中国の農地や生産現場などの現実を直視しないと、劣悪な食品問題は解決しない。
日本キリスト教団総会議長台湾WHO・国連加盟を推進
台湾の声ニュース 2008.2.18
昨17日、東京台湾教会で説教をした山北宣久・
日本キリスト教団総会議長は、キリスト教信仰において
他人のために粘り強く求め続けることが大切だと指摘。
台湾のWHO、国連加盟のために働きかけてゆくと語った。
『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html
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【論説】北京五輪の食と環境
時局心話會代表 山本善心
中国製ギョーザによる中毒症状で、1000人を超える
被害者が続出した。
これは保健所への届け出のあった数だから、実数はその
数十倍に及ぶと見られる。しかし製造元である中国「天洋
食品」の工場長が「我が社に原因はない」と明言したとたん、
我が国の論調が腰砕けになったのは残念だ。
たとえば元最高裁検事の土本武史氏による「中国で製品化
され、消費者の口に入るまでにメタミドホスの混入が可能
だったかどうかが問題である」(08年2月3日付日本経済
新聞)との論調は、問題の真相をあいまいにするものだ。
結論から言うと、ギョーザの皮、具、パッケージのすべて
からメタミドホス(有機リン系殺虫剤)の成分が大量に検出
されたという事実は不変である。
いくら中国側が「製造過程で原因が見つからない」と弁明
しても、パッケージから大量のメタミドホスが検出された
事実は免れない。
つまり天洋食品が製造したギョーザに、故意か否かは別と
して残留農薬が付着したのは紛れもなく製造過程でしか
あり得ないと証明されたからだ。
これが事件の真相であるなら、中国食品の輸入は全面的に
停止すべきだ。
中国製ギョーザの波紋
中国側は「安全管理体制は完璧であり、途中で異物が
混入することはあり得ない」と言うが、「物事は結果責任」
が自由主義経済の鉄則である。この問題をあちこち振り
回して自然消滅させようとする、日中の一部言論人の
姿勢は見苦しい。
ましてや8月8日の北京五輪開幕が、あと半年に迫って
いる。中国政府は「五輪に向けて食の安全問題は解決
した」と強調したはずだった。その矢先の出来事に
世界の動揺は隠せず、五輪開催を前にして新たな不安の声が
出はじめている。
約5000人の選手を収容する選手村の食材は中国産と
されているが、オリンピック組織委員会は「全ての生産地や
流通過程をチェック・監視の上、調理は米国の
アラアーク社が行う」とした。
土壌汚染が生態系に影響
組織委員会が食材をチェックするといっても、どこまででき
るか疑問である。
中国の食材生産地の土壌は一部を除いてほとんどが農薬
汚染され、土地はやせ細っていると聞く。
また①北京市周辺は土壌汚染が激化しており、しかも
汚染された耕地の大部分が経済発展地域の周辺に集中
している。②土壌汚染は農作物に対する有害物質の蓄積を
招き、これらを食することで死に至る各種の疾病を引き
起こしている。③土壌汚染の防止対策がとられず、現在は
全国土壌汚染の面積・分布・程度に関する政府側の発表や
資料がない。つまり土壌汚染を防止する規制や法律すら
ないのだ。それゆえ毎年都市ゴミの量が増え続ける
ばかりだ。
この数年、中国では工業用廃棄物より家庭用廃棄物が
急増している。これが地中に埋められると農地の領域に
迫り、食糧の減産を余儀なくするものだ。中国食品は
世界の市場を席巻してきたが、実はこうした環境悪化の
もとに生産されており、有毒食品や粗悪食品のツケが
今回ってきている。
深刻な大気汚染
中国の農地や生産現場などの現実を直視しないと、
劣悪な食品問題は解決しない。
中国政府も「食の安全」確保に躍起であるが、生産現場で
の安全管理、土壌改良、環境破壊などの緊急防止対策が
先決だ。
煙害や酸性雨、川や湖の汚染をはじめ、森林の伐採に
よる砂漠化も放置されたままである。大気汚染と水質汚染
地域は年々増大して被害額は年間1000億ドルを超え、
GDPの6.8%前後に相当すると見られている
(世界銀
行報告書)。
中国の政府工作報告書の資料によると、温家宝首相は
「国民にきれいな水と食品を供給したい」と述べている。
その前に中国の空気汚染と農地改良に関して、日本から
環境改善協力の指導を仰ぐべきだ。中国では大気汚染
で05年に75万人が死亡したと報道されているが、
5年後には200万人以上に増加する、という予測も無視
できない。中国は石油・石炭・鉄鋼の消費大国であり、
これらの汚染は都市に集中している。
空気汚染で死亡者続出
中国国家環境保護総局の玉金南研究員によると
「03年の研究では、毎年30万人が屋外の空気汚染、
11万1千人が屋内空気汚染で死亡している」と発表。
しかしこれは世界銀行の統計を参考にしたもので、実際は
3倍以上の数字になるとの見方もある。
これらの研究資料を調べていくうちに、中国の住民の
3分の1が汚染地域に住み、3分の1が非常に健康に
危険な地域に住んでいるということが分かった。また欧米
航空宇宙局のデータによると「環境測定機器によって中国上
空の空気を測定した結果、10年間で工場、発電所、自動車
などから排出される汚染物質が約50%増加した」という
(BBC放送)。
特に北京市の自動車による大気汚染は世界最大と
見られ、煤煙は空気中の23.3%を占めていると発表された。
しかも自動車は07年に250万台、
08年に350万台と年間14%前後は増加しており、
2~3年後の北京市では天気の日も10m先しか見えない
こともあろう。
五輪期のスモッグ、高温、雷対策
最近北京のニュースを見ると、白く霞がかかったような映像
なので、大気の汚染状況が手に取るように分かる。
昨年8月の野球テスト大会では、このスモッグでボールが
見えにくいとの苦情が出たくらいだ。高級ホテルに宿泊する
野球日本代表の星野仙一監督でさえ「水も食材も日本から
持参する」との考えを示している。
国際オリンピック委員会会長のジャック・ロゲ氏は、大気
汚染の状況に不快感を隠しきれず「このまま汚染が広がり
大気の質的基準値に達しない場合、競技の一部を変更・
延期することもあり得る」と語った。8月の北京は蒸し暑く、
屋内はともかく屋外での競技では、高温、湿度、スモッグが
もろに選手を直撃すると思われる。
ましてや北京市は雷の発生率が高く、昨年8月1日に
降った未曾有の豪雨など思わぬアクシデントに見舞われ
ないとも限らない。オリンピック期間中は世界中から、
数百万人の選手、マスコミ、ボランティア、観光客が
やってくる。
空気汚染や交通渋滞などに対し、北京当局は更なる
万全の対策をとってもらいたい。
さもないと真っ暗闇の北京オリンピック大会になるであろう。
北京五輪批判者への監視
それ以外にも、中国では公開・報道されない問題がまだ
まだ山積している。
党中央に対する不満と批判は日々高まっているが、民衆の
声を代弁する民主運動家が地方幹部の不正・汚職を直訴
しようとする動きは、当局の圧力で抑制が強化されている
との声も漏れ伝わってくる。
食品、環境汚染、人権問題などに取り組む知識人、
批判的な人物に対し、一方的に軟禁したり家族に圧力を
かけたりしている。当局は自宅周辺の監視を強化して
家族の外出さえも尾行するなど、彼らによる「北京五輪批判」
を恐れており、異論者への弾圧が続いている。
中国で暮らす外国人は、自由主義国と変わらない上海の
メイン通りや高層ビル、ファッション・テレビ番組などに
ごまかされている。これらは中国の単なる表層面でしかなく、
凄い経済大国だと錯覚させるための舞台装置であり、
中身は空っぽだとの見方もある。
五輪を機に変わる中国
中国は大きく背伸びしてでも北京五輪を成功させたいと
考えている。会場建設も順調で、メイン施設や国家体育場も
間もなく完成予定だ。大会運営準備やリハーサルも軌道に
乗っている。北京にやってくる各国の大会役員らにも、
環境問題ではあの手この手で安心感を与えるよう努めている。
何とか成功させて、自国の大国ぶりを世界に見せたいところだ。
中国ではあらゆる社会汚点が噴出して、これ以上引っ張り
きれない局面に追い詰められている。しかし中華民族の
歴史上、これほど外国からの干渉やルールに従って協調した
時代はなかった。毒入りギョーザ問題でも、国際ルールに
積極的に順応しようという努力が見られる。そうしなければ
経済が崩壊し、共産党体制がもたないとの前提があるのだ。
中国は利益第一主義であり、金儲けのためなら何をやって
もよいとの風潮があった。しかしこれが自らの国を汚染し、
人間の住めない環境へと追いやったといえよう。
また国際社会からも援助や協力、ビジネスが断絶される
危機が迫っている。胡錦濤政権が中国の未来に危機を感じ、
国際社会に対応しようとしている姿を、決して見落としては
ならない。
北京よ、青空と信頼を取り戻せ。
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