『マサイマラ・レポート』 第5回
『マサイマラ・レポート』 第5回
■ 滝田明日香 :家畜獣医(ケニア在住)
■ 『マサイマラ・レポート』 第5回
「密猟」とは、「違法的に狩猟する」という行為のことを意味する。
しかし、一言に「密猟」と言っても、実は「コマーシャル」と
「サブシスタンス」の2つのカテゴリーに分けられることを
どれだけの人が知っているだろう。
「コマーシャル密猟」は、密猟によって仕留められた動物が
なんらかの「市場」に流される時のことを言う。
一番分かりやすい例だと、象牙やサイの角の密猟がコマー
シャル密猟である。違法的に仕留められたゾウからの象牙は、
国際マーケットに下ろされ、最終的にはオマーンやアジア
諸国などの消費者の手に渡る。この時に流れるのは、
「象牙市場」や「サイ角市場」以外にも、肉、毛皮、麝香など、
いろいろな市場が存在する。
その反面に「サブシスタンス密猟」は、日々の生活を支える
ための「生活密猟」のことであり、狩猟されたレイヨウ類などの
肉は主に食用として利用される。しかし、近年になって、
食用として利用する以上に肉が捕れた場合、その肉は
「ブッシュミート・トレード」と呼ばれる野生動物専門の肉市場
に流す傾向があり、二つの密猟のカテゴリー分けが難しく
なってきてしまっている。市場に流すことで、どんなに小規模
であったレイヨウ類の密猟も、コマーシャル密猟という
カテゴリーに入らざるを得なくなってしまったのである。
そして、マサイマラでの密猟問題は、まさにこの生活密猟と
コマーシャル密猟の間に置かれた密猟なのである。
以前の記事にも書いたように、マサイマラで逮捕される
密猟者の約95%は隣国タンザニアからのクリア族出身の
人たちである。彼らは国境を越えてマサイマラに侵入し、
保護区の中に1週間ほど隠れ住み、毎晩密猟を繰り返す。
夜間に猟犬を使いレイヨウ類を捕獲する以外にも(犬が
インパラの首に噛み付いて動きを止め、飼い主が来て
インパラの喉笛を切る)、動物の通り道にワイヤー罠(スネア)
と呼ばれる罠を仕掛ける方法などいろいろな密猟法が
利用されている。
ワイヤー罠は、古いタイヤを焼き払った後に残るワイヤーを
使って作られ、動物の足が輪っかに入った時点で、ワイヤーが
閉まる仕組み。言ってみれば、誰にでもローコストで出来る
罠である。そして、様々な狩猟法で狩られた動物の肉は、
日干しされ、その後、ロバなどを使って保護区の外に運び
出されるのである。密猟者は、4~5人のグループで保護区に
侵入し、その被害は小規模ではあるが、年間を通すと1500
から2000頭のレイヨウ類の命を奪っている。
そのように殺されていたレイヨウ類の数は、年間に1000頭
から2000頭の間だと言われている。
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滝田明日香(たきたあすか)
1975年神奈川県藤沢市生まれ。ナイロビ大学獣医学部で獣医に。卒業後、マサイマラ
国立保護区の回りに住むマサイを対象にした「マサイマラ巡回家畜診療プロジェクト」
を立ち上げ、家畜診療以外にも野生動物へのジステンパー感染などを防ぐ為、保護区
の外のマサイの犬2700匹にワクチンなどを投与している。
著書に『晴れときどき、サバンナ』『サバンナの宝箱』(共に幻冬舎)
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344409116/jmm05-22
>
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344012607/jmm05-22
>
●いろいろな方から集まった募金の合計金額やマラコンサーバンシーからの感謝のレ
ターなどを私のHPの www.asukafrica.com
に添付しています。
●マサイマラ国立保護区を守る為のキャンペーンや資金集めに協力してくださる団体
があったら、マラコンサーバンシーまで連絡ください。
Mara Conservancy
P O Box 63457
Muthaiga 00619
Nairobi, Kenya
Tel : +254 20 3749 632/6, 3749655/1/4/6/8
Fax : +254 20 3749636/3740754/3740721
Email: mara@triad.co.ke
Home Page
<http://www.maraconservancy.com/
>
●日本の口座が必要な場合は、以下の口座への寄付も可能です。
必ず「Mara Conservancy」と記入して下さい。
日本の寄付口座:
「マサイマラ巡回家畜診療プロジェクト」
三菱東京UFJ銀行
大森支店 普通預金
口座番号: 1299787
郵便振替口座:
「マサイマラ巡回家畜診療プロジェクト」
口座番号 00100-0-667889
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日本のお姉さんの意見。↓
「密猟者の約95%は隣国タンザニアからのクリア族出身の
人たちである。彼らは国境を越えてマサイマラに侵入し、
保護区の中に1週間ほど隠れ住み、毎晩密猟を繰り返す。」
と、いうことは、タンザニアの政府が全然密猟者を
取り締まらないのが悪いんだね。
ケニアにとっては、いい迷惑だね。
しかし、タンザニアの密猟者たちは、他に仕事が無いのか。
勝手にケニアに入って
レイヨウ類を狩って肉を食べて生きているのかな。
生きるために、レイヨウ類を殺して食べているのか、
それとも、大量に殺して市場で売っているのか。
一年間で2000頭も殺してしまって、
ケニアのレイヨウ類の数に異変が起きないのでしょうか。
そんなに殺して大丈夫なのだろうか。
まるで、韓国の漁師が勝手に日本の海に入ってきて
勝手に魚をとっていくようなものか。
ケニアも大変だな。本当は、昔はその辺は全部
マサイマラが狩りをしていた土地なのに、
勝手に入ってきて、、、。
まったく、タンザニア人密猟者たちって、保護区だろうが、
違法だろうが関係ないっていう無法者集団なのですね。
一週間、保護区に潜んで犬を連れて狩りをするって、
相当なプロ集団ですね。
マサイマラにしたら、腹立たしい連中なんだろうな。
でも、泥棒にも彼らの言い分があるのだろう。
しかし、わたしは、マサイ族が好きだし、野生動物も好きだし
動物のテレビ番組が大好きなのだ。
だから、マサイ族の味方です。