日本国の研究 ・不安との訣別/再生のカルテ 「水産業の改革を進めよ」 小松正之
日本人の漁民は、節度があるけど、韓国や北朝鮮や
チュウゴクの漁船は節度なく魚を獲っていると聞いている。
日本を責めるより、上記の三国を責めたらどうか。
日本海のマイワシがいなくなったのは、チュウゴクが
海を汚しているからでしょう?大きな越前クラゲばっかり
出てきているのは、海が汚れて魚が獲られすぎで
くらげの好むプランクトンが大量に余っているからでしょう?
by日本のお姉さん
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日本国の研究・不安との訣別/再生のカルテ ↓
「水産業の改革を進めよ」
農学博士・内閣府規制改革会議専門委員 小松正之
■世界のさかな資源の乱獲
日本では「さかな離れ」だが、世界は魚食ブームである。鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)の発生、健康ブーム、中国などの所得向上などで、中国や欧米諸国が魚を食べだした。日本の商社や水産会社が外国の会社相手に魚を買い負ける現象が生じた。2007年水産物の輸入量は15年ぶりに300万トンを割り込んだ。
2006年11月に米国のサイエンス誌にアメリカとカナダの研究チームによる「このままだと2048年には海から魚がいなくなると警告する」という論文が発表された。FAO=国連食糧農業機関の2006年水産白書によれば、現在世界中の主要な漁業資源のうち、25%は「過剰利用または枯渇状態」、52%は「既に満限に利用」されている、としている。つまり、主要な漁業資源の77%が「もうこれ以上獲ってはいけない状態」になっている。
2006年11月の「大西洋マグロ類保存委員会」で、東大西洋のクロマグロの漁
獲枠が3万2000トンから、2010年には2万5500トンに削減されることが決まった。最近では大衆魚と考えられていたマイワシやマサバまで漁獲量が激減している。20年前の1988年頃に、マイワシは450万トンの漁獲量があったが、現在では5万トンしかない。ピークの1%だ。また、マサバも30年前までは180万トンの漁獲があったものが、最近では20~30万トンまで減少している。大分県佐賀関沖で一本釣りで漁獲される「関サバ」も、まき網漁業による乱獲で、200~300トンあった漁獲量が60~70トンに落ち込み、偽物が出回る。
■資源管理制度の改善―漁船ごとに漁獲枠を設定する
問題は、乱獲の促進を内含する日本の資源管理制度にある。これらの魚種は、科学的に許容される持続可能な数量の水準を超えて、総漁獲可能量(TAC)が定められる。加えて、漁業者が早い者勝ちの漁を始め漁獲量全体がTACに達したところで採捕を停止する。このようなしくみを採用しているのは、主要漁業国の中では、日本だけだ。この方式では、漁船も大型化し、燃料も使い、誰もが「自分さえたくさん獲ればよい」と争うために、乱獲状態に陥る。
北欧、米、ニュージーランドなどでは漁船ごとに漁獲枠を決める個別漁獲割当制度を実施している。漁船の能力は効率化し大量漁獲する方向に進むことは妨げられないため、漁獲量を制限することが、効果的という考えに基づいている。
1980年代から導入された個別割当制度の導入は、無駄な競争をする必要がないので、乱獲は防げるばかりでない。マーケットのニーズに合った漁獲の計画が立てられる。
■さかなは国民共有の財産
海の憲法と言われる国連海洋法条約には、魚などの海洋水産資源が人類共有の資源であると明記されている。こうした流れを受けて、EUの共通漁業政策では「漁業資源は我々の共有資源の一部である」と書かれる。ブラジルなどでは憲法で「大陸棚及び排他的経済水域の天然資源は連邦政府の資産」と謳っている。2007年7月に施行された海洋基本法第7条も、海は人類共有の財産と謳っている。
しかし、日本では漁業者は今でも魚は自分たちのものと考え、このことが乱獲の進んだ原因と考えられる。魚を国民共有の財産と位置付け、皆のものである魚を、科学的根拠に基づいた持続的利用の原則にのっとって、資源の保護を徹底した漁業を実行する政策に速やかに転換すべきである。
■漁業法制度を変え漁村を閉鎖社会から解放社会へ
1949年に109万人いた漁業者が、現在はわずか22万人に減った。しかもその半数が60歳以上の高齢者だ。後継者不足で漁業が衰退することに歯止めをかけなければいけない。活性化を図るため、意欲ある者なら誰でもが漁業を営めるように、閉鎖的な漁村社会の枠組を形作っている漁業法や水産業協同組合法などの、戦後60年間ほぼ手つかずできた漁業関連法制度を抜本的に改正することを提案したい。新しい人達の参入を、透明性のあるルールの下でオープンに行えるようにすることである。
■漁港建設などの公共事業から、水産業構造改革のために予算を使え
このような資源回復の方策の導入や法制度の改正に伴い、過剰な漁船の削減や休漁などのための保障などの「水産業構造改革」を実行する予算が必要となる。必要性の優先順位が低い漁港建設などの公共事業の実施を抑え、その部分を弾力的に転用すべきである。日本は、漁船が大幅に減ったにもかかわらず、未だに水産予算の60%が漁港などの公共事業に充てられている。EUの漁港予算は、全水産予算のわずか6%で、資源回復や水産業の構造改革に積極的に取り組んでいる。
■内閣府規制改革会議が、水産業改革に取り組む
昨年12月28日の閣議で最大限尊重することとされた、内閣府規制改革会議の第2次答申には、生物学的許容漁獲数量とTACの一致を図ることや個別割当制度の導入につき平成20年度中に一定の結論を出すことなどが盛り込まれた。日本の水産業の制度改革と水産業の立て直しに向け、一歩を踏み出した。
■著者略歴■
小松正之(こまつ・まさゆき) 農学博士・経営学修士。1977年農林水産省に入省し、捕鯨・マグロ漁業の国際交渉を担当。2007年12月より内閣府規制改革会議の専門委員として活躍中。主な著書に『これから食えなくなる魚』(幻冬舎)、『クジラその歴史と文化』(ゴマ書房)など多数。
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