太田述正 有料メルマガ#2377(2008.2.21)・クライン孝子の日記
ようちゃん、おすすめ記事。↓
<大> 
コラム#2008を読みました。インドと民主主義のやつです。 
 インドが単一民族国家としての側面を持っているということは理解できたので 
すが、どうしてそのような国家では民主主義が機能するのですか? 
 単一民族国家であるということと国家において民主主義が機能することとの因 
果関係がよく理解できていません。 
<太田> 
 インドは必ずしも多民族国家であるとは言えないので、君主制をとらなくても 
民主主義が機能しうる、と申し上げているにすぎません。 
 もちろん、(実質)単一民族国家である非民主主義国家は、北朝鮮、ベトナム 
、キューバなど、めずらしくありません。(北朝鮮やキューバは事実上君主制で 
もありますが・・。) 
 他方、「君主」チトー亡き後、民主化した旧ユーゴスラビア連邦が四分五裂と 
なったことは記憶に新しいところです。 
<ちんみ> 
 明け方4時頃の見張り勤務交代時に、事故が起きたとかの報道がありますが、 
例え短時間(1~2時間)とはいえ この見張り勤務という”極単調”な仕事は 
、緊張感を維持して続けれるような勤務では到底ないでしょう。 
 また、この手の見張り勤務は、たぶん新人(若いヒト)に就かせている筈(若 
しくは懲罰配置的意味合い)で、娑婆の警備会社でも夜勤を伴う現場は、寝起き 
のよい(眠りの浅い)年配者がむいていると聞いています。(交代現場が見張り 
部で行われているか否かも疑問) 
 世界に誇るイージス艦乗りたちにとって、一般の船舶(漁船等)なんぞは皆避 
けることが当然で、『そこのけそこのけイージス艦がとおる!』・・なんぞとの 
意識があったのではないでしょうか。 
 緊張感無く、危機感無く、仕事のモチベーションも低い勤務では 事故が起き 
るのも当然とおもいます。 
 例えば、刑務所・拘置所等での”自殺既遂”も圧倒的に早朝に多発してをり、 
勤務交代時が危険のようです。(有名なところでは、赤軍の坂東の自殺既遂も早 
朝・・といっても今のヒトは知らんわね) 監視の目を潜って確実に自殺遂行す 
る術を、当然当事者はわかっている筈で、その意味でも農水大臣の日中の首吊り 
自殺はまことに不自然ですが・・。 
<太田> 
 海上衝突予防法14条は、2隻が行き会う場合、双方が針路を右に転じて衝突を 
回避するよう義務付けている。(同法15条で、2隻の進路が横切る場合、右側に 
他船を見る船が、面舵などで回避する義務があることについてはコラム#2375で触 
れたところだ。(太田))・・海保関係者によると2隻が接近して向かい合う場 
合、行会船か横切り船か判断が難しいケースがあるという。同法14条は、2隻の 
関係が確認できない場合は、互いに右転するよう定めている。 
→要するに、衝突の懼れがある場合は、面舵を切れ(右転せよ)ということだ。 
(太田) 
 防衛省関係者は「緊急避難的に全力後進で停止することもある」としたうえで 
、「漁船の緑灯が見えていて、右方向に動いている可能性があるのに右転すれば 
、衝突の恐れがさらに増す可能性もある」と話している。 
 (以上、 
http://
1000c.html 
(2月21日アクセス。以後同じ) 
→コラム#2375で衝突を回避するためには臨機応変の措置をとらなければならない 
と申し上げたところだ。あたご側が衝突の危険を感じてからとった措置に過失は 
ないと見てよかろう。(太田) 
 あたごの見張り員は、事故の12分前・・19日午前3時55分・・に漁船2隻の灯 
火を視認していたことが・・わかった。防衛・・省では、うち1隻を清徳丸のも 
のとみている。一方、レーダー担当の乗組員は衝突まで清徳丸の存在を認識して 
いなかったことも判明。・・<この>2隻・・のうち1隻が清徳丸とみられ、灯 
火は「赤」と「白」だったという。赤と白の灯火は、それぞれ左舷と中央マスト 
の灯火を意味するため、この時点で相手の船を右側方向にみていたあたご側に衝 
突の回避義務が生じていたことになる。 
http://
→後出しであたご側から重要情報が飛び出してきた。(太田) 
 <他方、>衝突の約10分前<の>午前4時前・・イージス艦とみられる船に光 
で合図されたと、・・清徳丸船主の吉清・・治夫さん<が>・・僚船の船長(63 
)<に>無線で伝えていた。・・「ライトをつけられた」と・・の・・「(治夫 
さんの)声ははっきりしていて、しっかりと操船している様子だった」という。 
漁船の乗組員同士で「ライトをつける」というのは、車で相手に合図する際など 
に何度かライトを点滅させる「パッシング」と同じ意味という。海上衝突予防法 
は、接近船の意図が理解できない時などには、汽笛や光の点滅で警告信号を発す 
るよう定めている。 
http://
→これも後出しで清徳丸の僚船側から重要情報が飛び出してきた。その後、清徳 
丸が無線に応答しなくなった(コラム#2375)のはパニクったためか。(太田) 
 その後、同4時5分に同じ見張り員が右方向に今度は緑色の灯火を視認。その 
約1分後、この灯火が速度を増して動き出したため漁船であると認識した。 
http://
→あたごは衝突1分前まで速度を変えておらず、また衝突するまで進路も変えて 
いないのだから、清徳丸が一方的に左旋回して衝突回避行動をとったことになる 
。その清徳丸がどうして再び右旋回してあたごに急接近したのか、魔が差したと 
しか言いようがない。(太田) 
 <この見張り員が>、一度<清徳丸を>発見して見失<い、再び発見し>た< 
ものである>のか、河野<海幕防衛>部長は「分からない」とした。水上レーダ 
ーに清徳丸が映っていたか否かも不明のまま。監視員が清徳丸を発見後、当直士 
官や水上レーダー員と連絡を取り合ったのかも「不明」とした。 
http://
→見張り員が当直士官に連絡を取らなかったとすれば、あたごが「ライトをつけ 
」たはずがない。このあたりは更なる調査が必要。(太田) 
 あたごはこの直後に自動操舵を手動操舵に切り替えて、当直士官の指示で急制 
動をかけたが、すでに漁船との衝突を回避できない「傘型危険界」まで接近し、 
同4時7分に衝突した。・・あたごは衝突前、速度約10ノット(時速18キロ)で 
航行していたため、最初に視認した灯火との距離は数キロ離れていたとみられる 
。あたごはその後、約10分間にわたり自動操舵を続けていた。河野部長は「一般 
論として、最初に視認した時点で回避行動を取れば十分に回避できた。自動操舵 
のままにしておくのはおかしい」と述べ、あたごの行動が不適切だった可能性を 
示唆した。 
http://
→見張り員が一貫して当直士官に連絡を取らなかったとすれば、当直士官は、自 
ら清徳丸を視認し、全力後進の指示を発したことになる。 
 それはそれとして、以上から少なくとも言えることは、あたごの当直士官は、 
「ライトをつけ」た時点で、少なくとも自動操舵を手動操舵に切り替えて臨機応 
変の対応が可能なようにすべきだったのであり、この点に過失があったことは否 
めないということだ。(太田) 
 <今次>衝突事故で、海上幕僚監部の運用部門の担当者が、重大事故発生時に 
内局(背広組)を通さず防衛相秘書官 に報告することを明記した内規である「事 
務次官通達」の存在自体を知らなかったことが・・防衛省の調べで分かった。こ 
のことが影響し、石破茂防衛相へ の連絡が事件発生から1時間半後にずれこん 
だ。 
http://
→これは間違いなく、内局が為にする意図をもって流した話をうのみにした誤報 
だろう。 
 内局の当直(内局若手キャリア)が報告を受けてから内局の運用支援課(筆頭 
課長補佐クラスの内局キャリア)が防衛相秘書官(課長寸前の内局キャリア)に 
報告するまで40分かかった失態こそ追及されるべきだ。 
 海幕の運用担当当直(上記記事によれば、統幕の運用担当当直と同じ場所にい 
るらしい。随分「進歩」したものだ)や統幕の運用担当当直が、「重大事故」で 
あるかどうかの判断に迷った可能性も考えられる。そもそも制服組は就寝中の有 
力内局キャリアをたたき起こすことには躊躇するものだ。(太田) 
  
 話は変わりますが、コラム#2350等で、日本はカネの受け入れの面でも鎖国状態 
にあると申し上げたところ、「外資による日本への対内直接投資の2006年末残高 
は国内総生産(GDP)比で2.5%。英国の18分の1、韓国の3分の1弱にすぎない 
。」という記事( 
http://
。2月16日アクセス)があったのでご参考まで。 
 ところで、評論家の屋山太郎氏が、国土交通省が羽田や成田の主要空港施設に 
外資規制をかけようと言い出したり、英国の投資会社が「Jパワー」(民営化前 
は電源開発株式会社)の株を10%弱持っているところ、これを20%まで買い増した 
いと1月に届け出たのに対し、経産省が「審査に3カ月要する」と決定を先延ば 
ししたことをとらえ、このどちらも天下りを維持したり増やしたりするための姑 
息な対応であると批判しています( 
http://
。2月21日アクセス)。 
 天下りを禁止しないと、日本の開国だってできないということです。 
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◎クライン孝子の日記 
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■2008/02/21 (木) ゲイル氏のメールは日本人の心に火をつけた! 
■2008/02/20 (水) 日本のメデイアの節操のなさは欧州では有名! 
今回の海難事故については、 
海外に住んでいればごく当たり前の意見=感想を 
わが日記に書きました。 
ところが何ということでしょう。、 
自衛官からもそうですが、各方面のたくさんの方から 
さっそく「元気ずけられた」とのメールが届き、実は私、 
嬉しい反面、面食らっています。 
今回の最大の功績は何といっても 
アメリカのバージニアにお住まいの 
ゲイル(Mark H. Gale)氏からのメールと、私は思っているからです。 
そう、ゲイルさん、有難う! 
日本の自衛官の方々、きっと心から感謝しておられると思います。 
さても再び桑田佳彦氏より 
<<今日の日記で、アメリカ人のゲイルさんからのメールを拝見し 
貴日記の影響力の凄さに感動しました。 
(筆者註:お褒めを頂いて当惑しております) 
クラインさんのお蔭と深く感謝しております。 
私が海軍兵学校で受けた教育が今の私のバックボーンに 
なっていますので、純粋な気持ちで何とか自衛官に「誇り」 
を持たせてあげたいと思っています。 
どうかお力添えのほどお願い申しあげます。 
ゲイルさんのメールは日本人の心に火をつけ、徐々に自衛官 
への感謝の念が高まり、その波が自衛官の「誇り」を揺り起こし 
自衛官が自分の責務を忠実に果たすようになると思います>> 
今ひとつ、大阪の根屋氏より  
<<いつも新鮮なお気持ちでのメールの配信感謝しています。 
大阪の根屋 と申します。 
米国軍人への国民のお気持ちをご紹介していただき 
ありがとうございます。 
早速ミクシィへ、駄文を添付して、紹介させていただきました。 
以下がそうです。  
==ドイツ在住のクライン孝子さんのメールマガジンから 
転載します。 
クライン様は時々というより頻繁に来日され、各方面で 
ご活躍されています。(筆者註:活躍というより、 
素敵な皆さんとお会いするのが楽しいのです) 
自衛隊は軍隊という位置づけはされていません。 
しかし、その隊員のお気持ちは、軍人と変らないものを 
お持ちです。 
その自衛隊員に対してこのような気持ちで接したことがあるの 
だろうかと自問自答しました。 
このメールを配信してくださったことに感謝します== 
http://
■2008/02/20 (水) 日本のメデイアの節操のなさは欧州では有名! 
「報道陣には知らんぷりを」 イージス艦衝突事故で幕僚長が親族に 
http://
上記の件で 
フジテレビの動画ニュースを見ていたら某女性キャスターが 
「知らんぷりをしてくださいとは、どのような意味での 
発言だったのでしょうか」 
とコメントしているのには驚いた。 
故意にその意味が分からないととぼけて見せて 
視聴者の気を引こうとしているのかもしれないが、 
たとえそうだとしても、これではねえ・・・ 
私など、口止めとは思わない。 
むしろ「メデイアの挑発に乗って、いろいろ無用心に 
話したら、あと、取り返しがつかなくなるから、 
くれぐれも慎重に、対応してください」 
と解釈するからです。 
いずれにしろ、こんな取るに足らない事まで、 
ニュースにするようでは 
日本のメデイア人のレベルもさながら、 
「日本のメデイアは節操がない」と、外国の報道人間から 
皮肉られても、反論の余地などないでしょうね。 
それはさておき、橋本氏より 
<<今回の護衛艦と漁船の衝突事故に関して、各マスコミは 
一方的に護衛艦が悪いと言っていますね。 
私は元陸上自衛官です。 
各マスコミの報道をテレビで見ていると、腹が立ちます。 
何故護衛艦が悪いのか、漁船も護衛艦を認識していたのでは 
ないか。その中で漁船は、あの行動を採ったのではないか、 
等です。 
これから真実は明らかになるのでしょうが、もし漁船側に 
落ち度が有った場合、マスコミは如何するのでしょう。 
何時もの通り、だんまり戦術でしょうか。 
安倍前首相は、マスコミによって潰されたのですよね。 
ブログに有りますように、最新鋭のイージス艦に海上保安庁 
の調査官を易々と入れることは、 
アメリカの信用を益々失墜する事になる。 
日本の防衛機密はどうなっているのでしょう。 
話し代わって、 
アメリカにしろ、ドイツにしろ、他の国にしろ、 
国防に従事する人を大切にしますね。 
かって、同じ職場で勤務していた上司から聞いた話ですが、 
アフリカのある国に駐在武官として勤務していた当時、 
その国の大統領を出迎えた時、大統領は、日本の大使ではなく、 
駐在武官だった上司に握手をしたそうです。 
国民は、国防に音痴になっています。 
果たして、自衛官が堂々と制服で街中を歩ける時代は 
来るのでしょうか。 
私がこの世に居る間には無理なような気がする次第です>> 
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_21世紀を迎えた今世界は混沌としています。日本もその渦て 
政治経済ともに、国際的視点に立脚し欧州からの情報収集が不可欠に 
なってきています。欧州の国際情勢を日記風にまとめドイツ滞在歴30余年の経験を生かし、現地よりレポートします。 
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以下はアメバのCM