気象情報はチュウゴクの国家機密であるという。
【主張】黄砂 国際協力で研究推進せよ↓
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080304/env0803040306000-n1.htm 日本列島の広い範囲で黄砂が観測された。今年初めての到来だ。気象庁によると2日の夜から出現した。4日も影響が残るという。
中国大陸の奥地の砂漠や黄土地帯などから飛んでくる微細な砂塵(さじん)が黄砂である。日本列島の各地で上空が黄色くかすみ、洗濯物や車も汚れてしまう。
この黄砂に対する関心が高まっている。以前は春の風物詩だったが、最近は地球温暖化の進行や砂漠化の拡大とのかかわりで、環境問題の一種として注目されるようになりつつある。
幸い日本では、黄砂による甚大な被害は出ていない。しかし、本場の中国や通り道に位置する韓国では深刻だ。死者が出たり、外出禁止の措置が取られたりしている。
中国では名前もすごい。大規模な黄砂は「砂塵暴」と呼ばれている。今年の黄砂発生は多めになるという予測もあるようだ。
日本で黄砂が観測される日数は、1990年代以降、増加傾向がうかがえる。黄砂は、雪が消えて草が茂る前の地表から、強風で土砂が上空に巻き上げられることで起きる。
中国奥地で放牧されている家畜の増加や草原の農地化によって土砂が風で飛ばされやすくなっていることも黄砂の規模や頻度を増大させている。
近年の研究で、黄砂は太平洋を越えてグリーンランドまで到達することがわかってきた。これほど広範囲に広がっているなら、地球環境への具体的な影響は、どうだろう。
残念ながら、これがほとんど分かっていない。地球温暖化を加速しているという見方がある一方、黄砂雲が太陽光をさえぎることで寒冷化に寄与しているという見解もある。黄砂には大気中の汚染物質を運搬する可能性がある一方で、酸性雨を緩和する働きもあるらしい。
ともかく研究が必要だ。発生地域の中国と影響を受ける韓国や日本との間での共同調査も欠かせない。
環境省は、モンゴルや韓国と協力し、黄砂の飛来状況を把握するホームページを開設しているが、中国が北京の観測データの提供に応じていない。気象情報は国家機密であるという。
これは残念な判断だ。データの共有を通じて、黄砂の理解を深めたい。