人権擁護法案に台湾人も激怒ー明かされた法務省の卑劣な実態 | 日本のお姉さん

人権擁護法案に台湾人も激怒ー明かされた法務省の卑劣な実態

ブログ「台湾は日本の生命線!」より
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人権擁護法案に台湾人も激怒ー明かされた法務省の卑劣な実態
台湾研究フォーラム会長 永山英樹

■調査対象外とされる台湾人の人権問題

法務省が提出する人権擁護法案に関し、「在日朝鮮人のための法案だ」との批判の声は大きいが、少なくとも「在日台湾人のための法案」ではないことが明らかとなった。そして在日台湾人もまた、この法案のまやかしの本質を知り、怒りを募らせつつある。

国民にはあまり知られていないが、じつは法務省はかねてより在日台湾人から「人権侵害だ」と非難を受けている。つまり同省入国管理局による外国人登録で、彼らの国籍が在日中国人とまったく同じ「中国」とされているからだ。つまり日本の社会で彼らは、台湾人ではないのである。

たしかにこれはたまったものではないだろう。それはあたかも米国で暮らす日本人が、現地で韓国国籍にされるようなものだ。自国の存在が否定されることは、自分自身を否定されるに等しく、この悔しさは実際にそのような境遇におかれない限りわからない。

だが入国管理局は「これまでもそうしてきた」と言って、国籍記載の訂正要求に応じようとしない。

「中国」とはもちろん中華人民共和国の略称である。だが台湾人の国籍とする「中国」だけはそうではなく、「我が国が国家承認するところの台湾を含む広義の『中国』だ」などと、入国管理局は説明している。私が調べたところ、どうもこれは外務省が入れ知恵した抗議封じのための虚偽論理だ。そもそも我が国は国家承認する中国に台湾が帰属しているとはしない立場なのだ(なぜなら、それが事実だからだ)。しかし私などは同局から、「広義の『中国』であって人権侵害ではない。訴えると言うなら、訴えて見ろ」とまで怒鳴られたことがある。

そうしたなかの二月二十二日、驚くべき事実を知った。人権擁護法案への反対国民運動を主導する日本会議の江崎道朗氏によると、一月に行われた人権擁護法案に関する自民党議員の勉強会で、法務省が配布した同法案の規則案を示す資料に、この「中国」国籍の押し付けを人権侵害だとする申告は、人権委員会の調査の対象外になると書かれているのだという。つまり法務省のこの措置は保護されるのだと。

そこでただちに法務省人権擁護局に電話で「なぜ誤った国籍の押し付けが人権侵害ではないのか」と問い合わせると、「外国登録法で決められたものだから、人権侵害に当たらない」と言われた。だがそれは間違いだ。

外国人登録で台湾人の国籍が「中国」とされるのは、外国人登録法に基づくものではなく、法務省入国管理局の内部の取り決めによるものだからだ。そこでそのことを伝えると、相手は「どのような資料をご覧になって話をしているのかわからない以上、こちらとしては調べようがない」と言って逃げるのだ。この時点で私は、まだ資料を入手していなかったので、「後日また電話をする」として話を打ち切った。これに対して相手は「もう勘弁してくれ」と言う感じだった。

■なぜわざわざ台湾人問題を法案に

二十四日、江崎氏から問題の資料を入出した。

資料名は「人権委員会の手続き修正案《相手方の保護》」。「修正案」の骨子は「不当な申し出により人権侵害の加害者とされた者の保護を図る」こと。それによると「相手方の保護」のため、一定の事由に対し「調査の不開始」と言う保護手続が規定されている。

この人権侵害調査の「不開始」の具体例としては、次の四つが挙げられている。

「被害が発生していないことが明らかな被害申告」(規則第A条第1号)

「学術上の論議・歴史上の事象・宗教上の教義についての見解を根拠・前提にした被害申告」(規則第A条第2号)

「法令が憲法違反であるとの見解を根拠・前提にした被害申告」(規則第A条第3号)

「言論による名誉毀損のうち、公共利害事実であって公益目的によるものに対する被害申告」(規則第A条第5,6号)

「不当な目的(不正な利益を得る目的、他人の名誉を毀損ずる目的等)でされた被害申告」(規則第B条)

そしてこのうちの規則第A条第3号「法令が憲法違反であるとの見解を根拠・前提にした被害申告」の事例として付記されるのが、「朝鮮学校卒業生に公立高校の受験資格を認めないこと」と、「台湾人の外国人登録に『中国』と記載する行為が人権侵害であるとする申告」なのである。

これで人権擁護局が「法律に定められた行為は保護される」と説明した意味がよくわかった。だが、たしかに朝鮮学校卒業生は学校教育法によって公立高校への入学資格が認められていないものの、台湾人への「中国」国籍の押し付けは、上記の通り何の法令にも基づかないものだ。

そこで疑問に思うのは、なぜ法務省がわざわざここで、台湾人の国籍問題を取り上げたかである。朝鮮学校卒業生の「人権問題」はすでに一つの社会問題として広く注目されているが、台湾人のこの問題は一般には知られていないし、マスコミに取り上げられることもない。敢えて言えば「人権侵害だ」と抗議する一部の台湾人と、それを黙殺する入国管理局だけしか知らない問題のはずだ。

人権擁護局が誤って「中国」国籍の押し付けを法令によるものとしたのも不可解だ。この問題を取り上げる以上、同じ省内の入国管理局の内規に基づくものであることに気づかないはずがないのである。そもそも入国管理局に相談することなく、人権擁護局がこの問題を視野に「人権委員会の手続修正案」を策定することなど考えられない。それなのになぜこのような誤った具体例を挙げたのか。

■台湾人の抗議を封じるためか

内部の取決め(「外国人登録事務取扱要領」)だけに基づいて、台湾人に「中国」国籍を押し付ける入国管理局だが、じつは同局にはこれを正当化する論理を持ち合わせていないのである(台湾は中国領土ではないから当然だ)。そのため「我が国が国家承認するところの台湾を含む広義の『中国』だ」などとデタラメ説明を行わざるを得ないほど、台湾人の抗議の前では背水の陣に立っているわけだ。しかし、それでも「中国」を「台湾」に改めることができないのには相当の理由があるはずだ。

それは「取扱要領」の誤りを認めて責任を負うのが恐ろしいのか、あるいは中国を巻き込んだ政治問題とするのが恐ろしいのかはわからないが、いずれにせよ入国管理局は、さらには法務省は、この問題でいかに自己を防衛するかを真剣に考えているはずだ。

百%の誤った措置を台湾人に加え、その人権を損なっているのだから当然だろう。そして彼らが打つべき手はただ一つ、卑劣にも一部の台湾人の抗議を封じることである。

「中国」国籍と記載するのは法令によるものであるとでっち上げ、「台湾人の人権侵害の申告」は取り合わないと言う人権擁護法の規則案を打ち出したと考えざるを得ないのだ

■加害者=入国管理局を守るため

もちろんその目的は資料にあるとおり、「人権侵害の加害者とされた者」の「保護を図る」ためである。具体的に言えば、「法務省入国管理局の保護を図る」ためだ。これでは「入管擁護法案」である。

人権擁護法案に関して毎日新聞社説(二月十四日)は次のように書く。

「独立行政機関として人権委員会を設置するのが法案の柱になったが、事もあろうに人権委を刑務所などを所管する法務省の外局に置くとした。法務省人権擁護局の職員を人権委の事務局に充てようという思惑だが、これでは身内の人権侵害に十分対応できるのか、大いに疑問がある」

読売新聞の社説(二月十八日)も同様だ。

「人権委は、法務省の外局に置くとしている。名古屋刑務所での受刑者暴行事件のように、重大な人権侵害は公権力を行使する場で起きることが多い。刑務所や入国管理施設は法務省の所管だ。人権委が法務省の外局では、公正な調査ができるのか大きな疑問が残る。まして人権委の事務局には、法務省人権擁護局の職員をあてることが想定されている。地方事務所の仕事も、その多くが地方法務局に委任される予定だ。これでは、まるで法務省の出先機関ではないか

法案では「人権」「人権侵害」「差別」「虐待」の定義、範囲が不明確で、これではさらなる人権侵害を生むとの非難を受けている。そこで「相手方の保護」範囲をはっきりと打ち出した法務省だが、そこで露呈したのが、まさにそうした組織防衛心理だったのではないだろうか。

入国管理局が自らの判断で「外国人登録事務取扱要領」を改訂しさえすれば、台湾人の人権は守られるのである。しかしそれをせず、人権擁護法を使ってまで保身を図ろうと言うのであれば、いったい「誰のための法律か」、と疑わざるを得なくなるのだ。

■入管までも「人権擁護局は間違っている」と…

二十五日、資料を片手に人権擁護局へ再度電話した。前回とは違う職員が出た。そこでことの経緯を一から話すと、「私はそのことは何も知らない」「今法案を検討中だから、何も答えることはできない」としながらも、「一月の段階での修正案の話だから、それはすでに改まっている」と断言するなど、逃げ惑うばかりで話にならない。

そこで次のように伝えた。

「台湾人の国籍を『中国』と記載することは法令に基づくものではないので、貴局はまずこれが誤りであることを確認し、確認し終えたら、議員に対して誤ったことを書いた資料を配布した責任をいかにとるかを検討するべきだ。そして検討した結果を私に電話で教えてほしい」

これに対して相手は「わかった」と承諾した。それで現在、人権擁護局からの電話を待っているところだ。

その後、念のために入国管理局にも電話をすると、「中国国籍」の問題でなじみの担当者が出た。私が詳しい話をする以前に、「私の知る限り、人権擁護局の問題は、入国管理局は関知していない」と釘を刺すのだが、「この国籍問題は法令とは関係ないですね」と聞くと、やはり「関係ない」と言う。そして人権擁護局に「間違っている」と伝えることを約束するのだった。

在日台湾人の人権擁護の要求に、断固たる拒絶姿勢を示した法務省。しかしそれと同時に露呈してしまったのが、人権擁護のためではなく省益のため、何が何でも人権擁護法案を推進する同省役人たちの実態だった。

取り敢えず、電話を待ちたい。

【抗議を!】法務省人権擁護局 03-3580-4111
『台湾の声』
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