二島でも四島でもない返還要求を突き付けろ!
帝国電網省 ▽▼ by 竹下義朗さん
二島でも四島でもない返還要求を突き付けろ!―2008/02/15
南米、チリでのAPEC(アジア・太平洋経済協力会議)開催を
目前に控えた平成16(2004)年11月15日、モスクワはクレ
ムリン。閣議の席上、プーチンロシア大統領が「北方領土」
問題を取り上げ、その中で以下のような発言をしました。
「ロシアは旧ソ連を継承する国家として、ソ連が批准した文
書の義務を常に履行してきたし、今後もそうする」「(批准文書
の義務を履行するのは)相手国が義務を履行した場合
だけだ」
つまりプーチン大統領が一体何を言いたいのかというと、
「1956年調印の『日ソ共同宣言』に基づき、ロシアは、歯舞
[はぼまい]・色丹[しこたん]の二島返還で北方領土問題は
決着を図りたい」
と言っている訳で、更に、
「日本が国後[くなしり]・択捉[えとろふ]を含めた四島返還に
固執し続ければロシアは四島はおろか二島さえも返還しな
い。『日露平和条約』の締結も困難だ」
と恫喝した訳です。
このプーチン発言と前後するように、14日にテレビ出演した
ラブロフ・ロシア外相も二島返還での決着を示唆。複数のロシア
政府高官も共同通信に対して
「第二次世界大戦の結果は変更できない」
との論拠を盾に、日本の求める四島返還を拒絶する対処方針を
示しました。
これでは平成5(1993)年調印の『東京宣言』を含む今迄の
日露領土交渉は一体何だったのか?一進一退どころか
後退しっぱなしではないのか?そして「北方領土」問題で
日本には打つ手がないのか?
実は、ロシア側の「二島返還決着論」に対して、日本側が
採りうる「対抗策」があるのです。それは、ロシアが意図する
「二島返還」でも、日本が求めてきた「四島返還」でもない、
「第三の返還論」ともいうべきものです。
という訳で、今回は「北方領土」問題に於ける対露交渉の
処方箋としての「第三の返還論」について書いてみたいと
思います。
対露領土交渉に於ける「第三の返還論」とは一体どのよう
なものなのか?
それを披露する前に、先ず前述のプーチン発言をもう一度
引合いに出します。
「ロシアは旧ソ連を継承する国家として、ソ連が批准した文書
の義務を常に履行してきたし今後もそうする」
これは、現在のロシアが「旧ソ連の正統な後継国家」であるこ
とを念頭に置いて為された発言であることは、皆さんも異存が
ないものと思います。ということは、こう解釈することも可能で
ある筈です。
「ロシアは、旧ソ連を継承する国家として、ソ連が昭和20
(1945)年8月に犯した『日ソ中立条約』の一方的破棄及び、
条約に違反して始められた対日戦争に起因する「負の遺産」、
具体的にはその際に軍事侵攻し、今尚、不法占領状態に
ある領土を日本に全面返還する義務がある」
つまり、ロシアが「旧ソ連の正統な後継国家」であることを
自任すれば自任する程、それに比例して、旧ソ連の「負の
遺産」を精算しなければならない義務の度合いも増加する
訳です。
次に、複数のロシア政府高官が示した論拠について考えて
みたいと思います。
「第二次世界大戦の結果は変更できない」ーーー複数の
ロシア政府高官が示したものですが、彼らの言いたいことは
こういうことでしょう。
「事の如何=『日ソ中立条約』の破棄及び対日開戦)に関わ
らず、旧ソ連が占領したことで生じた「国境線」の変更は
一切受け容れられない」
これは、「北方領土」がどの様な経緯を経て「ロシアの領土」
になったのかは兎も角、戦後半世紀以上も実効支配してきた
「歴史=既成事実」があるのだから、今更、返還など出来る
ものか!ということであり、要は「居直り強盗」然としたまことに
以て身勝手な論理である訳です。
更にロシアにしてみれば、日本が昭和26(1951)年に調印した
『サンフランシスコ平和条約』第二条に於いて
┌--------「サンフランシスコ平和条約(抜粋)」
第二条【領土権の放棄】
3.日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月
五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の
一部、及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、
権原及び請求権を放棄する。
└--------
との条項を受け容れているのだから「北方領土」問題は既に
解決済みの案件であり、そもそも「二島」だろうが「四島」だろ
うが、日本からの返還要求を受け容れる積もりなどない!と
っている訳です。
しかし、このロシア側の論理には、ある重大な「落とし穴」が
あったのです。
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月
五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の
一部、及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、
権原及び請求権を放棄する」――――日本が調印し
「領土放棄」を受け容れた筈の『サンフランシスコ平和条約』。
その条約を当のソ連は調印しなかった訳で、これが重大な
「落とし穴」である訳です。つまり調印しなかったということは、
ソ連が、
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月
五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の
一部、及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、
権原及び請求権を放棄する」
ことを承認しなかったと解釈できる訳で、その解釈に立てば、
旧ソ連とその後継国家であるロシアは、千島全島と
南樺太(樺太島の内、北緯50度以南の地域)の領有権が
日本にある、と認めているに等しい訳です。
つまり「北方領土」問題の当事国が日露両国に限定される
以上、日本は、歯舞・色丹・国後・択捉四島どころか、最北端
の占守[しゅむしゅ]島に至る千島全島、更には南樺太につい
ても、ロシアに対して返還を要求できる訳です。
日本は、歯舞・色丹・国後・択捉四島どころか、千島全島・
「南樺太」についてもロシアに対して返還を要求できる!!
しかし、それでは能がありません。
ソ連が有効期限内であったにも関わらず『日ソ中立条約』を
一方的に破棄、条約に違反する形で対日開戦し、日露間に
締結された『ポーツマス条約』によって「日本領」と規定され
ていた千島全島と「南樺太」を不法占領し続けてきた「ツケ」
は払って貰わなねばなりません。
借金をすれば必ず利息を取られます。戦後半世紀以上も
ロシアは「北方領土」という「借金」をしながら、日本に対する
「返済」を繰り延べしてきた訳ですから、「利息」も相当嵩んで
いることでしょう。
そこで日本は、「元金」である千島全島・「南樺太」の「返済」
だけではなく「利息」として、樺太島のうち、北緯50度以北の
地域、即ち、
「北樺太」の無償且つ無条件の割譲をロシアに要求する
べきです。
どのよな交渉でもそうですが、最初からハードルを低く設定して
いては、相手に足下を見透かされてしまいます。到底、相手が
受け容れられそうにない要求を突き付け、交渉を通じて徐々に
ハードルを下げていく。
そして最終的には、あらかじめ「落とし所」に想定していた内容
で妥結する。
「北方領土」交渉も、最初から「四島返還にありき」とハードル
を低く設定しているから、ロシアに舐められるのです。もしも、
日本が千島全島及び樺太全島の返還を要求していたとしたら、
ロシアは一体どのような態度を取った事でしょう?
「北樺太は無理だ、それ以外なら・・・」ときたか、或いは
「樺太は無理だ、それ以外なら・・・」ときたか、或いは
「樺太と北千島は無理だ、だが南千島=北方四島)なら
返還の用意がある」ときたか・・・何れにせよ二島か四島か
で揉めるようなチマチマとした領土交渉にはならなかったの
ではないでしょうか?
そういった態度でロシアに臨まなければ、交渉は常にロシアの
ペースで進むでしょうし、「北方領土」問題は未来永劫解決など
しません。その点では、今後の領土交渉に於いてロシア側に
突き付けるべきは、
「マレーの虎」と綽名された山下奉文[ともゆき]陸軍大将
----伝説のカルト映画『シベリア超特急』シリーズでお馴染み
----の名台詞、
イエスか!ノーか!
返すのか!返さないのか!答えはどっちだ!
ーーーに尽きるでしょう。
コメントボードに頂きました感想。
┌──────────「ゆきさん」
民事では、他人の土地を公然と占有し、占有になんら抗議、
苦情等なければ、善意(他人の土地と知らなかった)で10年。
悪意(他人の土地と知っていた)で20年で所有権を主張
できるのでは?
└──────────
┌──────────「さぶろうさん」
日本国の民事と国際関係を混同するのは危険です。
また、領土についても、条約が最も効力を持つものではありま
せん。現状世界では、残念ながら実力優先といったほうが
よいでしょう。
地球には、領土紛争を調停すべき上位のシステムが確立して
いないのです。
└──────────
お便りで頂きましたご意見。
┌────「日米台湾さん」70代@男性@教職員@海外
SFPT(サンフランシスコ平和条約)は、カイロ、ポツダム両
宣言の内容を引き継いで結論をだしている。不確かだが、
ソ連のグロムイコ外相はSFPTの開幕直後、講和条約に
反対で大見得をきったが、講和条約署名をしたかどうかが
不明である。
勿論、ソ連ほど出鱈目な外交をする国は世界に無い。先ず
日ソ不可侵条約の破棄が常識外である。西部戦線で釘付け
であった赤軍は、背後から関東軍のシベリア侵攻に恐れを
なしていた。
米英が日本と開戦となり、ホッとしたのでドイツと充分戦闘が
できた。ドイツ降伏で、4ヶ月の間に赤軍を、昼夜兼行で東部
に移動させ、満蒙に侵攻一週間で満蒙人、日本人から財産を
奪取し、恥辱を与え、多くの抑留邦人を殺した。
台湾の領土権問題とは少し違うが、樺太、千島列島(北)は
占領された。
8月15日を過ぎても周辺の日本領(島)に上陸してきて、
非武装の関東軍は挑戦するより手がなかった。
ソ連と、外交で北方4島が帰るなんて夢物語である。
竹島と同じく、北方4島に手が出ないのが日本防衛軍である。
ソ連は少しでも日本が領土に不信行為をするとなれば即刻、
ソ連艦隊とソ連軍を派遣すると申している。
この発言に中国が過敏に反応した。
どうも最近は中ソの軍事戦略で衝突しそうな気配である。
日本は是を利用できる筈だ。憲法改正も集団防衛権無い
防衛省が、この問題には関係したくない米英国には依存
ゼロであるとすれば法理論は虚しい。
プーチンは共産国家復活、軍事大国をめざしている。
ソ連相手に領土権の未決定を論じても、占領、行政している
のがソ連で、世界世論もその不当性をいわない。日本の
メデアは左翼一辺倒でソ連や中国の不当を言わないから
若い人は真実を知らない。
シベリヤに戦後、正規の日本捕虜兵を60万人も拉致して
65000人を抹殺super Aclass Criminalsが何のお咎めも
なしで損害賠償も謝罪もなしである。
ナチスのユダヤ系へのgenocide killersと同然である。
米国は、占領した日本を7年目に返還した。
中国とソ連の台頭は、経済力と軍事力の併合で打ち当たって
くる。日本には背景がないのが発言にも影響が出ない原因
である。
台湾領土ならば、今の領土帰属USMGに、終局には米国の
未定地域(insular territories) であるから訴訟を起こして
米国の決定発表をまっている。ワシントンD.Cの連邦裁判所
である。
米国と同じく北方4島を1年で返還するべきだが、常識外れの
外交をやるソ連には全くその気がない。
日本外交を60年も翻弄させたが、これからも同じであろう。
もっと悪くなるソ連外交だ。また鉄のカーテンの再来である。
└──────────
▽OJINさんの意見。↓
竹下義朗さんは「帝国電網省」という超有名なウェブサイトを
主宰されておられます。
―→ http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/html/
大変立派なサイトなんですが、サヨク系の方々からは「トンデ
モ系=とんでもない信用ならない主張をする」と謗[そし]られる
ほうでも有名でございます。
「帝国電網省」の凄いところは、英語バージョンのページが
あり「歴史再考」の記事で、外国人に知らせたほうがいいと
思われるものについては、英文にして掲載していることです。
たくさんの題目がありますが、卑近な例では「従軍慰安婦
問題」や「南京大虐殺問題」などです。
我々は日本語では主張していますが、英語ではしておりま
せん。しかし、世界中に訴えるべき主張は、やっぱり英語で
やったほうが効果があるわけで、そのご努力には頭が
下がります。
自分の勉強にもなります、著書を購入して応援を!しようじゃ
ありませんか!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
竹下義朗さんの著書: http://astore.amazon.co.jp/chinachips-22
「検定不合格 教科書になれなかった史実」 雷韻出版1500円
「検定不合格 教科書になれなかった史実2」 雷韻出版1500円
「汝の敵中国を知れ 知られざる反日国家の顔」雷韻出版1350円
「帝国電網省:歴史再考」収載ページは ▼ こちら!
http://chinachips.fc2web.com/repo5/051takesita.html
┃▼▽ 中国ひと口話 ▽▼ by けんさん
┃
☆ 暴動 ――――――――――――――――――――――― 2008/02/15
どんな政府でも、政権を取ったら治安維持に務めます。別の言い方をしたら、
治安維持ができて始めて政権を担ったといえる。
恐ろしいのは軍事政権と軍事政権の交代の狭間です。一瞬無警察無政府の真空
時間帯ができる。ーーーあれは正確には何月何日でしたか。1946年春3月
のことだったと思います。
撫順で八路軍が追われ、国民党軍が進駐してきました。
八路軍の主力が撤退すると、中国人街の一角から「うぉーっ」という地鳴りの
ような雄叫びが湧起こる。暴動が勃発したのです。
この一瞬は、何をしても捕まえる人がいません。力の強い者が勝ち。
狙われるのは、主に日本人。
私達もバリケードを組み力で防衛する。集団で防衛できた人は良い。ばらばら
に居た日本人は惨めでした。
暴動が去った後は、文字通り箸一本残っていません。普通暴動は命は取らない
というのが通説でしたが、一人の日本人の子供が竹槍で殺されました。
郊外の競馬場に彼の土饅頭の墓があり、卒塔婆が立てられていました。
確か「玉井某」。愛媛県の人だったと聞いています。
混乱の 津波に庶民は 術もなし