中国ネット世論の脳内では、全面的に日本側が悪かったものとして毒ギョーザ事は解決済み!
チュウゴクに住んでいる産経新聞の福島香織さんによると、徳島県で発生した「ジクロルボス餃子」事件が、中国毒ギョーザ事件と無関係であり、原因は店内で不正に使用された殺虫剤であったというニュースが、中国のネット上では「なんと中国産ギョーザ農薬混入事件は徳島県知事の宣言で完全に解決済み、しかも責任は100%日本!賠償請求しろ~」となっているという。
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依存症の独り言↓
http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2008/02/115200_e451.html
私は、2007年6月18日の-中国製品は「死と背中合わせ」 -というエントリの冒頭で次のように書いた。
去る10日の日曜日、私はある新聞記事を見てビックリした。
あきれた、怖くなった、そして最後は腹が立った。
が、その記事をブログで取り上げるかどうかは迷った。
中国のアラ探しをしているようには思われたくないからだ。
しかし、米国とカナダへ輸出されたペットフードやパナマ向けに輸出された薬用甘味料のグリセリンの例を思い出し、考えを変えた。5月6日付米ニューヨーク・タイムズは、パナマで中国製薬用甘味料を使用した100人の死亡が確認されたと報道。
5月9日付朝日新聞によると、米国とカナダでは今年3月、中国製ペットフード原料を使用した製品を食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡。事実を伝えなければ、いつ日本人が被害に遭うかわからない。それほど中国製品は危険である。まさに中国製品を使用することは「死と背中合わせ」。
そう思ったから、あえてエントリーとしてアップすることにした。
で、私は、この冒頭部分に続いて、讀賣新聞が掲載した「紙ナプキンはゴミを流用、楊枝は回収して再包装」という、中国の地元紙の報道を引用した。
そして、次のように結論づけた。
なにしろ、この国では「人の命は紙よりも軽い」。
中国農業大学の食品科学・栄養技術単科大のルオ・ユンボ氏は「中国の農産物は零細農家が作っており、加工会社も小さく多数ある。そのすべてを検査するのは容易なことではない。安全基準を徹底することは難しい」と述べている。要は、中国製品には手を出さないことだ。
今回の毒ギョーザ事件、私が上記のエントリで指摘したことを裏付けるものであった。
中国製品を使用することは「死と背中合わせ」。
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ところで、中国政府調査チーム団長の李春風・輸出入食品安全局副局長は6日、内閣府で記者会見し、毒物混入について「工場の製造過程で手を加えるのは困難だ。構造上の問題ではなく、個別の案件だ」と述べた。
また、李副局長は「責任をもって中国の食品は安全と言える。引き続き日本と協力して原因究明に努めたい」とも付け加えた。(参照:2006/02/06 産経新聞
)
つまり、今回の毒ギョーザ事件は、中国社会の体質や製造業の構造的問題ではなく、「作為的な犯罪である」と言いたいわけだ。で、「工場の製造過程で手を加えるのは困難だ」として、「日本国内での犯罪」である可能性まで示唆している。
13日には、国家品質監督総局の魏伝忠・副局長が「密閉した袋の中から殺虫剤が検出されただけで、製造段階で混入したと判断するのは物事を単純化しすぎだ。一旦開けてから、また封をすることも可能だ」として、日本で混入された可能性も否定できないと指摘している。(参照: TBS News i )
もう、あきれるしかない。「 一旦開けてから、また封」をしたら、そんなことはすぐに分かる。正気とは思えない発言だが、これが中国という国なのだ。
産経新聞
によると、天洋食品は15日、記者会見し、底夢路・工場長が「われわれこそ事件の最大の被害者だ」と主張したそうだ。そして「工場内に毒物を持ち込むことは不可能」と完全否定した。
底工場長は、同社の製品すべてが日本向け輸出である点を指摘し、「天洋食品は経済的に甚大な損失を受けた。名誉も巨大な損害を被った」と強調した。
が、日本の警察庁は16日、千葉、兵庫両県で中毒被害の出たギョーザから検出された「メタミドホス」について詳細な鑑定の結果、日本で製造されたものではないと断定した。
検出されたメタミドホスは日本で製造されたものではなかった。しかも、日本国内では、メタミドホスは研究機関などでしか使われていない。
一方、中国では、最近までメタミドホスが使われた殺虫剤が100種類以上販売され、広く流通している。さらに、工場から出荷された後の、流通の過程でメタミドホスが混入された可能性は限りなくゼロに近い(密封状態の袋の中にどうやって混入させる?)。
にもかかわらず、工場の最高責任者が「工場内に毒物を持ち込むことは不可能」と完全否定。「われわれこそ事件の最大の被害者だ」と居直る。
そこには、自社製品が引き起こした事件の被害者に対する謝罪の気持ちなど微塵もない。「製造物責任」の意味どころか、そういう言葉の存在さえ知らないのではないか。「製造物責任」は、製造者の過失を要件とせず、製造物に欠陥があったことを要件とする。
まさに、この底工場長の発言にこそ、「中国社会の体質や製造業の構造的問題」が凝縮されている。企業のコンプライアンスに対する意識の低さ、企業の社会的責任に対する自覚のなさ。
これで「国営企業」だというのだから、もうあきれる。
これが、「構造的問題」ではないとしたら、何なのだ!
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中国では、当局者にも企業にも「責任」や「規範」という意識がまったくない。で、一方では「日中関係に影響しないよう、早急に真相を究明する必要がある」などとのたまう。
「真相究明」???
そんなことは誰も信じない。
最後に、「責任をもって中国の食品は安全と言える」と強弁する中国当局者に以下の記事を捧げよう。
パナマ政府は14日、2006年に中国の無許可工場で製造された輸入かぜ薬を服用した115人がこれまでに死亡したとの報告書を発表した。報告書の作成担当者は米ニューヨーク・タイムズに対し、「地方住民の被害状況は正確に報告されておらず、実際の被害規模はさらに大きい」との見方を示した。
報道によると、問題のかぜ薬には不凍液などに使われる工業用原料のジエチレングリコールが含まれていたという。中国政府は当初、法的な根拠がないとして、問題のかぜ薬を製造した工場を処分しなかったが、国際社会の圧力を受け、昨年閉鎖させていた。
一方、15日付米ウォールストリート・ジャーナルは、中国製の医薬品原料を含んだ米国製の血液凝固阻止剤「ヘパリンナトリウム」を使用した患者4人が死亡、300人以上がアレルギー症状を訴えていたことが分かったと報じた。問題の医薬品は米バクスター・インターナショナルが生産したもので、中国製原料が原因だという証拠はないが、米食品医薬品局(FDA)は中国の原料工場に対する訪問調査を実施する方針を固めたもようだ。
同紙によると、中国は310億ドル規模に達する世界の医薬品原料市場でシェア14%を占めている。中国は同市場で2005年にインド、イタリアを抜き首位に立ち、世界の大手製薬会社向けに出荷しているという。
米製薬大手ファイザーは、2006年から中国製薬大手の上海医薬集団と原材料を調達に向けた協議を進めたが、品質が基準に満たなかったため、調達契約は一件も結ばれなかったという。中国では最近、上海医薬集団の子会社華聯製薬廠が生産過程のミスで汚染物質が混入した白血病治療薬を流通させ、5歳児を含む200人余りが全身まひなどの重体に陥っている。
中国製かぜ薬で115人死亡、パナマ政府が報告書 (08/02/16 朝鮮日報)
これでも「責任をもって中国の食品は安全と言える」のか李副局長は???
115人が死亡・・・200人余りが全身まひなどの重体・・・
我が国における食品偽装や薬害事故とはレベルも質も違う。極めて悪質かつ大規模。
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中国共産党の関係者が「この国では人の命が軽い」と嘆くほどである。
私は、やはり「中国産食品や薬品などに依存するのはやめたほうが良い」と痛切に感じる。
【追記】
産経新聞の福島香織さんによると、徳島県で発生した「ジクロルボス餃子」事件が、中国毒ギョーザ事件と無関係であり、原因は店内で不正に使用された殺虫剤であったというニュースが、中国のネット上では「なんと中国産ギョーザ農薬混入事件は徳島県知事の宣言で完全に解決済み、しかも責任は100%日本!賠償請求しろ~」となっているという。
福島さんは次のように書いている。(抜粋)
これは、実は非常にやっかいな状況だ。当局の政策方針をも左右するほど影響力を持つようになった中国ネット世論の脳内で毒ギョーザ事件は解決済み!で、ともすると賠償請求を言いかねない状況で、中国政府としては、今更、じつは中国側に原因がありました、てへっ!などとは口が裂けても言えないだろう。これによって、中国政府にとって、この事件のエンディングは(1)日本に責任があったとして解決、でも中国人は寛容だから賠償も謝罪も要求しない。(2)迷宮入りで手打ち。日中双方で、食の安全を仲良く築いてゆこう!の2者択一しかなくなってしまった。
日本の捜査当局が日本側に責任がないと立証できたとしても、中国側に責任があるとも立証できないわけだから(2)の結論。しかも、中国人の脳内では、この事件は全面的に日本側が悪かったものとしてとうに解決ずみ、という最悪のパターンになるわけだ。
福島さんは、このようなネット世論の盛り上がりを「計算ずくで、世論誘導された」ものと書いている。まあ、中共当局による「世論誘導」かどうかは下記の記事を読んでから判断してほしい。
食の安全学再び:徳島生協のワキの甘さがやっかいな状況に
↓
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080216/chn0802160151000-n1.htm
やはり、この国は怖い。
依存症の独り言↓
http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2008/02/115200_e451.html