迷惑メールー「海外発」への対策も急げ
迷惑メールー「海外発」への対策も急げ
朝日新聞の社説の紹介です。↓
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
けさも、パソコンや携帯電話に押し寄せる迷惑メールの削除に追われ、朝から不愉快な思いをしている人が多いのではないだろうか。
この迷惑メールへの法規制を強化する改正案が国会へ提出された。
迷惑メールの大半は広告である。現在は、タイトルに「未承諾広告※」と書くなど、一定の要件を満たした広告メールなら、受け手の事前承諾なしに送っても合法だ。受け手が断ってもさらに送りつけたとき、初めて違法になる。
だが、相手が悪質業者の場合、拒否のメールを送り返すと、かえって迷惑メールが増えるという悪循環が人々を悩ませている。また、承諾や拒否の記録を業者が残さなくてもいいことが、取り締まるときの障害になっている。
改正案では、事前承諾なしに広告メールを送ること自体を違法にして、承諾の記録を保存するよう業者へ義務づける。違反業者への罰金も、いまの100万円から3000万円へ引き上げる。
業者側がどのような方法でメールアドレスを集めて事前承諾をとることが適切なのか、これから基準をつくる。アンケートや懸賞など、地道な努力で収集するよう促す基準にすべきだ。
欧州や豪州などがすでにこうした方法をとっており、オランダでは規制と摘発の強化によって、迷惑メールが7分の1に減ったという。
今後の課題は「国際化」への対応だ。本当の発信者は日本にいながら、海外のパソコンを遠隔操作して国内へ送りつける手口も広がっている。国境を越えた監視と摘発の体制が欠かせない。
法改正されると、なにが違法な迷惑メールかがはっきりして摘発しやすくなる。日本での違法性が明確になるので、海外発メールに関する発信源の情報などを相手国へ提供して、送信を規制してもらうことも容易になる。
まずは、海外発の迷惑メールの主な発信元である中国、米国、韓国の規制当局と連携を強め、国際的な封じ込め体制づくりを急ぐべきだ。
海外からは、詐欺的な手法でクレジットカード番号などを盗み取るフィッシングメールや、他人のパソコンにウイルスを仕込んでメールを配信させるボットネット型などが増えている。これらへの対策は宿題として残っている。
迷惑メールの規制には難しい問題もある。メールのやり取りは自由が基本だし、メールでの営業活動はさまざまな新商売を生み出す活力源でもある。むやみに禁じるのは望ましくない。
だが業界の調べでは、流通する全メールの7割以上、広告メールに限れば大半が迷惑メールだ。ほとんどが出会い系やアダルト系。真っ当な広告メールを使うビジネスなど成り立たないほどだ。
メールという通信手段を使いやすいものにするためには、迷惑メールの排除が避けられなくなったといえよう。