料が増えれば、地域の商店からモノを買うから地域経済も潤う。そして、企業が良い製品を提供してくれれば、顧客も満足できる。
企業は株主のものであって、株主だけのものではない。従業員の、地域の、顧客のものでもある。発展する日本企業は「企業が社会的有機体の一部である」ことを理解していると思う。つまり、株主の即時的要求に応じるだけでは会社は。従業員、地域そして顧客を大事にする企業だけが永続的に発展できるのではなかろうか発展しない。キャノンやコマツなどが実施する「派遣社員の正社員化」は、当面の「人材確保」とか「四半期決算」という短期的な成果を狙ったものではなく、中・長期的な視野に立った企業戦略であると考えたい。
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以下は、すでに紹介済み。↓
▼チベット僧侶のデモに対する中国軍・武装警察の虐殺行為を糾弾する。なぜ、国連や先進各国の対応は甘いのか?(じじ放談)
ミャンマー(ビルマ)の僧侶が軍事政権によって弾圧された時、欧米は一斉にこれを非難して「経済制裁」を課した。国連も軍事政権を非難した。
2月14日に発生したチベット僧侶の大規模デモに対する中国軍・武装警察の弾圧で多数の死傷者が出た。弾圧と被害の規模は、おそらくミャンマー軍による弾圧を上回るのではないか。デモと被害の状況は、軍事独裁国家中国が報道管制を敷いているから真実が明らかになっていない。15日現在、各メディアが報じた情報を整理すると以下のとおりである。
1.中国国営新華社(朝日新聞ウエブサイトより抜粋)
「死者は10人。日本人旅行者3人を含む580人以上の外国人を武装警察が救出した。ダライラマ14世が煽動した許しがたい暴動」
「外国人旅行者580人以上を救出した」というが、おそらく外国人旅行者から真実が漏洩しないよう「隔離した」ということであろう。これを中国側は「外国人の身の安全を図る措置(救出)をとった」と弁明する。さすが「黒を白と言い訳する」共産党指導部ではある。事実を隠蔽する体質が「骨の髄まで達している」といわねばならぬ。
2.米政府系ニュース配信会社「ラジオフリー・アジア(RFA)(朝日新聞ウエブサイトより抜粋)
「死傷者数は不明だが、80人以上殺された可能性があるとの住民の意見がある。RFAの取材に応じた住民は、ラサはすでに戒厳令下にあるが、地方で抗議行動が続いていると語っている」中国軍の戒厳令下にあるというから、死傷者の実数は「隠蔽」され、「ごく少数だった」との大本営発表をするのではないか。天安門事件の死者は数千人といわれるが、中国共産党が発表した死者数は10分の1以下であった。今回も同じ手口を使うと見てよい。中国共産党は自己の犯罪行為を過少申告する性癖があるが、そのためにも、外国人旅行者を隔離して「目隠し状態」に留めおく必要があったのだろう。
3.米国務省マコーマック報道官の14日の記者会見(15日付け日経)
「中国政府はチベットの文化と多民族社会を尊重すべきだ」と述べ、中国政府に自制を求めた。
4.ダライラマ14世は14日(15日付け朝日新聞ウエブサイト)
「中国指導者は武力行使をやめるように」との声明を出した。
5.国連ルイーズ・アルプール人権高等弁務官は14日(同上)
「中国チベット自治区で多数の死者が出たとみられる事態に懸念を表明」
6.英国ブラウン首相は14日のEU首脳会議で(15日付け日経)
「EU加盟国は事態を非常に懸念している」
7.クシュネル仏外相(15日付け日経)
「EU全加盟国から非難が出された。中国には自制と人権の尊重を求める。」
(なぜ、欧米諸国はミャンマーには厳しく、中国には甘いのか?)
ミャンマーに対し欧米各国は、速やかに「経済制裁」を発動し、国連安保理の議題とした。国連安保理の制裁決議は、ロシアと中国が消極的であったため実効性の欠けるものとなったが、それでも「ミャンマー軍事政権に対する経済制裁」などの圧力をかけ続けているのだ。だが、チベットにおける中国軍及び武装警察の虐殺行為に対しては、いかにも歯切れの悪い対応ではある。なぜか?
第1.ミャンマーは「経済制裁するのに手頃の小国家」。欧米諸国にとって経済制裁を行っても「失うものが少ない」という疎遠な関係。つまり、「返り血を浴びないで制裁しやすい国家」がミャンマーである。
第2.欧米にとって中国は「濃密な経済依存関係」にあるから、仮に中国政府を非難して関係が悪化すれば、今後の「商い」に支障が出る。中国はボーイングやエアバスなどの旅客機を大量に購入してくれる大事な顧客で、かつ中国に進出している企業も多いから、今後の「商い」に支障が出ると恐れた。特に、米国にとって中国は「サブプライムローンの焦げ付きで始まった米金融機関の危機に関して金融支援を行ってくれた恩人」であるから、米国は中国に遠慮がある。喧嘩したくないと思っている。この思惑が、米国務省の「だらしない」態度となって現れた。
第3.欧米諸国が好んで使用する「人権外交」というのも、時々の都合で使い分ける便宜的なものに過ぎない。従軍慰安婦などでゴチャゴチャいうからといって、いちいち気にする必要はないのだ。相手にするから「効果がある」と錯覚して騒ぎ立てる訳だ。
(我が国政府と各政党は、チベット問題で中国政府を非難できるか?)
福田内閣は、中国に対して「腰砕けで尻尾をまいている」とみなしてよいから、非難声明を出すことはあるまい。せいぜい「遺憾に思う」程度の反応しか示せないと断言できる。自民党執行部の多数派は「媚中派」が揃っているから期待できない。もちろん、公明・民主・社民・共産各党も、「右に同じ」であるから、沈黙を守るのではあるまいか。もしかすると、中国政府の弁明を鸚鵡返しにして「僧侶のデモを組織したダライラマ14世に暴動の責任がある」と言い出す破廉恥な政党又は政治家が出てくるかもしれぬ。注意深く観察したい。
(覇権国家中国歴代王朝による「近隣諸国の併合と民族独立闘争」の歴史)
その1.馬上天下をとった侵略の歴史
中国の歴史は「侵略と反乱が何十何百回と繰り返された」の一言で言い表すことができる。別名「馬上天下をとる」ともいうし「易姓革命」ともいう。
7000年前から長江(揚子江)流域で繁栄した稲作・漁労を基盤とする「太陽と鳥の文明」を誇った倭族が、北方騎馬民族に侵略され、避難民となって中国南部やアジア諸国に散ったことは、鳥越憲三郎他の研究で明らかになった。また、黄河中流域の中原(洛陽・長安ほか)にいた客家(客属)が、西方又は北方騎馬民族の圧力を受け、福建・四川・広州に逃れ、その一部が東南アジアほかに移住して華僑となったことは周知の事実だ。客家(客属)は、漢族の伝統を最も継承しているといわれるから、「漢族中の漢族」というべきである。
しからば、「太陽と鳥の文明」を有した倭族と「漢族中の漢族」である客家を中国大陸中央部から追い出した勢力は、一体何者なのかが問われなければならぬ。ペルシャ(イラン)や中央アジアに割拠し、高度の文明と戦闘力を持ったコーカソイド(白人種)が、途切れることなく西又は北から中国大陸に侵入してきたという鳥越憲三郎ほかの説には説得力がある。漢族が誇りとする「大唐」も、コーカソイドと漢族の連立政権と主張する学者もいる。つまり、先進文明と圧倒的な戦闘力を持った騎馬民族が、絶え間なく中国大陸に侵入し、先住民である倭族や漢族を南方に追放したということができる。コーカソイドは、色白で背が高い。鼻腔もまっすぐに伸びている。いわゆる男前が多い。中国共産党の創始者毛沢東、現在の指導者胡錦濤は、毛・胡という姓からして「西域」の雰囲気がする。背が高く色白でもある。そういえば、台湾国民党の馬総裁も、色白で背が高く、鼻筋すっきりの美形である。対立候補の民進党謝党首は倭族の末裔なのか、背が低く顔も平らで、おせじにも美形とはいえない。典型的なモンゴロイドである。ということで、毛・胡・馬という姓は、西方騎馬民族の末裔という血統証明書なのだ。つまり、倭族や客家を中国大陸中央部から駆逐した支配者集団の末裔なのだ。
その2.騎馬民族が「押し寄せる波のごとく」中国大陸を席巻した
中国には漢族と55の少数民族があるとされる。「漢族」といっても、先住民と次々と押し寄せる騎馬諸民族が混交したものであろうから純粋ではない。顔も形もいろいろである。共通点はモンゴロイド(黄色人種)というところか。少数民族といわれる民族は、かって自立した国家を築いていた。主要なものをあげると以下のとおりである。
回族:人口860万人、 モンゴル族:人口480万人、 満族:人口985万人、朝鮮族:192万人、 プイ族:人口254万人、 トン族:人口250万人、トゥチャ族:人口570万人、ウイグル族:人口720万人、カザフ族:人口111万人、ヤオ族:人口214万人、チワン族:人口1560万人、そしてチベット族:人口460万人である。(以上「中国55の少数民族を訪ねて」市川・市橋共著、白水社の巻末資料から抜粋)
少数民族の居住地は、雲南省、四川省、青海省、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル、黒龍江省、海南島、福建省、貴州省、新疆ウイグル自治区、広西チワン族自治区、チベット自治区である。中国王朝の隆盛期に周辺諸国家を侵略して併合。王朝衰退とともに、これら少数民族国家が自立するという周期である。朝鮮半島やベトナムも、漢や唐等王朝の隆盛期には侵略され併合されたことがある。
現在、民族自立を願い亡命政府を樹立しているのはチベット族とウイグル族である。共産党独裁政権の土台がくずれる過程においては、その他の少数民族が中国王朝政府から自立することは大いにあり得る。歴史を鑑にすると、辺境少数民族が自立することは自明でもある。「馬上天下をとる」というのは畢竟、暴力で相手を支配するのであるから、「力が衰えた場合」、抑圧され、資源を収奪された少数民族が自立するのは当然だ。中国王朝はあたかも押し寄せる波の如く「拡張と縮小」を繰り返してきた。周辺部族国家は、中国歴代王朝が盛んな時は支配され、衰えた時は自立した歴史を持つ。春夏秋冬の季節の移ろいと同様、自然の運行の如きものであった。
だから、チベット人が40数年ぶりに「中国共産党王朝に異議を申し立て」ても不思議ではない。年間9万件の農民暴動、労働者や学生抗議デモの多発、腐敗と汚職にまみれた地方政府、共産党から離脱するのが年間1000万人以上という共産党の末期的症状が誰の目にも見えるほどはっきりしてきた。少数民族各位も「そろそろ時節到来か」と冬眠から目覚め始めたのではあるまいか。
その3.中国共産党の衰退とともに中国王朝の支配地域が縮小する
毛沢東が中国人民に「夢と幻想」を与えていた時代、つまり支配者である中国共産党の足腰がしっかりしていた時代、中国歴代王朝と同じく野望を抱いて領土拡大に狂奔した。その一つが1950年のチベット侵略とその後のチベット併合である。中国共産党王朝が行った侵略戦争の直近のものは、1979年(29年前)、約10万人を侵攻させた対ベトナム侵略戦争である。その理由は「カンボジアのポルポト政権を支援していた中国の意向にベトナムが逆らったから制裁を加える」というものであった。「いうことを聞かないから成敗する」という論理は、漢・唐・清などの中国歴代王朝と同じく「覇権主義」以外の何者でもない。「弱者は強者のいうことを聞け」という理屈だ。
中国軍の侵略に対して、ベトナム軍は劣位な装備であったが、「国土防衛」の気力を奮い起こし、中国の大軍を壊滅させ遁走させた。この敗戦に懲りたのか、以来、中国軍は侵略戦争を行っていない。中国陸軍が侵略して勝てる周辺国家がなくなったことも、中国の侵略戦争を防止しているといってよい。大国ロシア、北朝鮮、インド、ベトナム等、「楽々勝てる相手がいなくなった」から、やむを得ず矛を収めたということだろう。筆者の見るところ、中国共産党王朝は「ベトナムとの戦争」に敗北した時、下り坂になったのではないかと思う。その後、改革開放政策の導入により、経済的には何十倍も豊かになった。外貨準備高は世界第1位になった。中国人民解放(虐殺)軍は、近代的装備を備え、見た目では世界有数の軍事大国になった。
王朝の盛衰を「経済力と軍の装備」という点でみるなら、中国共産党王朝は「上り坂」をさらに上昇して行くように見える。だが、王朝の盛衰は(1)天命すなわち天下万民の信頼があるか、否か、(2)王朝を担う官僚組織が公明正大に機能しているかどうか、(3)布令があまねく天下に行き渡っているかどうか、で図ることができると思うのだ。
胡錦濤王朝には、(1)や(2)はほとんどない最悪の状態だ。次第に(3)も形骸化し骨抜きになっている。外国資本の力を借りて経済を盛り上げ、原子力潜水艦や核ミサイルを配備して空母を建造しても、王朝の衰退を覆い隠すことはできない。オリンピックや万博、有人衛星や月ロケットを打ち上げて「国威発揚」を狙っても、天下万民は踊らない。否、踊るだけの余力が残っていない。という訳で、中国共産党王朝の崩壊の兆しを感じた少数民族が「悲願とする独立」運動を活発化させるのではないか。新疆ウイグル自治区で飛行機のハイジャックがあった。チベットが動き始めた。内モンゴル自治区も自立志向が強い。力で支配した王朝の領土は力が衰えることで縮小する。
庶民にとって「統一王朝時代が幸せ」であるなら、それはそれでよい。だが、多くの場合、統一王朝は「軍事力増強」を行って、近隣諸国を侵略する戦争を行う。さらに万里の長城とか、三峡ダム・南北導水路建設といった大工事で国費を浪費する。福祉・教育・環境には金が回らない。大衆は「食うや食わず」の極貧生活から抜け出せない。旱魃でもくると「飲み水もない」という有様だ。
三国時代、南北朝時代、あるいは戦国時代が、庶民にとって「不幸の時代であった」とはいえない。堺屋太一は、中国の歴史で最も豊かで、かつ平和であったのは、南中国で栄えた「南宋」(1127-1279)の時代であったという。軍事大国でなくとも人心が安定し産業も発展した由である。
中国4000年は分裂と統一を繰り返した歴史だ。巨大な統一王朝である元の建国が1127年だから880年が経過した。この間、明・清・共産と覇権主義的な統一王朝が続いたから、周辺諸国は迷惑した。少数民族が国を奪われ属国民とされた。
そろそろ、中国王朝が分裂しても良い時期ではあるまいか。中国が5国や10国に分裂してくれたならば、抑圧されているチベット・ウイグル・モンゴル族が自立できる。その他多くの少数民族国家も誕生する。台湾も国連に加盟できる。こうなると、天下泰平、世の中すべてうまくゆく。独裁者や独裁者を支える地方政府の官僚及びその一族を除いて天下万民が喜ぶ。チベット、ウイグル、モンゴルの独立が一日も早く訪れることを願う。我が福田政権や自民・公明・民主・社民・共産の各政党の腐敗した幹部は崩れ行く中国共産党指導部と運命を共にするであろう。
英明な各政党の国会議員、党員、支持者そして一般国民は、弾圧されているチベット・ウイグルそして13億中国民衆の側に立つと確信できる。
我が国の大衆は、非業の死を遂げつつあるチベットやウイグルそして中国13億の民衆と悲しみを共有する。民衆を弾圧し虐殺する人民解放(弾圧)軍を許さない。そして中国共産党王朝が一日も早く崩壊することを願っている。