宮崎正弘の国際ニュース・早読み
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
1 始めに
明9日午後、予定通りKBS京都ラジオの番組に午後2時33分~43分の10分間電話生出演します。Q&Aをつくったのでご披露しておきます。
内容は、耳タコでしょうが、ご容赦下さい。
2 Q&A
(1)太田さんの経歴をお聞かせ下さい。
1971年に当時の防衛庁に入庁、防衛大学校総務部長、官房審議官、仙台防衛施設局長などの役職を歴任し、2001年に退職。この間防衛白書の編纂に2度携わりました。その後、『防衛庁再生宣言』を出版するなど、国際問題や安全保障の専門家として活動しています。
(2)山田洋行の収賄事件について、どう感じておられますか?
検察は、私の同期の守屋前防衛事務次官が接待を受けたりカネをもらったりした見返りに山田洋行や山田洋行から分離独立した会社に便宜供与を行ったことを立証しようとしていますが、かなり無理があるのではないでしょうか。
そもそも私は、各省庁の幹部に安くゴルフをさせるゴルフ場があってもいいと思っていますし、官僚が業者と飲み食いを共にすること自体も必ずしも悪いことだとは思っていません。公務員倫理法が厳しくなりすぎているのです。
とはいえ、守屋が長年にわたり特定の業者ばかりとしかも高頻度でつきあったことは脇が甘かったと言わざるをえませんし、次官就任祝い等、カネをもらったことなどは言語道断です。
ただ、カネの大部分は奥さんがもらっていたようで、守屋が奥さんをかばおうとしているフシもうかがえます。
いずれにせよ、時効にかかっていないここ5年間のトータルで、守屋が受け取ったとされる「賄賂」の総額が1000万円になるかならないか程度であることに注目すべきでしょう。
これは山田洋行への天下り10数名のうちのわずか1名の、しかもたった一年間のヤミ年金額相当でしかありません。
山田洋行に限らず、防衛関係企業への天下りの人数に応じてその企業の防衛省からの受注額が決まる、ということをご存じでしょうか。
この天下りの問題に比べれば、守屋の受けた接待やもらったカネなど、大した話ではない、と私は言いたいのです。守屋自身そう思っていたはずです。
第一、彼や彼の奥さんは山田洋行や新会社の首脳と友達づきあいをしているつもりだったのですよ。ですから客観的にはともかく、守屋は主観的には山田洋行や新会社に何ら便宜供与など図っていない、と私は相当の確信を持って言えるのです。
(3)ご在庁の時代から、接待攻勢はありましたか?
私や守屋が役所に入った頃は、接待なんて当たり前でした。
しかし、公務員倫理法ができ、その規定が次第に厳しくなって来るにつれ、個別の業者による官僚の接待はほとんどなくなったのではないでしょうか。
これでは官僚が関係業界や業者のホンネに接することができないので、特定の人や団体が様々な官庁の関係業者からカネを集め、これら業者と様々な官庁の官僚が一同に会して飲み食いを伴う会合を開くといったことがその後も続けられています。会合に出てみたらたまたま関係業者がいた、という体裁をとるわけです。個々の官僚も会費を出すのですが、それが全経費の一部でしかないことは言うまでもありません。 何のことはない。これは公務員倫理法の脱法行為です。それなりの必要性がある以上、このような脱法行為を根絶することは不可能です。私は、業者との飲み食いを伴う会合を合法化し、各官庁の交際費も増やし、その代わり全面的に情報開示させることを推奨しています。
(4)どうすれば、このような事件がなくなると思われますか?
以上縷々申し上げたように、接待を受けること自体はさしたる問題ではありません。まともに仕事をしていない官庁が多いことこそが問題なのです。日本は米国の属国であり、外交・安全保障の基本を米国にぶんなげているので、本来の仕事をやらせてもらえない外務・防衛両省から退廃・腐敗が始まり、深刻化し、それが厚労省等全省庁に波及している、という認識を持っていただきたいと思います。
地方議員じゃあるまいし、国会議員だって外交・安全保障が本来の仕事なのですが、彼らもこの本来の仕事に携われないので退廃・腐敗しがちです。
国家の存立や大勢の人間の生死に関わる仕事に携わっていれば、人間自ずから粛然とするものなのですがね・・。
このように官僚や政治家が退廃・腐敗しているので、政府に関わりの深い業界・業者も退廃・腐敗するに至っています。
そして、この政・官・業が三位一体的癒着構造の下にあるのです。
癒着構造における最大の問題は、繰り返しで恐縮ですが、接待などではなく官の業への天下りなのです。
自分の能力・知識・経験だけで再就職できる官僚なんて100人に1人いるかどうかです。天下りをしている人の大部分は、実質的な仕事をせずに多額のヤミ年金をもらっているのです。そのカネは、官庁が、購入する財・サービスの価格を水増ししたり、規制を手加減したりして捻出されています。そして、この天下りシステムのいわば用心棒代を政治資金等の形で政治家がせしめている。これが諸悪の根源なのです。
この問題を解消するには、恩給制度を復活させることを見返りに天下りを全廃する必要があります。そのためにはまずもって政治を変えなければなりません。退廃・腐敗議員を排除するような形での抜本的な政権交代ないし政界再編をなしとげることです。
これができるのは、政治家でも政党でもマスコミでもありません。
国民の皆さんです。
(5)出版のご予定はありますか?
2冊目の本を、株式会社金曜日からこの春に出版予定で企画を進めているところです。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 2月9日(土曜日)
通巻第2080号
毒入りペットフーズ、インチキ玩具、薬などで中国のメーカー二社と米国の輸入業者を起訴
ラベルを偽造して検査を逃れた証拠が明らかに
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ヘラルドトリビューン(2月8日付け)の11面に以下の記事がある。
ミズーリ州カンサスシティの連邦地裁が、中国からペットフーズと偽ってデタラメな中身のもの(タンパク質グルテンに石灰をまぜたり)を輸入した業者、ならびに中国のメーカー二社を起訴している。
起訴の中身はといえば、中国における製造過程での毒素混入の証拠が固まらず(中国側の非協力により)、結局、輸出並びに輸入検査をごまかすためにラベルをほかの物資を示すものに偽造していた、動かぬ証拠を固めて、有罪に持ち込むのが、検察側の考え方だたと伝えている。
この裁判は、そのごの鉛入り玩具、人形、不良タイア、ナマズなど一連の中国製品のインチキ裁判の嚆矢となるため全米から注視されている。
米国で起訴となる法律は、しかしながら中国では適用されないために、ラベルごまかしの犯罪だけで法廷に持ち込んだのだ。もちろん、中国の業者は出廷するわけでもなく、海外逃亡(休暇といって海外に身を隠しているらしい)。
この裁判のゆくえ、日本とて他人事ではあるまい。
□◎□み○や▽ざ○き◎▽◎○さ◎ひ○ろ○□○
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(読者の声1)貴誌2079号に以下の「有楽生」氏の嘆き節があります。まず引用し、次に自分の意見を記します。
(引用開始)
「ギリシア神話と無縁の大和国は、世界初の原爆の苛烈な火を降り注がれ、すさまじい災厄を蒙りました。しかるのち、生き残った大和の民は、大和魂を抜かれ、背骨を無くし、軟体状態に成り果て、哀れを止めぬありさまです。
大和の神々はもはや大和の民草を守ってはくれないのでしょうか。守られるに値しないのでしょうか。神を懐うことを忘れた民は、消え行くしかないでのしょうか。
大和の民が蘇生するには、神韻漂渺の世界を想い、先達の困難克服の営みとあまたの犠牲を顧み、その上にわれわれが存していることを感得することでしょう。しかしなかなか難しいことです。(有楽生)」
(引用とめ)
意見:私は「天は自ら助けるものを助く」という言葉を想起しました。何もしないでは消滅するでしょう。歴史上消滅した民族は少なくありません。
戦後60年国民は何もしないで私利私欲の追求に明け暮れてきました。そして世界第二位の経済を築くことが出来ました。これは祖霊の守ってくれたおかげであり戦前の精神的資産の成果ですが、新しく補充しなければ精神力、民族力が尽きてしまい衰退するのは当たり前です。
占領軍は二度と日本が立ち上がれないようにするために占領破壊政策を強制しました。
民主化、反封建化は日本民族固有の生存、生活、再生の精神や社会制度、システムを破壊する隠れミノでした。それを真にうけて今も破壊しているのが戦後文化の価値観であり行動です。
そこで国民が危機を実感し、状況を理解し、方向をあわせて分担して回復の努力をすることが必要です。
国民のキーワードは「断絶から連続へ、拡散から団結、連帯へ」となります。
また民族が生存するには格差は必要です。なぜなら資源が乏しい国では子供に多く配分し老人に少なく配分せざるを得ません。単純平等は全体の死を意味するからです。
日本の回復は国民の行動からです。それは新しい民族主義政党の結成から始まるでしょう。
(MC生)
(宮崎正弘のコメント)新しい民族主義政党ですか。「維新政党・新風」(松村久義代表)がありますが?
いずれにしても戦後のGHQ政策を唯々諾々として受け入れた日本人、とくに吉田茂以下の政治家。六年前に西尾幹二氏が中心の「路の会」のメンバー十数人が、大シンポジウム『日本人はなぜ戦後たちまち米国への敵意を失ったか』を数回に分けて開催し、討議しました。
これは全記録が単行本になっています。
題名はシンポのタイトルと同じ。徳間書店刊。登場は西尾先生ほかに井尻千男、高森明勅、西岡力、片岡鉄哉、藤岡信勝、黄文雄、呉善花ら各氏に小生も加わっています。
ISBN4-19-861563-2 定価1900円。
ご案内までに。
♪
(読者の声2)米国大統領選、最初は泡沫と見られたオバマの熱狂的ブームがおきていますが、先生はやけに冷静にヒラリーが民主党予備選では、最終的に勝つとおっしゃっていますね。
その自信に満ちた分析の最大の根拠は何ですか?
(TY生、水戸)
(宮崎正弘のコメント)初盤戦でのヒラリー陣営の戦いの遣り方は、民主党内の有力者の支持を効率的にまとめ、さらに大口献金者を固めて有力な集票マシーンを築くことでした。
夫ビル・クリントンが率先して、昨年秋までに早々と組織を固めた。まったくヒラリーの圧勝基盤、独走態勢が構築されていたのです。
オバマは、この民主党のエスタブリッシュメントに飽き足らない、環境運動家、人権活動家などが100ドル、200ドルを持ち寄っての志願兵の戦いで、これらバラバラの各団体、各層、各人種を一つ纏めるために、とりあえずのスローガンは「change」しかありません。
だから反主流派連合がオバマをとりあえず御輿に担いでいる。
しかしオバマが具体的な政策提言をすれば、烏合の衆、野合でしかない、いまのオバマ支持層の分裂は明々白々です。宗教、環境、人種、とくに移民政策や保険制度で、みんな、意見が違います。
民主党は、次にルイジアナ、ネブラスカ、ワシントン、これにワシントン特別区とウェストバージニア州の予備選が行われますが、このあたりは、いまの勢いに乗ってオバマが押さえる可能性が高い。
しかしこれら五州を制したところで、オバマが獲得できる代議員数は多寡がしれており、次は大票田のテキサスとオハイオ州です。
この二つはヒラリー優位です。
ここで接戦が演じられるでしょうから、八月の党大会まで、もしオバマの息が続くとすれば党大会決戦にもつれ込む。
だが八月の民主党大会では連邦議会議員、知事、労組幹部など「特別代議員」が780名前後おりますから、これら党のエスタブリシュメントが、オバマに投票するとは考えられない。
という三段論法で考えてくると、どうしても民主党はヒラリーとなります。