「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 3月12日(水曜日) 弐
通巻第2121号 臨時増刊号
(((((( 今週の書棚 )))))
青木偉作『ユダヤ人の勉強法』(中経出版)
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サルコジ仏大統領は大胆な政治路線でEUの一方を果敢に率いるが、他方では奔放なセックス・フレンドを公衆の面前に連れ歩き、国民の顰蹙を買うかと思いきや、絶賛するフランス国民がいる。
猛烈に反発するのは在仏のイスラム教徒だ。
サルコジはユダヤ人だからである。
キッシンジャーとかアインシュタイン、マルクスらがユダヤ人であることは広く知られる。
ノーベル賞受賞の25%がユダヤ人というからには、頭が良い人が多いのであろう。
日本のおけるユダヤ人論議はいまでも底辺で面妖なる「ユダヤ陰謀論」がくすぶり続けているのも、潜在的な心理としてのユダヤ優秀論が流れているからだ。
さて評者(宮崎)も、ユダヤに関しては三冊の著作があり、ユダヤ人脈に関しては詳述してきたが、本書で得た新しい情報がいくつもある。
第一に米国連邦上下議会に、驚くべし43人ものユダヤ系議員がいることだ。下院に30名、上院に13名。リーバーマン上院議員くらいしか知らなかった。
ユダヤ系はハリウッドとマスコミとウォール街にだけに集中し、のこりは大学教授、医者、弁護士だとばかり思っていたからこれは衝撃です。
第二にロシアの「オルガリヒ」(新興財閥)有力七人のうちの五人がユダヤ人だという事実。
なかでもベレゾフスキーとホドルコフスキーである。
前者はイギリスへにげて厳重な警戒のなかを暮らしている。後者はプーチンに敵対したためえん罪をでっち上げられて刑務所暮らし。経営した最大資源会社「ユコス」は、まんまとプーチン一味に乗っ取られた。
かつても政治銘柄ではプリマコフ、チュバイスらがユダヤ人だった。
第三にイスラエル国家が二千年の流浪の果てに復活した秘密とは、古代エジプトもギリシアもフェニキア(カルタゴ)も、歴史から完全に消えたのと対比すると鮮やかだが、それは「ユダヤ人は優秀でないと生き残れなかった。だから優秀な人材が生き残り、くにを再建したのだ」という格言は、或る意味では明日の日本のなにかを示唆しているのではないか。
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新保裕司『信時潔』(構想社)
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信時潔って誰?
かの国民愛唱歌「海ゆかば」の作曲家である。
大変な努力家で、世界的にも有名な音楽家であったが、戦後六十年の風潮の変化の中に埋没した「海ゆかば」の曲とともに久しく忘れられていた。
この曲は戦争中の映画の多くにも挿入され、第二国歌的な存在だった。
だから誰もが忘れようとしたのかもしれない。伝記が一冊もない。かたや山田耕筰に関しては饒舌なほど語られ、或いは内村鑑三もキリスト教徒ゆえに語られる。
信時潔の全曲が復刻されたのは没後四十年を経てからであった。
かの大友家持が謳った
「♪ 海ゆかば水漬く屍、山ゆかば、草むす屍、大君の辺にこそ死なめ、顧みはせじ」
これを保田輿重郎は「万葉集の精神は、偉大なる敗北を了知した上に成立している」と喝破した。学徒出陣でも謳われた。国民が大きな声で謳った。
新保は言う。
「近代日本の歴史の中核を凝縮したような音楽」であるのが海ゆかばだ、と。
これを作曲した人物への評価が消えていたた戦後状況に育った新保は、戦時中の回想をする場面などを文学作品をこつこつと当たり、大佛次郎や丹羽文雄といった通俗作家の文章にも遠景に使われていたことを発見する。
そこには文藝評論家としてより思想史の探検家としての才能がある。
個人的にも強い思い出がある。
三年前だった。
ポーツマス百周年(日露戦争勝利百年)を記念して「青年、学生」に呼びかけての集会を開催した折、1600名の参加者のなかで、最後に「海ゆかば」を合唱うを提案したとき、半分以上が知らなかったのだ。
そこで、国士舘の学生グループに一度、模範合唱をしてもらい、会場で歌詞をくばり、それから全員でホールを響かせるような大合唱が実現した。
舞台にふさわしい選曲だった。
その作曲家とはいったいどんな人だったのか? 信時の波乱に富んだ生涯と生活信条、精神の形成史を、本書で小生もはじめて知った。
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(読者の声1)宗像さんの新作への愛情にみちた書評(貴誌2118号)を拝見しました。
台湾選挙がもめてますが、前回の総統選挙の前には2・28記念日に手護台湾大聯盟(代表は李登輝前総統、執行責任者は黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席)が220万人を動員して人間の鎖を作りました。
今回は民進党をはじめとする多くの組織が3月16日(日)に台湾の三十数都市で謝長廷支援のデモンストレーションを行うのです。
それが最大の山場になります。
今回も手護聯盟が果たす役割が大きいと見られます。また欧米からは謝長廷支援と投票のために多数の台湾人が帰国し始めています。
日本からは台湾人だけでなく、日本人が多数、台湾へ行って謝長廷の支援活動に参加します。
(AA生、新宿)
(宮崎正弘のコメント)来週発売の『週刊朝日』で、逆転の可能性がでてきた台湾選挙の状況を報告する予定です。ご期待下さい。宗像さんとも台北でお目もじの予定をしております。
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平成20年(2008年) 3月12日(水曜日)
通巻第2120号
全人代が公式に認めただけでもこれだけの経済犯罪
泥棒と目明かしが同一な国だから、仕方がないとはいえ。。。
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中国最高人民検察院の賈春旺検察長(検事総長に相当)は開会中の全人代の席上で、公務員の汚職ぶりを報告した。
2007年までの過去5年間、公務員が絡む汚職事件は179696件で、およそ209487人を摘発したと発表した。
とくに「再開発」に絡んだ権力とデベロッパーの癒着は減少するどころか、激増している。
賄賂、職権乱用が顕著、「10万元(約150万円)以上、公金流用額が100万元以上の大型事件は計3万5255件に上った。また、海外や国内に逃亡した汚職公務員4547人を逮捕したとしている」(産経新聞)。
最高人民法院(最高裁)の報告では官僚の汚職や土地の強制収用などを直訴した件数は実に70万ケースを突破したという。
北京の直訴村への当局の弾圧が問題となっている。
中国共産党の内部資料によれば、紀律に違反した事件が大幅に増加し、これらの事件は3つのことを示していると発表した。
「第一に腐敗・権力乱用猛烈な勢いで拡大している。第二に、それでも庶民は党および政府に対して少なからず希望を抱いているが、再三に共産党と中国政府は大きな責任を迫られ、そうした圧力を受けている」
2007年は421万7450件の腐敗告発があった。
華字紙などの情報を総合すると、
「!)公金着服・収賄事件が307万8367件!)生活紀律腐敗堕落事件が21万2430件!)汚職・権利濫用事件が45万7436件!)その他の腐敗・紀律を違反する事件が46万9217件」だった。
とくに中国共産党の濃密な関与があるのは!)地域、分担分野、部門を超えた密輸!)関係者が結託し、地元の政治組織が市場を操る!)党幹部らとグルになって娯楽、享楽、遊戯、エンタテイメント市場を操り、ギャンブル、ポルノ、麻薬売買など!)証券、金融部門では意図的な風聞、虚偽の情報を配布して、巨額を貪る!)自警団的な非合法武装組織が政府や国有企業を詐称して経済活動を展開している!)やくざ、マフィアを雇用して利益関係上の対抗相手に傷害を与えることなど。
(読者の声1)読売新聞朝刊(3/11付け)によると、中共が日本の外交官と新聞記者をスパイと見なしているという。この記事の狙いは中共から輸入される毒食材(野菜)、毒食品(ギョウザ)、毒薬品の危険性に気づいて、急速に高まる日本人の反中共意識を抑えようとするおなじみの工作であろう。
古来、支那は世界の一部というよりは、別の独自の世界であり、他の地域の地球人とは別の価値観(極端な拝金主義)、別の論理(騙されるものが悪い)、別のルール(何でもあり)を持つ。だから彼らに支那以外の論理を説明しても従わないので馬鹿を見るだけである。
結局、支那人というのは異星人と考えるほうが対応しやすいのだ。中共人も自国産品の危険性を知っており、外国の食品や薬品を信用しているという。
今や世界にあふれ出た中共の毒から子供を守るには、信用できる代替供給地を作って買わないのが一番であり、それまでは厳重な品質管理とともに通貨管理と関税政策でコストの壁を作り実質隔離するしかないだろう。
(MC生)
(宮崎正弘のコメント)異星人のイメージは中国人が古代よりつくりあげた神と人のあいだの炎黄帝に象徴されていると言えます。しかも全土に三カ所も、黄帝稜があります。
峡西省南西部にある、巨大な伽藍のコンクリート造りのものを見学したことがあります。
なぜコンクリート造りなのか? 不思議でなりませんでしたが。。。
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(読者の声2)スポニチですが、こういう報道があります。
「小池百合子元防衛相は10日、名古屋市で講演し、中国製ギョーザ中毒事件に関連し、台湾で聞いたジョークと前置きした上で「自殺願望の人が農薬を口にしたが偽装農薬で死ねず、良かったといってお祝いでギョーザを食べたら死んでしまった。すごくブラックなジョーク」と発言した。
小池氏は「ギョーザの話は食の安全から極めて重要」と強調したが、ジョークと断った上で「北朝鮮が食糧援助を求めているが『チャイナフリー(中国製原材料が含まれないとの意)にしてね』と言っているという話があったりする」と紹介した。
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080310061.html
このはなし、宮崎さんが最初の紹介したジョークですよね。7日のラジオ日本でも、ミッキーさん、平沢勝栄さんと一緒にでられていて、宮崎正弘さんがジョークを披瀝するとスタジオの中でも笑い声。小池大臣にも伝わったのですね。
(TU生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)誰が最初かといえば、この冗談を拾ってきたのは黄文雄氏です(『ジョークで分かる中国の笑えない現実』(徳間書店)に書かれているのが最初です)。
それを紹介したのは小誌の書評が初ですが、順番はこうです。まず原型バージョンは(1)蒔いた種が偽物で収穫がなかった(2)それをはかなんで農民は農薬で自殺するが死ねない。農薬が偽物だった(3)病院で点滴を受けたら死んだ。これがバージョン(B)になると、(3)の場面では病院にはいかず、農薬が偽で死ねなかったので、白酒(パイチュウ)で祝ったら死んだ、となります。
これが餃子事件以降は、(B)の変形バージョンがでてきて「お祝いをみんなで餃子をつくって食べたら死んじゃった」となるのです。そして中国のジョークは笑って済ませられない。現実の、ぞっとする話が基礎にありますから。
((( 宮崎正弘の新刊予告)))
黄文雄氏との共著
『世界が仰天した中国の野蛮』(徳間書店、三月下旬刊、予価1600円)
((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url?%5Fencoding=UTF8&search-type=ss&index=books-jp&field-author=%E5%AE%AE%E5%B4%8E%20%E6%AD%A3%E5%BC%98
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』 (KKベストセラーズ、1680円)
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=32009305
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』 (徳間書店、1680円)
http://www.business-i.jp/news/book-page/debut/200710130007o.nwc
(書評と申し込み方法 ↑)
『2008年 世界大動乱』 (改訂最新版、1680円。並木書房)
『世界“新”資源戦争』 (阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『中国から日本企業は撤退せよ!』 (阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』 (PHP新書)
『三島由紀夫の現場』 (並木書房)
宮崎正弘全著作一覧 (これまでの127冊の著作リストを閲覧できます)
http://miyazaki.xii.jp/tyosyo/index.html
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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